うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/02/21 うつ病治療に用いられる薬剤に関連する相対的な罹患率および死亡率を測定し、重大なアウトカムに関連する特定の臨床的影響について、米国・カリフォルニア大学のJ Craig Nelson氏らが検討を行った。The American journal of psychiatry誌オンライン版2017年1月31日号の報告。 米国、プエルトリコ、ワシントンD.C.に拠点を置く中毒センターから報告を受けた全米中毒情報データシステム(National Poison Data System)より、2000~14年の12歳以上に対する1回の薬剤曝露情報を照会した。薬剤は、抗うつ薬、非定型抗精神病薬、抗痙攣薬、リチウム、およびうつ病治療に用いられるその他の薬剤であった。主要アウトカムは、罹患率(1,000曝露当たりの重大なアウトカム数)、死亡率(1万曝露当たりの死亡アウトカム数)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・15年間で、調査した48薬剤の単一薬剤曝露は、96万2,222件であった。 ・重大なアウトカムは15年間で2.26倍に線形に増加した。 ・三環系抗うつ薬やMAO阻害薬による薬物療法は、高い罹患率および死亡率と関連していたが、他の新規薬剤のいくつかは、危険な可能性があった。 ・リチウム、クエチアピン、オランザピン、bupropion、カルバマゼピンは、高い罹患率指標と関連していた。 ・リチウム、ベンラファキシン、bupropion、クエチアピン、オランザピン、ziprasidone、バルプロ酸、カルバマゼピン、citalopramは、より高い死亡率指数と関連していた。 著者らは「うつ病治療に用いられる薬剤に対する過量服薬や意図しない曝露による重大なアウトカムは、過去15年間で劇的に上昇した。現在のデータでは、罹患および死亡リスクが、薬剤間で異なることを示唆している。この違いは、うつ病患者、とくに自殺リスクの高い患者における治療法を選択する際に重要となる」としている。 関連医療ニュース うつ病の治療抵抗性と寛解を予測する因子とは うつ病への薬物療法 vs.精神療法 vs.併用療法 ADHD治療薬は将来のうつ病発症に影響するか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nelson JC, et al. Am J Psychiatry. 2017 Jan 31. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 統合失調症患者の慢性期うつ病と臨床アウトカムとの関連 医療一般 日本発エビデンス(2022/04/07) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet(2025/02/21) 肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ(2025/02/21) 妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)(2025/02/21) 第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025(2025/02/21) 1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート(2025/02/21) 日本における第2世代抗精神病薬誘発性ジストニア〜JADER分析(2025/02/21) 50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ(2025/02/21) 飲食店メニューのカロリー表示は摂食障害の患者にとって有害(2025/02/21) [ あわせて読みたい ] エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09) 「後継者採用」という甘い誘いに乗ったら…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第41回(2022/07/08) 「診療所、知人に売るから大丈夫」、それ本当に大丈夫??【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第40回(2022/06/06) Dr.金井のCTクイズ 初級編(2022/05/17)