内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:134

老けやすいのはどんな人?老化の原因をランキング

 生物学的な老化の速度は、遺伝、環境、生活習慣などによって変化するといわれている。近年、DNAのメチル化に基づく生物学的老化の評価指標(GrimAge、PhenoAgeなど)が開発されているが、これらと老化の危険因子との関連の強さなどは明らかになっていない。そこで、上海交通大学のLijie Kong氏らは、メンデルランダム化解析を行い、修正可能な代謝関連因子(ウエスト周囲径、体脂肪率、CRP値など)、生活習慣(喫煙、アルコール摂取、昼寝など)、社会経済的因子(教育、収入)と生物学的老化の評価指標との関連を調べた。本調査結果は、The Journals of Gerontology:Series A誌オンライン版2023年3月4日号に掲載された。

DOAC時代のVTE診療の国内大規模研究、再発リスクの層別化評価と出血リスク評価の重要性が明らかに/日本循環器学会

 日本では過去に静脈血栓塞栓症 (肺塞栓症および深部静脈血栓症、以下VTE)の患者を対象とした多施設共同の大規模観察研究:COMMAND VTE Registry(期間:2010年1月~2014年8月、対象:3,024例)が報告されていた。しかしながら、同研究はワルファリン時代のデータベースであり、抗凝固薬の88%がワルファリンであった。現在はVTE患者の治療には直接経口抗凝固薬(DOAC)が広く普及しており、そこでDOAC時代における日本のVTE診療の実態を明らかにすることを目的としたCOMMAND VTE Registry-2が実施され、3月10~12日に開催された第87回日本循環器学会学術集会の「Late Breaking Cohort Studies Session」にて、同研究班の金田 和久氏(京都大学大学院医学研究科 循環器内科学)が、その主解析の結果を報告した。

新型コロナワクチン、米国政府の投資額はいくら?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチンの開発、製造、購入に関連した米国政府の投資額を調べた結果、少なくとも319億ドルに上ることを、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のHussain S. Lalani氏らが明らかにした。このうち、COVID-19パンデミック前の30年間(1985~2019年)にわたり基礎的研究に投じmRNAワクチンの重要な開発に直接寄与した投資額は、3億3,700万ドルだったという。また、2022年3月までのパンデミック中に投じた金額は少なくとも316億ドルで、臨床試験(6%)、ワクチン開発(2%)、ワクチン購入(92%)に充てられていた。著者は「これらの公的投資は何百万人もの命を救うことにつながり、また将来のパンデミックへの備えとCOVID-19をしのぐ疾患を治療する可能性ももたらし、mRNAワクチン技術の開発に見合ったものであった」と述べ、「社会全体の健康を最大化するために、政策立案者は、公的資金による医療技術への公平かつグローバルなアクセスを確保しなければならない」とまとめている。BMJ誌2023年3月1日号掲載の報告。

花粉症患者はコロナによる嗅覚・味覚障害が悪化しやすい

 花粉症患者では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染時の嗅覚・味覚障害のリスクが高く、その回復も遅いことが、中国・西安交通大学のJingguo Chen氏らの調査によって明らかになった。Laryngoscope investigative otolaryngology誌2023年2月号掲載の報告。急な嗅覚障害や味覚障害の発現は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予測因子と考えられている。しかし、慢性副鼻腔炎や喘息、季節性アレルギー、アレルギー性鼻炎などを有する患者では、SARS-CoV-2に感染する前にすでに併存疾患の影響によって嗅覚障害や味覚障害が生じている可能性があり、それらによる評価が効果的ではないことがある。

抗精神病薬とプロラクチンレベル上昇が骨折リスクに及ぼす影響

 抗精神病薬による治療が必要な患者は、骨粗鬆症関連の脆弱性骨折を含む骨折リスクが高いといわれている。これには、人口統計学的、疾患関連、治療関連の因子が関連していると考えられる。インド・National Institute of Mental Health and NeurosciencesのChittaranjan Andrade氏は、抗精神病薬治療と骨折リスクとの関連を調査し、プロラクチンレベルが骨折リスクに及ぼす影響について、検討を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2023年1月30日号掲載の報告。

