医療一般|page:161

標準治療に不応または不耐のGISTにHSP90阻害薬ピミテスピブ発売/大鵬

 大鵬薬品工業は2022年8月30日、経口HSP(Heat Shock Protein)90阻害薬ピミテスピブ(製品名:ジェセリ)を発売したと発表した。  ピミテスピブは大鵬薬品が創製した化合物で、HSP90を阻害することによりがんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA、HER2やEGFRなどのタンパクを不安定化し、減少させることで抗腫瘍効果を示す。

サル痘患者に遭遇する前に…押さえておきたい鑑別方法とワクチン接種の注意点

 国内でも症例がじわじわと増えているサル痘。皮膚病変だけではなく、扁桃炎や口腔病変が報告され、ペットからの感染リスクも出てきているというから、医療者はいつ自分が感染者対応に追われるかわからない。そんな時のためにもサル痘やそのワクチンの知識を蓄えておく必要がありそうだ。8月2日にはKMバイオロジク社の天然痘(痘そう)ワクチンLC16「KMB」にサル痘の効能追加が承認され、順次、感染リスクの高い医療者への接種が見込まれる。しかしこのワクチン、添付文書の用法・用量を見てみると“二叉針を用いた多刺法により皮膚に接種”となかなか特徴的である。

モデルナとファイザーのBA.4/5対応追加接種用2価ワクチンを承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は8月31日付のプレスリリースで、モデルナとファイザーの新型コロナワクチンの緊急使用許可(EUA)を改訂し、野生株とオミクロン株BA.4/BA.5に対応した2価ワクチンで、既存の1価ワクチンの初回シリーズまたは追加接種から少なくとも2ヵ月後に、追加接種としての使用を承認したことを発表した。このたび緊急使用許可された2価ワクチンは「アップデートブースター(updated boosters)」とも呼ばれる。

サル痘+コロナ+HIVのトリプル感染が初報告、臨床経過は?

 サル痘、COVID-19、HIV感染症に同時に感染した症例がイタリアで報告された。患者の男性は、発熱や咽頭痛などが生じてSARS-CoV-2陽性の診断を受け、皮膚病変が発現・悪化したため入院し、サル痘ウイルスとHIVの陽性が判明した。イタリア・カターニア大学のSanti Nolasco氏らによる、The Journal of infection誌オンライン版2022年8月19日号掲載の報告。  本患者は、イタリア人の男性(35歳)で、スペインに2022年6月16日~20日の5日間滞在していた。その間、避妊具なしで男性と性交渉を行ったという。主な臨床経過は以下のとおり。

超加工食品の摂取と認知症リスク

 超加工食品の摂取が、うつ病、心血管疾患、すべての原因による死亡といった健康への悪影響と関連することを示唆するエビデンスが増加している。しかし、超加工食品が認知症と関連しているかは、よくわかっていない。中国・天津医科大学のHuiping Li氏らは、UK Biobankのデータを用いて、超加工食品と認知症発症との関連を調査した。その結果、超加工食品の摂取量が多いほど認知症リスクが上昇し、超加工食品の一部を未加工食品または最小限の加工食品に置き換えることで、認知症リスクが低下することを報告した。Neurology誌オンライン版2022年7月27日号の報告。

新型コロナ発症抑制と治療に「エバシェルド」が特例承認/AZ

 アストラゼネカは8月30日付のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生抑制および治療の両方を適応として、同社の長時間作用型モノクローナル抗体の併用療法である「チキサゲビマブ(遺伝子組換え)/シルガビマブ(遺伝子組換え)」(販売名:エバシェルド筋注セット、以下エバシェルド)が、厚生労働省より製造販売の特例承認を取得したことを発表した。  新型コロナの発生抑制を適応としたエバシェルドの投与対象となるのは、成人および12歳以上かつ40kg以上の小児で、新型コロナワクチンの接種が推奨されない人、または、血液悪性腫瘍患者など、免疫機能の低下等によりワクチン接種で十分な免疫応答が得られない可能性がある人となる。また、新型コロナ患者との濃厚接触者でない人のみ投与を受けられる。用法および用量は、筋肉内注射により、チキサゲビマブ150mgとシルガビマブ150mgの計300mgを投与する。なお、新型コロナの変異株の流行状況等に応じて、チキサゲビマブ300mgとシルガビマブ300mgの計600mgを投与することもできるとしている。

医療者のコロナ感染リスク、着用マスクや累積曝露時間による

 COVID-19患者との接触機会の多い医療従事者の感染予防に、サージカルマスクよりレスピレーターマスク(FFP2、N95やDS2に相当)が有用であることが示唆されているが、科学的エビデンスは少ない。今回、スイス・Cantonal Hospital St. GallenのTamara Dorr氏らの医療従事者を対象としたコホート研究で、レスピレーターマスク使用がサージカルマスク使用より感染リスクが40%以上低くなること、COVID-19患者への累積曝露時間と感染リスクに用量反応関係があることが示唆された。JAMA Network Open誌2022年8月15日号に掲載。

