医療一般|page:215

産後うつ病の有病率と環境要因~IGEDEPPコホート研究

 IGEDEPP(Interaction of Gene and Environment of Depression during PostPartum)研究とは、2011~16年に出産した白人女性3,310人を対象とし、産後1年目までフォローアップを行ったプロスペクティブコホート研究である。フランス・パリ大学のSarah Tebeka氏らは、IGEDEPP研究における早期および遅発性の産後うつ病の有病率および累積発症率の推定を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年4月16日号の報告。  ベースラインにおける社会人口統計データ、個人および家族の精神疾患歴、小児期および妊娠期のストレスの多いライフイベントを評価した。早期および遅発性の産後うつ病は、DSM-5基準を用いて、それぞれ産後8週間、1年間で評価を行った。

治療抵抗性片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体fremanezumab~FOCUS試験

 FOCUS試験では、世界各国の片頭痛患者、とくに治療困難な患者に対する予防薬の有効性や安全性を検討している。米国・Boston PainCareのEgilius L. H. Spierings氏らは、FOCUS試験のサブグループ解析として、既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療に奏効しなかった反復性および慢性片頭痛成人患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体fremanezumabによる治療の有効性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年4月16日号の報告。

ファイザーとAZのコロナワクチン、英国約63万人の副反応データ

 英国で3月までに新型コロナワクチンを接種した62万7,383例を対象に、副反応について調査したデータが集計され、The Lancet Infectious Diseasesオンライン版4月27日号に掲載された。  この前向き観察研究では、専門アプリを使って「BNT162b2」(ファイザー・BioNTech社製、以下ファイザー製)の1回または2回接種者、「ChAdOx1 nCoV-19」(アストラゼネカ製、以下AZ製)の1回接種者を対象に、接種後8日以内に自己申告された全身および局所の副反応の確率と比率を調べた。

COVID-19 デスクワーカーへの影響

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による社会的活動の制限は、デスクワーカーたちの日常生活、ライフスタイルおよびウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態を示す概念)に多大な悪影響を与えていることが、米国・ピッツバーグ大学のB Barone Gibbs氏らが実施した縦断研究によって裏付けられた。これらを改善するためには、雇用主はリモートワークの実施状況にかかわらず、すべての従業員に対して支援を考慮する必要があるという。Occupational Medicine誌2021年4月9日号の報告。  COVID-19の流行とそれに関連する社会的活動の制限は、人々のライフスタイルやメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことが報告されている。これらの結果を裏付けるため、本研究では、外出禁止令発令中におけるデスクワーカーの労働慣行、ライフスタイルおよびウェルビーイングに対するCOVID-19の長期的な影響を調査した。

痒みの悩みは軽そうでじつは重い問題/マルホ

 マルホ株式会社は、同社の実施した「頭皮トラブルを抱える生活者実態調査の結果」がまとまったことから「頭部の皮膚炎特有の悩みがもたらすQOL への影響と治療法の広がり」をテーマにWEB上でメディアセミナーを開催した。  セミナーでは、調査結果の概要とともに最新の頭部皮膚炎の治療法などの説明が行われた。  はじめに「頭皮トラブルを抱える患者の実態とQOLへの影響」をテーマに江藤 隆史氏(あたご皮フ科 副院長)が講演を行った。

腸内細菌叢から健康状態を測れるか

 健康的な食習慣に関連する腸内細菌群は、良好な心血管代謝および食後マーカーに関連する腸内細菌群と重なることが、イタリア・トレント大学のFrancesco Asnicar氏らによって示された。疾患を持たない個人では、健康レベルごとに腸内細菌叢を階層化できる可能性があるという。Nature Medicine誌2021年2月号の報告。  腸内細菌叢は食事によって形作られ、宿主の代謝に影響を与える。しかし、これらの関連性は複雑で、個人ごとに異なると考えられている。

