医療一般|page:194

固形がん患者へのブースター接種、抗体価の変化は?/JAMA Oncol

 積極的な治療を受けている固形がん患者では新型コロナウイルス感染症により予後が悪化するリスクが高く、また、化学療法を受けているがん患者ではBNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer/BioNTech)による体液性応答が低下することが報告されている。今回、イスラエル・Hadassah Medical CenterのYakir Rottenberg氏らが、主に化学療法を受けた固形がん患者でのBNT162b2ワクチンの3回目(ブースター)接種後30日未満の体液性応答を調査したところ、ほとんどの症例でブースター接種後早期に抗体反応がみられたことがわかった。JAMA Oncology誌オンライン版2021年11月23日号に掲載。

精神神経疾患や発達障害に対する音楽療法の有効性

 音楽療法は、身体的、感情的、精神的な健康を維持・回復・促進するために用いられる。オーストリア・AIHTAのLucia Gassner氏らは、自閉スペクトラム症(ASD)、認知症、うつ病、不眠症、統合失調症に対する音楽療法の有効性を評価した。European Journal of Public Health誌オンライン版2021年10月1日号の報告。  システマティックレビューおよび医療技術評価レポートの検索により、139件の文献が抽出された。コクランレビューが利用可能な5疾患の診断グループに焦点を当てた。第2検索は4つのデータベースを用いて実施した。独立した2人のレビュアーが、研究の選択、データ抽出、方法論的質の評価を行った。バイアスリスクが中~低の試験のみを選択した。

新型コロナ「罹患後症状のマネジメント」を公開/厚労省

 厚生労働省は、12月1日に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(暫定版)」を公開し、全国の自治体に周知を行った。  本別冊「罹患後症状のマネジメント」は、COVID-19感染・回復後の患者の経過を診ているかかりつけ医などが、自身でそれらの症状に悩む患者に対して、どこまでどのようにアプローチ・フォローアップをすればよいのか、どのタイミングで専門医の受診を勧めるのか、などについて標準的な診療とケアについてまとめることを目的に、それぞれの分野で経験のある専門家が参集し、発刊したもの。  おもな内容として下記の解説が行われている。 ・WHOの定義:COVID-19の罹患後症状(いわゆる遷延症状あるいは後遺症)の紹介 ・現時点の知見などを基にした、かかりつけ医などの医療従事者向けの診療や経過観察のあり方のまとめ ・かかりつけ医などがどの範囲まで対応し経過観察するのか、どのタイミングで専門医の受診を勧めるのかなどについて、各症状(呼吸器、循環器、嗅覚・味覚、精神・神経、痛み)ごとに記載 ・小児へのアプローチや筋力低下などに対するリハビリテーション、および職場などへの復帰に関する産業医学的アプローチも記載

接種勧奨再開のHPVワクチン、男性にも高い有効性

 副反応の報道により、2013年から個別接種の積極的勧奨が中止されていたHPVワクチンについて、国内外から有効性と安全性を認める報告が集積し、ついに2022年4月から積極的勧奨が再開される見通しだ。定期接種として無料で接種できるのは13~16歳の女子だが、同ワクチンが若年男性の感染症およびウイルス起因のがん予防に有効であるという報告が、The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版11月12日号に掲載された。  米国マウントサイナイ医科大のStephen E Goldstone氏らによる本研究は、4価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを用いた、16~26歳の男性1,803例を対象とした無作為化プラセボ対照試験。10年間の追跡調査で、HPV6または11に関連した外性器疣贅、HPV6、11、16、18に関連した性器病変および肛門異形成の発生率を評価した。

乳児・遅発型のポンペ病の標準治療となるか?/サノフィ

 サノフィ株式会社は、ポンペ病治療剤アバルグルコシダーゼアルファ(遺伝子組換え)(商品名:ネクスビアザイム)点滴静注用100mgを、11月26日に発売した。  アバルグルコシダーゼアルファは、ポンペ病(糖原病II型)において、乳児型ポンペ病(IOPD)および遅発型ポンペ病(LOPD)の新たな標準治療となる可能性がある。  ポンペ病は進行性の筋疾患で、運動機能や呼吸機能の低下を来す希少疾患。ライソゾーム酵素の1つである酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の遺伝子の異常によりGAA活性の低下または欠損が原因で生じる疾患で、複合多糖(グリコーゲン)が全身の筋肉内に蓄積する。このグリコーゲンの蓄積が、不可逆的な筋損傷を引き起こし、肺を支える横隔膜などの呼吸筋や、運動機能に必要な骨格筋に影響が及ぼす。世界でのポンペ病の患者数は5万人と推定されて、わが国では、指定難病研究班により実施された全国疫学調査において、患者数は134人と推定されている。

