精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:72

治療前の統合失調症患者におけるメタボリックシンドローム有病率

 メタボリックシンドローム(MetS)は、性別により臨床パターンの異なるさまざまな病理学的状態を伴う臨床症候群である。統合失調症患者では、MetS有病率が有意に高いことが知られている。中国・Wuhan Mental Health CenterのKuan Zeng氏らは、初回治療および未治療の統合失調症患者におけるMetS有病率とそれに関連する要因、重症度に影響を及ぼす要因についての性差を調査した。その結果、統合失調症患者のMetS有病率とその要因には、男女間で違いが認められた。女性のほうがMetS有病率は高く、影響を及ぼす要因もより広範であることを報告した。Annals of General Psychiatry誌2023年6月28日号の報告。

アルツハイマー病関連遺伝子の保有者では認知機能に先立ち嗅覚が低下か

 アルツハイマー病に関連するApoE遺伝子のε4アレル(ApoE ε4)を保有する人は、記憶や思考に問題が生じるはるか前に嗅覚が低下している可能性のあることが、米シカゴ大学のMatthew GoodSmith氏らによる研究で示唆された。GoodSmith氏は、「においを感知する能力の検査が、後年になって認知機能に生じる問題を予測する上で有用な可能性がある」と述べている。研究の詳細は、「Neurology」に7月26日掲載された。  ApoEはアミロイドβの蓄積や凝集に関わるタンパク質である。ApoEには、3つの主要なアイソフォーム(ApoE2、ApoE3、ApoE4)が存在し、それぞれ、ε2、ε3、ε4の3種類のアレルによりコードされている。ε4アレルを保有する人ではアルツハイマー病発症のリスクが大幅に上昇することが知られている。

アルツハイマー病治療薬レカネマブ、厚労省専門部会が薬事承認を了承/エーザイ・バイオジェン

 2023年8月21日、lecanemab(一般名:レカネマブ、商品名:レケンビ点滴静注200mg/同500mg、以下「レカネマブ」)は、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において製造販売承認が了承された。今回の了承に際して、エーザイとBiogen(米国)は共同ステートメントを発表し、「厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において、レカネマブの早期アルツハイマー病治療薬としての製造販売承認が了承されたことは、わが国のアルツハイマー病治療における大きな前進であると受け止めている」とした。

日本人の双極性障害および統合失調症に関連するミトコンドリアの遺伝的変異

 双極性障害や統合失調症は、複雑な精神疾患であり、環境的要因と遺伝的要因(母性遺伝を含む)の両方が影響している可能性がある。これまで、いくつかの研究において、ミトコンドリア染色体の遺伝子変異と双極性障害および統合失調症との関連が調査されているが、研究結果は同一ではなく、参加者は欧州の患者に限定されていた。岐阜大学のRyobu Tachi氏らは、日本人集団におけるミトコンドリア染色体のゲノムワイドな遺伝的変異と双極性障害、統合失調症、精神疾患との関連を調査した。International Journal of Bipolar Disorders誌2023年7月21日号の報告。

若者のうつ病・不安症、未治療での1年後の回復率~メタ解析

 抑うつ症状や不安症状を有する若者に対し、特別なメンタルヘルス介入を行わなかった場合の1年後の回復率は、どの程度か。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のAnna Roach氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施し、これを明らかにしようと試みた。その結果、不安や抑うつ症状を有する若者の約54%は、特別なメンタルヘルス介入を行わなくても回復することが示唆された。BMJ Open誌2023年7月21日号の報告。  1980年~2022年8月に公表された論文をMEDLINE、Embase、PsycINFO、Web of Science、Global Healthよりシステマティックに検索した。特別な介入を行わなかった10~24歳の若者を対象に、ベースラインおよびフォローアップ1年後の抑うつ症状および不安症状を評価した査読済みの英語論文を対象とした。3人のレビュアーにより関連データを抽出した。メタ解析を実施し、1年後の回復率を算出した。エビデンスの質は、Newcastle-Ottawa Scaleを用いて評価した。

