腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:163

未治療Ph陽性ALLへのダサチニブ+ブリナツモマブ、第II相試験結果/NEJM

 フィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)成人患者の1次治療において、分子標的・免疫療法戦略に基づくダサチニブ+ブリナツモマブによる、化学療法薬を用いない寛解導入・地固め療法は、分子遺伝学的奏効の達成割合および生存率が良好で、Grade3以上の毒性は少ないことが、イタリア・Sapienza University of RomeのRobin Foa氏らGIMEMA共同研究グループが実施した「GIMEMA LAL2116 D-ALBA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年10月22日号に掲載された。Ph陽性ALL患者の予後は、ABL特異的チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の登場によって著明に改善し、全身化学療法併用の有無を問わず、ほとんどの患者で血液学的完全奏効が得られている。ダサチニブは複数のチロシンキナーゼを標的とするTKIであり、ブリナツモマブはB細胞のCD19とT細胞のCD3に二重特異性を有する遺伝子組み換えモノクローナル抗体である。

新薬の迅速審査は慎重かつ中立に指定すべきだろう(解説:折笠秀樹氏)-1310

新薬の迅速審査に関する報告です。米国FDAには4種類の迅速審査プログラムがあり、その制度で承認された新薬で治療価値の高いものは50%ありました。そうでない新薬で治療価値の高いものは10%でした。欧州EMAには2種類のプログラムがありますが、傾向は同じようでした。迅速審査に指定されるには、ピカ新や希少疾患など、最初から評判の高いものが多いはずです。評判が高かったから迅速審査に指定されたのは当然と思います。迅速審査に指定されたのに、治療価値の高くないものが50%あるほうが不思議です。承認を急ぐのには、政治などさまざまな圧力があったのでしょうか。

FLT3-ITD変異陽性AML、同種移植後のソラフェニブ維持療法が有用/Lancet Oncol

 FLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者における、同種造血幹細胞移植後のソラフェニブ維持療法について中国で行われた第III相試験の結果が示された。これまでに、移植後ソラフェニブ維持療法が再発を減少することは、後ろ向き研究で示されている。今回、中国・南方医科大学のLi Xuan氏らは、中国国内7施設にて無作為化非盲検試験を行い、移植後のソラフェニブ維持療法は再発を減少させ、忍容性は良好であることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「この戦略は、FLT3-ITD変異陽性AML患者の適切な治療選択肢となりうるだろう」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年9月号掲載の報告。

NSCLCに対するペムブロリズマブ・化学療法併用の最長追跡データ(KEYNOTE-021)/MSD

 Merck社は、2020年10月16日、進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者においてペムブロリズマブと化学療法の併用療法を評価したKEYNOTE-021試験(コホートG)の長期追跡の結果、PD−L1の発現にかかわらず、ペムブロリズマブと化学療法の併用療法による1次治は、化学療法単独と比較して、客観的奏効率の改善、無増悪生存期間の改善が認められたと発表。この試験結果は、北米肺癌学会議(NACLC)において報告された(Featured Poster #OFP01.02)NSCLC患者の1次治療における抗PD-1/L1抗体と化学療法の併用療法を評価した最長のフォローアップデータとなる。

ER+HER-早期乳がんの長期予後予測、治療前18F-FDG PET/CTのSUVmaxが有用/日本癌治療学会

 乳がんで最も頻度の高いER陽性HER陰性早期乳がんは、10年以上の長期にわたって再発を来すことが知られており、近年は遺伝子検査などによる予後予測が行われている。今回、東京女子医科大学の塚田 弘子氏らによる研究で、治療前18F-FDG PET/CT (以下、PET/CT)での原発巣SUVmax値(maximum standardized uptake values)およびリンパ節転移個数が長期無再発生存期間(RFS)の予測因子であり、原発巣SUVmax値は長期全生存期間(OS)の単独予測因子であることが示唆された。第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)で報告された。  PET/CTは乳がん診療において2~5年程度の短期予後予測には有用との報告があるが、10年以上のRFSやOSとの相関は示されていない。本研究は、2007年1月~2010年5月に東京女子医科大学病院で治療が開始された原発性乳がんのうちcStage II以下かつER陽性HER陰性浸潤性乳管がん340例を対象とし、患者/腫瘍背景、治療前PET/CTのFDG集積がRFSおよびOSに与える影響をCox回帰比例ハザードモデルで評価した。

