腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:57

転移のある膵がん1次治療、NALIRIFOXがOS・PFS改善(NAPOLI-3)/Lancet

 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のZev A. Wainberg氏らは、欧州、北米、南米、アジア、オーストラリアの18ヵ国187施設で実施した無作為化非盲検第III相試験「NAPOLI 3試験」の結果、転移のある膵管腺がん(mPDAC)の1次治療としてNALIRIFOX(ナノリポソーム型イリノテカン+フルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン)はnab-パクリタキセル+ゲムシタビンと比較し、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことを報告した。膵管腺がんは依然として、生命予後が最も不良の悪性腫瘍の1つであり、治療選択肢はほとんどないとされている。Lancet誌オンライン版2023年9月11日号掲載の報告。

がん遺伝子パネル検査、もっと多く、もっと早く/イルミナ

 イルミナは2023年8月31日に、都内でプレスセミナー「がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査の現状と課題」を開催した。演者からは、がん遺伝子パネル検査(包括的がんゲノムプロファイリング[CGP]検査)のさらなる活用と、早期適用についての要望が発せられた。  同社メディカルアフェアーズ本部長である猪又 兵衛氏は、2023年5月に同社が一般成人1,000人を対象に行った「がんゲノム医療に対する意識調査」の結果を紹介した。

monarchEの適格基準でも検討、POTENT試験の探索的解析結果

 第III相POTENT試験では、エストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性乳がんにおける術後ホルモン療法へのS-1の上乗せ効果が示された。今回、同試験のリスク分類別の探索的解析結果を京都大学の高田 正泰氏らがBreast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2023年9月7日号に報告した。  POTENT試験の対象は、StageI~IIIBのER陽性HER2陰性乳がん患者。S-1併用群(S-1[1日2回経口、3週ごと]+標準的ホルモン療法)と標準的ホルモン療法群に無作為に割り付けられた。

日本におけるSNS上のがん情報、4割超が誤情報

 SNSの普及により、患者はがん情報に容易にアクセスできるようになった。しかし、患者の意思決定に悪影響を与えかねない誤情報や有害情報も大量に発信されている。日本のSNSにおけるがん情報はどの程度信頼できるものなのか。これについて調べた名古屋市立大学病院 乳腺外科の呉山 菜梨氏らによる研究結果がJMIR formative research誌オンライン版2023年9月6日号に掲載された。  研究者らは、Twitter(現:X)上で2022年8~9月に投稿された、日本語の「がん」という言葉を含むツイートを抽出した。

慢性便秘症ガイドライン改訂、非専門医向けに診療フローを明確に

 慢性便秘症は、2010年代にルビプロストン(商品名:アミティーザ)、リナクロチド(同:リンゼス)、エロビキシバット(同:グーフィス)、ポリエチレングリコール(PEG)製剤(同:モビコール)、ラクツロース(同:ラグノス)といった新たな治療薬が開発されている。このように、治療の進歩とエビデンスの蓄積が進む慢性便秘症について、約6年ぶりにガイドラインが改訂され、『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』が2023年7月に発刊された。そこで、本ガイドラインの作成委員長を務める伊原 栄吉氏(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学)に改訂のポイントを聞いた。

9月から保険収載、オンコタイプDXを乳がん治療でどう活用するか

 「オンコタイプDX 乳がん再発スコアプログラム」が、9月1日付で保険収載された。これを受けて9月6日、エグザクトサイエンスは「患者さん一人ひとりが納得のいく治療法を~シェアードディシジョンメイキングの時代へ~」と題したプレスセミナーを開催。坂東 裕子氏(筑波大学医学医療系 乳腺内分泌外科)らが登壇し、乳がん治療におけるオンコタイプDXの位置付けやシェアードディシジョンメイキングの重要性について解説・議論が行われた。

HER2変異NSCLC承認のT-DXd、第II相試験結果(DESTINY-Lung02)/WCLC2023

 第一三共は2023年8月23日、抗HER2抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が、本邦において「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能又は効果に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表している。本承認は国際共同第II相臨床試験(DESTINY-Lung02)の結果に基づくものであるが、その詳細が世界肺癌学会(WCLC2023)において、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPasi A. Janne氏らにより発表された。なお、本発表の結果は、2023年9月11日にJournal of Clinical Oncology誌オンライン版へ同時掲載された。

オンコマイン Dx、非小細胞肺がんHER2遺伝子変異に対するコンパニオン診断として保険適用/サーモフィッシャー

 サーモフィッシャーは2023年8月29日、次世代シーケンシング(NGS)技術を用いたコンパニオン診断システム「オンコマイン Dx Target Test マルチ CDxシステム」に関し、非小細胞肺がんを対象としたHER2遺伝子変異に対するトラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ)の治療適応判定の補助に対して、保険適用されたことを発表した。

EGFR変異陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法 vs.オシメルチニブ(FLAURA2)/WCLC2023

 変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、オシメルチニブと化学療法の併用は、オシメルチニブ単独と比較して、統計学的に有意な無増悪生存期間(PFS)の延長を示した。  世界肺癌学会(WCLC2023)で、米国・ダナ・ファーバーがん研究所の Pasi A. Janne氏らが発表した、進行期NSCLCにおけるオシメルチニブと化学療法の併用を評価する第III相FLAURA2試験の結果である。

なぜ日本は遅れをとっているのか?小児抗がん剤ドラッグラグの現状

 2023年3月に閣議決定・取り組みが開始された「第4期がん対策推進基本計画」では、新規治療薬などへのアクセス改善に向け既存制度の見直しを含めた対応策の検討を行うことが明記され、厚生労働省は関連の研究班の発足やPMDAへの「小児・希少疾病用医薬品等薬事相談センター」の設置などに動き出している。背景には、ドラッグラグにとどまらずドラッグ“ロス”にも陥りかねない小児がん治療における現状があるという。国立成育医療研究センターの富澤 大輔氏に話を聞いた。