放射線科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:14

COVID-19のCT所見、919例の系統的レビュー

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のCT画像の特徴についてさまざまな論文が公表されているが、まとまった文献レビューはまだない。今回、南カリフォルニア大学ケック医科大学のSana Salehi氏らが、PubMed、Embase(Elsevier)、Google Scholar、世界保健機関のデータベースから系統的に文献を検索、レビューし、その結果を報告した。American Journal of Roentgenology誌オンライン版2020年3月14日号に掲載。  主な結果は以下のとおり。

マンモグラフィ、AIと医師一人読影の併用で高精度に

 人工知能(AI)は人間によるマンモグラフィ読影の限界を克服できるのだろうか。今回、米国・セージバイオネットワークスのThomas Schaffter氏らが検討したところ、AI単独では放射線科医を上回ることはなかったが、放射線科医の一人読影との併用で精度が改善することが示された。JAMA Network Open誌2020年3月2日号で発表した。診断精度に関する本研究は2016年9月~2017年11月に実施され、マンモグラフィ検診の読影に絞ったAIアルゴリズム開発を促進するために、国際的なクラウドソーシングチャレンジが開催された。44ヵ国126チーム、1,100人以上が参加し、2016年11月18日に分析を開始した。

COVID-19重症患者に特徴的なCT所見と症状

 中国・重慶医科大学附属第二医院のKunhua Li氏らの調査により、重症または重体のCOVID-19肺炎では、臨床症状、臨床検査値、CT重症度スコアに有意な差があることがわかった。多くの因子が疾患の重症度に関連しており、重症度の判断と予後の評価に役立つとしている。Investigative Radiology誌オンライン版2020年2月29日号に掲載。  著者らは、COVID-19肺炎患者83例(重症または重体が25例、それ以外が58例)について、胸部CT画像所見と臨床データを比較し、重症度に関連する危険因子を検討した。

簡略化MRI、高濃度乳房で高い乳がん検出率/JAMA

 高濃度乳房(dense breast)女性の乳がんスクリーニング検査では、簡略化乳房MRI(AB-MRI)はデジタル乳房トモシンセシス(DBT)に比べ、浸潤性乳がんの検出率が有意に高いことが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのChristopher E. Comstock氏らECOG-ACRIN Cancer Research Groupが行ったEA1141試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年2月25日号に掲載された。高濃度乳房の女性は乳がんのリスクが高く、マンモグラフィでも早期診断が難しいため、スクリーニング検査法の改良が求められているという。

COVID-19、無症状でもCTに異常、急速な進行も

 武漢の病院に入院したCOVID-19肺炎患者の胸部CT画像の所見と変化について、華中科技大学放射線科のHeshui Shi氏らがまとめた研究結果が発表された。疾患経過における複数時点でのCT所見を分析した結果、無症状の患者であってもCT画像には異常が認められ、1〜3週間以内に急速に進行するケースが示された。著者らは「CT画像と臨床および検査所見を組み合わせることで、COVID-19の早期診断が容易になるだろう」と述べている。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2月24日号掲載の報告。  研究者らは、2019年12月20日~2020年1月23日に武漢の2病院に入院し、胸部CTによる経過観察が行われた81例(RT-PCR法あるいは次世代シーケンシングによる確定例)を遡及的に登録。

低線量CT検査により肺がん死亡率は低下する(解説:西村光世氏)-1190

本試験は、低線量CTによるスクリーニング検査によって、高リスク群の肺がんの死亡率の影響をみる大規模無作為化比較試験の結果である。2000年より2015年12月31日まで最低10年以上の経過をみた。年齢中央値は58歳で(50~74歳)、男性1万3,195例、女性2,594例が登録され、1年、3年、5.5年にCTを受けるスクリーニング群とコントロール群に無作為に分けられた。結果として、肺がん発症率はスクリーニング群で5.58件/1,000人年、コントロール群では4.91件/1,000人年で、スクリーニング群ではIAおよびIBの患者は58.6%であったが、コントロール群ではそれぞれ14.2%と13.5%であり、III/IV期が70%であった。

“勤務医の労働時間通算”に、現場の半数が反対

 厚生労働省は、医師の働き方改革の推進に関する検討会において、複数の医療機関で勤務する医師の労働時間を通算し、上限を規制する取りまとめ案を出している。これを受け、日本医師会は「医師の副業・兼業と地域医療に関する日本医師会緊急調査」を行った。アンケートは、全国の病院8,343施設を対象にWebで行われ、3,713施設(44.5%)から回答を得た。

低線量ボリュームCT検診、肺がん死を抑制/NEJM

 肺がんのリスクが高い集団において、ボリュームCTによる検診を受けた集団は、これを受けなかった集団に比べ、10年間の肺がんによる死亡率が低下し、肺がんを示唆する検査結果に対しフォローアップ処置を行う割合も低いことが、オランダ・エラスムス医療センターのHarry J de Koning氏らが行った「NELSON試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年2月6日号に掲載された。全米肺検診試験(NLST)は、低線量CTによる肺がん検診(年1回で3回)は従来の胸部X線に比べ、肺がん死亡率を20%低減したと報告している。一方、このような肺がん検診の死亡に関する有益性を示した無作為化試験のデータは限られているという。

乳房温存術後の早期乳がん患者に対して加速乳房部分照射(APBI)は勧められるか?-RAPID試験の結果から(解説:岩瀬俊明氏)-1182

加速乳房部分照射(Accelerated Partial Breast Irradiation:APBI)とは、乳房温存術後の乳房内再発の約70%以上の症例が切除後の腫瘍床周囲から発生することから、全乳房照射(Whole Breast Irradiation:WBI)の代わりに腫瘍床のみに部分照射を行う方法である。メリットとしては1.線量を増加して短期間に照射を終えられる2.照射野を縮小することで有害事象を軽減できる3.短期間の治療により治療費を軽減できる(小線源治療を除く)

小児がんサバイバー、心臓放射線照射減少でCADリスク減/BMJ

 小児がんの成人サバイバーでは、心臓放射線照射への曝露の歴史的な減少により、冠動脈疾患のリスクの低減がもたらされたことが、米国・セントジュード小児研究病院のDaniel A. Mulrooney氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2020年1月15日号に掲載された。小児がんの成人サバイバーは過去の治療に関連した合併症を有し、心筋症、心臓不整脈、冠動脈や弁膜、心膜の疾患などの心血管疾患は、晩期の健康アウトカム負担の主要な寄与因子とされる。一方、心毒性を有する治療への曝露パターンは時代とともに変化しており、現在のがん治療プロトコールは治癒率の改善に重点を置きつつ、長期的な有害作用の最小化に注力しているという。