ニボルマブ・イピリムマブ併用の肺がん1次治療、ASCO2021で発表される2演題(CheckMate-9LA/227)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年5月19日、2021年米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2021)にて発表されるニボルマブ(商品名:オプジーボ)およびイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の2つの試験結果を発表した。  1つ目は、未治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)において化学療法2サイクルを追加したニボルマブとイピリムマブの併用療法と4サイクルの化学療法を比較した第III相CheckMate-9LA試験の2年間追跡調査結果。CheckMate -9LA試験の2年全生存(OS)率は、同併用療法群で38%、化学療法群は26%あった。追加の追跡調査における同試験の主要評価項目であるOS中央値は、免疫療法薬の2剤併用療法群で15.8ヵ月、化学療法群では11.0ヵ月であった(HR:0.72、95%CI:0.61~0.86)。同併用療法の新たな安全性シグナルや治療に関連する死亡は認められなかった。

コロナパンデミックの2020年、各国の超過死亡は?/BMJ

 世界的な新型コロナウイルスの発生および感染拡大が見られた2020年。対コロナ施策や医療事情は国よって大きく異なるが、超過死亡の観点から分析するとどうなるのか。英国・オックスフォード大学ナフィールド人口保健局のNazrul Islam氏ら研究グループは、OECD加盟29ヵ国について2020年における超過死亡を調べたところ、米国、イタリア、英国、スペインなど26ヵ国で超過死亡の増加が見られた。これらの国の多くで、超過死亡の推定値がCOVID-19を死因として報告された死亡者数を大幅に上回っており、パンデミックが死亡率に与える影響を正確に判断するには超過死亡の評価が必要としている。BMJ誌2021年5月19日号掲載の報告。

妊娠中のコロナワクチン接種で乳児にも効果の可能性/JAMA

 妊娠中の女性はCOVID-19の罹患率や死亡率が高くなるが、ワクチンの臨床試験の対象から外されており、これまで妊婦に対するCOVID-19ワクチンの有効性と安全性のデータは限られていた。妊娠中・授乳中の女性103例を対象にイスラエルで実施された試験の結果がJAMA誌オンライン版2021年5月13日号に掲載された。  2020年12月~2021年3月にワクチンを接種した18歳以上の女性103例と、2020年4月~2021年3月にSARS-CoV-2感染が確認された女性28例が対象となった。ワクチン接種群103例はmRNA-1273(Moderna)またはBNT162b2(Pfizer-BioNTech)のいずれかを接種し、内訳は妊娠中30例、授乳中16例、非妊娠57例で、接種前のSARS-CoV-2感染が確認された参加者を除外した。感染群の内訳は妊娠中22例、非妊娠6例だった。

第2世代抗精神病薬による統合失調症治療におけるMetSに関連する因子

 重度の精神疾患を有する人は、一般の人と比較し、合併症の罹患や死亡率が増加する。体重増加を含む抗精神病薬の有害事象は、メタボリックシンドローム(MetS)の発症に影響を及ぼす可能性があり、これはすべての原因による死亡リスクや心血管疾患による死亡リスクの増加と関連している。オランダ・ユトレヒト大学のMarius H. Sneller氏らは、第2世代抗精神病薬(SGA)による治療を行った統合失調症スペクトラム障害患者におけるMetS関連の臨床的、生化学的、遺伝学的因子について、包括的なレビューを実施した。Frontiers in Psychiatry誌2021年3月29日号の報告。

COVID-19診療の手引きの第5版を公開/厚生労働省

 5月26日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5版」を公開した。  同手引きは診療の手引き検討委員会が中心となって作成され、第1版は2020年3月17日に、第2版は5月18日に、第3版は9月4日に、第4版は12月4日に公表され、細かい改訂など随時最新の内容に更新している。  今回の改訂では、前版以降の知見の拡充を行い、とくに血栓対策の治療、投与すべきでない薬剤(ヒドロキシクロロキンなど)の記載、新しく追加承認されたバリシチニブの追加、ファビピラビルの観察研究結果の更新などが反映されている。

