成人の双極性障害(BD)では、片頭痛の有病率が高く、片頭痛と精神医学的症状との負の相関が報告されている。これらの関係が思春期BD患者でもみられるかは、よくわかっていない。カナダ・Sunnybrook Health Sciences CentreのSara Z. Mehrhof氏らは、思春期BD患者における片頭痛の有病率および相関について、大規模サンプルを用いて調査を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年7月1日号の報告。
対象は、小児の精神疾患の半構造化面接(K-SADS-PL)により、双極I型障害(BD-I)、双極II型障害(BD-II)、特定不能の双極性障害(BDNOS)と診断された思春期BD患者165例と健康な対照者(HC)89例。頭痛(非片頭痛)と片頭痛は、検証済みの片頭痛スクリーナー(ID-Migraine 3-item screener)を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・頭痛の有病率は、HC(32.6%)とBD(24.2%)で違いはなかった(p=0.15)。
・片頭痛の有病率は、HC(3.4%)と比較し、BD(38.2%)で有意に高かった(調整オッズ比:14.76、95%CI:4.39~49.57、p<0.001)。
・思春期BD患者において片頭痛との関連が認められた因子は以下のとおりであった。
●女性
●BD-IIまたはBDNOS
●最も重症な機能障害の少なさ
●うつ症状の重症度の高さ
●自己申告による感情的不安定性の強さ
●BMIの高さ
●リチウムや第2世代抗精神病薬使用の少なさ
著者らは「思春期BD患者はHCと比較し、片頭痛の有病率が高かった。これは、成人BD患者での報告を超えるものである。BDと片頭痛の相関は、うつ病相との関連も含め、思春期と成人期で類似していた。今後のプロスペクティブ研究により、片頭痛と気分症状との関連を評価し、これらの関連の神経生物学的および心血管系への影響を評価する必要がある」としている。
(鷹野 敦夫)