外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:53

高齢乳がん患者への術前化学療法、治療目標を達成できるか

 手術可能な70歳以上の乳がん患者において、術前化学療法(NAC)によるダウンステージ率と忍容性の研究は少ない。今回、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのAustin D. Williams氏らが、NAC完遂率とダウンステージ率を50~69歳と70歳以上で比較したところ、70歳以上ではNAC完遂率が低かったが、乳房および腋窩リンパ節のダウンステージ率は50~69歳の患者と同程度に高かった。Annals of Surgical Oncology誌オンライン版2022年7月24日号に掲載。

HER2低発現乳がん、HER2ゼロと異なるサブタイプとみなすべきか/JAMA Oncol

 HER2低発現乳がんは、HER2ゼロ乳がんとは異なる生物学的サブタイプとして考えるべきかどうか。米国・Dana-Farber Cancer InstituteのPaolo Tarantino氏らが、Stage I~III乳がんにおけるHER2低発現と臨床病理学的特徴および予後の関連を調べたところ、ホルモン受容体(HR)陽性およびトリプルネガティブ(TN)乳がんにおいて、HER2低発現乳がんを明確な生物学的サブタイプとは解釈できないという結果が示された。JAMA Oncology誌オンライン版2022年6月23日号に掲載。

ペルツズマブ併用HER2+乳がん術後療法、8年時の解析結果(APHINITY)/ロシュ

 ロシュ・ダイアグノスティックスは2022年7月15日付けのプレスリリースで、HER2陽性乳がんの術後化学療法+トラスツズマブへのペルツズマブの上乗せを検証した第III相APHINITY試験について、8年の長期フォローアップデータを発表した。なお、本データは欧州臨床腫瘍学会(ESMO)バーチャル・プレナリー(VP6-2022)で発表されたもの。  APHINITY試験は、HER2陽性早期乳がん患者の術後療法として、化学療法+トラスツズマブにペルツズマブを併用した際のプラセボ群に対する無浸潤疾患生存期間(iDFS)における優越性を検証した無作為化二重盲検プラセボ対照二群間比較試験。主要評価項目のiDFSについて、ペルツズマブ併用群の有意な改善が報告されている。  今回発表された、8年時の中間解析結果は以下の通り。

高リスク早期TN乳がんへの術前・術後ペムブロリズマブ追加、日本人解析結果(KEYNOTE-522)/日本乳癌学会

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対し、術前補助療法として化学療法+ペムブロリズマブ、術後補助療法としてペムブロリズマブの投与が、化学療法のみの術前補助療法と比較して病理学的完全奏効率(pCR)および無イベント生存期間(EFS)を有意に改善することがKEYNOTE-522試験で示され、米国・FDAではすでに承認されている。今回、同試験の日本人解析結果を、国立がん研究センター東病院の向井 博文氏が第30回日本乳癌学会学術総会で発表した。

家族性乳がんリスクの高い女性、BMI・身体活動・飲酒のガイドライン推奨順守でリスク低下

 米国がん協会(ACS)のがん予防ガイドライン2020年版における体重(BMI)、身体活動、飲酒に関する推奨事項を順守することで、閉経後女性および家族性乳がんリスクの高い女性の乳がんリスクが減少する可能性が、米国・コロンビア大学のAshley M. Geczik氏らの研究で示唆された。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2022年7月2日号に掲載。  これまでに、ACSガイドライン2012年版の推奨の順守で乳がんリスクが低下する可能性を示唆した研究はあるが、家族性および遺伝性乳がんリスクが高い女性におけるエビデンスは少ない。本研究では、Breast Cancer Family Registry(BCFR)を用いて、9,615人の女性を対象にACSガイドライン2020年版におけるBMI、身体活動、飲酒に関する推奨の順守と乳がんリスクについて検討した。全体におけるハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)、BRCA1およびBRCA2の病的バリアントの有無、乳がんの家族歴、閉経状態、エストロゲン受容体(ER)で層別したHRと95%CIをCox比例ハザード回帰モデルを用いて算出した。

