統合失調症の治療では、抗精神病薬の長期投与が必要となることが少なくない。米国・ザッカーヒルサイド病院のJose M. Rubio氏らは、統合失調症治療における抗精神病薬の継続性、治療中断に関連する因子について、調査を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2021年6月15日号の報告。
フィンランドの初回エピソード精神疾患患者を対象とした全国コホートを最長18年間フォローアップした。初回治療との比較および本コホートで最も使用頻度の高かったオランザピンと比較した特定の抗精神病薬についての治療中止リスクを評価するため、層別Cox比例ハザード回帰を用いた。調整ハザード比(aHR)および95%信頼区間(CI)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・平均8年間フォローアップを行った患者3,343例の継続治療エピソード回数の中央値は6回(四分位範囲[IQR]:3~11)、期間中央値は11.4ヵ月(IQR:5.3~25.6)であった。
・診断初年度における治療中止の発生率は、30.12イベント/100患者年(95%CI:29.89~30.35)であったが、10年目には8.90イベント/100患者年(95%CI:8.75~9.05)に減少した。
・治療中止リスクは、治療エピソード回数が連続するにしたがって徐々に減少した(初回エピソードと比較した15回以降のエピソードのaHR:0.30、95%CI:0.20~0.46)。
・抗精神病薬の長時間作用型注射剤は、経口剤と比較し、治療中断リスクが67%低かった(aHR:0.33、95%CI:0.27~0.41)。
著者らは「長期にわたる統合失調症治療では、抗精神病薬の中断と再開が繰り返されることが多いが、これは統合失調症マネジメントガイドラインで推奨されていない。治療のなるべく早い段階で抗精神病薬の長時間作用型注射剤を用いることにより、抗精神病薬の治療継続性が高まる可能性がある」としている。
(鷹野 敦夫)