放射線科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:14

重炭酸Naとアセチルシステインに造影剤腎症の予防効果なし(中川原譲二氏)-814

血管造影関連の造影剤腎症を予防する目的で、欧米では、重炭酸Naの静脈投与やアセチルシステインの経口投与が行われているが、「PRESERVE」試験では、血管造影を受ける腎合併症発症リスクが高い患者において、これらの薬剤投与はいずれも、死亡や透析、血管造影に関連した急性腎障害の予防に寄与しないことが示された(NEJM. 2017 Nov 12.)。

注射剤のアナフィラキシーについて提言 医療安全調査機構

 日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)は、注射剤のアナフィラキシーによる事故防止のための提言(医療事故の再発防止に向けた提言 第3号)を公表している(1月18日)。アナフィラキシー発症の危険性が高い薬剤や発症が疑われる場合の具体的な対応、常時から備えておくべき事項などについて、以下の6つの提言が示された。

心臓デバイス装着例へのMRI検査の安全性/NEJM

 米国では、心臓ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)を使用中の患者は、デバイスが米国食品医薬品局(FDA)の規定する基準を満たさない限り、安全上の懸念からMRI検査を受けられないことが多く、FDA基準を満たすデバイスは「MRI-conditional(条件付きでMRI可能)」と呼ばれる。米国・ペンシルベニア大学のSaman Nazarian氏らは、このような条件を満たさず、FDAによりMRI禁忌とされる従来の心臓デバイス(レガシー・デバイス)の装着例で、MRI検査を受けた患者を前向きに調査し、臨床的に問題となる有害事象は発現していないと明らかにした。NEJM誌2017年12月28日号掲載の報告。

重炭酸Naとアセチルシステインに造影剤腎症の予防効果なし/NEJM

 血管造影を受ける腎合併症発症リスクが高い患者において、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)や塩化ナトリウムの静脈投与単独、または経口アセチルシステインの投与は、いずれも死亡や透析、血管造影に関連した急性腎障害の予防に寄与しないことが示された。米国・ピッツバーグ大学のSteven D.Weisbord氏らが、5,177例を対象に行った2×2要因デザインの無作為化試験「PRESERVE」の結果で、NEJM誌オンライン版2017年11月12日号で発表された。現状では、これらを投与する効果に関してエビデンスが乏しいまま、血管造影後の急性腎障害や有害アウトカム予防を目的とした、炭酸水素ナトリウム静注や経口アセチルシステイン投与が広く行われているという。

腰椎穿刺後の合併症リスク、非外傷性針 vs.従来針/Lancet

 腰椎穿刺を非外傷性針で受けた患者は、従来針で受けた患者と比べて、穿刺後の頭痛の発生率が低く、追加治療のための入院の必要性が少なく、有効性については同等であるとの結果が、カナダ・マックマスター大学のSiddharth Nath氏らによるシステマティックレビューとメタ解析で示された。非外傷性針は、腰椎穿刺後の合併症低減のために提案されたが、依然として臨床での採用は低調なままであるとの調査結果が示されている。Lancet誌オンライン版2017年12月6日号で発表された。

MRIに示された宇宙飛行士の脳構造に対する宇宙飛行の影響(中川原譲二氏)-778

米国・サウスカロライナ医科大学のDonna R Roberts氏らの研究者は、MRIを用いて宇宙飛行士の脳構造に対する宇宙飛行の影響について検討し、長時間飛行後の宇宙飛行士においては、中心溝の狭小化、脳の上方へのシフト、頭頂での脳脊髄液(CSF)スペースの狭小化が、頻繁に生じることを報告した。これらの所見は、無重力下で生じる視力障害や頭蓋内圧症候群(visual impairment and intracranial pressure(VIIP)syndrome)に関連する脳構造の変化として注目される。

出血こそが問題なのだ:減量のメリット(解説:後藤信哉氏)-775

欧米では動脈硬化の初期症状として、冠動脈疾患が出現することが多い。アジア人では脳血管疾患が多いが、脳血管疾患は梗塞と出血の境界線が明確でないので抗血栓薬の開発は困難である。出血合併症の多い抗凝固薬が、血栓イベントの既往のない非弁膜症性心房細動に使用されているのは筆者には奇異であるが、ランダム化比較試験のエンドポイントとされた脳卒中と臨床家が恐れる心原性脳塞栓を混同させたマーケット戦略、巨大企業による徹底した情報管理の勝利であった。しかし、第III相試験にて示されたDOACによる年率3%の重篤な出血合併症は実臨床においても事実であろうから、特許切れまで企業が情報管理を継続できるか否かには疑問も残る。

リバーロキサバン、下肢末梢動脈疾患に効果/Lancet

 安定末梢動脈/頸動脈疾患患者に対する1日2回投与の低用量リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)+アスピリン1日1回の併用投与は、アスピリン単独投与に比べ、主要有害心血管・下肢イベントリスクを有意に低減することが、カナダ・マックマスター大学のSonia S. Anand氏らによる無作為化プラセボ対照二重盲検試験で示された。大出血は増大したが、致死的出血や重大臓器の出血は増大せず、著者は、「この併用療法は、末梢動脈疾患患者の治療において重大な進化を意味するものだ」と述べている。なお、リバーロキサバン単独(5mg)ではアスピリン単独と比べて、主要有害心血管イベントは有意に低減せず、主要有害下肢イベントは低減したが大出血の増大が認められたという。Lancet誌オンライン版2017年11月10日号掲載の報告。

宇宙飛行が脳に与える影響は?/NEJM

 宇宙飛行が、脳の解剖学的構造および髄液腔へ与える影響を、MRIを用いて調べる検討が、米国・サウスカロライナ医科大学のDonna R Roberts氏らにより行われた。同影響に関する情報が限られている中で、研究グループは宇宙飛行士の長・短期ミッション前後の脳を調査した。その結果、主に長期飛行後の宇宙飛行士で、脳の中心溝の狭小化および上方偏位と、頭頂部髄液腔の狭小化が、高頻度に認められたという。所見を踏まえて著者は、「地球帰還後の飛行後画像診断を繰り返し行うなど、さらなる調査を行い、これらの変化がどれくらいにわたるものなのか、また臨床的意味について確認する必要がある」と述べている。NEJM誌2017年11月2日号掲載の報告。

乳房部分照射単独の有効性を明らかにした重要な報告(解説:矢形 寛 氏)-731

本報告では、閉経後女性で、比較的低リスクの乳がん、2mm以上の断端陰性を確保した場合に、部分照射の適応となっている。実際、大部分が腫瘍グレード2以下、リンパ節転移陰性、ホルモン受容体陽性、HER2陰性である。そのため、化学療法はほとんどの例で行われておらず、内分泌療法のみである。