5年間の内分泌療法終了後、ホルモン受容体陽性(HR+)の閉経後早期乳がん患者に対するアロマターゼ阻害薬(AI)延長投与の至適治療期間を検討したメタ解析結果が報告された。中国・北京協和医学院のJuan Chen氏らが、Breast Cancer誌オンライン版2021年1月2日号で発表した。
著者らは、適格基準を満たした無作為化比較試験を、内分泌療法の全期間に応じて3つのカテゴリーに分類(10年 vs.5年/7~8年 vs.5年/10年 vs.7~8年)。各カテゴリーについて、無増悪生存期間(DFS)と全生存期間(OS)のハザード比(HR)、および有害事象の発生率のリスク比(RR)のプール解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・計9件のRCT、HR陽性乳がんの閉経後女性計2万2,313例が対象とされた。
・内分泌療法の治療期間を5年から7~8年に延長すると、DFSの改善がみられた(HR:0.79 [0.69~0.91])。この傾向は特にタモキシフェンのみの投与(HR:0.40 [0.22~0.73])、タモキシフェン後のAI投与(HR:0.82 [0.71~0.95])、リンパ節転移陽性(HR:0.72 [0.56~0.93])、エストロゲン受容体(ER)陽性およびプロゲステロン受容体(PR)陽性(HR:0.61 [0.47~0.78])、および腫瘍径≧2cm(HR:0.72 [0.51~0.98])の患者でみられた。
・一方、内分泌療法の治療期間を7~8年から10年に延長しても、DFSの改善はみられなかった(HR:0.79 [0.69~0.91])。
・内分泌療法の延長はOSの改善とは関連しなかったが、骨折と骨減少症/骨粗鬆症リスクの増加と関連した。
著者らは、AIによる5年間の治療後、リンパ節転移陰性、ER+/PR-またはER-/PR+、腫瘍径2 cm未満の患者は、長期のAI延長投与を実施する必要はなく、タモキシフェンのみあるいはタモキシフェン後AIによる計5年間の治療後、リンパ節転移陽性、ER+/PR+、腫瘍径2 cm以上の患者では、2~3年のAI延長投与が必要で、期間はそれで十分である可能性が示されたと結論づけている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)