「乳癌診療ガイドライン」4年ぶり全面改訂、ポイントは?/日本乳癌学会

 4年ぶりに乳癌診療ガイドラインが全面改訂され、第30回日本乳癌学会学術総会で「乳癌診療ガイドライン2022年版 改定のポイント」と題したプログラムが開催された。本稿では、治療編(薬物療法、外科療法、放射線療法)の主な改訂点について紹介する。治療編全体における改訂点として、今版では冒頭に「総説」を追加。病気/サブタイプ別の治療方針のシェーマや各CQ/BQ/FRQの治療における位置付けを解説し、治療全体の流れを理解できる構成となっている。

TN乳がん1次治療でのペムブロリズマブ+化学療法、日本人でのOSとPFS(KEYNOTE-355)/日本乳癌学会

 手術不能の局所再発/転移を有するPD-L1陽性(CPS≧10)のトリプルネガティブ(TN)乳がんの1次治療で、ペムブロリズマブ+化学療法をプラセボ+化学療法と比較した国際共同第III相KEYNOTE-355試験において、無増悪生存(PFS)および全生存(OS)を有意に改善したことはすでに報告されている。また、本試験の日本人患者のサブグループ解析は、2019年12月11日のデータカットオフ時点の中間解析でPFSが全体集団と大きな乖離がなかったことが2020年の日本乳癌学会で発表されている。今回、2021年6月15日のデータカットオフ時点における日本人患者での有効性と安全性の結果について、聖マリアンナ医科大学の津川 浩一郎氏が第30回日本乳癌学会学術総会で発表した。 ・対象:未治療の手術不能な局所再発/転移を有するPD-L1陽性のTN乳がん患者(18歳以上、ECOG PS 0/1)847例(日本人87例) ・試験群:ペムブロリズマブ+化学療法(ナブパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン/カルボプラチンのいずれか)566例(日本人61例、うち2例が治療中) ・対照群:プラセボ+化学療法 281例(日本人26例)

オラパリブのgBRCA変異陽性HER2-早期乳がんへの術後薬物療法、日本人解析結果(OlympiA)/日本乳癌学会

 gBRCA変異陽性、HER2陰性、再発高リスクの早期乳がん患者に対する術後薬物療法としてのオラパリブをプラセボと比較した国際共同第III相OlympiA試験において、主要解析(データカットオフ:2020年3月)で無浸潤疾患生存期間(iDFS)および遠隔無再発生存期間(DDFS)の有意な延長が示され、さらに第2回中間解析(データカットオフ:2021年7月)で全生存期間(OS)の有意な延長が示されている。今回、主要解析(データカットオフ:2020年3月)における日本人患者集団の有効性と安全性について、聖路加国際病院の山内 英子氏が第30回日本乳癌学会学術総会で発表した。

術後オピオイド、退院後の疼痛への有効性は?/Lancet

 手術後の退院時におけるオピオイドの処方は、オピオイドを使用しない鎮痛レジメンと比較して、退院後の疼痛の強度を軽減しない可能性が高く、嘔吐などの有害事象の有意な増加をもたらすことが、カナダ・マギル大学のJulio F. Fiore Jr氏らの調査で示された。研究の詳細はLancet誌2022年6月18日号に掲載された。  研究グループは、退院時のオピオイド処方が自己申告による疼痛の強度や有害事象にどの程度の影響を及ぼすかを評価する目的で、無作為化臨床試験の系統的レビューとメタ解析を行った(カナダ保健研究機構[CIHR]の助成を受けた)。

大腸がんのFOLFIRI+パニツムマブ、休薬期間で皮膚毒性を軽減(IMPROVE)/ASCO2022

 RAS/BRAF野生型の転移のある大腸がん(mCRC)に対するFOLFIRI+パニツムマブ併用療法において、計画的な休薬期間を入れることで毒性を抑えつつ、継続療法と比較して同等以上の有効性があることが新たな試験で示された。イタリアのFondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのAntonio Avallone氏が第II相IMPROVE試験について、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。