医療一般|page:141

塩野義のコロナ治療薬ゾコーバを緊急承認/厚生労働省

 厚生労働省は11月22日、塩野義製薬と北海道大学の共同研究から創製された3CLプロテアーゼ阻害薬の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸(商品名:ゾコーバ錠125mg)を、医薬品医療機器等法第14条の2の2に基づき緊急承認した。緊急承認制度は2022年5月に新たに創設された制度で、薬剤の安全性の「確認」は前提とする一方で、有効性が「推定」できれば承認することができる。今回、本制度が初めて適用となった。同日開催された薬事・食品衛生審議会薬事分科会と医薬品第二部会の合同会議で、塩野義製薬が提出した第III相試験(第II/III相試験Phase 3 Part)の速報データに基づき緊急承認された。

コロナワクチン接種率の違いで死亡率に大きな差/JAMA

 2021年から2022 年にかけて、全世界で新型コロナワクチン接種が普及した一方、デルタ株とオミクロン株が流行した。米国・Brown School of Public HealthのAlyssa Bilinski氏らは、この期間におけるOECD加盟国中20ヵ国のワクチン接種率とCOVID-19死亡率、超過全死亡率を調査し報告した。米国については、ワクチン接種率上位10州と下位10州についても調査したところ、下位10州のCOVID-19死亡率は上位10州のほぼ倍だった。JAMA誌オンライン版2022年11月18日号のリサーチレターに掲載。  本研究では、ワクチン接種率は2022年1月時点で2回以上接種した人の割合とし、死亡率は2021年6月27日~2022年3月26日の死亡データを比較した。米国のデータはCDCから、その他の国のデータについては、COVID-19死亡率はWHO、全死亡率はOECD データベース、ワクチン接種率はOur World in Dataからそれぞれ入手した。  主な結果は以下のとおり。

うつ病と自殺念慮に対する思春期~成人期の24時間行動ガイドラインの重要性

 若年および成人の24時間行動ガイドラインでは、最適な健康状態を確保するために特定の身体活動時間、座位時間、睡眠時間を推奨しているが、メンタルヘルスの指標との関連についてはよくわかっていない。スペイン・ナバーラ州立大学のAntonio Garcia-Hermoso氏らは、思春期~成人期の24時間行動ガイドラインと、成人期のうつ病および自殺念慮を伴う思春期中期(12~17歳)から成人期(33~39歳)までの軌跡との関係を調査するため、本検討を行った。その結果、思春期中期~成人期での24時間行動ガイドラインの利用促進および継続で、メンタルヘルスに関する問題が予防可能であることが示唆された。ただし、本研究結果について著者らは、エラーやバイアスにつながる恐れのある自己評価や、1994~96年のガイドラインへの適合測定を2016年に行いデータセットを作成した点などから、慎重に解釈する必要があるとしている。The International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity誌2022年10月23日号の報告。

喫煙と乾癬は因果関係にある

 乾癬は、喫煙とは因果関係にあるが、アルコールの摂取とは関連しないという研究結果が、「British Journal of Dermatology」に6月28日掲載された。  アルコール摂取と喫煙は乾癬リスクと関連することが報告されている。しかし、それらの因果関係に関する質の高いエビデンスを示して結論を導き出すことは、通常行われているような観察研究では困難である。  杭州医学院(中国)のJiahe Wei氏らは今回、アルコールの摂取や喫煙と乾癬の関連性を調べた。GSCANコンソーシアム(Sequencing Consortium of Alcohol and Nicotine use)が発表した大規模なゲノムワイド関連研究(GWAS)から、アルコール摂取(N=94万1,280)、喫煙開始(N=123万2,091)、1日当たりの喫煙量(N=33万7,334)、禁煙(N=54万7,219)に関する遺伝子多型のデータを抽出した。生涯の喫煙量(N=46万2,690)に関するGWASの結果は、UKバイオバンクから入手した。乾癬の要約統計は、乾癬患者1万9,032人と対照28万6,769人から成る8つのコホートを対象にした最近のGWASメタアナリシス、および乾癬患者4,510人と対照21万2,242人から成るFinnGenから得た。アルコール摂取、喫煙と、乾癬との遺伝的相関をLDスコア回帰(linkage disequilibrium score regression)で検討した。また、ゲノムワイド有意水準(P<5×10−8)に達した、独立した遺伝的バリアントを用いて、双方向メンデルランダム化(MR)解析により因果の方向性の評価を行った。