日本のAMLの遺伝子プロファイリング/日本血液学会

 包括的遺伝子解析プロファイル検査FoundationOne Heme(F1H)を用い、急性骨髄性白血病(AML)における癌関連ゲノム変化の頻度と特徴の評価を目的とした多施設共同研究HM-SCREEN-Japan 01研究の中間解析の結果が、国立がん研究センター東病院の宮本 憲一氏により発表された。  解析対象は標準治療不適の新規診断AML35例、再発/難治AML患者56例、主要評価項目はF1Hを用いたAMLの遺伝子異常の頻度である。

非G-CSF小分子plinabulinの好中球減少症予防効果/JAMA Oncol

 抗がん作用と好中球減少症予防作用を併せ持つ新しい非顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)小分子plinabulinについて、第II相試験の結果が明らかにされた。米国・スタンフォードがん研究所のDouglas W. Blayney氏らが、ドセタキセルの好中球減少症の予防効果を、非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に行った無作為化非盲検試験で、plinabulinはペグフィルグラスチムと同等の好中球減少症予防効果が得られたという。JAMA Oncology誌オンライン版2020年9月24日号掲載の報告。  試験は、米国、中国、ロシアおよびウクライナのがん治療センター19施設で行われた。試験期間は2017年4月~2018年3月で、2019年8月~2020年2月に解析を行った。

迅速承認薬の治療的価値は本物か?/BMJ

 過去10年で米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)が承認した新薬について、他の5つの独立組織(4ヵ国[カナダ、フランス、ドイツ、イタリア]の保健当局とPrescrire誌を発行する国際非営利組織)のうち少なくとも1組織によって「治療的価値が高い」と評価されたのは3分の1に満たないことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバード大学医学大学院のThomas J. Hwang氏らによる後ろ向きコホート研究の結果で明らかにされた。FDAおよびEMAによる新薬承認は、医薬品開発・承認の促進プログラムが一因し、これまでになく多数かつ迅速になっているという。今回の検討では、FDAおよびEMAによって治療的価値が高いとされた新薬は、非迅速開発薬よりも迅速開発薬で有意に多く、FDAで承認されたがEMAでは承認されなかった迅速承認薬の大半は治療的価値が低いと評価されていることも示された。BMJ誌2020年10月7日号掲載の報告。

腰椎穿刺の脊髄血腫リスク、血液凝固障害との関連は?/JAMA

 腰椎穿刺には脊髄血腫のリスクがあり、とくに血液凝固障害を有する患者でその懸念が高まっているが、発生頻度は確立されていないという。デンマーク・Aalborg大学病院のJacob Bodilsen氏らは、腰椎穿刺と脊髄血腫の関連について検討し、脊髄血腫の発生率は血液凝固障害のない患者で0.20%、血液凝固障害を有する患者では0.23%との結果を得た。研究の詳細は、JAMA誌2020年10月13日号で報告された。腰椎穿刺は、中枢神経系の感染症や神経学的疾患、特定のがんの診断と治療において重要な手技であるが、血液凝固障害を有する患者で脊髄血腫のリスクを強く懸念する医師が、その施行を躊躇する可能性が危惧されている。

がん患者の禁煙、継続カウンセリングと補助薬提供が有効/JAMA

 がんの診断を受けた喫煙者の禁煙治療において、継続的な禁煙カウンセリングと禁煙補助薬の無料提供による強化治療は、4週間の短期カウンセリングと禁煙補助薬に関する助言を行う標準治療と比較して、6ヵ月後の禁煙の達成割合が高いことが、米国・マサチューセッツ総合病院のElyse R. Park氏らが実施した「Smokefree Support研究」で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年10月13日号に掲載された。がん患者では、喫煙の継続が有害なアウトカムを引き起こす可能性があるが、米国の多くのがんセンターは、エビデンスに基づく禁煙治療をルーチンの治療に十分に導入できていないという。