医療一般|page:1

転移を有するホルモン感受性前立腺がん、ダロルタミド+ADTがrPFS改善(ARANOTE)/ESMO2024

 転移を有するホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)に対して、ダロルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)の併用療法が、プラセボ+ADTと比較して画像上の無増悪生存期間(rPFS)の有意な改善を示した。カナダ・モントリオール大学のFred Saad氏が、国際共同第III相ARANOTE試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で報告した。同患者に対しては、第III相ARASENS試験において、ダロルタミドをADT+ドセタキセルに加えた併用療法が、ADT+ドセタキセルと比較して全生存期間(OS)を有意に改善している。

日本人治療抵抗性うつ病に対するケタミン治療の有用性~二重盲検ランダム化比較試験

 治療抵抗性うつ病(TRD)に対しケタミンが抗うつ効果をもたらすことは、北米や欧州各国から頻繁に報告されているが、アジア人患者におけるエビデンスは、これまで十分ではなかった。慶應義塾大学の大谷 洋平氏らは、日本人TRD患者におけるケタミン静脈内投与の有効性および安全性を評価するため、二重盲検ランダム化プラセボ対照試験を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2024年8月30日号の報告。  TRDの日本人患者34例を対象に、ケタミン群(0.5mg/kg)またはプラセボ群にランダムに割り付け、2週間にわたり週2回、40分間静脈内投与を行った。主要アウトカムは、ベースラインから治療終了までのMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)合計スコアの変化とした。副次的アウトカムは、その他のうつ病症状スコア、寛解率、治療反応率、部分反応率などであった。また、ベースライン時の臨床人口統計学的特性とMADRS合計スコアの変化との関連も調査した。

サシツズマブ ゴビテカン、トリプルネガティブ乳がんに承認/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年9月24日、化学療法歴のある手術不能または再発のホルモン受容体陰性かつHER2陰性(トリプルネガティブ)乳がんの治療薬として、TROP-2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)であるサシツズマブ ゴビテカン(商品名:トロデルビ)の日本における製造販売承認を取得したと発表した。  今回の承認は、2つ以上の化学療法歴のある手術不能または再発のトリプルネガティブ乳がん患者を対象にサシツズマブ ゴビテカンと医師選択治療の有効性と安全性を比較した海外での第III相臨床試験(ASCENT)と、2つ以上の化学療法歴のある手術不能または再発のトリプルネガティブ乳がん患者を対象にサシツズマブ ゴビテカンの有効性と安全性を評価した国内の第II相臨床試験(ASCENT-J02)の結果に基づくものである。

アミバンタマブ、化学療法との併用でEGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに承認/ヤンセン

 Johnson & Johnson (法人名:ヤンセンファーマ)は2024年9月24日、アミバンタマブ(商品名:ライブリバント)と化学療法(カルボプラチンおよびペメトレキセド)の併用療法について、「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)」の効能又は効果で、日本における製造販売承認を取得したと発表。  今回の承認は、化学療法歴のないEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象に、アミバンタマブと化学療法との併用による有効性と安全性を化学療法群と比較する第III相PAPILLON試験の結果に基づくものである。

患者満足度向上対策をクリニックの6割が実施/医師1,000人アンケート

 クリニックや病院などの医療機関を受診する際、どのような基準で選択するのだろう。いつもの「かかりつけ医」ならともかく、新しい医療機関を受診する場合、最近では、WEB上での「口コミ」なども参考にしている患者さんも多い。医療機関、とくにクリニックなどでは、この口コミを良くするために、さまざまな対策を実施している。そこで、今回0~19床に所属する会員医師1,000人に自院の患者満足度向上対策やその課題について聞いた。

肛門扁平上皮がん1次治療、新規抗PD-1抗体上乗せが有用(POD1UM-30)/ESMO2024

 肛門管扁平上皮がん(SCAC)は、肛門がんの主要なリスク因子であるHPVウイルス感染の増加などを背景に、患者が増加傾向にある。新たな抗PD-1抗体であるretifanlimab単剤療法は、化学療法で進行したSCAC患者において抗腫瘍活性を示すことが報告されている。未治療の進行SCAC患者を対象に、retifanlimabの標準化学療法への追加投与を評価するPOD1UM-303試験が行われ、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)Presidential Symposiumで、英国・Royal Marsden HospitalのSheela Rao氏が初回解析結果を発表した。 ・試験デザイン:第III相二重盲検比較試験 ・対象:手術不適、化学療法未治療の局所再発/転移SCAC患者 ・試験群:retifanlimab 500mgを4週ごと6サイクル(最長1年)+標準化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)6ヵ月