肥満の有病率が高い都道府県は透析導入率が高い

 都道府県ごとの肥満の有病率が、透析導入率と有意な関連のあることが報告された。また女性に関しては、タンパク尿の有病率とも有意な関連があるという。新潟大学大学院医歯学総合研究科臓器連関学寄附講座の若杉三奈子氏らの研究によるもので、詳細は「Clinical and Experimental Nephrology」に10月8日掲載された。  肥満は慢性腎臓病(CKD)や末期腎不全(ESKD)の重要なリスク因子の一つであり、また日本人は欧米人に比べて腎機能が低く、ESKDの罹患率が高いことが知られている。一方、日本国内の肥満の有病率には地域差があり、それがESKD罹患率の差となり透析導入率の差として現れている可能性が考えられる。ただし、これまでそのような視点での研究は行われていない。若杉氏らはこの点について、日本透析医学会のレジストリ、特定健診データ・医療費請求データなどを利用して検討した。なお、透析導入率には性差が存在するため、解析は性別に行った。

食道癌診療ガイドライン2022改訂、日本発エビデンスで治療戦略が大きく変更

 2022年9月に「食道癌診療ガイドライン」が刊行された。2002年に「食道癌治療ガイドライン」が発刊されてから20年、前版から5年振りの改訂となる。  10月に行われた日本癌治療学会の北川 雄光氏(慶應義塾大学・食道癌治療ガイドライン検討委員会委員長)の講演「食道癌集学的治療のこれまで、これから」、浜本 康夫氏(慶應義塾大学・腫瘍センター)による教育講演「食道扁平上皮がんに対する薬物療法」を参考として、主な改訂点をまとめた。  食道がんは他の消化器がんと比べて薬物療法において使用できる薬剤の種類が限られており、近年まで切除可能症例については外科手術を基軸として、化学療法や放射線療法を用いた周術期治療が主に術前治療として行われてきた。しかし、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が登場し、この3年ほどのあいだに大幅に治療戦略幅が広がってきた。そこには日本発のエビデンスも大きな役割を果たしている。今回の改訂において、とくに大きく変更のあったクリニカルクエスチョン(CQ)は以下のとおり。

コロナワクチンで帯状疱疹リスクは上がるのか~大規模調査

 新型コロナワクチン接種後に帯状疱疹が発症した症例が報告されているが、ワクチンによって帯状疱疹リスクが増加するのかどうかは不明である。今回、新型コロナワクチン接種が帯状疱疹リスク増加と関連するかどうかについて、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のIdara Akpandak氏らが検討した。その結果、新型コロナワクチン接種後の帯状疱疹の発生率比が0.91であり、本研究では帯状疱疹リスクの増加と関連していないことが示唆された。JAMA Network Open誌2022年11月16日号に掲載。

日本における妊娠中の社会的孤独と不眠症との関係

 東北大学(東北メディカル・メガバンク機構)の村上 慶子氏らは、妊娠中の女性の不眠症有病率を推定し、妊娠中の社会的孤独と不眠症との関連を調査した。その結果、妊娠中の女性における家族や友人からの社会的孤独は、不眠症リスク増加と関連していることが示唆された。Sleep Health誌オンライン版2022年10月10日号の報告。  本横断的研究は、2013~17年に東北メディカル・メガバンク機構の三世代コホート調査の一部として実施された。妊娠中の女性を宮城県の産婦人科クリニックおよび病院で募集し、調査票への回答および医療記録の提供を許可した女性1万7,586人を対象に分析を行った。

果物の摂取量が多いほどうつ病リスク低下/国立精神・神経医療研究センター

 日本のコホート研究において、野菜、果物、フラボノイドの豊富な果物(リンゴ、梨、柑橘類、ブドウ、イチゴなど)の摂取が、うつ病のリスク低下と関連するかどうかを調べた結果、果物およびフラボノイドの豊富な果物の摂取量が多いほど、うつ病の発症率が低かったことを、国立精神・神経医療研究センターの成田 瑞氏らの共同研究グループが発表した。Translational Psychiatry誌2022年9月26日掲載の報告。