今後の医師のマスク着用意向は?/医師1,000人アンケート

 新型コロナウイルス感染症対策として、これまで屋内では原則マスク着用、屋外では原則マスク不要とされてきたが、2023年3月13日よりマスクの着用は個人の判断が基本となった。CareNet.comでは、医師のプライベートにおけるマスク着用意向を探るため、会員医師1,000人を対象に『今後のマスクの着用意向に関するアンケート』を実施した。その結果、大多数の医師がマスクの着用基準が個人判断になることに賛成であり、プライベートでマスクを外したい医師と外したくない医師がほぼ半数であることが明らかとなった(2023年3月2日実施)。

ビタミンDで2型糖尿病のリスクがわずかに低下

 ビタミンDを積極的に摂取することによって、2型糖尿病の発症リスクがわずかに低下する可能性を示唆する研究結果が報告された。ただし、専門家は、ビタミンD摂取が健康的な食事や運動習慣に取って代わるものではないとしている。米タフツ医療センターのAnastassios Pittas氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に2月7日掲載された。  ビタミンDは骨量減少や骨折を減らす目的で、サプリメントなどとして摂取されることがある。近年、ビタミンDには骨代謝改善以外にもさまざまな作用のあることが分かり、その中の一つとして2型糖尿病リスクを下げる可能性も示唆されている。ただし、この点についての明確なエビデンスは得られていない。そこでPittas氏らは、2型糖尿病リスクの高い人を対象に、ビタミンD投与による介入を行った研究報告を対象とするシステマティックレビューとメタ解析を行った。

冠動脈疾患の一次予防に関する診療ガイドライン、11年ぶりに改訂/日本循環器学会

 『2023年改訂版 冠動脈疾患の一次予防に関する診療ガイドライン』が第87回日本循環器学会年次集会の開催に合わせ発刊され、委員会セッション(ガイドライン部会)において、藤吉 朗氏(和歌山県立医科大学医学部衛生学講座 教授)が各章の改訂点や課題について発表した。  本ガイドライン(以下、本GL)は日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会をはじめとする全11学会の協力のもと、これまでの『虚血性心疾患の一次予防GL(2012年改訂版)』を引き継ぐ形で作成された。

日本人の認知症リスクに対する喫煙、肥満、高血圧、糖尿病の影響

 心血管リスク因子が認知症発症に及ぼす年齢や性別の影響は、十分に評価されていない。大阪大学の田中 麻理氏らは、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病が認知症リスクに及ぼす影響を調査した。その結果、認知症を予防するためには、男性では喫煙、高血圧、女性では喫煙、高血圧、糖尿病の心血管リスク因子のマネジメントが必要となる可能性が示唆された。Environmental Health and Preventive Medicine誌2023年号の報告。対象は、ベースライン時(2008~13年)に認知症を発症していない40~74歳の日本人2万5,029人(男性:1万134人、女性:1万4,895人)。

ゴルフは高齢者の健康維持に最適

 老後も健康でいたい人は、ゴルフクラブを持ってグリーンに出ると良いようだ。新たな研究から、心臓の健康を向上させるという点で、ゴルフはウォーキングやノルディックウォーキング(特殊なポールを用いたウォーキングによる全身運動)よりも優れていることが明らかにされた。研究論文の筆頭著者で、東フィンランド大学(フィンランド)生物医学/スポーツ・運動医学研究所のJulia Kettinen氏は、「ゴルフは体を動かす意欲を高め、あまり距離を意識せずに長く歩けるという点でも優れた運動方法である」と述べている。この研究は、「BMJ Open Sport & Exercise Medicine」に2月6日掲載された。