統合失調症に対する長時間作用型注射剤抗精神病薬の実際の有効性

 フランス・エクス=マルセイユ大学のLaurent Boyer氏らは、統合失調症に対する長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の実臨床における有効性を評価するため、ミラーイメージ研究を実施した。その結果、LAI抗精神病薬は、経口抗精神病薬よりも投与頻度が少ないため、コンプライアンス向上や再発リスク軽減が期待できるため、コンプライアンス不良患者では女性や35歳以上の患者であってもLAI抗精神病薬治療が推奨されることを報告した。また、アリピプラゾールLAIは、コンプライアンス良好患者にとって有用な薬剤である可能性があり、さらなる調査が求められるとしている。Molecular Psychiatry誌オンライン版2023年7月21日号の報告。

鼻腔内インスリン投与で認知機能改善?

 鼻腔内へのインスリン投与が、アルツハイマー病(AD)や軽度認知障害(MCI)患者の認知機能に対して保護的に働くことが、メタ解析の結果として示された。一方、認知機能低下の見られない対象では、有意な影響は認められないという。トロント大学(カナダ)のSally Wu氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に6月28日掲載された。  鼻腔内へのインスリン投与(intranasal Insulin;INI)は、末梢でのインスリン作用発現に伴う副作用リスクを抑制しつつ、脳内のインスリンシグナル伝達を改善し、認知機能に対して保護的に働くと考えられている。これまでに、INIによる認知機能への影響を調べた研究結果が複数報告されてきている。ただしそれらの結果に一貫性が見られない。Wu氏らは、このトピックに関するシステマティックレビューとメタ解析により、この点を検討した。

前庭機能障害は認知機能低下の修正可能なリスク因子である可能性

 前庭機能障害は認知機能低下の修正可能なリスク因子かもしれないとする研究結果が、「Frontiers in Neuroscience」に4月4日掲載された。  北京清華長庚医院および清華大学医学部(中国)のJiake Zhong氏らは、メニエール病(MD)患者において、治療前および治療後3、6、12カ月時点の認知機能、および回転性めまい症状とそれによる身体活動、社会的機能、感情への影響を評価した。アウトカムは、モントリオール認知評価尺度(MoCA)およびめまい問診票(Dizziness Handicap Inventory)を用いて評価した。

Long COVIDは頭痛の有無でQOLが異なる

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)急性期以降にさまざまな症状が遷延している状態、いわゆる「long COVID」の病状を、頭痛に焦点を当てて詳細に検討した結果が報告された。頭痛を有する患者はオミクロン株流行以降に増加したこと、年齢が若いこと、生活の質(QOL)がより大きく低下していることなどが明らかになったという。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科総合内科学分野の大塚文男氏の率いる診療・研究チームによるもので、「Journal of Clinical Medicine」に5月18日掲載された。

アルツハイマー病のリスク因子

 アルツハイマー病は最も一般的な認知症であるが、その原因はいまだ不明である。その理由として、多因子疾患であるアルツハイマー病に関する研究が十分に行われていない可能性が挙げられる。オーストラリア・シドニー大学のMichael Allwright氏らは、UK Biobankのデータセットを用いて、アルツハイマー病に関連する既知のリスク因子をランク付けし、新たな変数を模索するため本研究を実施した。その結果、アルツハイマー病の最も重大なリスク因子は、APOE4対立遺伝子の保有であることが再確認された。APOE4キャリアにおける新たなリスク因子として肝疾患が抽出された一方で、「不眠/不眠症」は、APOE4のステータスとは無関係にアルツハイマー病の予防効果が確認された。著者らは、肝疾患を含む併存疾患の将来的な治療により、アルツハイマー病のリスクが同時に低下する可能性があるとしている。Aging Brain誌2023年6月17日号の報告。