off-pump CABG vs.on-pump CABG、5年後も有意差なし/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2016/11/07

 

 off-pump冠動脈バイパス術(CABG)は、on-pump CABGと比較して5年後の死亡・脳卒中・心筋梗塞・腎不全・再血行再建術の複合アウトカムに差はなく、両手法の有効性や安全性が同等であることが示された。カナダ・マクマスター大学のAndre Lamy氏らが、CABG Off or On Pump Revascularization Study(CORONARY)試験の最終結果を報告した。CORONARY試験では、off-pump CABGとon-pump CABGとで、30日後および1年後のいずれも臨床アウトカム(死亡・脳卒中・心筋梗塞・腎不全)に有意差はないことが報告されていた。NEJM誌オンライン版2016年10月23日号掲載の報告。

19ヵ国79施設で約4,800例をoff-pump群とon-pump群に無作為化
 CORONARY試験は、2006年11月~2011年10月に19ヵ国79施設で単独CABGが予定されている患者4,752例を登録し、off-pump CABG(off-pump群:2,375例)とon-pump CABG(on-pump群:2,377例)を比較した大規模無作為化試験である。

 長期予後の主要評価項目は、死亡・非致死的脳卒中・非致死的心筋梗塞・透析を要する非致死的腎不全新規発症・再血行再建術(CABGまたは経皮的冠動脈インターベンション[PCI])の複合アウトカムで、intention-to-treat集団におけるCox回帰を用いたtime to event解析により評価が行われた。

5年後の複合アウトカム発生率やQOLは両群で有意差なし
 平均追跡期間4.8年において、複合アウトカム発生率はoff-pump群23.1%、on-pump群23.6%で、両群に有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.98、95%信頼区間[CI]:0.87~1.10、p=0.72)。

 再血行再建術の施行率はoff-pump群2.8%、on-pump群2.3%(HR:1.21、95%CI:0.85~1.73、p=0.29)で有意差はなく、このほかの複合アウトカムの各イベントの発生率も両群で有意差はなかった。

 また、副次評価項目である患者1人当たりの医療費も、群間差は認められなかった(off-pump群1万5,107ドル、on-pump群1万4,992ドル、群間差:115ドル、95%CI:-697~927ドル)。QOLも両群で差はなかった。

 著者は研究の限界として、医療費解析にCABG専用の備品(off-pumpの開創器または人工心肺回路)が含まれていないことや、QOL評価が任意であったことなどを挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 大野 貴之( おおの たかゆき ) 氏

三井記念病院 心臓血管外科 部長

J-CLEAR評議員