医療一般|page:178

オミクロン株、既感染者における再感染予防効果は?/NEJM

 SARS-CoV-2の既感染は、これまでアルファ株、ベータ株、デルタ株に対し、高い再感染予防効果を示すことがわかっているが、オミクロン株は従来株よりも免疫を回避することも明らかになっている。既感染による予防の有効性を変異株別に推定した研究が、NEJM誌オンライン版2022年2月9日号のCORRESPONDENCEに掲載された。  カタールで行われたこのケースコントロール研究は、全国のSARS-CoV-2データベースからCOVID-19の検査結果、ワクチン接種、臨床感染データ、関連する人口動態に関するデータを抽出した。このデータベースにはこれまでカタールで行われた全PCR検査結果、ワクチン接種、入院および死亡例が含まれた。

Stage I 非小細胞肺がん 再発高リスク群では補助化学療法が有効/Ann Thorac Surg

 わが国の肺癌診療ガイドラインでは2cmを超えるStage IA/BおよびIIA(TNM病期分類8版)の非小細胞肺がん(NSCLC)に対するテガフール・ウラシルの術後補助療法は推奨または提案、という位置づけである。  広島大学の津谷康大氏らによる、再発高リスクのStage I(TNM8版)完全切除NSCLCに対する補助化学療法の有効性を評価した試験結果がThe Annals of Thoracic Surgery誌に発表された。  同試験では、肺葉切除術を受けたStage I NSCLC1,278例のデータを前向きに収集し、分析した。再発リスク因子は、無再発生存率(RFS)のCox比例ハザードモデルを基に規定し、補助化学療法実施患者と非実施患者の生存率を比較した。

認知症の精神症状に対する薬理学的治療~メタ解析

 認知症では精神症状が頻繁に認められ、疾患アウトカムの不良や実質的な機能障害を引き起こす可能性がある。どの治療薬を用いるべきかを議論するためには、薬物療法の直接的または間接的な比較が必要とされるが、これまで十分に行われていなかった。中国・復旦大学のYu-Yuan Huang氏らは、認知症患者に対する薬理学的治療の有効性および忍容性アウトカムを調査するため、システマティックレビューおよびペアワイズネットワークメタ解析を実施した。Ageing Research Reviews誌2022年3月号の報告。  2020年8月末までに報告された研究を、MEDLINE、Cochrane Library、EMBASE、PubMedより検索した。米国FDAより最終承認されているコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)、メマンチン、抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬を含む試験を検索した。すべての薬剤について対プラセボの比較効果をランク付けするため、SUCRA(surface under the cumulative ranking)を用いた。  主な結果は以下のとおり。

食道扁平上皮がん、術前の3剤併用化学療法でOS延長(JCOG1109)/日本臨床腫瘍学会

 切除可能局所進行食道がんの術前療法は、日本では5-FU+シスプラチン(CF療法)が標準療法だが、欧米においては化学放射線療法が標準となっている。日本と海外は術式や組織型が異なるため、海外の臨床試験の結果をそのまま受け入れるのは難しいと考えられていたが、CF療法にドセタキセルを加えたDCF療法が頭頸部がんなどで有望な効果を示しており、食道がん術前治療でも有望な成績が報告されている。

スピロノラクトン、がんリスクはある?

 スピロノラクトンの使用とがんリスクに関連はあるのか。米国・マイアミ大学ミラー医学部のKanthi Bommareddy氏らは、メタ解析(452万8,332例のデータを包含)で関連を調べ、がんリスク増大との関連は認められず、前立腺がんについてはリスク低下との関連が認められたことを示した。著者は、「しかしながら、エビデンスの確実性は低く、若年者や、にきびあるいは多毛症を有するなど、多様な集団を対象としたさらなる検討が必要である」と述べている。  スピロノラクトンは、もともとは心不全、高血圧症、浮腫の治療薬として承認されたが、にきび、化膿性汗腺炎、男性型脱毛症、多毛症の治療に適応外使用されるのが一般的となっており、米国FDAから腫瘍発生に関連する公式の警告が発せられている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年2月9日号掲載の報告。