片頭痛でも診療を受けない人は43%も/日本イーライリリー

 日本イーライリリー株式会社は、わが国の片頭痛診療の現状に関する大規模横断的疫学調査を行った。本調査は、日本に居住しかつ片頭痛の診断基準(ICHD-3)に該当するもしくは1年以内に頭痛発作を経験しかつ医師による片頭痛の診断を受けたことがある成人を対象に、わが国おける片頭痛の診断状況、治療パターン、および治療の妨げに関して、記述的に評価することを目的に行われ、その結果を第62回 日本神経学会学術大会で発表した。

進行悪性黒色腫患者におけるオプジーボ・イピリムマブ併用療法、6.5年の追跡調査(CheckMate-067)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年5月20日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法およびオプジーボ単剤療法が、イピリムマブ単剤療法と比較して、ファーストライン治療の進行悪性黒色腫患者において生存期間の持続的な改善を示した無作為化二重盲検第III相CheckMate-067試験の新たな6.5年データを発表した。  最短6.5年の追跡調査において、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法の全生存期間(OS)中央値は72.1ヵ月であった。これは進行悪性黒色腫に対する第III相試験において報告された最長のOSの中央値である。ニボルマブ単剤群のOS中央値は36.9ヵ月、イピリムマブ単剤群では19.9ヵ月であった。また、ニボルマブ・イピリムマブ併用群の6.5年無増悪生存(PSF)率は34%(中央値11.5ヵ月)、ニボルマブ単剤群では29%(中央値6.9ヵ月)、イピリムマブ単剤群では7%(中央値2.9ヵ月)であった。追跡調査で生存していた併用群患者のうち、77%(145例中112例)が無治療であり、その後の全身療法を受けていなかった。同様の患者の割合は、ニボルマブ単剤群で69%(122例中84例)、イピリムマブ単剤群では43%(63例中27例)であった。

新型コロナワクチン、接種会場での各病院の工夫とは?

 メディカル・データ・ビジョン株式会社は自社の病院向け経営支援システムを導入している病院に対して、接種会場での工夫点について緊急調査を実施。その結果、病院ごとに予診票の事前記入の促し、院内導線やスペース確保などを工夫していることが明らかになった(5月20日付プレスリリース)。  同社はこの調査を5月14日~19日の期間にウェブで実施、21病院から回答を得た。ワクチン接種体制で困っている点や課題に感じた点を聞いた(複数回答可)ところ、予約管理(66.7%)が最も多く、次いで接種人材の確保・役割分担(57.1%)、院内での接種会場の確保(52.4%)、円滑に接種するための動線(47.6%)、受付・問診(42.9%)だった。

ホルモン感受性と年齢別、乳がん後の2次原発がんリスク

 乳がんサバイバーの2次原発がん(SPC)リスクは、ホルモン受容体(HR)の状態と初発がんの診断年齢によって大きく異なる可能性が示唆された。米国がん協会のHyuna Sung氏らによるCancer誌オンライン版2021年5月18日号掲載の報告より。  解析には、米国のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)の12のレジストリのデータが用いられた。研究者らは1992~2015年までに20~84歳で診断された43万1,222人の乳がんサバイバー(1年以上の生存)を特定。SPCリスクは、標準化された発生率(SIR)および1万人年当たりの過剰絶対リスク(EAR)として測定した。ポアソン回帰モデルを用いてホルモン受容体の状態ごとのSIRが解析された。

