難治性統合失調症患者に対する治療戦略:千葉大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/08/16 抗精神病薬治療に起因するドパミン過感受性精神病(DSP)は、治療抵抗性統合失調症(TRS)と関連しているが、その治療法はまだ確立されていない。リスペリドン長時間作用型注射剤(RLAI)によりドパミンD2受容体の安定的な占有の維持は、治療のための1つの戦略と考えられる。千葉大学の木村 大氏らは、治療抵抗性統合失調症患者に対するRLAI補助療法の効果を検討した。Journal of psychopharmacology誌8月号(オンライン版2016年7月1日号)の報告。 RLAIは、経口抗精神病薬から部分的に切り替え、補助薬として用いた。RLAIを用いた治療抵抗性統合失調症患者108例を対象に、1年間のフォローアップを含む2年間の研究を行った。DSP歴を有するDSP群72例とDSP歴のない非DSP群36例について効果の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・両群ともに、フォローアップ期間中のBPRSスコアの有意な改善を示したが、非DSP群よりも、DSP群においてより大きな改善が認められた。 ・高用量(クロルプロマジン換算850mg超)では、両群ともに研究期間中の有意な変化は認められなかったが、DSP群のみで、遅発性ジスキネジアを含む錐体外路系副作用の有意な改善が認められた。 著者らは「とくにDSP歴を有する難治性統合失調症患者に対し、RLAIへの部分的切り替えは効果的であることが示された」としている。 関連医療ニュース 治療抵抗性統合失調症へ進展する重要な要因とは:千葉県精神科医療C 治療抵抗性統合失調症、ビタミンDとの関連を検証 治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kimura H, et al. J Psychopharmacol. 2016;30:795-802. Epub 2016 Jul 1. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 ドパミン過感受性精神病患者に対する長時間作用型注射剤による長期治療の有効性 医療一般 日本発エビデンス(2022/07/07) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査を用いた検診は胃がん予防に有効か(解説:上村直実氏)(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13) [ あわせて読みたい ] エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09) 「後継者採用」という甘い誘いに乗ったら…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第41回(2022/07/08) 「診療所、知人に売るから大丈夫」、それ本当に大丈夫??【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第40回(2022/06/06) Dr.金井のCTクイズ 初級編(2022/05/17)