抗CGRP抗体フレマネズマブの患者満足度調査

 米国・アルベルトアインシュタイン医科大学のDawn C. Buse氏らは、片頭痛に対する抗CGRP抗体フレマネズマブの長期的(52週間)な安全性および有効性を評価するために実施された延長試験を完了し、フォローアップ調査に同意した患者を対象に、フレマネズマブに対する満足度、好み、患者報告アウトカムの評価を行った。The Journal of Headache and Pain誌2020年9月4日号の報告。  延長試験では、片頭痛患者1,842例がフレマネズマブ四半期ごと投与群または月1回投与群にランダム化された。積極的な治療完了後、患者の満足度、治療および投薬の好み、患者報告アウトカムの変化を調査票を用いて評価した。  主な結果は以下のとおり。

薬物療法中の双極性障害患者における運転パフォーマンス

 双極性障害治療で用いられる薬物は、患者の認知機能に影響を及ぼす可能性がある。双極性障害患者は、寛解状態でも神経認知機能障害が認められる場合が少なくない。名古屋大学の山口 亞希子氏らは、薬物治療中の安定期双極性障害外来患者の日常機能、とくに運転パフォーマンスについての検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2022年1月17日号の報告。  対象は、実臨床で薬物療法中の双極性障害外来患者58例および性別、年齢がマッチした健康対照者80例。ドライビングシミュレーターを用いて3つの運転タスク(道路追跡、車両フォロー、急ブレーキ)および3つの認知機能タスク(Continuous Performance Test、Wisconsin Card Sorting Test、Trail-Making Test)で評価した。症状評価には、ヤング躁病評価尺度、構造化ハミルトンうつ病評価尺度、BDI-IIベック抑うつ質問票、自記式社会適応度評価尺度、スタンフォード眠気尺度を用いた。

リキッドバイオプシーによる術後再発リスク評価(COSMOS-CRC-01)/日本臨床腫瘍学会

 2021年に国内で初めて、リキッドバイオプシーを用いた固形がんに対する包括的ゲノムプロファイリングが保険承認された。現在、リキッドバイオプシーを用いた血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を解析し術後の微小残存腫瘍(MRD)を検出することで術後の再発リスクを評価するというCOSMOS試験が進行中だ。  MRD測定は造血器腫瘍分野における予後予測に広く使われており、固形がんにおける予後予測にも使えるのではないかと検討されていた。COSMOS試験は国立がん研究センターを中心としたがん臨床研究の基盤であるSCRUM-Japanのプロジェクトの1つであり、大腸がん、胃がん、膵がん、肝臓がん、メラノーマ患者を対象としている。

HR+HER2-転移・再発乳がん、ベバシズマブ+パクリタキセル導入療法後に内分泌療法+カペシタビン維持療法の戦略で長期のOSを確認/日本臨床腫瘍学会

 ホルモン受容体陽性(HR+)HER2 陰性(HER2-)転移・再発乳がんに対するベバシズマブ+パクリタキセル導入化学療法後の維持療法の有効性を検討した国内多施設無作為化第II相試験(KBCSG-TR1214)において、内分泌療法+カペシタビン併用維持療法が内分泌療法単独に比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことがすでに報告されている。今回、この治療戦略の全生存期間(OS)への影響を評価するために、本試験を事後解析した結果について、大阪大学の吉波 哲大氏が第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表した。

統合失調症、うつ病患者に退院時使用されている頓服薬の傾向

 統合失調症やうつ病に対する継続的な薬物療法が重要であることは、さまざまなガイドラインで示唆されているが、頓服による治療に関する報告はほとんど行われていない。東京大学の市橋 香代氏らは、向精神薬の頓服使用を行っている統合失調症およびうつ病患者の特徴を明らかにするため、検討を行った。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2022年1月13日号の報告。  精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDEプロジェクト)のデータを用いて、統合失調症(2,617例)およびうつ病患者(1,248例)の退院時における向精神薬頓服使用の有無、患者の年齢や性別、頓服使用と継続的な向精神薬使用との関連について評価を行った。  主な結果は以下のとおり。

小型非小細胞肺がんの術式 区域切除vs.肺葉切除(JCOG0802/WJOG4607L)/日本臨床腫瘍学会

 小型(2cm以下)末梢非細胞肺がん(NSCLC)における区域切除と肺葉切除を比較した無作為化非劣性比較試験が実施され、区域切除の非劣性が示された。  現在は、2cm以下のNSCLCにおいても標準外科療法は肺葉切除である。より切除範囲の小さい区域手術は呼吸機能を温存できるため、小型NSCLCに適用できれば恩恵は大きいとされる。しかし、両群を比較した無作為化試験は行われていなかった。

