精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:385

複雑な薬物療法レジメン、認知症介護者の負担増加

 高齢者や認知症患者の介護を担うインフォーマル介護者(公的機関や専門職によるサービスや支援以外の介護を行う者、以下:家族介護者)が世界的に増加している。家族介護者による良好な服薬管理は、健康アウトカムの改善と、介護を受ける人々の施設入所数減少に寄与する。しかしながら、このような介護領域の実情はほとんど知られていない。オーストラリア・ウーロンゴン大学のRobyn Gillespie氏らは、高齢者や認知症患者の服薬管理を行っている家族介護者の役割について文献レビューを行った。その結果、薬物療法レジメンの複雑化などを背景に家族介護者による服薬管理がしばしば困難な状況に陥っていることを明らかにし、十分な情報提供やトレーニング、サポートの重要性を示唆した。Journal of Clinical Nursing誌オンライン版2013年12月20日号の掲載報告。

思春期の精神障害、多くは20代前半で消失/Lancet

 若年精神障害者の多くは、思春期に症状の発現がみられるが、発現が短期間であったり、とくに10代に限られている場合は、概して20代後半には症状の寛解がみられることが示された。オーストラリア・メルボルン大学のGeorge C Patton氏らが、ランダム抽出した中学生1,943例を14年間前向きに追跡したコホート試験の結果、明らかにした。Lancet誌オンライン版2014年1月15日号掲載の報告より。

日本人多発性硬化症患者における認知機能障害の関連要因は:北海道医療センター

 多発性硬化症(MS)患者では認知機能障害がQOLに影響を及ぼしていること、また認知機能は抑うつや疲労感などと相関している可能性が示唆されていた。国立病院機構北海道医療センター臨床部長の新野 正明氏らは、日本人MS患者の認知機能障害について調べ、認知機能と無気力、疲労感、抑うつとの関連について評価を行った。その結果、同患者ではとくに情報処理速度の障害がみられ、認知機能障害が無気力や抑うつと関連していることなどを明らかにした。BMC Neurology誌2014年1月6日号の掲載報告。

小児の自殺企図リスク、SSRI/SNRI間で差はあるか

 抗うつ薬を服用する小児の自殺企図リスク増大について、SSRI、SNRIの服用者間で差異があるとのエビデンスはないことが示された。米国・ヴァンダービルト大学のWilliam O. Cooper氏らが、自殺企図の医療記録のあった3万6,842例の小児コホートを後ろ向きに検討した結果、報告した。最近のデータで、SSRIやSNRIの治療を受ける小児および青少年患者で自殺行動のリスクが増大していることが示されていた。そのため、保護者、家族、医療提供者に著しい懸念が生じており、各抗うつ薬のリスクに対する関心が高まっていた。Pediatrics誌オンライン版2014年1月6日号の掲載報告。

不眠症への行動療法、夜間頻尿を軽減できるか

 不眠症に対する行動療法は夜間頻尿の軽減につながる可能性が示唆された。米国・ピッツバーグ大学のShachi Tyagi氏らが、不眠症と夜間頻尿を併発している60歳以上の地域住民を対象に、行動療法を行った場合と情報提供のみを行った場合を比較検討した結果、報告した。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2014年1月2日号の掲載報告。

双極性障害の診断、DSM-IV-TRでは不十分

 双極性障害を正確に診断することは容易ではない。とくに、かかりつけ医においてはうつ病との鑑別が困難な場合も少なくない。スイス・チューリッヒ大学精神科病院のJules Angst氏らは、ICD-10基準で双極性障害(BD)と診断が付いている患者が、プライマリ・ケアの場面でDSM-IV-TRによってBDと診断されるかを検証した。その結果、診断された患者はわずかで、DSM-IV-TRのBD診断基準は限定的であることが示された。過去20年の間に、DSM-IVおよびDSM-IV-TRにおける軽躁病の診断概念が、非常に限定的であるとのエビデンスが蓄積されていた。Journal of Affective Disorders誌2014年1月号の掲載報告。

アリピプラゾールは急性躁病治療のファーストラインになりうるか

 急性躁病のファーストライン治療は薬物療法であり、まず初めに興奮、攻撃性、危険な行動を迅速にコントロールすることが目的とされている。非定型抗精神病薬アリピプラゾールは、躁病治療において、単独また他剤との併用いずれもが行われている。また、英国精神薬理学会(British Association of Psychopharmacology)のガイドラインでは、単独療法プラセボ対照試験において、アリピプラゾールを含む非定型抗精神病薬は急性躁病また混合性エピソードに有効であることが示唆されたとしている。そこで、英国・Oxford Health NHS Foundation TrustのRachel Brown氏らは、急性躁病症状または混合性エピソードの軽減について、アリピプラゾールの単独または他の抗躁薬との併用治療の有効性と忍容性を評価するとともに、プラセボまたは他剤との比較を行った。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年12月17日号の掲載報告。

タバコ規制、精神疾患患者には効力弱い/JAMA

 2004~2011年の間に、精神疾患患者においても喫煙率の低下はみられたが、精神疾患を有さない人の低下と比べるとその割合は有意に少なかったことが示された。一方で精神疾患患者の禁煙率は、精神科治療を受けている人が受けていない人と比べて有意に高率だったという。米国・ハーバード・メディカル・スクール/ケンブリッジ・ヘルスアライアンスのBenjamin Le Cook氏らが報告した。米国では大幅な喫煙率低下が進んできたが、「タバコ規制運動」は精神疾患患者よりも一般集団にフォーカスされてきた。精神疾患患者では喫煙率やニコチン依存の割合が高いという背景がある。JAMA誌2014年1月8日号掲載の報告より。

ベンゾジアゼピン部分アゴニスト、新たなてんかん治療薬として期待

 ドイツ・Drug-Consult.NetのChris Rundfeldt氏らは、てんかんに対する新たな治療薬として、ベンゾジアゼピン(BZD)受容体部分アゴニストの可能性について言及した。現在、BZD受容体部分アゴニストとしてイミダゾロン誘導体のイメピトインが、イヌのてんかん治療薬として承認されており、従来のBZDでみられる有害事象、忍容性、依存性などの問題を解決する新たな治療薬としてヒトへの応用が期待されることを報告した。CNS Drugs誌オンライン版2013年12月号の掲載報告。

SSRI/SNRIへの増強療法、コストパフォーマンスが良いのは

 うつ病患者において、抗うつ薬単独療法で寛解が得られるのは約3分の1にすぎず、その他の抗うつ薬に変更した場合でも累積寛解率は50~55%にとどまる。このような背景から、治療抵抗性うつ病のマネジメントとして増強療法への関心が高まっている。米国・IMS HealthのRolin L. Wade氏らは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬/ 選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SSRI/SNRI)に、第二世代非定型抗精神病薬(SGAs)またはL-メチルフォレートを併用する増強療法時のアドヒアランス、ならびに医療コストについて比較検討した。その結果、L-メチルフォレートのほうがSGAと比べて、抗うつ薬のアドヒアランスが高く保たれ、うつ病に特化したコストおよび全医療コストが低いことが示されたことを報告した。Journal of managed care pharmacy誌2014年1月号の掲載報告。