腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:56

レンバチニブ+ペムブロリズマブの腎がん1次治療、4年超でも生存改善を維持(CLEAR)/ASCO2023

 進行期腎細胞がんの1次治療における、レンバチニブ・ペムブロリズマブ併用療法の生存期間延長効果は、長期追跡期間を経ても維持されていたというデータが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において、米国・Texas OncologyのThomas E. Hutson氏より発表された。  国際共同非盲検第III相CLEAR試験(KEYNOTE-581)試験の追跡期間中央値4年超の最終結果報告である。

オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラム、9月に保険適用へ/エグザクトサイエンス

 エグザクトサイエンスは、「オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラム」の保険適用について、中央社会保険医療協議会が2023年7月5日付けで了承したことを発表した。9月1日に保険収載される見込みという。  オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムは、オンコタイプDX乳がん再発スコア検査および日本向けに開発されたソフトウエアを組み合わせたプログラム医療機器。

IL-6R阻害薬、irAE改善効果とICIの効果への影響

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、広範ながん種において生存率の向上をもたらし、使用が拡大している。しかし、ICIによって生じる免疫関連有害事象(irAE)が治療の中断・中止の原因となるため、その管理が重要である。irAEに対する標準治療は副腎皮質ステロイドであるが、高用量かつ長期間の使用は、抗腫瘍免疫の減弱や有害事象の原因となる可能性がある。そこで、米国・Laura and Isaac Perlmutter Cancer CenterのFaisal Fa'ak氏らは、後ろ向き研究によりIL-6受容体(IL-6R)阻害薬のirAEに対する有効性と、ICIの抗腫瘍効果への影響を検討した。その結果、IL-6R阻害薬は、ICIの抗腫瘍効果を減弱せずにirAEを改善することが示唆された。本研究結果は、Journal for ImmunoTherapy of Cancer誌2023年6月11日号で報告された。

de novo StageIV乳がんの初期薬物療法、サブタイプ・薬剤別の効果(JCOG1017副次的解析)/日本乳癌学会

 治療歴のない(de novo)StageIV乳がんに対する初期薬物療法の効果は術後再発乳がんより良好とされるが、その効果について詳細なデータはない。今回、JCOG1017(薬物療法非抵抗性StageIV乳がんに対する原発巣切除の意義に関するランダム化比較試験)の副次的解析として、de novo StageIV乳がんに対する初期薬物療法の効果と効果予測因子を検討した結果、サブタイプにより治療効果が異なり、とくにPgR、HER2発現の有無および内臓転移の状況が影響している可能性が示唆された。岡山大学の枝園 忠彦氏が第31回日本乳癌学会学術総会で発表した。

既治療のKRAS G12C変異大腸がんに対するソトラシブ+パニツムマブ+FOLFIRIの安全性と有効性(CodeBreaK 101)/ASCO2023

 既治療の転移のあるKRAS G12C変異陽性の大腸がん(mCRC)に、ソトラシブとパニツムマブ、FOLFIRIレジメンの併用が有効である可能性が明らかとなった。CodeBreaK 101サブプロトコールHの結果として、米国・MDアンダーソンがんセンターのDavid S. Hong氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。  CodeBreaK 101サブプロトコールHは、多施設共同のオープンラベル第Ib相試験。今回は、用量探索コホート(6例)と拡大コホート(40例)を合わせた全体成績が解析された。

気功ががんサバイバーの倦怠感を軽減

 米ブラウン大学神経科学分野のCatherine Kerr氏は、自身ががん患者となったときに中国の伝統的な健康法である気功を実践し、倦怠感が軽減したことから、気功ががんサバイバーの倦怠感に与える影響について調べ始めた。Kerr氏は2016年に死去したが、彼女の研究を引き継いだ同大学脳科学がん研究所のStephanie Jones氏らが、気功とがんサバイバーの倦怠感に関するランダム化比較試験の結果を、「Integrative Cancer Therapies」に5月19日報告した。それによると、気功には、エネルギーを大量に消費する運動や栄養プログラムと同程度に倦怠感を軽減する効果のあることが明らかになったという。   がんサバイバーに倦怠感が生じるのは珍しいことではなく、研究グループによると、がんサバイバーの45%が中等度から重度の倦怠感を経験するという。研究グループは、「倦怠感は、痛みや吐き気、抑うつよりも大きな負担になり得る」と説明する。

T-DXd、脳転移や髄膜がん腫症を有するHER2+乳がんに有効(ROSET-BM)/日本乳癌学会

 わが国における実臨床データから、脳転移や髄膜がん腫症(LMC)を有するHER2陽性(HER2+)乳がんにトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が有効であることが示唆された。琉球大学の野村 寛徳氏が第31回日本乳癌学会学術総会で発表した。T-DXdはDESTINY-Breast01/03試験において、安定した脳転移を有するHER2+乳がんに対して有望な効果が報告されているが、活動性脳転移やLMCを有する患者におけるデータはまだ限られている。  本研究(ROSET-BM)はわが国における多機関共同レトロスペクティブチャートレビュー研究である。

周術期非小細胞肺がんに対する化学療法+toripalimabのEFS中間解析(Neotorch)/ASCO2023

 非小細胞肺がん(NSCLC)に対する周術期治療に、抗PD-1抗体toripalimabを追加投与することで、無イベント生存期間(EFS)が延長することが、無作為化二重盲検プラセボ対照第III相Neotorch試験の中間解析から示された。中国・上海市胸科医院のShun Lu氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。

スタチンで肝疾患を予防できる可能性の高い人は

 スタチン服用が肝疾患を予防する可能性が示唆されている。今回、ドイツ・University Hospital RWTH AachenのMara Sophie Vell氏らは、肝疾患・肝細胞がん発症の減少、および肝臓関連死亡の減少と関連するかどうかを3つのコホートで検討した。その結果、スタチン服用者は非服用者に比べ、肝疾患発症リスクが15%低く、肝細胞がん発症リスクについては最大74%低かった。また、このスタチンのベネフィットは、とくに男性、糖尿病患者、肝疾患の遺伝的リスクがある人で得られる可能性が高いことが示唆された。JAMA Network Open誌2023年6月26日号に掲載。

fruquintinib、難治転移大腸がんに有効/Lancet

 難治性の転移を有する大腸がんの治療において、VEGFR-1、2、3を標的とする経口チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)fruquintinibはプラセボと比較して、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が有意に長く、安全性も良好であることが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのArvind Dasari氏らが実施した「FRESCO-2試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年6月15日号で報告された。  FRESCO-2試験は、日本を含む14ヵ国124施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2020年8月~2021年12月の期間に患者の登録が行われた(中国・HUTCHMEDの助成を受けた)。