日本人高齢者におけるうつ病と道路接続性との関係~JAGES縦断研究

 高齢者において、メンタルヘルス対策は重要であり、近隣環境がうつ病の保護因子として注目されている。これまでの調査では、近隣環境の重要な指標である道路接続性が高齢者の健康と関連していることが示唆されている。しかし、道路接続性とうつ病との関連については、不明なままであった。千葉大学のYu-Ru Chen氏らは、高齢者のうつ病と道路接続性との関係について調査を行った。その結果、道路接続性と高齢者のメンタルヘルスとの関連が示唆された。著者らは、本調査結果が今後の健全な都市計画の検討に貢献する可能性があるとしている。Scientific Reports誌2022年8月8日号の報告。

アトピー性皮膚炎患者へのデュピルマブ、治療継続率と関連因子が明らかに

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎(AD)患者におけるデュピルマブによる治療継続率と関連因子が、オランダ・ユトレヒト大学のLotte S. Spekhorst氏らが行った多施設前向き日常臨床BioDayレジストリのデータを解析したコホート試験により示された。デュピルマブ治療継続率は、1年時90.3%、3年時も78.6%と良好であったこと、また、ベースラインで免疫抑制剤を使用していた患者や4週目で治療効果が示されない患者は、治療中断となる傾向があることなどが明らかにされた。著者は、「今回示されたデータは、アトピー性皮膚炎のデュピルマブ治療に関する、より多くの洞察と新しい視点を提供するもので、患者に最適なアウトカムをもたらすことに寄与するだろう」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年8月10日号掲載の報告。  研究グループは、これまで不足していたアトピー性皮膚炎患者におけるデュピルマブ治療の継続率と、関連因子を特定するコホート試験を、多施設前向き日常臨床BioDayレジストリのデータをベースに行った。BioDayレジストリには、オランダの大学病院4施設および非大学病院10施設で被験者が募集され、解析には、4週以上追跡を受けていた18歳以上の患者が包含された。BioDayレジストリで、デュピルマブ治療を受けた最初の患者が記録されたのは2017年10月であった。2020年12月時点でデータをロックし、データ解析は2017年10月~2020年12月に行われた。

5~11歳への3回目ファイザー製ワクチンを承認/厚生労働省

 厚生労働省は8月30日、5~11歳を対象とするファイザー製新型コロナウイルスワクチン「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」(販売名:コミナティ筋注5~11歳用)について、追加接種(追加免疫)の用法・用量追加について承認したことを発表し、添付文書を改訂した。  今回の追加接種の年齢層の拡大は、海外第I/II/II/相試験(C4591007試験)第II/III相パートのデータに基づいている。本試験では、本剤10μgを2回接種済みの5~11歳の小児参加者401例に、2回目接種から5~9ヵ月後に本剤10μgを1回接種したときの免疫原性および安全性が検討された。

キムリア、再発・難治性濾胞性リンパ腫の成人へのCAR-T細胞療法で追加承認/ノバルティス

 2022年8月26日、ノバルティス ファーマは再発または難治性の濾胞性リンパ腫(FL)の治療薬として、CAR-T細胞療法、キムリア点滴静注(一般名:チサゲンレクルユーセル)の効能追加の承認を取得したことを発表した。今回の発表は、2次治療またはそれ以降の全身療法(抗CD20抗体およびアルキル化剤を含む)で再発または難治性の成人FL患者を対象とした、キムリアの有効性および安全性を評価する単群、非盲検、国際共同第II相臨床試験(ELARA試験)の結果に基づいたものである。  ELARA試験において、69%の患者が完全奏効、86%の患者が奏効(完全奏効または部分奏効)を達成した。奏効を達成した患者のうち、最初に奏効が確認されてから9ヵ月時点の奏効維持率は76%(完全奏効を達成した患者では87%)であり、持続的な奏効も示されていた。また、安全性プロファイルはこれまでに報告されたキムリアの適応症で認められたものと一貫していた。

境界性パーソナリティ障害と統合失調症の幻覚・妄想症状の比較

 境界性パーソナリティ障害(BPD)でみられる幻覚・妄想は、これまで十分に研究されていなかった。オーストラリア・スウィンバーン工科大学のZalie Merrett氏らは、BPD患者の多感覚幻覚・妄想を現象学的に調査し、統合失調症スペクトラム障害(SSD)患者でみられるこれらの症状との比較を行った。併せて、臨床精神病理学的調査も行った。その結果、BPD患者では多感覚幻覚・妄想が頻繁に認められることから、BPDを治療する場合にはこれらの症状の把握が重要であることが報告された。Journal of Personality Disorders誌2022年8月号の報告。

