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2024/06/27
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ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:75

機械学習モデルは統計モデルよりも優れるか/BMJ

 機械学習および統計モデルについて、同一患者の臨床的リスクの予測能を調べた結果、モデルのパフォーマンスは同等だが、予測リスクはさまざまに異なることが、英国・マンチェスター大学のYan Li氏らによる検討で示された。ロジスティックモデルと一般的に用いられる機械学習モデルは、中途打ち切りを考慮しない長期リスクの予測には適用すべきではなく、QRISK3のような生存時間分析モデルが、中途打ち切りを考慮し説明も可能であり望ましいことが示されたという。結果を踏まえて著者は、「モデル内およびモデル間の一貫性のレベルを評価することを、臨床意思決定に使用する前にルーチンとすべきであろう」と指摘している。QRISKやフラミンガムといった心血管疾患のリスク予測モデルは、臨床で幅広く使われるようになっている。これらの予測にはさまざまな技術が用いられるようにもなっており、最近の研究では、機械学習モデルがQRISKのようなモデルよりも優れているといわれるようになっていた。BMJ誌2020年11月4日号掲載の報告。

75歳以上への脂質低下療法、心血管イベントの抑制に有効/Lancet

 系統的レビューとメタ解析には、スタチン/強化スタチンによる1次/2次治療に関するCholesterol Treatment Trialists' Collaboration(CTTC)のメタ解析(24試験)と、5つの単独の試験(Treat Stroke to Target試験[スタチンによる2次予防]、IMPROVE-IT試験[エゼチミブ+シンバスタチンによる2次予防]、EWTOPIA 75試験[エゼチミブによる1次予防、日本の試験]、FOURIER試験[スタチンを基礎治療とするエボロクマブによる2次予防]、ODYSSEY OUTCOMES試験[スタチンを基礎治療とするアリロクマブによる2次予防])の6つの論文のデータが含まれた。

未就学児へのアジスロマイシン集団配布で耐性因子が増加/NEJM

 アジスロマイシンの年2回、4年間の集団配布により、マクロライド系抗菌薬のみならず、マクロライド系以外の抗菌薬の耐性遺伝子が増大する可能性があることが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のThuy Doan氏らが実施したMORDOR試験の補助的調査で示された。研究の詳細は、NEJM誌2020年11月12日号に掲載された。サハラ以南のアフリカでは、就学前の子供へのアジスロマイシンの年2回、2年間の配布により、小児死亡率は低下するものの、マクロライド耐性の増大という代償を要することが報告されている。また、より長期の年2回アジスロマイシン投与が、体内の抗菌薬耐性遺伝子の集積場所である腸レジストーム(gut resistome)に影響を及ぼすかは明らかにされていないという。

心血管リスク患者へのフェブキソスタット、アロプリノールに非劣性/Lancet

 心血管リスク因子を有する痛風患者において、フェブキソスタットはアロプリノールと比較し、主要評価項目である複合心血管イベントに関して非劣性であることが示された。長期投与による死亡あるいは重篤な有害事象のリスク増加も確認されなかった。英国・ダンディー大学のIsla S. Mackenzie氏らが、多施設共同前向き無作為化非盲検非劣性試験「FAST試験」の結果を報告した。フェブキソスタットとアロプリノールはともに痛風の治療に用いられる尿酸降下薬であるが、フェブキソスタットの心血管系への安全性に懸念があり、欧州医薬品庁は安全性をアロプリノールと比較する市販後臨床試験の実施を勧告していた。Lancet誌オンライン版2020年11月9日号掲載の報告。

米空母内の新型コロナ感染リスク、甲板上より船内で高い/NEJM

 米原子力空母セオドア・ルーズベルト(乗組員4,779人)において、2020年3月23日~5月18日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のアウトブレイクが発生、U.S. Navy Bureau of Medicine and SurgeryのMatthew R. Kasper氏らがその調査結果をまとめた。SARS-CoV-2の感染は、狭苦しい閉鎖的な空間で無症状および症状発現前の感染者によって促進され、空母内で急速に拡大したという。SARS-CoV-2陽性と判定された乗組員の約半数は、無症状であった。NEJM誌オンライン版2020年11月11日号掲載の報告。