新しい抗マラリア抗体に6ヵ月間の感染予防効果

 開発中の抗マラリアモノクローナル抗体CIS43LSによって、感染率の高い地域で最大6カ月にわたって、致死的となることもあるマラリアに対する予防効果が得られる可能性が、第2相臨床試験で示された。バマコ科学技術大学(マリ)のKassoum Kayentao氏らが実施したこの研究の詳細は、「The New England Journal of Medicine」に10月31日掲載された。  Kayentao氏がAP通信に語ったところによると、2021年に世界保健機関(WHO)が小児用マラリアワクチンとして初めて推奨したRTS,S/AS01の有効率は30%にとどまり、4回の接種が必要だという。同氏は、「現在利用できるワクチンでは十分に防御できない」と話す。

頭痛患者におけるドライアイのリスク~メタ解析

 中国・大連医科大学のShuyi Liu氏らは、頭痛がドライアイのリスクに影響を及ぼすかどうか明らかにするためメタ解析を実施した。その結果、頭痛はドライアイの独立したリスク因子であることが示唆され、とくに片頭痛患者においては頭痛とドライアイのリスクに強い関連が認められた。Annals of Medicine誌2022年12月号の報告。  PubMed、Web of Science、Cochrane Library、EMBASEのデータベースより、関連文献の検索を行った。すべての原因による頭痛に対するドライアイのオッズ比(OR)を算出するため、ソフトウェアStataを用いた。異質性の因子の調査には、サブグループ解析と感度分析を実施した。出版バイアスの評価には、Funnel plotとEgger's testを用いた。

アトピー性皮膚炎の湿疹とかゆみ、臨床で推奨される測定手法は?

 臨床において、アトピー性皮膚炎患者の湿疹コントロールおよびかゆみの強度測定に推奨される手法は何か。イスラエル・ラビン医療センターのYael A. Leshem氏らHarmonising Outcome Measures for Eczema in Clinical Practice(HOME-CP)イニシアチブが、システマティックレビューを介して入手した測定手法についてエビデンスレビューを行った。  結果、湿疹の長期コントロールの測定には、Recap of Atopic Eczema(RECAP)とAtopic Dermatitis Control Tool(ADCT)が、かゆみ強度の測定には、かゆみに関するPatient-Reported Outcomes Measurement Information System(PROMIS)質問票に基づく、かゆみの数値評価スケール(NRS-itch)でみた24時間ピーク値および1週間ピーク値と1週間平均値が推奨される、とのコンセンサスステートメントを発表した。

クリトリスの秘密の科学的解明へ前進

 人間のクリトリス(陰核)の組織の一部を用いて神経線維の数を測定したところ、これまで推定されていた数よりも約20%多い、1万本以上の神経線維が存在していたとする研究結果を、米オレゴン健康科学大学トランスジェンダー・ヘルス・プログラムの形成外科医であるBlair Peters氏が報告した。この研究の詳細は、北米性機能学会と国際性機能学会が合同で開催した年次学術集会(SMSNA/ISSM 2022、10月27~30日、米マイアミ)で発表された。  クリトリスの役割は性的興奮に特化されている。クリトリスの外側には極めて敏感な陰核亀頭と呼ばれる部分があるが、クリトリスの大部分は体内にある。その内側で快感を支配する主な神経が陰核背神経である。

血圧が目標範囲内の時間が長いと認知症リスク低下の可能性―AHAニュース

 血圧が管理目標範囲内にある時間が長いほど、認知症のリスクが低くなる可能性が、新たな研究で示された。収縮期血圧の値で調整してもこの結果は有意であり、血圧を目標範囲内に管理することが、認知症リスクに独立して関連していた。首都医科大学附属北京安鎮病院(中国)のSitong Li氏らが、米国心臓協会(AHA)学術集会(Scientific Sessions 2022、11月5~7日、米シカゴ/バーチャル開催)で報告した。  Li氏は、「この研究によって、血圧が目標範囲にある時間の長さ(time in target range;TTR)は、収縮期血圧の平均値や変動性を超える意味のあることが明らかになった。医療者が各患者のTTRを評価することで認知症ハイリスク者を特定し、個別化した血圧介入につなげることが可能になる」と述べている。

ビタミンDで寿命延伸?