初発統合失調症患者の約40%が治療抵抗性の可能性あり

 初回エピソード統合失調症(FES)患者における治療抵抗性統合失調症(TRS)の有病率は、国際的およびオーストラリア国内で十分に調査されていない。オーストラリア・Graylands HospitalのMirza Detanac氏らは、FES患者コホートにおけるTRSの有病率を評価し、TRS患者の社会人口学的および臨床的特徴について、治療反応が認められたFES患者との比較を行った。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2024年8月28日号の報告。  2020年10月、西オーストラリアの早期精神疾患介入サービス(EPIS)4施設において、統合失調症と診断されたすべての患者(ICD-10)の人口統計学的、臨床的、治療関連のデータを2年にわたり収集した。TRSの診断には、慶應義塾大学の鈴木 健文氏らが2012年に報告したTRSの修正版診断基準を用いた。データ分析は、記述統計、マン・ホイットニーのU検定、Studentのt検定、False-Discovery Rateモデルを用いた。

早期アルツハイマー病治療薬「ケサンラ点滴静注液」承認/リリー

 日本イーライリリーは9月24日付のプレスリリースにて、同日に厚生労働省より、早期アルツハイマー病(AD)治療薬「ケサンラ(R)点滴静注液350mg」(一般名:ドナネマブ)について、「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」を効能又は効果として、日本における製造販売承認を取得したことを発表した。  ケサンラは、アミロイドβプラークを標的とする早期AD治療薬だ。既承認のエーザイのAD治療薬「レケンビ点滴静注」(一般名:レカネマブ)に続く抗アミロイドβ抗体薬で、国内2製品目となる。

HER2陽性胃がん1次治療、ペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法の最終OS(KEYNOTE-811)/ESMO2024

 昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)において局所進行または切除不能のHER2陽性胃がん1次治療として、トラスツズマブ+化学療法にペムブロリズマブを上乗せすることによって奏効率(ORR)と無増悪生存期間(PFS)が改善したことを報告したKEYNOTE-811試験。本試験における全生存期間(OS)の最終解析結果を、イタリア・Veneto Institute of Oncology のSara Lonardi氏がESMO2024で発表した。 ・試験デザイン:第III相無作為化プラセボ対照比較試験 ・対象:未治療の切除不能HER2陽性胃がんまたは胃食道接合部がん、PS 0~1 ・試験群(ペムブロリズマブ群):ペムブロリズマブ200mgを3週間ごと+トラスツズマブ+化学療法(5-FUおよびシスプラチン[FP]またはカペシタビンおよびオキサリプラチン[CAPOX])、最大35サイクル ・対照群(プラセボ群):プラセボを3週間ごと+トラスツズマブ+化学療法

内臓脂肪や皮下脂肪で慢性疼痛リスク上昇か

 内臓脂肪や皮下脂肪の過剰な蓄積が筋骨格系の痛みと関連しているようだ―。オーストラリア・タスマニア大学のZemene Demelash Kifle氏らは、腹部の過剰かつ異所性の脂肪沈着が多部位で広範囲にわたる慢性筋骨格系の痛みの発症に関与している可能性を示唆した。また、男性よりも女性でより強い影響が確認され、これは脂肪分布とホルモンの性差が影響している可能性があるという。Regional Anesthesia&Pain Medicine誌オンライン版2024年9月10日号掲載の報告。

StageIのTN乳がんにおける術前化療後のpCR率とOSの関係/ESMO2024

 Stage Iのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)において、術前化学療法後のpCR率は良好な長期転帰と関連することが示され、同患者における術前化学療法の実施が裏付けられた。オランダ・Netherlands Cancer InstituteのManon De Graaf氏が、1,000例以上のTNBC患者を対象としたレジストリ研究の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で報告した。  本研究では、2012~22年に術前化学療法後に手術が施行されたcT1N0のTNBC患者をオランダがん登録のデータから特定し、pCR率と全生存期間(OS)との関連を評価した。

既治療のHER2変異陽性NSCLC、zongertinibが約7割に奏効(Beamion LUNG-1)/WCLC2024

 HER2遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対するzongertinibの有望な結果が報告された。HER2遺伝子変異はNSCLC患者の約2~4%に認められ、脳転移が生じることが多く、予後は不良であるとされている。zongertinibはHER2チロシンキナーゼドメイン選択的に共有結合するHER2チロシンキナーゼ阻害薬である。zongertinibの用量探索および安全性・有効性を検討する国際共同第Ia/Ib相試験「Beamion LUNG-1試験」が実施され、第Ib相の既治療のHER2遺伝子変異(チロシンキナーゼドメインの変異)陽性コホートにおける結果が、2024年9月7~10日に米国・サンディエゴで開催された世界肺がん学会(WCLC2024)で報告された。