発症時間不明かつDWI-FLAIRミスマッチ脳梗塞、アルテプラーゼ投与は有益/Lancet

 発症時間不明で、灌流/拡散ミスマッチやMRI拡散強調画像-フレアー画像(DWI-FLAIR)ミスマッチが認められる脳卒中患者において、アルテプラーゼの静脈内投与はプラセボ投与または標準治療と比較して、90日後の機能的アウトカムは良好であることが示された。ドイツ・ハンブルク大学エッペンドルフ医療センターのGotz Thomalla氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果で、症候性頭蓋内出血リスクが高くてもすべての機能的アウトカムで、ネットベネフィットが観察されたという。アルテプラーゼによる死亡例はプラセボよりも多かったが、重度の障害または死亡の発生ケースは少なかった。発症時間不明の脳卒中患者は、以前は血栓溶解療法の除外対象とされていた。研究グループは、イメージバイオマーカーで救済可能な脳細胞範囲が特定された患者については、アルテプラーゼ静脈内投与が安全で有効であるかを確認するため本検討を行った。Lancet誌2020年11月8日号掲載の報告。

監視下隔離中に新型コロナクラスター発生、その原因は/NEJM

 米国海軍入隊者1,848人について調べたところ、入隊時の定量PCR検査でSARS-CoV-2陰性だった入隊者のうち約2%が、入隊2週間後の検査で陽性に転じていた。また、入隊時の検査を拒否した入隊者のうち、同2週間後の検査で陽性だったのは2%未満であり、さらに、入隊2週間後の検査で陽性と判定された入隊者のうち、検査前から症状が認められたのは10%に満たず大半が無症状で、毎日の検温や体調モニタリングによるスクリーニングでは、SARS-CoV-2感染者は検出されなかったという。ゲノム解析では、6つの感染クラスターが確認された。米国・Naval Medical Research CenterのAndrew G. Letizia氏らが、若年成人におけるSARS-CoV-2感染制御のための有効な公衆衛生対策の研究が不十分であることから本検討を行い明らかにした。NEJM誌オンライン版2020年11月11日号掲載の報告。

術後管理への管理図使用、有害事象を有意に削減/BMJ

 手術後モニタリングにおいて、手術チームへの規則的な指標のフィードバックを伴う管理図(control chart)の使用は、主要有害事象と死亡を統計学的に有意に減少することが、フランス・クロード・ベルナール・リヨン第1大学のAntoine Duclos氏らSHEWHART Trial Groupによるクラスター無作為化試験の結果、示された。著者は、「示された結果は、管理図のルーチン使用が術後主要有害事象の予防に役立つことを支持するものである」と述べている。アウトカムをモニタリングするための管理図は、製品やサービスの質の改善ツールとして、産業界では50年以上にわたり広く使用されている。医療においても幅広い適用が示唆されているが、管理図を用いたアウトカムのモニタリングが、入院患者の有害事象発生を低下するのか、全国規模での具体的なエビデンスは乏しかったという。BMJ誌2020年11月4日号掲載の報告。

高齢者の転倒・骨折予防、スクリーニング+介入は有効か/NEJM

 高齢者の転倒による骨折の予防において、郵送での情報提供に加え、転倒リスクのスクリーニングで対象を高リスク集団に限定した運動介入または多因子介入を行うアプローチは、郵送による情報提供のみと比較して骨折を減少させないことが、英国・エクセター大学のSarah E. Lamb氏らが行った無作為化試験「Prevention of Fall Injury Trial」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2020年11月5日号で報告された。高齢者における転倒の発生は、地域スクリーニングとその結果を考慮した予防戦略によって抑制される可能性があるが、英国ではこれらの対策が骨折の発生、医療資源の活用、健康関連QOLに及ぼす効果は知られていないという。

高血圧や2型DM合併の肥満、オンラインプログラム+PHMが有効/JAMA

 高血圧または2型糖尿病を有する過体重/肥満の患者では、プライマリケア施設による集団健康管理(population health management:PHM)とオンライン体重管理プログラムを組み合わせたアプローチは、オンラインプログラム単独および通常治療単独と比較して、12ヵ月後の減量効果が、差は小さいものの統計学的に有意に優れることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のHeather J. Baer氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年11月3日号で報告された。わずかな体重減少(たとえば3~5%)であっても、重要な健康上の利益をもたらす可能性があることから、米国の診療ガイドラインでは、肥満および過体重の患者の生活様式への介入や助言が推奨されているが、プライマリケア医は時間の制約や研修、医療システムが原因で、患者と体重に関する話し合いをしないことが多いという。また、オンラインプログラムはプライマリケアにおいて効果的で、費用対効果が優れる可能性が示されているが、日常診療での有効性や拡張性は不明とされる。