 ビタミンD不足のために骨がもろくなることはよく知られているが、そればかりでなく、早期死亡のリスクも高まることが、英国の30万人以上のデータを解析した結果として報告された。南オーストラリア大学(オーストラリア)のJoshua Sutherland氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に10月25日掲載された。  ビタミンDは、食べ物から栄養素として吸収される以外にも、日光を浴びた時に皮膚で合成されることから“太陽のビタミン”と呼ばれる。ビタミンDの機能性としては古くから骨代謝との関連が知られている。ただし、ビタミンDの受容体は全身のさまざまな臓器や組織に発現していて、骨代謝以外の機能調節にも関わっていることが明らかになってきている。これを背景にSutherland氏らは、英国の大規模ヘルスケア情報データベース「UK Biobank」のデータを用いた解析により、ビタミンDの健康維持における重要性を検討した。

地中海食による認知症予防に疑問符

 野菜、果物、魚、全粒穀物、オリーブ油などが豊富な地中海食が、身体的な健康の増進に役立つことは広く知られている。近年ではそれにとどまらず、認知症の予防にも良いと言われるようになった。しかし、後者の認知症予防効果について、疑問を投げかける研究結果が発表された。ルンド大学(スウェーデン)のIsabelle Glans氏らの研究によるもので、詳細は「Neurology」に10月12日掲載された。同国の3万人近い一般成人を20年間追跡した観察研究で、有意な関連が見られなかったという。  この結果について、米アルツハイマー協会のHeather Snyder氏は、「食事や栄養と認知症リスクとの関連についての決定的なエビデンスとはいえない。他の研究結果と併せて慎重に考察することが極めて重要」と指摘している。また、「観察研究では何らかの関係性を見つけ出すことは可能だが、その因果関係の証明にはならない。因果関係の立証には介入研究が必要だ。幸いにも現在、食事・栄養介入の影響を評価可能な研究が進行中だ」と述べている。

研修医の労働時間の長さは抑うつリスクに関連

 米国の研修医(レジデント)の労働時間の長さは抑うつ症状に密接に関連していることが、新たな研究で明らかにされた。新人医師の臨床研修は、過酷なスケジュールと大きなプレッシャー、低い報酬で知られているが、今回の研究から、研修医では抑うつの有病率が高く、特に長時間労働がメンタルヘルスに悪影響を及ぼしていることが示された。この研究を実施した米ミシガン大学医学部教授のAmy Bohnert氏は、「研修医の1週間当たりの労働時間の削減に関する強力な根拠を示した結果だ」と述べている。この研究は、「The New England Journal of Medicine」10月20日号に掲載された。

統合失調症患者の入院および機能に対するLAI抗精神病薬の影響

 抗精神病薬のアドヒアランス不良は、統合失調症患者の再発および再入院に最も影響を及ぼす因子であり、医療費の増大や心理社会学的障害につながる可能性がある。長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の使用は、治療の継続性やアドヒアランス改善に有効であると考えられる。イタリア・トリノ大学のCristiana Montemagni氏らは、経口抗精神病薬(OA)からLAI抗精神病薬への切り替えによる有効性を評価するため1年間のミラーイメージ研究を実施した。

AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル、KRAS G12C変異肺がんのコンパニオン診断薬として承認/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2022年11月14日、AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネルが、KRAS G12C変異陽性に適応する薬剤のコンパニオン診断薬の承認を取得したと発表した。  これにより同製品は、がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の切除不能進行・再発非小細胞肺がん患者に対するソトラシブ(商品名:ルマケラス)の適応判定の補助に使用可能となる。

神経線維腫症1型における叢状神経線維腫治療薬「コセルゴカプセル」発売/アレクシオン

 アレクシオンファーマは、11月16日付のプレスリリースで、「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫」の効能または効果として、コセルゴカプセル10mgおよび25mg(一般名:セルメチニブ硫酸塩、以下「コセルゴ」)の販売を11月16日より開始したことを発表した。  神経線維腫症1型(NF1)は、世界で出生約3,000人に1人が罹患している遺伝性疾患であり、10歳未満の小児で最もよく診断される。患者の30~50%で神経鞘に叢状神経線維腫(PN)が発生し、外見の変形、運動機能障害、疼痛、気道の障害、視力障害、膀胱/腸の機能障害などの病的状態を引き起こすことがある。PNは幼児期に発症し、その重症度は多岐にわたる。NF1患者では健康な人と比較して、平均余命が最長で15年短くなる可能性があるとの報告もある。にもかかわらず、主な治療選択肢が手術に限られるケースもあり、新たな治療法の登場が望まれていた。