クイズ形式で慢性骨髄性白血病を知るプロジェクト/ノバルティスファーマ

 ノバルティス ファーマは、一般向けに慢性骨髄性白血病(CML)に対する正しい理解を促進するプロジェクト「C.M.L.PROJECT~ちゃんと・学んで・リンクする~」を展開しており、その一環として11月25日に啓発イベントを開催した。  プロジェクトの目玉は、テレビ番組やYouTubeで人気のQuizKnockのこうちゃん氏が考案した「CMLを知るためのクイズ」で、この日のイベントもクイズ王として有名な伊沢 拓司氏と俳優の鈴木 福氏がクイズに挑戦する、という形式だった。  出題されたクイズは7問で徐々に難易度が上がっていき、「10代がかかるがんの中で、白血病が占める割合は何位か。1)1位 2)2位 3)3位」(正解は1位)、「CMLの発症年代として比較的多いのは次のうちどれか。1)10代 2)30代 3)50代」(正解は50代)等の問題に出演者が挑戦した。

肉の消費とメンタルヘルス

 肉の消費や制限がうつ病や不安症に及ぼす影響を明らかにするため、米国・サザンインディアナ大学のUrska Dobersek氏らは、これらの定量的な関連を評価した。Critical Reviews in Food Science and Nutrition誌オンライン版2021年10月6日号の報告。  2020年6月、5つのオンラインデータベースを検索し、肉の摂取を制限している人と消費している人を明確に区分し、うつ病および不安症の有病率を調査した初期研究を抽出した。バイアス補正(Hedges's gエフェクトサイズ)を用いて、肉消費群と肉制限群の間の影響の大きさを計算した(高スコアおよび正のスコアが肉消費群にとって良好な結果であったことを示す)。

3回目接種開始に伴う追記など、新型コロナ予防接種の手引き改訂/厚労省

 厚生労働省は、11月30日付でホームページ上に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(5.0版)」を公開した。今回は、今月より新型コロナワクチンの追加(3回目)接種が開始することに伴う追記(予診票、請求事務の変更など)が主な改訂ポイントとなる。  最新版手引きによると、追加接種は、「2回目接種から原則8ヵ月以上経過した者に対して1回行うこと」としている。そのため、追加接種についても2回目接種までの時期が早かった医療従事者などから順次開始する。初回接種(1、2回目接種)で使用したワクチン接種の種類にかかわらず、現時点で追加接種において使用できるワクチンは、ファイザー社製ワクチン(コミナティ)のみで、接種対象者は18 歳以上。今後の薬事承認等の状況を踏まえ、使用できるワクチンが追加される可能性がある。

HPVワクチンの接種個別勧奨を自治体へ指示/厚労省

 11月26日、厚生労働省は「ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の今後の対応について」の通知を全国の自治体に向けて発出した。  同省は、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症に係る予防接種の積極勧奨について、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が接種後に特異的にみられたことから、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとし、平成25年6月14日発出の通知により接種の積極的な勧奨とならないよう留意するなどの対応を勧告してきた。  今回の通知はその勧告を変更するもので、先の平成25年の通知は廃止され、令和4年4月よりHPVワクチン接種対象者に予防接種法第8条に基づき勧奨を行うこととなる。

認知症診断に関する日米間の比較

 認知症は、日米で共通の問題であるが、医療システムの異なる両国における認知症診断に関するプライマリケア医の診療および今後の展望について、浜松医科大学の阿部 路子氏らが、調査を行った。BMC Geriatrics誌2021年10月11日号の報告。  日本全国および米国中西部ミシガン州におけるプライマリケア環境において、半構造化面接および主題分析を用いて、定性的研究を実施した。参加者は、日米それぞれ24人のプライマリケア医(合計48人)。両群ともに地理的因子(地方/都市部)、性別、年齢、プライマリケア医としての経験年数が混在していた。

TRK阻害薬ラロトレクチニブ、NTRK陽性肺がんに奏効/日本肺癌学会2021

 まれな遺伝子変異である神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)融合遺伝子を有するがんの治療薬として開発されたTRK阻害薬ラロトレクチニブは、NTRK融合遺伝子を有する肺がん患者にも奏効することが、第62回日本肺癌学会学術集会において名古屋大学の安藤雄一氏により発表された。  NTRK融合遺伝子陽性の固形がん患者159例を対象とした第I相および第II相のバスケット試験において、ラロトレクチニブは79%という高い奏効率(ORR)を示している。今回はこの中から肺がん症例を抽出し、ラロトレクチニブの有効性と安全性についての解析を行った。

マスク・手洗いでコロナ発症率がどの程度下がるのか~メタ解析/BMJ

 新型コロナウイルスへの感染、発症、死亡に関して、感染対策はどの程度有効だったのだろうか。オーストラリア・Monash UniversityのStella Talic氏らの系統的レビューとメタ解析から、手洗い、マスク着用、対人距離保持などがCOVID-19発症率の減少と関連することが示唆された。BMJ誌2021年11月17日号に掲載。  本研究では、Medline、Embase、CINAHL、Biosis、Joanna Briggs、Global Health、World Health Organization COVID-19データベース(プレプリント)において、COVID-19発症率、SARS-CoV-2感染率、COVID-19死亡率の減少における感染対策の有効性を評価した観察研究と介入研究を検索した。主要評価項目はCOVID-19発症率、副次評価項目はSARS-CoV-2感染率とCOVID-19死亡率などであった。マスク着用、手洗い、対人距離保持がCOVID-19発症率に及ぼす影響をDerSimonian Lairdのランダム効果メタ解析で評価した。