妊娠中のコロナワクチン2回接種、乳児の入院61%予防効果/CDC

 母親が妊娠中にCOVID-19ワクチンを2回接種することで、生後6ヵ月未満の乳児の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による入院を61%予防する効果があることが、米国の研究チームの調査で明らかになった。研究結果は、米疾病対策センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年2月15日号に掲載。  これは米国の研究チームOvercoming COVID-19が、2021年7月1日~22年1月17日、米国17州20の小児病院において実施したケースコントロール研究である。生後6ヵ月未満の入院乳児379例が対象で、このうちCOVID-19による入院が176例(症例群)で、COVID-19以外による入院が203例(対照群)だった。乳児の母親は、妊娠中にファイザー製またはモデルナ製のコロナワクチンを2回接種完了と、未接種の2グループに分類。症例群で母親がワクチンを接種していたのは16%(28/176例)だったのに対し、対照群で母親がワクチンを接種していたのは32%(65/203例)だった。

早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブによるEFS、アジア人での解析(KEYNOTE-522)/日本臨床腫瘍学会

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を対象に、術前補助療法としてペムブロリズマブ+化学療法併用を化学療法単独と比較、さらに術後補助療法としてペムブロリズマブとプラセボを比較した第III相KEYNOTE-522試験において、4回目の中間解析までにペムブロリズマブ群が術前補助療法による病理学的完全奏効率(pCR)および無イベント生存期間(EFS)を有意に改善した。今回、本試験のアジア人集団の 4 回目の中間解析結果について、北海道大学/国立病院機構北海道がんセンターの高橋 將人氏が、第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表した。 [KEYNOTE-522試験] ・対象:治療歴がなく、原発巣の腫瘍径2cm以下でリンパ節転移あり(T1c、N1~2)またはリンパ節転移に関係なく腫瘍径2cm超(T2~4d、N0~2)で、遠隔転移がない(M0)ECOG PS 0/1のTNBC患者 ・試験群:術前に化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルを4サイクル後、ドキソルビシン/エピルビシン+シクロホスファミドを4サイクル)+ペムブロリズマブ(3週ごと)、術後にペムブロリズマブ(3週ごと)を9サイクルあるいは再発または許容できない毒性発現まで投与(ペムブロリズマブ群) ・対照群: 術前に化学療法+プラセボ、術後にプラセボを投与(プラセボ群) ・評価項目: [主要評価項目]pCR(ypT0/Tis ypN0)、EFS [副次評価項目]pCR(ypT0 ypN0およびypT0/Tis)、全生存期間(OS)、PD-L1陽性例におけるpCR・EFS・OS、安全性

食道がん1次治療におけるニボルマブ+イピリムマブとニボルマブ+化学療法、日本人サブ解析(CheckMate-648)/日本臨床腫瘍学会

 進行食道扁平上皮がんの1次治療における免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用、および免疫チェックポイント阻害薬2剤併用の有用性を示したCheckMate-648試験。2022年2月に開催された第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)において、本試験の日本人サブグループの解析結果を、神奈川県立がんセンターの尾形 高士氏が発表した。 [CheckMate-648試験] ・対象:未治療の切除不能な進行または転移のある食道扁平上皮がん患者 ・試験群:以下の3群に1対1の割合で無作為に割り付け ニボイピ群:ニボルマブ3mg/kgを2 週ごと+イピリムマブ1mg/kgを6週ごと

国内オミクロン株感染者139例の臨床的特徴/感染研

 国立感染症研究所は、国内におけるオミクロン株の疫学的・臨床的特徴を迅速に把握することを目的として、検疫および国内にて初期に探知されたオミクロン株症例について、積極的疫学調査を行った。18日、第5報として収集されたすべての結果が報告された。 【対象症例】  2021年11月29日~2022年1月12日までに本調査の協力医療機関に入院し診療を行った新型コロナウイルス感染者の中から、ゲノム解析によりオミクロン株感染が確定した139例。 【調査方法】  退院後に調査票を用いて、基本情報、渡航情報、ワクチン接種歴、基礎疾患、入院時のバイタルサイン・臨床症状、入院期間中に観察された臨床症状、合併症、入院中の治療、入院経過・退院時転帰などの情報を収集し、疫学的記述を行った。

