神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:62

片頭痛予防に対する抗CGRPモノクローナル抗体の付加価値

 35年間のトランスレーショナルリサーチにより、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の伝達を阻害することによる片頭痛治療への新しい道が開かれた。短時間作用型のgepant系CGRP受容体スモールアンタゴニストの後に開発された、CGRPまたはCGRP受容体をブロックするモノクローナル抗体(CGRP/rec mAbs)は、片頭痛治療のパラダイムシフトを起こした。トリプタンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)のような一過性の効果を有する古典的な急性期治療薬とは異なり、CGRP/rec mAbsは、三叉神経血管系の末梢部分でのみ長期間作用するため、持続性のある治療を行うことができる。これは、主に片頭痛の病態生理における上流で作用する古典的な予防薬とは異なる。CGRP/rec mAbsであるeptinezumab、erenumab、fremanezumab、ガルカネズマブのランダム化比較試験(RCT)では、数千人の患者を対象としており、最も広く研究されている片頭痛予防薬となっている。これらの結果によると、CGRP/rec mAbsは、プラセボよりも有意に優れていることが認められており、Dodick氏により包括的なレビューが行われている。ベルギー・リエージュ大学のJ. Schoenen氏らは、これらのRCTよりプラセボ減算アウトカムおよび治療必要数(NNT)について要約し、エフェクトサイズ、効果発現、持続性、患者サブグループにおける治療反応、安全性、忍容性、費用対効果に焦点を当て、その後公表された新たな事後研究について分析を行った。また、CGRP/rec mAbsの1つを用いた限定的な実臨床経験について要約した。Revue Neurologique誌2020年12月号の報告。

糖尿病の発症年齢が若いほど認知症になりやすい?/JAMA

 2型糖尿病の発症年齢が下がるほど、その後の認知症リスクは高くなることが示された。フランス・パリ大学のClaudio Barbiellini Amidei氏らが、英国の前向きコホート研究Whitehall II参加者を対象とした追跡期間中央値31.7年のデータを分析して明らかにした。2型糖尿病については若年発症者が増加する傾向がみられる。これまで2型糖尿病の若年での発症と血管合併症との関連は知られていたが、認知症との関連は不明であった。JAMA誌2021年4月27日号掲載の報告。

「高齢者糖尿病の血糖管理目標(HbA1c値)」と死亡リスクの関係

 日本糖尿病学会と日本老年医学会は「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」を公表し、患者を3つのカテゴリーに分類している。しかしその妥当性に関して本邦の縦断研究に基づくエビデンスは不足していた。東京都健康長寿医療センターの荒木 厚氏・大村 卓也氏らはJ-EDIT研究のデータを用い、認知機能、手段的ADL、基本的ADL、併存疾患による種々のカテゴリー分類と死亡リスクとの関連を検討。身体機能と認知機能に基づく分類および併存疾患数に基づく分類が死亡リスクの予測因子となることに加え、8つの簡便な質問項目でカテゴリー分類が可能となることが明らかとなった。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版4月22日号の報告より。

日本におけるアルツハイマー病に伴う経済的負担

 アルツハイマー病は、日本における介護の主要な原因の1つである。国際医療福祉大学の池田 俊也氏らは、65歳以上の日本のアルツハイマー病患者を対象に、2018年度の年間医療費や介護費、さらに家族による個人的な介護ケアの費用や生産性の損失がどの程度かについて調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年3月23日号の報告。  文献レビューによるレポートを用いて、臨床的認知症尺度(CDR)スコアにより疾患重症度で分類したうえで、アルツハイマー病の医療費と介護費を推定した。介護に費やされた時間的コストは、20~69歳のアルツハイマー病家族の介護による生産性の損失とすべての個人的な介護ケアの費用として算出した。

片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の有効性と安全性~メタ解析

 片頭痛に対して、いくつかの抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)モノクローナル抗体が承認されているが、どの抗CGRPモノクローナル抗体が最適なのかについては、よくわかっていない。中国・四川大学のXing Wang氏らは、片頭痛成人患者に対するCGRPまたはCGRP受容体に作用する各モノクローナル抗体の有効性および安全性を比較するため、ランダム化比較試験のネットワークメタ解析を実施した。Frontiers in Pharmacology誌2021年3月25日号の報告。