ペムブロリズマブ+化学療法、食道がん1次治療に承認/MSD

 MSDは、2021年11月25日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)について、根治切除不能な進行・再発の食道癌に対する適応拡大に関する国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。  今回の承認は、化学療法歴のない根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がんおよび食道腺がん並びに食道胃接合部(Siewert分類typeI)の腺がん患者749例(日本人141例を含む)を対象とする、国際共同第III相試験KEYNOTE-590試験の結果に基づいている。

反復性片頭痛に対するスマホベース音楽介入

 片頭痛は、世界中で多くの患者が苦しんでいる疾患の1つである。従来の予防薬や行動に基づく介入は、片頭痛発作の予防的治療として用いられてきた。しかし、原発性頭痛障害患者に対する代替介入のベネフィットについては、十分に調査されていなかった。フランス・CHU La Reunion-GHSRのGuilhem Parlongue氏らは、反復性片頭痛に対する患者の自己管理による音楽介入の影響について調査するため、パイロット研究を実施した。Complementary Therapies in Medicine誌オンライン版2021年9月30日号の報告。

精神疾患発症リスクの高い人に対する抗精神病薬の予防効果

 既存のガイドラインでは、精神疾患における臨床的にハイリスクな人に対する抗精神病薬の使用は推奨されていないが、抗精神病薬がハイリスクな人の精神疾患を予防できるかは、よくわかっていない。中国・上海交通大学医学院のTianHong Zhang氏らは、精神疾患発症リスクの高い人において、抗精神病薬の予防効果を比較するため、本研究を実施した。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2021年9月18日号の報告。

エアロゾル感染への対応、ワクチン後の対応などを改訂/医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第4版

 ⽇本環境感染学会は「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第4版」を2021年11月22日に公開した。第3版からの主な改訂項目は、エアロゾル(微⼩⾶沫)による感染への対応、新型コロナウイルスのワクチン接種後の対応、積極的な検査の導⼊を含めた対応、である。  本ガイドの第1版は2020年2⽉12 ⽇に公開され、その後の状況の変化に応じて改訂し、2020年5月8日に第3版を公開していた。

エンパグリフロジンの慢性心不全への承認取得/日本ベーリンガーインゲルハイム・日本イーライリリー

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社と日本イーライリリー株式会社は、11月25日付でSGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)錠10mgについて、日本ベーリンガーインゲルハイムが、慢性心不全に対する効能・効果および用法・用量に係る医薬品製造販売承認事項一部変更承認を、厚生労働省より取得したことを発表した。SGLT2阻害薬の慢性心不全への適応拡大では2剤目となる。  今回の製造販売承認(一部変更)は、エンパグリフロジンが心血管死または心不全による入院の複合リスクをプラセボと比較して有意に25%低下させることを示した“EMPEROR-Reduced試験”の結果に基づく。  本試験の主要評価項目に関する結果では、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、サブグループ間で同様の結果を示した。また、試験の重要な副次評価項目の解析から、エンパグリフロジンは心不全による入院の初回および再発のリスクをプラセボと比較して30%低下させると共に、腎機能の低下を有意に遅らせることが明らかになった。安全性プロファイルは、これまでに確立されたエンパグリフロジンの安全性プロファイルと同様だった。

ニボルマブ、消化器がんで2つの適応が追加承認を取得/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2021年11月25日、ニボルマブについて、化学療法との併用療法による「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、および「食道癌の術後補助療法」に対する二つの効能又は効果並びに用法及び用量の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得した。  今回の承認は、CheckMate -649試験とATTRACTION-4試験のデータに基づいたもの。  CheckMate-649試験は、日本を含む世界規模で、未治療のHER2陽性以外の治癒切除不能な進行・再発の胃がん、胃食道接合部がんまたは食道腺がんを対象に、ニボルマブと化学療法の併用療法またはイピリムマブとの併用を、化学療法単独と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験。

ロルラチニブがALK陽性肺がんの1次治療に追加承認/ファイザー

 ファイザーは、2021年11月25日、第3世代ALK-TKIロルラチニブ(製品名:ローブレナ)が「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」(以下、ALK陽性肺がん)の治療薬として、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請の承認を取得したと発表。  今回の承認は、未治療のALK陽性肺がんを対象とした第III相試験CROWN試験の結果に基づくもの。  この承認取得により、ロルラチニブは、ALK陽性肺がんの2次治療以降だけでなく、1次治療薬としても使用することが可能となる。

ワクチン接種の目的は“次世代の健康”/EFPIA Japan

 EFPIA(欧州製薬団体連合会)Japanは、2021年11月22日に感染症領域のエキスパートである岡部 信彦氏(川崎市健康安全研究所 所長)を講師に迎え、ワクチンに関するオンラインプレスセミナーを開催した。セミナーでは、ワクチンが人類に果たしてきた役割について、その軌跡をたどるとともに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の盾を担うmRNAワクチンにも触れて講演が行われた。  岡部氏を講師に「生涯を通じての感染症予防(Life Course Immunization)-COVID-19の経験を含めて-」をテーマにレクチャーが行われた。