腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:136

「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)ガイドライン」刊行、ポイントは?

 遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)の診療に関しては、2017年に「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療の手引き」が刊行されている。HBOC既発症者へのリスク低減手術の保険収載や、膵がん・前立腺がんへのPARP阻害薬の承認など、遺伝子検査に基づく治療・マネジメントがいっそう求められる中、Minds「診療ガイドライン作成マニュアル2017」を遵守する形で、今回新たにガイドラインがまとめられた。2021年8月7日、webセミナー「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療ガイドライン 2021年版の解説(主催:厚生労働科学研究費補助金[がん対策推進総合研究事業]「ゲノム情報を活用した遺伝性腫瘍の先制的医療提供体制の整備に関する研究」班)が開催され、各領域のポイントが解説された。

ペムブロリズマブ、MSI-H大腸がんとTN乳がんに適応拡大/MSD

 MSDは2021年8月25日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん(大腸がん)およびPD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がんに関する国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを発表した。  今回の承認は、化学療法歴のない治癒切除不能な進行・再発のミスマッチ修復(MMR)欠損またはMSI-Highを有する結腸・直腸がん患者307例(日本人22例を含む)を対象とする国際共同第III相試験KEYNOTE-177試験のデータ等に基づく。 同試験において、ペムブロリズマブ群は化学療法群と比較して、主要評価項目の一つである無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した(HR:0.60、95%CI:0.45~0.80)。安全性については、安全性解析対象例153例中、ペムブロリズマブ群で高頻度(10%以上)に認められた有害事象は、下痢(24.8%)、疲労(20.9%)、そう痒症(13.7%)、悪心(12.4%)、AST増加(11.1%)、発疹(11.1%)、関節痛(10.5%)および甲状腺機能低下症(10.5%)であった。

高リスク尿路上皮がんのニボルマブ術後補助療法をFDAが承認/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年8月20日、米国食品医薬品局(FDA)が、術前補助化学療法やリンパ節転移の有無、PD-L1の発現レベルにかかわらず、根治切除後の再発リスクが高い尿路上皮がん(UC)患者の術後補助療法として、ニボルマブを承認したと発表。  この承認は、ニボルマブとプラセボを比較した第III相CheckMate-274試験に基づいている。  同試験において、ニボルマブ群は、プラセボ群と比較して、無病生存期間(DFS)中央値を延長した(ニボルマブ群20.8ヵ月 vs.プラセボ群10.8ヵ月、ハザード比:0.70、95% CI:0.57~0.86、p=0.0008)。

teclistamabが再発/難治性多発性骨髄腫に有望/Lancet

 再発または難治性多発性骨髄腫の患者の治療において、B細胞成熟抗原(BCMA)×CD3二重特異性T細胞誘導抗体teclistamabは、持続的で深い奏効をもたらし、忍容性も良好であることが、米国・Levine Cancer Institute/Atrium HealthのSaad Z. Usmani氏らが実施した「MajesTEC-1試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年8月10日号に掲載された。  本研究は、再発/難治性多発性骨髄腫の患者におけるteclistamabの安全性、忍容性および暫定的な有効性の評価を目的とする非盲検単群第I相試験であり、2017年6月~2021年3月の期間に、5ヵ国(米国、スペイン、フランス、オランダ、スウェーデン)の12施設で患者のスクリーニングが行われた(Janssen Research & Developmentの助成による)。

HER2陽性早期乳がんへのトラスツズマブの上乗せ効果~メタ解析/Lancet Oncol

 HER2陽性早期乳がんに対する補助化学療法へのトラスツズマブ上乗せによる再発率と死亡率への長期的ベネフィットについて、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative group(EBCTCG)が7つの無作為化試験のメタ解析により検討した。その結果、トラスツズマブ上乗せにより、患者および腫瘍の特徴にかかわらず、乳がん再発率を34%、乳がん死亡率を33%減少させたことが示唆された。Lancet Oncology誌2021年8月号に掲載。

免疫不全者へのブースター接種、推奨事由と対象者/CDC

 米国・疾病対策センター(CDC)は免疫不全者を対象としたCOVID-19ワクチンの追加接種(ブースター接種)の承認を受け、8月16日付でサイトの情報を更新した。主な内容は以下のとおり。 ・中等度から重度の免疫不全状態にある人はCOVID-19に感染しやすく、重症化、長期化するリスクも高いとされる。これらの人にはワクチンの追加接種が有効であり、接種を推奨する。 ・mRNAワクチン(ファイザー製およびモデルナ製)の2回目の接種から少なくとも28日経ってから追加接種を行うことを推奨する。 ・現時点では、他の集団に対する追加接種は推奨しない。

悪性胸膜中皮腫に対するmiRNA製剤を開発/広島大学

 広島大学大学院医系科学研究科・細胞分子生物学研究室の田原 栄俊氏、 同大学原爆放射線医科学研究所・腫瘍外科の岡田 守人氏らの研究グループは、スリーディマトリックスと共同で、悪性胸膜中皮腫に対して顕著な治療効果の可能性がある核酸医薬の抗がん剤の開発に成功した。  共同開発した抗がん剤「MIRX002」は、天然型マイクロRNAを薬効成分とするもので、 岡田氏による悪性胸膜中皮腫を対象とする医師主導治験(第I相試験)の治験届がPMDAに受理され、治験開始準備が整った。

肺がん、新PD-1阻害薬cemiplimab+化学療法の第III相試験(EMPOWER-Lung3)が有効中止/Sanofi

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する新規PD-1阻害薬cemiplimabとプラチナダブレット化学療法の併用の有用性を検討した第III相EMPOWER-Lung3試験は、主要評価項目である全生存期間(OS)を達成し、中間解析で有効中止された。  EMPOWER-Lung3試験は、未治療のStage IVまたはStage IIIB/ CのNSCLCにおいて、PD-L1発現および組織型(扁平上皮および非扁平上皮)に関係なく、cemiplimab+プラチナダブレット化学療法とプラチナダブレット化学療法単独を比較した無作為化多施設第III相試験。

AmoyDx 肺癌マルチ遺伝子PCRパネル、METexon14スキッピング肺がんのコンパニオン診断にも承認/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2021年8月12日、体外診断用医薬品「AmoyDx 肺癌マルチ遺伝子PCR パネル」に関し、MET遺伝子エクソン14 スキッピング変異陽性に適応する薬剤の判定補助の承認を取得したと発表。  これにより、メルクバイオファーマのテポチニブ(製品名:テプミトコ)の適応判定の補助に本品の使用が可能となる。  今回の承認により、同製品はNSCLCの5種のドライバー遺伝子に対応する本邦初のコンパニオン診断薬となった。

EGFR EXON20変異の非小細胞肺がんに対するEGFR-MET二重特異性抗体amivantamabの評価(CHRYSALIS)/JCO

 EGFR exon20挿入変異(Exon20ins)を伴う非小細胞肺がん(NSCLC)は、従来のチロシンキナーゼ阻害薬に対して耐性を示す。一方、amivantamabはEGFRとMETの双方の受容体の細胞外ドメインに結合し、TKI結合部位での耐性を回避するEGFR-MET二重特異性抗体である。  韓国のKeunchil Park氏らは、化学療法進行後のEGFR Exon20insを有するNSCLC患者に対する第I相試験初回解析において、amivantamab単剤の有効性と忍容性を報告した。