腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:55

StageIII NSCLC、周術期ニボルマブ上乗せで生存改善(NADIM II)/NEJM

 切除可能なStageIIIA/IIIBの非小細胞肺がん(NSCLC)における術前補助療法について、ニボルマブ+化学療法は化学療法のみの場合と比べ、病理学的完全奏効(CR)の割合は有意に高率(相対リスク5.34)で、生存延長にも結び付くことが示された。スペイン・Puerta de Hierro-Majadahonda大学病院のMariano Provencio氏らが、非盲検第II相無作為化比較試験の結果を報告した。NSCLC患者の約20%がStageIIIを占める。これら患者の最も至適な治療についてコンセンサスが得られていなかった。NEJM誌オンライン版2023年6月28日号掲載の報告。

出産から5年未満の乳がん、術前化療の効果乏しく再発リスク増/日本乳癌学会

 閉経前乳がん患者を対象に、最終出産からの経過年数と術前化学療法の感受性を検討した結果、出産から5年未満に診断された患者では術前化学療法の感受性が乏しく、再発率が高かったことを、岡山大学の突沖 貴宏氏が第31回日本乳癌学会学術総会で発表した。  妊娠・出産から数年以内に乳がんと診断された妊娠関連乳がんの特徴として、腫瘍径が大きい、リンパ節転移やリンパ管侵襲が多い、HR-の割合が高い、病勢が進行した症例が多い、早期例でも遠隔再発リスクが高い、などが報告されている。しかし、妊娠関連乳がんにおける薬物療法の感受性を検討したデータは乏しい。そこで研究グループは、それらの再発率が高い理由として、最終出産からの経過年数が少ない症例は化学療法の効果が乏しいという仮説を立て、最終出産からの経過年数と術前化学療法の感受性の検討を行った。

イノツズマブ+ブリナツモマブ併用mini-Hyper-CVD療法で再発ALLの生存率改善

 mini-Hyper-CVD療法とイノツズマブの併用は、再発難治性急性リンパ性白血病(ALL)患者において有効性を示し、ブリナツモマブ追加後はさらに生存率が向上したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのHagop Kantarjian氏らによる研究で明らかになった。Journal of Hematology & Oncology誌2023年5月2日号の報告。  成人ALL治療は近年、大きくその様相が変化している。CD19表現抗体を標的としたブリナツモマブやCD22を標的とした抗体薬物複合体のイノツズマブ オゾガマイシンや各種CAR-T細胞療法など、新しい治療法選択肢が登場したためである。  再発難治性ALLに対するブリナツモマブとイノツズマブ単剤の有効性は、すでに確認されているとおりである。今回は、イノツズマブを用いた低用量のmini-Hyper-CVD療法に、ブリナツモマブを追加することで、化学療法による負担を減らすことができないかを検討した。

医療裁判にも影響か?肝機能の指標がALT>30に

 肝機能検査として血液検査で汎用されるALT値。今後、これが30を超えていたら、プライマリ・ケア医やかかりつけ医による肝疾患リスクの確認が必要となる―。6月に開催された第59回日本肝臓学会総会にて、ALT>30を指標とする『奈良宣言』が公表された。これは、かかりつけ医と消化器内科医が適切なタイミングで診療連携することで患者の肝疾患の早期発見・早期治療につなげることを目的に、さまざまなエビデンスに基づいて設定された。記者会見では吉治 仁志氏(奈良県立医科大学消化器内科学 教授/日本肝臓学会理事)らが本宣言の背景や目的を説明しており、今回ケアネットでは日本肝臓学会理事で本宣言での特別広報委員を務める江口 有一郎氏(江口病院 ロコメディカル総合研究所 所長)に独自取材を行った。

