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ステージIV大腸がんの位置による予後の違い

 右側結腸がんは左側結腸がんとは生物学的に異なると考えられているが、予後の違いについては矛盾する結果が報告されている。東京大学の石原 聡一郎氏らは、ステージIV結腸がんにおいて腫瘍位置が予後に及ぼす影響を明らかにするために、多施設共同研究による傾向スコア分析を実施した。その結果、ステージIVの右側結腸がんは、左側結腸がんに比べて、同じステージIVでもより進行した状態で診断され、予後が有意に不良であったことから、腫瘍学的に左側結腸がんより侵攻性であることが示唆された。International Journal of Surgery誌オンライン版2014年8月1日号に掲載。

ビタミンD欠乏で統合失調症発症リスクが2倍に

 統合失調症はビタミンD欠乏と強く関連していることが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果、明らかにされた。統合失調症患者の65.3%でビタミンD欠乏が認められること、ビタミンD欠乏例はビタミンD充足例と比較して統合失調症である可能性が2.16倍高かったことを、イラン・エスファハーン医科大学のGhazaleh Valipour氏らが報告した。これまでに観察研究においてビタミンDの状態と統合失調症との関連が検討されているが、包括的なメタ解析は把握されていなかった。Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌オンライン版2014年7月22日号の掲載報告。

75歳以上でのマンモグラフィ検診は有効か

 75歳以上の年齢層におけるマンモグラフィ検診の有効性は示されていないことから、米国ワシントン大学のJudith A Malmgren氏らは、マンモグラフィで検出された75歳以上の乳がん患者の特性と転帰を前向きコホート研究で調査した。その結果、マンモグラフィで検出された75歳以上の乳がん患者では、患者や医師により発見された患者より、早いステージで診断され、受ける治療が少なく、疾患特異的生存率が優れていた。この結果から、若年女性でのマンモグラフィ検出によるベネフィットが、高齢女性においても同様に見られることが示唆された。Radiology誌オンライン版2014年8月5日号に掲載。

日本の血液由来MRSAの感受性動向

 北里大学の花木 秀明氏らは、2008年1月~2011年5月の3年間にわたり、全国の病院から集めた血液由来のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)830株について薬剤感受性調査を実施した。その結果、血液由来のMRSAにバンコマイシン軽度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)が蔓延していること、バンコマイシンへテロ耐性黄色ブドウ球菌(hVISA)とβラクタム薬誘導性バンコマイシン耐性MRSA(BIVR)の2つの表現型を示す株の割合が高いことが認められた。Journal of infection and chemotherapy誌オンライン版2014年7月22日号に掲載。

境界性パーソナリティ障害でみられる幻覚の正体は

 境界性パーソナリティ障害(BPD)の約3分の1の患者で認められると報告されている幻覚症状について、フランス・リール第2大学のA. Gras氏らは、研究状況などをまとめるためレビューを行った。その結果、現状において同症状への理解は不十分であり、病態生理を明らかにする研究が必要であることを指摘した。Encephale誌オンライン版2014年7月22日号の掲載報告。

抗精神病薬が脳容積の減少に関与か

 抗精神病薬投与が、統合失調症患者でみられる発症後の脳容積減少に関与している可能性が示された。フィンランド・オウル大学のJuha Veijola氏らが、一般住民ベースの出生コホートの被験者を9年間追跡し脳容積の変化などを評価し報告した。先行研究において、統合失調症患者では経時的に脳容積が減少することが示されていた。PLoS One誌オンライン版2014年7月18日号の掲載報告。

コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない

 日本人中年女性131名を対象とした検討の結果、コーヒーおよびポリフェノール摂取量が多い人ほど顔のシミが少ないことが明らかにされた。ネスレ日本の福島 洋一氏らが報告したもので、「コーヒーは、日焼けによる皮膚の老化の予防に役立ち、クロロゲン酸を含むポリフェノールにはシミにみられる色素過剰を減じる可能性があると思われる」とまとめている。International Journal of Dermatology誌オンライン版2014年7月11日号の掲載報告。

線維筋痛症、教育的介入より認知行動療法

 米国・エモリー大学のSoumitri Sil氏らは、認知行動療法に反応する若年性線維筋痛症患者の特定と予測因子について検討し、教育的介入より認知行動療法で治療反応率が高いこと、認知行動療法は治療開始時の機能障害が大きく自己効力感が高い患者でより有効であること、疼痛強度やうつ症状は治療反応性と無関係であることなどを明らかにした。

高齢統合失調症、遅発性ジスキネジアのリスク低

 高齢患者に対するオランザピンvs. 旧来の抗精神病薬治療による遅発性ジスキネジアの発生率は、それぞれ2.5%、5.5%と低率で有意差もみられなかったことが、米国のBruce J. Kinon氏らが行った検討の結果、報告された。これまで55歳以上を対象とした比較試験は行われていたが、今回の検討は、平均年齢78歳、約8割が認知症を有する高齢患者を対象に行われたものである。Journal of Geriatric Psychiatry and Neurology誌オンライン版2014年7月9日号の掲載報告。

抗うつ薬+アリピプラゾール、長期忍容性は

 抗うつ薬が奏効しないうつ病患者に対する抗精神病薬の併用は、長期的に安全なのか。米国・バージニア大学のAnita H Clayton氏らは、大うつ病性障害(MDD)患者に対し、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)/セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)またはブプロピオン(国内未承認)にアリピプラゾールを併用した場合の長期忍容性を評価した。その結果、いずれの併用においても予期せぬ有害事象は認められず、同様の症状改善効果が認められたことを報告した。BMC Research Notes誌オンライン版2014年7月18日号の掲載報告。

分子標的治療薬登場で甲状腺がん治療はどう変わる?

 今年6月、甲状腺がんで初めての分子標的治療薬として、ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)が「根治切除不能な分化型甲状腺がん」に対して承認された。これまでは外科医でほぼ完結していた甲状腺がん治療が、分子標的治療薬の登場によってどのように変わっていくのだろうか。7月29日(火)、都内で開催されたプレスセミナー(主催:バイエル薬品株式会社)で、甲状腺がん治療の現状と今後のあり方、ソラフェニブの臨床成績と副作用のマネージメントについて、日本医科大学内分泌外科学分野 教授 杉谷 巌氏と国立がん研究センター東病院頭頸部内科 科長 田原 信氏がそれぞれ講演した。

長期抗精神病薬曝露は記憶にどう影響するか

 統合失調症における長期的な抗精神病薬投与と認知機能の推移との関連は、明らかになっていない。フィンランド・オウル大学のAnja P Husa氏らは、9年間のフォローアップ期間における言語学習や記憶の変化と生涯累積抗精神病薬投与量との関連を分析した。本研究は、同関連について長期にわたり自然的に追跡した初の報告となる。Schizophrenia research誌オンライン版2014年7月15日号の報告。