米国では長年減少し続けていた脳卒中による死亡が再び増加傾向

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/03/08

 

 米国では過去40年間で脳卒中による死亡が劇的に減ったものの、最近は再び増加する傾向にあることが分かった。肥満や糖尿病の増加がそのような変化に影響を与えていると考えられ、ミレニアル世代が歳を取るにつれて、脳卒中による死亡がさらに増加することが予測されるという。米ラトガース・ニュージャージー医科大学のCande Ananth氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Epidemiology」に11月7日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「われわれの研究結果は、脳卒中による死亡が増加するという憂慮すべき傾向に対応して、いま新たな戦略が必要であることを強調している」と述べている。

 Ananth氏らはこの研究に、1975~2019年の44年間の米国の死亡統計データを利用。同期間に、18~84歳の脳卒中による死亡が433万2,220人記録されていた。脳卒中による年齢調整死亡率は、女性では1975年が10万人当たり87.5だったものが、2019年には同30.9にまで低下していた〔発生率比(IRR)0.27(95%信頼区間0.26~0.27)、1年当たり-2.78%(同-2.79~-2.78)〕。同様に男性も1975年が10万人当たり112.1で、2019年には38.7と大幅に減少していた〔IRR0.26(0.26~0.27)、1年当たり-2.80%(-2.81~-2.79)〕。

 ただし、脳卒中による年齢調整死亡率は、2014年に底を打ち、解析対象期間の最後の5年間では再び上昇する傾向を示していた。Ananth氏は大学発のリリースの中で、「本研究のみでは、再上昇の傾向が見られる原因を特定することはできないが、ほかの研究からは、肥満と糖尿病の増加が脳卒中による死亡率上昇の主な原因であることが示唆されている」と話している。そして、「脳卒中の予防や治療が現状より改善されない限り、ミレニアル世代が歳を取るにつれて脳卒中による死亡者数が増加する可能性がある」と付け加えている。なお、ミレニアル世代とは、およそ1980~1990年代にかけて出生した世代を指す。

 脳卒中のタイプ別に比較すると、出血性脳卒中による死亡率は研究対象期間中に約65%の低下だったのに対して、虚血性脳卒中による死亡率は約80%低下と、より大きく減っていた。ただ、虚血性脳卒中の年齢調整罹患率の推移に着目すると、1950年代後半から1990年代前半にかけて、着実に上昇していたことが分かった。Ananth氏は、「1960年ごろ以降に生まれ、より最近になって生まれた世代ほど、虚血性脳卒中を患うリスクが高くなる」と話している。

 このほか、本研究からは、性別での比較では、男性の方が脳卒中による死亡リスクが高いものの、その性差は高齢になると少なくなることが分かった。例えば55歳の男性が脳卒中により死亡するリスクは女性の2倍以上だが、85歳ではほぼ等しいレベルになっていた。

[2023年1月9日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら