認知症、早期介入は予後改善につながるか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/02/06 これまで、アルツハイマー型認知症の進行速度に影響する因子についてほとんど知られていなかった。米国ジョンズ・ホプキンス大学のMatthew E. Peters氏らは、軽度アルツハイマー型認知症にみられる臨床的に重大な神経精神症状が、重度認知症への進行あるいは死亡に及ぼす影響について検討した。その結果、精神病症状、興奮 / 攻撃性、感情障害などが重度認知症への移行または死亡までの期間を早めることが判明したことを報告した。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年1月13日号の掲載報告。 研究グループは、Cache County Dementia Progression Studyのデータを用い、軽度アルツハイマー型認知症における臨床的に重大な神経精神症状と重度認知症への進行あるいは死亡との関連について検討した。Cache County Dementia Progression Studyは、新規に診断された症例において認知症の進行を調べる縦断的研究である。生存分析には未補正のKaplan-Meierプロットおよび多変量Cox比例ハザードモデルを用いた。推定ハザード比は、認知症発症時の年齢、ベースライン時における認知症罹病期間、性別、教育レベル、General Medical Health Rating、アポリポ蛋白Eε4(ApoE-ε4)遺伝子型を考慮して調整した。 主な結果は以下のとおり。 ・新規にアルツハイマー型認知症と診断された335例を対象とした。 ・68例(20%)が観察期間中に重度の認知症に至った。 ・精神病症状(ハザード比[HR]:2.007)、興奮 / 攻撃性(同:2.946)、すべての臨床的に重大な神経精神症状(ドメインスコア4以上、HR:2.682) は、重度認知症への急速な進行と関連していた。 ・精神病症状(HR:1.537)、感情障害(同:1.510)、 興奮 / 攻撃性(同:1.942)、軽度の神経精神症状(ドメインスコア1~3、HR:1.448)、臨床的に重大な神経精神症状(HR:1.951)は、早期の死亡と関連していた。 ・特異的な神経精神症状が、軽度アルツハイマー型認知症から重度認知症への進行や死亡に至るまでの期間短縮と関連することが明らかになった。 結果を踏まえて著者は、「重度認知症あるいは死亡までの期間を遅らせる可能性という観点から、軽度アルツハイマー型認知症における特異的な神経精神症状の治療について検討すべきである」とまとめている。 関連医療ニュース アルツハイマーの早期発見が可能となるか 軽度認知障害からの進行を予測する新リスク指標 アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Peters ME, et al. Am J Psychiatry. 2015 Jan 13. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet(2025/02/21) 肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ(2025/02/21) 妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)(2025/02/21) 第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025(2025/02/21) 1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート(2025/02/21) 日本における第2世代抗精神病薬誘発性ジストニア〜JADER分析(2025/02/21) 50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ(2025/02/21) 飲食店メニューのカロリー表示は摂食障害の患者にとって有害(2025/02/21) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)