消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:35

大腸がんリスクの低い人では便検査を用いた3年間隔での大腸がん検診が適切か

 平均的な大腸がんリスクのある人では、マルチターゲット便DNA検査(mt-sDNA)を用いた大腸がん検診は、3年間隔が臨床的に適切なようであるとの研究結果が、「Cancer Prevention Research」2月号に掲載された。  米インディアナ大学のThomas F. Imperiale氏らは、3年間隔でのmt-sDNAの臨床的有用性を検討。解析対象は、医療従事者によりmt-sDNAが適格と判定された大腸がん検診の候補者2,044人(2015年4月~2016年7月)で、mt-sDNA陽性例は大腸内視鏡検査を受け、陰性例は3年間、毎年追跡された。

がん遺伝子検査、よく受けるがん種・人種は?/JAMA

 米国・スタンフォード大学のAllison W. Kurian氏らは、2013~19年に同国カリフォルニア州とジョージア州でがんと診断された患者のうち、生殖細胞系列遺伝子検査を受けた患者の割合が6.8%とごくわずかであり、非ヒスパニック系白人に比べ、黒人、ヒスパニック系、アジア系の患者ではより低いことを示した。同検査は遺伝性のがんリスクを明らかにし、遺伝学的な標的治療を可能にすることで、がん患者の生存率を向上させるが、米国ではどのくらいの患者が受けているかは、これまで知られていなかった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年6月5日号で報告された。

直腸がんへのネオアジュバント強化、長期フォローアップでも有用性示す(PRODIGE 23)/ASCO2023

 局所進行直腸がん患者において、標準治療である術前化学放射線療法よりも前にmFOLFIRINOXによる化学療法を強化することで無病生存期間(DFS)が有意に改善されることを報告した第III相PRODIGE 23試験。米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)では本試験の7年の長期フォローアップの結果を、フランス・ロレーヌがん研究センターのThierry Conroy氏が報告した。

局所進行大腸がんにおける、術前化学療法の有用性は?(NeoCol)/ASCO2023

 局所進行大腸がん初回治療の標準治療は切除と術後補助化学療法だが、ほかのがん種で広がる術前化学療法は有効なのか。この点について検討したランダム化比較第III相NeoCol試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で、デンマーク・Danish Colorectal Cancer Center SouthのLars Henrik Jensen氏が発表した。

がん患者のVTE再発予防、DOAC vs.低分子ヘパリン/JAMA

 静脈血栓塞栓症(VTE)を有した成人がん患者のVTE再発予防に関して、追跡期間6ヵ月にわたり、直接経口抗凝固薬(DOAC)は低分子ヘパリン(LMWH)に対して非劣性であったことが、米国・ハーバード大学医学大学院のDeborah Schrag氏らによる検討で示された。著者は、「この結果は、がん患者のVTE再発予防に対してDOACの使用を支持するものである」とまとめている。VTEを有するがん患者のVTE再発予防にはLMWHの長期投与が推奨されており、DOACの有効性との比較は検討されていなかった。JAMA誌2023年6月2日号掲載の報告。

肝細胞がんへのアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用術後補助療法の患者報告アウトカム(IMbrave050)/ASCO2023

 肝細胞がん(HCC)に対するアテゾリズマブとベバシズマブの併用術後補助療法を評価するIMbrave050試験の探索的研究から、同レジメンは健康関連QOLや機能スコアに悪影響を及ぼさないことが示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で、近畿大学の工藤 正俊氏が発表したもの。  追跡期間17.4ヵ月において、IMbrave050試験の主要評価項目であるRFSは、対照群と比較してアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用群で有意に改善しており(ハザード比:0.72、95%信頼区間:0.56~0.93、p=0.0120)、また、同併用療法の安全性についても既知の報告との一致していた。

膵臓がん、FOLFIRINOXの術前補助療法の有効性を検証(NORPACT-1)/ASCO2023

 切除可能な膵臓がんに対するFOLFIRINOXの術前補助療法の有効性に疑問を投げかけられた。Labori KJ.氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表したNORPACT-1の試験の結果である。  切除可能膵臓がんの標準治療は、完全切除とその後の補助化学療法である。化学療法としてはFOLFIRINOXが多く使われる。一方、切除可能膵臓がんでは、術前補助化学療法のメリットも報告されている。Labori氏らは、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランドの12の施設で、多施設無作為化第II相試験を行い、切除可能膵臓がんにおける、FOLFIRINOXの術前補助療法と標準治療である術後補助療法を比較している。

HER2陽性の転移のある大腸がんに対するトラスツズマブ デルクステカンの有用性(DESTINY-CRC02)/ASCO2023

 HER2陽性大腸がんに対するトラスツズマブ・デルクステカン(T-DXd)の2つの用量による治療成績が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において、米国・MDアンダーゾンがんセンターのKanwal Raghav氏より発表された。日本も参加した国際共同盲検化第II相試験のDESTINY-CRC02試験の初回解析結果報告である。

HER2+胆道がんに対するtucatinibとトラスツズマブの併用療法の有用性/ASCO2023

 数ラインの治療歴のあるHER2陽性の転移のある胆道がんに対し、チロシンキナーゼ阻害薬のtucatinibとトラスツズマブの併用療法が有効であるという報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において国立がん研究センター東病院の中村能章氏よりなされた。  これは、泌尿器がんなどのHER2陽性固形がんを含む9つのコホートからなるオープンラベル第II相バスケット試験であるSGNTUC-019試験の中の、胆道がんコホートの結果である。

肥満NASH、減量・代謝改善手術が薬物療法より有効か/Lancet

 肥満を伴う非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の患者の治療において、減量・代謝改善手術は生活様式への介入+至適な薬物療法と比較して、1年後の肝線維化の悪化を伴わないNASHの組織学的消失の割合が有意に高く、安全性にもとくに問題はないことが、イタリア・サクロ・クオーレ・カトリック大学のOrnella Verrastro氏らが実施した「BRAVES試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2023年5月27日号に掲載された。  BRAVES試験は、イタリア・ローマ市の3つの主要病院が参加した52週の非盲検無作為化試験であり、2019年4月~2021年6月の期間に患者のスクリーニングが行われた(イタリア・Fondazione Policlinico Universitario A Gemelliの助成を受けた)。