双極性障害治療における非定型抗精神病薬使用~RCTのシステマティックレビュー

 双極性障害の治療では、非定型抗精神病薬の使用が増加している。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のKamyar Keramatian氏らは、最近発表された双極性障害に対する非定型抗精神病薬の有効性および安全性に関するランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューを実施した。Current Psychiatry Reports誌2021年5月8日号の報告。  主な結果は以下のとおり。 ・急性期双極I型および双極II型うつ病に対するクエチアピン治療の有効性は、いくつかの研究で支持されていた。 ・クエチアピン補助療法は、治療抵抗性双極性うつ病に対し、プラセボよりも優れた有効性が認められた。 ・双極I型うつ病に対しcariprazine1.5mgによる治療が有効であった。 ・月1回のアリピプラゾール持続性注射剤400mgによる治療は、代謝への影響を最小限にとどめたうえで、躁症状の予防に有効であった。 ・若年の双極性障害患者では、急性うつ病に対してルラシドンの有用性、忍容性が認められ、急性躁病および混合性エピソードに対してアセナピンの有効性が認められた。

新型コロナ既感染者、1年後の抗体保有状況は?/横浜市立大

 横浜市立大学の山中 竹春氏(学術院医学群 臨床統計学)率いる研究グループは、「新型コロナウイルス感染12ヵ月後における従来株および変異株に対する抗ウイルス抗体および中和抗体の保有率に関する調査」の記者会見を5月20日に開催。回復者のほとんどが6ヵ月後、12ヵ月後も従来株に対する抗ウイルス抗体および中和抗体を保有していたことを報告した。  本調査は同大学が開発した「hiVNTシステム」を用いて、新型コロナウイルス感染症からの回復者(2020年2~4月に自然感染した既感染者で、研究への参加同意を取得)約250例を追跡した国内最大規模の研究である。2021年3月末までの期間に採血・データ解析を行い、感染から6ヵ月後と12ヵ月後の抗ウイルス抗体と中和抗体の保有率を確認した。従来株(D614G)ならびに変異株4種[イギリス株(B.1.1.7)、ブラジル株(P.1)、南アフリカ株(B.1.351)、インド株(B.1.617)]を調査した。中和抗体の測定はシュードウイルス法を用いて行われた。

ペムブロリズマブ、高リスク早期TN乳がんでEFSを有意に改善/MSD

 MSDは、2021年5月13日、高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)と化学療法の術前併用療法と、それに続くペムブロリズマブの術後単独療法を評価する第III相試験KEYNOTE-522において、主要評価項目の1つである無イベント生存期間(EFS)を達成したと公表した。TNBCに対する術前・術後補助療法としてEFSを統計学的有意に改善したのは、抗PD-1抗体として初。なお、同試験のもう1つの主要評価項目である病理学的完全奏効(pCR)の達成は、2019年の欧州臨床腫瘍会議(ESMO)においてすでに公表・NEJM誌に掲載されている。

FDA、食道・胃食道接合部がんの術後補助療法にニボルマブ承認(CheckMate-577)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年5月20日本日、米国食品医薬品局(FDA)が、術前補助化学放射線療法(CRT)を受け病理学的残存病変を認めた完全切除後の食道がんまたは胃食道接合部(GEJ)がん患者の術後補助療法として、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)を承認したことを発表した。  この承認は、術前補助CRTおよび完全切除後に病理学的残存病変を認めた食道がんまたはGEJがん患者を対象に、オプジーボ(532例)とプラセボ(262例)を比較評価した第III相CheckMate-577試験の結果に基づいている。

統合失調症に対する抗精神病薬治療の有効性と安全性~日本でのRCTを用いたメタ解析

 さまざまな人種や民族のデータをプールした解析では、生物学的および環境的な不一致性が問題となる場合がある。そこで、藤田医科大学の岸 太郎氏らは、日本で実施された統合失調症に対する抗精神病薬治療のランダム化比較試験(RCT)のみを使用して、統合失調症に対する抗精神病薬の有効性および安全性の検討を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年4月30日号の報告。  Embase、PubMed、CENTRALより、文献検索を行った。主要アウトカムは、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの改善およびすべての原因による中止とした。副次的アウトカムは、PANSSサブスケールスコアの改善、有害事象または効果不十分による中止、16種の有害事象発生率とした。平均差またはリスク比と95%信頼区間を算出した。