進行肺がんに対する免疫療法は2年で十分の可能性

 進行肺がん患者の予後は、免疫チェックポイント阻害薬の登場によって大幅に改善した。しかし、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対して同薬による治療をどの程度の期間、継続する必要があるのかについては明らかになっていなかった。こうした中、新たな研究で、免疫チェックポイント阻害薬による治療開始から2年後の時点でがんが進行していない安定した状態の患者であれば、同薬の使用を中止しても生存期間に影響しないことが示された。米ペンシルベニア大学血液・腫瘍科学分野のLova Sun氏らによるこの研究結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2023、6月3~7日、米シカゴ)で発表され、「JAMA Oncology」に6月4日、同時掲載された。

遺伝子パネル検査、4割強の医師がいまだ経験なし/会員医師アンケート

 2019年6月に遺伝子パネル検査が保険収載されてから丸4年が経過した。ケアネットでは、7月19日に配信するセミナー「米国における がんゲノム検査の実態」収録に先立って、がん診療に携わる専門医600人を対象に「遺伝子パネル検査の施設での実施状況や自身の経験」について聞くアンケートを実施した。全体集計のほか、専門であることが見込まれる「肺がん」「乳がん」「消化器がん」「泌尿器がん」別でも集計、比較した。

HER2低発現乳がんの予後をHER2ゼロと比較~42研究のメタ解析/ESMO Open

 HER2低発現が乳がん患者の予後に影響を及ぼすかどうか、ベルギー・Institut Jules BordetのChiara Molinelli氏らがメタ解析で検討したところ、ホルモン受容体の発現にかかわらず、転移乳がんおよび早期乳がんのいずれにおいても、HER2低発現はHER2ゼロと比較して若干の全生存期間(OS)改善との関連がみられた。早期乳がんでは、とくにホルモン受容体陽性で、HER2低発現が低いpCR率と関連していた。ESMO Open誌2023年7月4日号に掲載。

HER2陰性転移乳がん1/2次治療の健康関連QOL、エリブリンvs.S-1(RESQ試験)/日本乳癌学会

 HER2-の転移を有する乳がん(MBC)患者の1次/2次化学療法として、エリブリンと経口フッ化ピリミジン系薬剤S-1(テガフール・ギメラシル・オテラシル カリウム)の健康関連QOL(HRQOL)を検討した結果、エリブリン群のS-1群に対するHRQOLの非劣性は示されなかったものの、無増悪生存期間(PFS)は両群で差はなく、全生存期間(OS)はエリブリン群で延長する傾向にあったことを、虎の門病院の田辺 裕子氏が第31回日本乳癌学会学術総会で発表した。

膀胱がん膀胱全摘除術に際する拡大リンパ節郭清、生存への寄与はなし(SWOG S1011)/ASCO2023

 筋層浸潤性膀胱がんに対する膀胱全摘除術(RC)に際し、リンパ節郭清の範囲と予後の関連をみた試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において、米国・Baylor College of MedicineのSeth P. Lerner氏から発表された。  北米で行われた手術に関する第III相無作為化試験SWOG S1011の結果である。本試験では手術手技の均てん化を図るため、参加施設を限定し、27施設36人の医師が参加した。さらに、手術手技の質を担保するため、各群50例ずつの術中写真や病理レポートを、外部専門医(SWOG Surgery Committee)がレビューした。

低再発リスクN1乳がん、局所リンパ節照射なしでも局所再発率低い

 リンパ節転移1~3個(N1)で再発スコアの低い乳がんでは、手術後に局所リンパ節照射(RNI)を受けなかった患者においても局所再発(LRR)の発生率が低かったことが、第III相SWOG S1007試験の2次解析で示された。米国・エモリー大学のReshma Jagsi氏らが、JAMA Oncology誌オンライン版2023年7月6日号に報告。  SWOG S1007試験は、1~3個のリンパ節転移を有するオンコタイプDX乳がん再発スコア25以下のホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんを対象に、内分泌療法単独群と化学療法後に内分泌療法を行う群に無作為に割り付けた第III相無作為化試験である。この2次解析として、4,871例の放射線治療情報を前向きに収集し、RNI実施割合、LRR発生率および予測因子、局所療法と無浸潤疾患生存(iDFS)との関連(閉経状態、治療、再発リスクスコア、腫瘍の大きさ、転移巣、腋窩手術で調整)を調査した。