低リスク前立腺がん、監視療法の転帰に人種は影響するか/JAMA

 監視療法を受けた低リスク前立腺がん患者について、アフリカ系米国人は非ヒスパニック系白人と比較して、病勢進行および根治的治療の10年累積発生率が統計学的に有意に増加したが、転移または前立腺がん特異的死亡率は増加しなかった。米国・VHA San Diego Health Care SystemのRishi Deka氏らが、後ろ向きコホート研究(追跡調査期間中央値7.6年)で明らかにした。これまでの研究で、低リスク前立腺がんのアフリカ系米国人は、非ヒスパニック系白人に比べ進行性の疾患が隠れている可能性が懸念されるとして、監視療法が安全な選択肢であるかは不明であった。JAMA誌2020年11月3日号掲載の報告。

ホルモン補充療法の乳がんリスク、治療法と期間で異なる/BMJ

 英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らの同国コホート内症例対照研究で、ホルモン補充療法(HRT)の乳がんリスクのレベルは、HRTの種類により異なり、併用療法および長期投与で高いことが示された。ただし、メタ解析と比較し、長期のHRTに関連した乳がんのリスク増加は小さく、治療の中止でリスクは顕著に低下することも示されている。先行研究では、長期的なHRTは乳がんのリスク増加と関連しており、治療中止後はリスク増加が減るものの数年間はリスクが高いままであることが、また最近の大規模メタ解析ではHRTに関連した乳がんリスクが予想よりも高いことが示されていた。BMJ誌2020年10月28日号掲載の報告。

医療従事者とその家族のCOVID-19入院リスク/BMJ

 スコットランドにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者のうち、6分の1は医療従事者とその家族であることが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のAnoop S V Shah氏らによる国内コホート研究で明らかにされた。また、全体としては入院絶対リスクは低いが、患者との対面サービスを担う(対面職)医療従事者の入院リスクが非対面職医療従事者と比べて3倍、その家族についても2倍高かったという。医療従事者のCOVID-19感染リスクの研究は行われているが、規模が小さく、単一施設をベースとした断面調査で、バイアスの影響を非常に受けやすい手法によるもの、また医師と看護師に限定されたものであり、医療従事者の家族についても評価した研究は不足していたという。BMJ誌2020年10月28日号掲載の報告。

医師への謝礼金額がICD/CRT-Dデバイスの選択に大いに影響/JAMA

 植込み型除細動器(ICD)や両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の初回埋め込み手術の94%が、デバイスメーカーから謝礼金を受けている医師によって行われており、さらに、採用されているのはメーカーから執刀医への謝礼金額が最も高いものである可能性が明らかになったという。米国・Yale-New Haven HospitalのAmarnath R. Annapureddy氏らが、3年間で14万5,900例の患者を対象に行った横断調査の結果を報告した。米国では議会法によって2010年に、医薬品等のメーカーから医師への謝礼金については透明性を確保するため報告開示が義務付けられ(Physician Payments Sunshine Act)、ホームページ「The Facts About Open Payments Data」で詳細情報を入手することができるようになっている。これまでの研究で、医師への謝礼がジェネリック医薬品よりも先発医薬品を処方する可能性を高めることが報告されていたが、デバイスを巡っての研究は行われていなかった。JAMA誌2020年11月3日号掲載の報告。

持続性AFへのアブレーション+マーシャル静脈内エタノール注入併用が有効/JAMA

 持続性心房細動(AF)の患者の治療において、カテーテルアブレーションにマーシャル静脈内エタノール注入を併用すると、カテーテルアブレーション単独と比較して、6ヵ月および12ヵ月後の時点の双方でAFまたは心房頻拍が残存しない可能性が高まることが、米国・Houston Methodist DeBakey Heart and Vascular CenterのMiguel Valderrabano氏らが実施した「VENUS試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年10月27日号で報告された。持続性AFに対するカテーテルアブレーションの成功には限界がある。肺静脈隔離を拡大した手技による戦略は、一貫性のある改善効果を示せていない。マーシャル静脈には、逆行性エタノール注入によってアブレーションが可能となる神経支配やAFのトリガーが含まれるという。

