太る!境界性人格障害「MetS有病率2倍」

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/07/26

 

 境界性人格障害(BPD)患者は拒食症や過食症といった摂食障害を併発することが少なくない。そして、摂食障害はメタボリックシンドローム(MetS)と関係しており、将来の2型糖尿病や冠動脈疾患の発症に影響を及ぼすと考えられる。Kahl氏らはBPD患者のMetS有病率やリスクファクターを検討した。Eur Arch Psychiatry Clin Neurosci誌オンライン版2012年7月10日号の報告。

対象は、DSM-Ⅳ診断基準を満たすBPD患者135名(コントロール群:プライマリケア患者1,009名)。MetSの頻度はAHA/NHLBI基準を用いた。

主な結果は以下のとおり。

・BPD患者におけるMetS有病率は、コントロール群と比較し2倍以上高かった(23.3% : 10.6% 、p<0.05)。
・各MetS基準の中で、男女ともに高血糖が有意に高かった(p<0.05)。
・女性BPD患者では、腹部肥満(p<0.05)、高トリグリセリド血症(p<0.05)の頻度が有意に高かった。
・BPD患者におけるMetS増加のリスクファクターは、BMI高値(p=0.004)、年齢(p=0.03)、第2世代抗精神病薬[クエチアピン、オランザピン、クロザピン]による治療(p=0.032)、気分変調(p=0.031)、パニック障害(p=0.032)、ベンゾジアゼピン依存(p=0.015)、摂食障害(p=0.02)であった。
・本研究では、BPD患者はMetS有病率が高く、グルコース調節障害および脂質異常をともなうことが示された。

関連医療ニュース
 ・境界性人格障害患者の自殺予防のポイントはリハビリ
 ・“ヨガ”で精神症状とQOLが改善
 ・うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効?

(ケアネット 鷹野 敦夫)