炭水化物カロリー比が高いとうつ病リスク上昇

 うつ病は、世界的に重大なメンタルヘルスの課題の1つである。中国・四川大学のYifei Tan氏らは、うつ病と炭水化物摂取カロリー比(CRC)との関連を明らかにするため、大規模な横断的研究を実施した。Journal of Affective Disorders誌2024年12月号の報告。  2005〜20年のNHANESデータベースのデータを用いて、Rプログラミング言語によりデータ分析を行った。うつ病の評価には、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。CRCは、総炭水化物摂取量の4倍を総カロリー摂取量で割ることにより算出した。CRCとうつ病との関連を調査するため、多変量ロジスティック回帰モデルおよび回帰スプラインモデルを用いた。

切除不能肝細胞がん、TACE+レンバチニブ+ペムブロリズマブが有用(LEAP-012)/ESMO2024

 切除不能肝細胞がん(HCC)では、肝動脈化学塞栓療法(TACE)が標準療法の1つだが、これにレンバチニブ+ペムブロリズマブの併用療法の上乗せが、TACE単独療法と比較して、無増悪生存期間を有意に改善したという。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)Presidential Symposiumにおいてスペイン・バルセロナ病院のJosep Llovet氏がLEAP-012試験の初回解析結果を発表した。

HR+/HER2+の閉経前乳がん、卵巣機能抑制で予後改善/ESMO2024

 術前または術後補助化学療法を受けた閉経前のHR+/HER2+の早期乳がん患者において、内分泌療法に卵巣機能抑制を追加することで予後が有意に改善したことを、韓国・延世大学校医科大のSung Gwe Ahn氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表した。  これまでの研究により、卵巣機能抑制と内分泌療法の併用により、閉経前のHR+の早期乳がん患者の無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)が改善することが示されている。しかし、HER2+の乳がん患者におけるデータは限られている。

完全切除NSCLCへのデュルバルマブ、第III相試験結果(BR.31)/ESMO2024

 抗PD-L1抗体デュルバルマブは、切除不能なStageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)の化学放射線療法後の地固め療法、切除可能なStageII~IIIB期NSCLCの周術期治療において有効性が示されている。そこで、完全切除NSCLC患者の術後補助療法におけるデュルバルマブの有効性を検討することを目的として、国際共同第III相無作為化比較試験「BR.31試験」が実施された。本試験の結果、完全切除NSCLCの術後補助療法におけるデュルバルマブの有効性は示されなかった。本結果は、カナダ・オタワ大学のGlenwood Goss氏によって欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表された。

腎ドナーの死亡リスク、過去最低に

 腎臓提供者(ドナー)が死亡するリスクは、これまでになく低下していることが新たな研究で明らかになった。腎ドナーの死亡率はすでに10年前から低かったが、現在では、さらにその半分以下になっていることが示されたという。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部Center for Surgical and Transplant Applied Research Quantitative CoreのAllan Massie氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に8月28日掲載された。  臓器調達・移植ネットワークによれば、毎年およそ6,000人の米国人が腎臓の提供を志願している。Massie氏らは今回、1993年から2022年までの生体腎ドナーに関するデータを用いて、腎臓提供後90日以内のドナー死亡率を算出した。データは1993~2002年、2003~2012年、2013~2022年の3つの期間に分類して解析した。

転移を有する去勢抵抗性前立腺がんへのカボザンチニブ+アテゾリズマブ、OS最終結果(CONTACT-02)/ESMO2024

 新規ホルモン療法による1回の治療歴があり、転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対し、カボザンチニブ+アテゾリズマブ併用療法は、2剤目の新規ホルモン療法と比較して全生存期間(OS)について良好な傾向がみられたものの(ハザード比[HR]:0.89)、統計学的有意差は確認されなかった。米国・ユタ大学のNeeraj Agarwal氏が、日本を含む国際共同第III相CONTACT-02試験のOS最終解析結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で報告した。  本試験については、主要評価項目の1つである無増悪生存期間(PFS)について、2剤目の新規ホルモン療法群と比較してカボザンチニブ+アテゾリズマブ群で有意に延長したことがすでに報告されている(HR:0.65、95%信頼区間[CI]:0.50~0.84、p=0.0007)。

小児のPTSDに対する心理療法でトラウマの影響が軽減

 小児および青年における心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対するトラウマ関連のネガティブな影響の評価の重要性が、これまでの研究で示唆されている。PTSDの認知モデルでは、治療メカニズムがこれらの評価の軽減に有用であるといわれている。英国・イースト・アングリア大学のCharlotte Smith氏らは、PTSDに対する心理療法が、小児および青年のトラウマ関連のネガティブな評価をどの程度軽減するかを調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Behaviour Research and Therapy誌2024年11月号の報告。  2022年12月11〜12日に、4つのデータベース(PsycINFO、Medline Complete、CINAHL Complete、PTSDpubs)より検索を行った。バイアスリスクを評価するため、ROB-2評価ツールを用いた。