LINEチャットボットでコロナの隔離期間を自動計算

 新型コロナワクチンに関する情報提供を行う医師らが組織する「一般社団法人コロワくんサポーターズ」は提供するLINEボットサービス(関連記事:副反応は大丈夫?新型コロナワクチンの疑問に答えるLINEボット)の新機能として「コロナ待機期間 自動計算システム」を追加した。  これまでワクチン接種の対象者や副反応の不安に対し、チャットボット機能を使った情報提供をしてきたが、今回の新機能は「コロナ陽性者・濃厚接触者」「症状あり・なし」「陽性判定日」等の情報を入れることで隔離解除日を自動計算して教えてくれる。利用はLINE上で「コロワくんの相談室」を検索して友達追加するだけ、と簡便だ。

痛み止めの使い過ぎによる頭痛の有病率調査~糸魚川研究

 一般的な日本人を対象とした痛み止めの使い過ぎによる頭痛(MOH)の有病率に関する調査は十分に行われていない。新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、MOHの有病率およびその特徴を明らかにするため、アンケート調査を実施した。また、クラスタリングを実施し、MOHのサブグループ化を行った。Neurological Sciences誌オンライン版2022年1月19日号の報告。  新潟県・糸魚川市において、COVID-19のワクチン接種後の待機時間を利用して15~64歳の住民を横断的に調査した。MOHの定義は、1ヵ月当たり15回以上の頭痛、過去3ヵ月間で1ヵ月当たり10日または15日以上の鎮痛薬の使用とし、自己報告により情報を収集した。ウォード法およびK-means++法を用いて、MOHのクラスタリングを行った。  主な結果は以下のとおり。

IPF合併肺がんに対するニンテダニブ+化学療法(J-SONIC)/日本臨床腫瘍学会

 特発性肺線維症(IPF)は高率に肺がんを合併する。IPF合併肺がんの大きな問題はIPFの急性増悪であり、ときに急速な呼吸不全から致死的となる。しかし、IPF合併例は進行非小細胞肺がん(NSCLC)の臨床試験のほとんどで除外されている。  北九州市立医療センターの大坪孝平氏らは、IPF合併進行NSCLCに対し、ニンテダニブ+化学療法と化学療法単独を比較したJ-SONIC試験を、わが国の複数の臨床試験グループ間で行った。J-SONIC試験はIPF合併肺がんでは、世界初となる第III相無作為化比較試験である。

認知症患者に対するベンゾジアゼピン、Z薬の使用

 世界中のガイドラインにおいて、認知症のBPSDや不眠の治療に対し、ベンゾジアゼピンやZ薬などのベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BZRA)の使用が制限下で推奨されている。オランダ・Center for Specialized Geriatric CareのDirk O. C. Rijksen氏らは、認知症ナーシングホームの入居者に対するBZRAの使用率と適切性についての評価を行った。Journal of Alzheimer's Disease Reports誌2021年12月9日号の報告。  2016~18年に実施した向精神薬使用に関する2つの介入研究より、BZRA使用に関して事後分析を実施した。対象は、24のオランダ介護組織の認知症特別ケアユニットに入居している患者1,111例。継続的および頓服のBZRAの使用率と患者の症状との関連を評価した。継続的なBZRA使用の適切性(適応症、投与量、投与期間、認知症や睡眠障害の治療ガイドラインに準じた評価)について評価した。  主な結果は以下のとおり。

がん治療のバイオシミラーのエビデンス、先発品より質が高い?/JAMA Oncol

 がん治療における3剤の先発バイオ医薬品のバイオシミラーに関する31試験をメタ解析したところ、バイオシミラーの試験のほうが先発品の主要試験に比べ、平均症例数が多く、無作為化、二重盲検化された試験が多かった。また、すべてのがん種で先発品と有効性が同等であることが示された。米国・Brigham and Women's HospitalのDoni Bloomfield氏らが、JAMA Oncology誌オンライン版2022年2月3日号で報告した。