持続的腎代替療法時の抗凝固療法、クエン酸 vs.ヘパリン/JAMA

 急性腎障害を伴う重症患者への持続的腎代替療法施行時の抗凝固療法において、局所クエン酸は全身ヘパリンと比較して、透析フィルター寿命が長く、出血性合併症は少ないが、新規感染症が多いことが、ドイツ・ミュンスター大学病院のAlexander Zarbock氏らが行った「RICH試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年10月27日号で報告された。欧米の現行ガイドラインでは、重症患者への持続的腎代替療法時の抗凝固療法では局所クエン酸が推奨されているが、この推奨のエビデンスとなる臨床試験やメタ解析は少ないという。

臨床試験の利益相反、研究者の理解に大きなばらつき/BMJ

 臨床試験に関連する利益相反とは何か、どのような場合にそれを報告すべきかについての研究者の理解には、かなりのばらつきがあり、非営利的な金銭的利益相反(政治的な意図を持つ政府系医療機関による試験への資金提供など)の重大さを認識しつつも、その報告と管理は困難と考える研究者もいることが、デンマーク・オーデンセ大学病院のLasse Ostengaard氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年10月27日号で報告された。営利組織からの資金提供と、著者の金銭的な利益相反は、統計学的に有意な結果や好意的な結論の報告の頻度が高いことと関連する。また、利益相反は、試験のデザインや運営、解析、報告の仕方に影響を及ぼす可能性があるとの懸念が広まっている。利益相反が、試験の特定のデザインの特徴やバイアス、問題を最小化するための管理戦略に及ぼす適切でない影響に関連するメカニズムは、十分には理解されていないという。

PCI後チカグレロルvs.クロピドグレル、NACEリスク差は?/JAMA

 日常臨床で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた急性冠症候群(ACS)患者の抗血小板療法において、チカグレロルとクロピドグレルには、1年後の純臨床有害事象(NACE、虚血性イベント+出血性イベント)のリスクに差はないことが、韓国・亜洲大学校のSeng Chan You氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年10月27日号で報告された。欧米の現行のガイドラインは、主に単一の大規模な無作為化臨床試験(PLATO試験)に基づき、ACS患者への優先的なP2Y12阻害薬としてチカグレロルを推奨しているが、PLATO試験では北米やアジアの患者におけるチカグレロルの有益性は明確ではなく、薬剤誘発性の呼吸困難や出血イベントなどの問題が残されている。また、最近の観察研究の結果からは、日常臨床においてチカグレロルはクロピドグレルに比べ良好な転帰をもたらすとの見解に疑問が投げ掛けられているという。

COVID-19に対する中和抗体LY-CoV555の有効性は?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の外来患者へのSARS-CoV-2の中和抗体LY-CoV555投与について、2,800mg用量ではウイルス量を減少することが認められたが、他の用量では有効性が確認されなかった。米国・シダーズ・サイナイ医療センターのPeter Chen氏らが、進行中の第II相試験「Blocking Viral Attachment and Cell Entry with SARS-CoV-2 Neutralizing Antibodies trial:BLAZE-1試験」で事前に計画された中間解析(2020年9月5日現在)の結果を報告した。COVID-19は、多くの患者では軽症であるが、重症化し生命を脅かす可能性もある。ウイルス中和モノクローナル抗体は、ウイルス量を減らし、症状を改善し、入院を防ぐと予測されている。NEJM誌オンライン版2020年10月28日号掲載の報告。

内在性制御性T細胞、腎移植後の免疫抑制療法の減少を可能に/BMJ

 内在性制御性T細胞(nTreg)の自家移植は、腎移植を受け免疫抑制された患者においても安全で実施可能である。ドイツ・シャリテ大学のAndy Roemhild氏らが、単施設における医師主導型nTreg用量漸増第I/IIa相臨床試験「ONEnTreg13試験」の結果を報告した。前臨床研究では、nTregが固形臓器移植後または移植片対宿主病(GVHD)後の移植片拒絶反応を遅延または防止し、in vivoにおいて養子移入後、生物学的薬剤や先進治療製剤による自己免疫や好ましくない免疫原性を制御する力があることが示されている。しかし、nTregによる養子細胞治療を広く実施するには、容易で堅実な製造方法、過剰な免疫抑制のリスク、標準治療薬との相互作用、安全性と有効性をモニタリングするバイオマーカーなど、実装に関連するさまざまな課題があった。BMJ誌2020年10月21日号掲載の報告。