腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:134

前立腺がんスクリーニング、MRI標的生検で過剰診断が低下/NEJM

 MRIで前立腺がんが示唆された男性に対するMRI標的生検は、標準生検に対して、臨床的に意義のある前立腺がんの検出に関して非劣性であることが、住民ベースの無作為化非劣性試験で明らかとなった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のMartin Eklund氏らが結果を報告した。前立腺がんスクリーニングでは、過剰診断率の高さが大きな障壁となっている。MRI標的生検はこの課題を解決できる可能性が示唆されていたが、前立腺がんスクリーニングにおけるMRI標的生検の意義は不明であった。NEJM誌オンライン版2021年7月9日号掲載の報告。

アベマシクリブ関連ILD、実臨床での発症率と好発時期は?/日本乳癌学会

 日本人転移・再発乳がん患者におけるアベマシクリブ関連薬剤性肺障害(ILD)の実臨床での発症率と好発時期について、国内77施設での調査結果が報告された。日本人におけるアベマシクリブ関連ILDの発症率やリスク因子、臨床病理学的特徴を明らかにする目的で進行中のネステッドケースコントロール研究(NOSIDE)の中間報告結果を、昭和大学乳腺外科・先端がん治療研究所の吉沢 あゆは氏が第29回日本乳癌学会学術総会で発表した。

非浸潤性乳がんの局所再発におけるTILの影響~メタ解析

 非浸潤性乳がんのバイオマーカーとしての腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の役割を検討するため、ベルギー・Universite Libre de BruxellesのRafael Caparica氏らは、非浸潤性乳がん患者の予後へのTILレベルの影響についてメタ解析で評価した。その結果、高TILの患者は、局所再発(浸潤性または非浸潤性)が起こりやすいが、非浸潤性乳がんでは浸潤性局所再発の可能性は低いことが示された。Breast誌オンライン版2021年7月9日号に掲載。  著者らは、系統的文献検索により、非浸潤性乳がん患者のTILレベル(高vs.低)による局所再発を評価している研究を特定し、局所再発(浸潤性および非浸潤性)ごとのサブグループ解析を実施した。副次評価項目は、TILレベルと非浸潤性乳がんのサブタイプ、年齢、グレード、壊死との関連だった。各研究からオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を抜き出し、ランダム効果モデルを用いてプール解析を実施した。

HBOCにおけるリスク低減乳房切除術、実施割合の高い女性は?/日本乳癌学会

 わが国では2020年4月、乳がんもしくは卵巣がんの既往歴のある遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)女性に対するリスク低減乳房切除術(RRM)とリスク低減卵巣卵管摘出術(RRSO)が保険適用された。今回、保険適用となる前のJOHBOCデータを用いて、HBOC女性のRRM実施状況を分析した結果について、国立病院機構四国がんセンターの大住 省三氏が第29回日本乳癌学会学術総会で報告した。子供がいる女性、乳房のサーベイランスを実施した女性、RRSOを実施した女性では、RRM実施割合が高かったという。

頭頸部扁平上皮がん1次治療、ニボルマブ+イピリムマブの第III相試験の結果(CheckMate-651)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年7月16日、プラチナ療法に適格な再発または転移のある頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)患者の1次治療としてニボルマブ(製品名:オプジーボ)とイピリムマブ(製品名:ヤーボイ)の併用療法をEXTREMEレジメン(セツキシマブ+シスプラチン/カルボプラチン+フルオロウラシルと)と比較した第III相CheckMate-651試験の最新情報を発表した。  オプジーボとヤーボイの併用療法は、のPD-L1陽性(CPS20以上)患者における全生存期間で明確かつ肯定的な改善傾向を示したが、主要評価項目は達成できなかった。

PTEN欠損mCRPC、ipatasertib+アビラテロンでPFS延長/Lancet

 未治療で無症候性/軽度症候性の転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)へのipatasertib+アビラテロン併用投与は、アビラテロン単独投与に比べ、PTEN欠損を有する患者において無増悪生存(PFS)期間を有意に延長したことが示された。ただしITT集団における有意差は認められなかった。安全性プロファイルは既知のものだったという。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のChristopher Sweeney氏らが、1,100例超を対象に行った第III相多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果を報告した。mCRPCでは、PI3K/AKTおよびアンドロゲン受容体経路の調節不全が認められ、PTEN欠損を有する腫瘍ではAKTシグナル伝達の過剰な活性が知られている。こうしたことから研究グループは、AKT阻害薬ipatasertib+アビラテロンによる二重の経路阻害はアビラテロン単独よりも効果が大きい可能性があるとして検討を行った。Lancet誌2021年7月10日号掲載の報告。

NSCLCの4種のドライバー変異を判定するリアルタイムPCRが国内承認/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2021年6月25日、複数の抗悪性腫瘍薬のコンパニオン診断薬として「AmoyDx 肺癌マルチ遺伝子 PCR パネル」の国内製造販売承認を取得したと発表。  同製品は、非小細胞肺がんの4種のドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF)を網羅するリアルタイムPCR法を原理としたコンパニオン診断薬である。  EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF V600E変異を1回の測定で同時に検出し、9種の抗悪性腫瘍薬の適応判定の補助が可能。  リアルタイムPCR法を用いた複数遺伝子を網羅するコンパニオン診断薬が承認されたのは本邦初であり、その感度の高さや短いターンアラウンドタイム(TAT)、手軽さなどにより、早期治療戦略の立案やNSCLC患者への治療機会拡大に貢献することが期待されている。

ペミガチニブ、FGFR2変異胆道がんに期待/インサイト

 インサイト・バイオサイエンンシズ・ジャパンは2021年7月15日、「胆道がんにおけるがんゲノム診断に基づく分子標的治療薬がもたらす新しい未来」と題したWebメディアセミナーを開催。日本胆道学会理事長の東北大学大学院 消化器外科学分野教授 海野倫明氏らが、胆道がん治療と本年発売されたFGFR2阻害薬ペミガチニブ(製品名:ペマジール)について紹介した。  胆道がんには3つの病型があるが、いずれも予後不良である。なかでも肝内胆管がんは、黄疸などの症状が現れにくく、初回診断時すでに進行した病期であることが多い。そのため、生存期間中央値13.5ヵ月と3病態のなかで、もっとも予後不良である。肝内胆管がんの罹患数は(肝臓がんの一部として集計される)、肝臓がんの6%とされる。

HER2低発現乳がんの臨床的特徴/Lancet Oncol

 抗HER2抗体薬物複合体の開発により、HER2低発現の患者を含む乳がん患者に新たな治療オプションがもたらされている。この新たなサブタイプの臨床的・分子生物学的特徴は、HER2陰性乳がん患者とどのように異なるのか。ドイツ・University Hospital of Giessen and MarburgのCarsten Denkert氏らが、術前化学療法への反応や予後を含む、HER2低発現症例の特徴をHER2陰性乳がん症例と比較し、Lancet Oncology誌オンライン版2021年7月9日号に報告した。