経口rimegepantに片頭痛の予防治療効果を確認/Lancet(解説:中川原譲二氏)-1387

経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体拮抗薬rimegepantは、すでに急性期治療における有効性と安全性が確認されているが、著者らは新たに、片頭痛の予防治療におけるrimegepantの有効性を検討した。片頭痛の予防治療におけるrimegepantの有効性の評価を目的とする多施設二重盲検プラセボ対照無作為化第II/III相試験が、米国の92施設で行われた。対象は、1年以上持続する片頭痛を有する成人が登録された。被験者は、4週間の観察期の後、経口rimegepant 75mg、またはプラセボを隔日投与する群に無作為に割り付けられた(12週間の治療期)。

RAAS系阻害薬と認知症リスク~メタ解析

 イタリア・東ピエモンテ大学のLorenza Scotti氏らは、すべてのRAAS系阻害薬(ARB、ACE阻害薬)と認知症発症(任意の認知症、アルツハイマー病、血管性認知症)との関連を調査するため、メタ解析を実施した。Pharmacological Research誌2021年4月号の報告。  MEDLINEをシステマティックに検索し、2020年9月30日までに公表された観察研究の特定を行い、RAAS系阻害薬と認知症リスクとの関連を評価した。ARB、ACE阻害薬と他の降圧薬(対照群)による認知症発症リスクを調査または関連性の推定値と相対的な変動性を測定した研究を抽出した。研究数および研究間の不均一性に応じて、DerSimonian and Laird法またはHartung Knapp Sidik Jonkman法に従い、ランダム効果プール相対リスク(pRR)および95%信頼区間(CI)を算出した。同一研究からの関連推定値の相関を考慮し、線形混合メタ回帰モデルを用いて検討した。

片頭痛予防のための抗CGRPモノクローナル抗体による治療のベネフィット

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体モノクローナル抗体(抗CGRP抗体)は、反復性および慢性の片頭痛の予防に対するランダム化比較試験において有効性が示されているが、現在確立されている治療方法と直接比較した研究は行われていない。ギリシャ・General Hospital of AigioのKonstantina Drellia氏らは、反復性片頭痛の予防に対する抗CGRP抗体、トピラマート、プロプラノロールおよび慢性片頭痛の予防に対する抗CGRP抗体、トピラマート、onabotulinumtoxinAのベネフィット・リスク比の違いについて検討を行った。Cephalalgia誌オンライン版2021年2月10日号の報告。

コリンエステラーゼ阻害薬で治療した認知症高齢者における抗精神病薬の使用~コホート研究

 認知症に関連する行動症状のマネジメントのために抗精神病薬が用いられるが、各コリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)と抗精神病薬使用開始との関連に関するエビデンスは不足している。米国・ヒューストン大学のSanika Rege氏らは、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンで治療された認知症高齢者における抗精神病薬使用開始リスクの比較を行った。Drugs & Aging誌オンライン版2021年3月25日号の報告。  パートA、B、Dを含む2013~15年のメディケアクレームデータを用いて、レトロスペクティブに検討を行った。対象は、認知症と診断された65歳以上の地域在住高齢者。ChEIの新規使用患者を特定し、抗精神病薬の使用開始について最大180日間フォローした。ChEIはドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、抗精神病薬は定型および非定型抗精神病薬を含めた。ドネペジルは、最も一般的に使用されている薬剤であり、アセチルコリンエステラーゼのみに作用することから、参照カテゴリーとして用いた。他のリスク因子で調整した後、3種類のChEIにおける抗精神病薬使用開始リスクと開始までの期間を比較するため、多変量Cox比例ハザード解析を用いた。

レベチラセタムは、全般/分類不能てんかんの第一選択薬か/Lancet

 全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療において、レベチラセタムにはバルプロ酸に匹敵する臨床効果はなく、質調整生存年(QALY)に基づく費用対効果もバルプロ酸のほうが良好であることが、英国・リバプール大学のAnthony Marson氏らが実施した「SANAD II試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年4月10日号で報告された。  研究グループは、新たに診断された全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療におけるレベチラセタムの長期的な臨床的有効性と費用対効果を、バルプロ酸と比較する目的で、非盲検無作為化第IV相非劣性試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。