第7波のコロナ重症化リスク因子/COVID-19対策アドバイザリーボード

 8月13日に開催された厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで「第7波における新型コロナウイルス感染症 重症化リスク因子について(速報)」が報告された。  本報告は、蒲川 由郷氏(新潟大学大学院医学総合研究科 十日町いきいきエイジング講座 特任教授)らのグループが、2022年7月1日~31日までに新潟県内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断・届け出された3万6,937件を対象に調査したもの。  その結果、重症化のリスク因子として70代以上の高齢者、ワクチンの未接種、慢性呼吸器疾患、(非透析の)慢性腎臓病、男性、やせ体形につき、統計学的な有意差があった。

T-DXd単剤療法におけるILD発生状況、9試験のプール解析結果/ESMO Open

 間質性肺疾患(ILD)/肺炎は、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)に関連する重要な有害事象である。米国・マウントサイナイ医科大学のC A Powell氏らは、T-DXd単剤療法に関する9つの第I相および第II相試験のプール解析を実施し、ILD/肺炎のリスクを評価した。ESMO Open誌2022年8月10日号に掲載。  治験責任医師が評価したILD/肺炎について、独立判定委員会が後ろ向きにレビューし、薬剤関連ILD/肺炎と判定された事象について要約した。

ユルトミリス、全身型重症筋無力症の適応追加

 アレクシオンファーマは、「ユルトミリス点滴静注300mg」「ユルトミリスHI点滴静注300mg/3mL」「ユルトミリスHI点滴静注1100mg/11mL」(一般名:ラブリズマブ[遺伝子組み換え]、以下ユルトミリス)について、成人の全身型重症筋無力症(gMG)に対する適応追加の承認を、2022年8月24日付で取得したことを発表した。  ユルトミリスは、最初で唯一の長時間作用型抗補体C5抗体であり、速やかかつ全面的・持続的に終末補体を阻害する。成人の患者において、導入期として初回投与、維持期として初回投与2週後投与、以降8週間ごとに静脈内投与される。

妊娠中の不眠症~12年間の米国調査

 米国・サウスフロリダ大学のAnthony M. Kendle氏らは、全米の代表的な大規模データベースを用いて、12年間にわたる妊産婦の不眠症有病率とその傾向を推定し、不眠症、妊産婦の併存疾患、重度の妊産婦罹患率(SMM)との関連を調査した。その結果、妊産婦の不眠症の有病率は年々増加しており、不眠症はSMMの独立した予測因子であることが明らかとなった。Sleep誌オンライン版2022年7月28日号の報告。  2006~17年の入院患者サンプルより、米国の妊娠関連入院の連続横断的分析を実施した。分娩中および非分娩中の不眠症および産科併存疾患の診断には、ICD-9およびICD-10コードを用いた。主要アウトカムは、分娩中のSMM診断とした。不眠症とSMMの傾向を推定するため、ジョインポイント回帰を用いた。

切除不能のStageIII非小細胞肺がんに免疫放射線療法 化学療法は省略できるか(DOLPHIN)/WCLC2022

 デュルバルマブは切除不能のStageIII非小細胞肺がん(NSCLC)の化学放射線療法(CRT)後の地固め療法として標準治療となった。 しかし、患者の25%はCRTによる全身状態の低下によりデュルバルマブ治療を受けられない。一方、放射線治療と免疫治療は相乗効果がある。そこで、切除不能のStageIII NSCLCに対し化学療法を省きデュルバルマブを用いた、免疫放射線療法を評価する第II相DOLPHIN試試験(WJOG11619L)が行われた。神戸大学の立原 素子氏が世界肺癌学会(WCLC2022)で発表している。

『がん医療におけるせん妄ガイドライン 』第2版の主な改訂点を解説

 日本サイコオンコロジー学会 / 日本がんサポーティブケア学会編『がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 1 がん患者におけるせん妄ガイドライン 2022年版』(金原出版)を刊行した。2019年の初版に続く改訂2版となる。改訂作業にあたった京都大学医学部附属病院緩和ケアセンター/緩和医療科 精神科医の谷向 仁氏に、主な変更点やポイントを聞いた。  がん患者さんは精神的な問題を抱えることが多いのですが、その対応は医療者個人の診療経験などによってばらつきが認められています。この経験による判断はもちろん大切なのですが、一方で様々なバイアスによる影響も懸念されます。

コロナ感染6日目、抗原検査陰性なら隔離解除は可能か?

 家庭用迅速抗原検査は、感染初期にはウイルス培養検査と相関するが、陽性から5、6日目以降のデータは少ない。そこで、新型コロナ陽性もしくは症状発現から6日目以降の抗原検査陽性率、症状、ウイルス培養陽性率について検証したところ、症状が残存している人でも自己抗原検査で陰性であれば隔離解除できるということが示唆された。一方で、抗原検査陰性を隔離解除の条件として常に求めることは、感染性のウイルスを排出しない人の隔離を過度に延長することになるかもしれないという。本結果は、米国・Brigham and Women's HospitalのLisa A. Cosimi氏らが、JAMA Network Open誌2022年8月3日号のリサーチレターで報告した。