医療一般|page:125

医師のサイバー被害や対策、実際の状況は?/医師1,000人アンケート

 今年の4月からオンライン資格確認の導入(マイナンバーカードの保険証利用)が原則として義務付けられることが厚生労働省より発出されている1)。しかし、ランサムウェアのような診療を妨げるウイルス感染が問題になるなか、サイバーセキュリティーの観点からもオンライン上での個人情報管理に不安を抱える医師は一定数いるだろう。そこで今回、ケアネット会員のうち、20床未満の施設に所属する医師1,000人に「自施設のサイバーセキュリティー対策」に関するアンケートを実施した。

GLP-1受容体作動薬・TAZ/PIPC、重大な副作用追加で添文改訂/厚労省

 厚生労働省は2023年2月14日、GLP-1受容体作動薬含有製剤およびGIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドの添付文書について、改訂を指示した。改訂内容は、『重要な基本的注意』の項への「胆石症、胆嚢炎、胆管炎または胆汁うっ滞性黄疸に関する注意」の追記、『重大な副作用』の項への「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の追加である。本改訂は、GLP-1受容体作動薬含有製剤投与後に発生した「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の国内症例の評価、GLP-1受容体作動薬と急性胆道系疾患との関連性を論じた公表文献の評価に基づくもの。

転移を有する乳がんでタキサン再投与が有効な患者は?

 推奨される抗がん剤をすべて投与された転移乳がん患者において、全身状態が良好であるにもかかわらず病勢進行に苦しむ患者は少なくない。この状況で、タキサンなどの忍容性の高い抗がん剤の再投与が選択肢の1つになる場合がある。そこで、フランス・Centre Georges Francois Leclerc Cancer CenterのManon Reda氏らは、タキサン投与歴のある転移乳がん患者におけるタキサン再投与の有用性について検討した。その結果、とくにタキサンが乳がん経過の早期に効果を示した場合や病勢進行以外の理由で中止された場合に、タキサン再投与が現実的方法として支持された。Breast誌オンライン版2023年2月4日号に掲載。

5~11歳児へのコロナワクチン、MIS-C低減/筑波大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック初期では、小児が感染しても、成人より軽い症状を呈する傾向があることが研究で示されていた。しかし、パンデミックの進行に伴い、呼吸不全、心筋炎、COVID-19 に続発する小児多系統炎症性症候群(MIS-C)など、重症化や合併症を発症するリスクがあることが新たに示唆されている。5~11歳の小児への新型コロナウイルスmRNAワクチンの有効性と安全性を評価するため、筑波大学附属病院 病院総合内科の渡邊 淳之氏らの研究グループにより、系統的レビューとメタ解析が行われた。

生まれた季節と統合失調症リスク~メタ解析

 冬季出生の子供は、統合失調症リスクが増加するといわれ、100年近く経過している。統合失調症リスクと冬季出生との関連性を示す観察研究に基づき、ビタミンD欠乏症や子宮内でのウイルス曝露などの統合失調症の潜在的な病因リスク因子に関する仮説が考えられている。米国・イェール大学のSamantha M. Coury氏らは、出生の季節と統合失調症リスクとの関連を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、誕生月のデータを使用した分析では、北半球で冬季出生の子供は統合失調症リスクが高く、夏~秋に出生した子供は統合失調症リスクが低いという季節的傾向が認められた。Schizophrenia Research誌オンライン版2023年1月20日号の報告。

NAFLDに対するペマフィブラート、よく効く患者の特徴

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に対するペマフィブラート※の投与は、BMI に関係なく肝炎症および線維化のマーカーを改善し、なかでもBMI 25未満の患者のほうがBMI 30以上の患者と比較して効果が高いことが、篠崎内科クリニックの篠崎 聡氏らの研究で明らかになった。Clinical and experimental hepatology誌2022年12月8日号の報告。 ※ペマフィブラート(商品名:パルモディア)の効能・効果は「高脂血症(家族性を含む)」(2023年2月3日現在)。  NAFLDは、世界で最も一般的な慢性肝疾患であり、近年発症率が増加している。日本では2018年に登場した選択的ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-αモジュレーター(SPPARMα)であるペマフィブラートは、NAFLDの改善が期待されている薬剤の1つである。本研究は、NAFLD患者におけるペマフィブラート投与後の炎症および線維化改善の予測因子を特定する目的で行われた。

モデルナ製コロナワクチン、対象年齢引き下げに向け承認事項一部変更申請

 モデルナ・ジャパンは2023年2月9日付のプレスリリースで、スパイクバックス筋注(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン[SARS-CoV-2])の接種対象年齢を、現在の「12歳以上」から「6歳以上」に引き下げるため、厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。  今回の承認事項一部変更申請は、「スパイクバックス筋注(1価:起源株)」の6~11歳における初回免疫、「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」と「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」の6~11歳における追加免疫を対象としたものである。

コクランレビューが導き出したマスク着用効果

 2020年の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)流行以前にも新型インフルエンザ(H1N1)や重症急性呼吸器症候群 (SARS)の感染拡大が問題視され、その度にコクランレビューがなされてきた。今回、新型コロナ流行に関する研究を盛り込み更新されたシステマティックレビューがCochrane Libraryの2023年1月30日版に掲載された。  オックスフォード大学のTom Jefferson氏らは急性呼吸器感染症に影響するウイルスの拡散阻止または軽減のための身体的介入の有効性を評価することを目的に論文データベース(CENTRAL、PubMed、Embaseほか)および2022年10月に登録された2試験から、後方引用と前方引用によるシステマティックレビューを行った。

胆道がんのアンメットニーズ充足へ、デュルバルマブ適応追加/AZ

 アストラゼネカは、抗PD-L1抗体デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)が2022年12月23日に「治癒切除不能な胆道癌」「切除不能な肝細胞癌」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を適応症とした承認を取得したことを受け、「進行胆道がん治療におけるイミフィンジの役割とは~免疫チェックポイント阻害剤による胆道がん治療の変革~」をテーマとして、2023年2月7日にメディアセミナーを開催した。  胆道がんの1年間の罹患数は2万2,201例(2018年)、死亡数は1万7,773例(2020年)と報告されている1)。一般的に、胆道がんは予後不良であり、手術による切除例や切除不能例を含めた胆道がん全体での5年生存率は、20~30%とされている1)。多くの場合、胆道がんは進行期になってから診断され、遠隔転移が認められてから診断される割合は全体の4割に上るという報告もある2)。また、遠隔転移のある場合、1年生存率は14~16%と非常に予後が悪いことも報告されている3)。このように、胆道がんはアンメットメディカルニーズの高いがんといえる。

女児の運動有能感に効果的なのは?

 児童期の発達にとって重要とされる外遊びは、とくに女児において運動有能感を向上させ、自発的な身体活動を促進する可能性があることが、神戸大学大学院保健学研究科のRyo Goto氏らによる研究で明らかになった。Children誌2023年1月10日号の報告。  児童期の外遊びは年々減少傾向にある。運動有能感の向上は、外遊びやスポーツクラブなどでの身体活動を促進するが、運動有能感と外遊びとの関係はわかっていなかった。今回、児童における運動有能感の向上と外遊びとの関係を調査し、男女間で差があるかどうかを調べる目的で横断研究が行われた。

免疫便潜血検査陽性と認知症との関連

 免疫便潜血検査(FIT)は、大腸がん(CRC)のスクリーニングに広く用いられているが、CRC以外の疾患の場合でもFIT陽性になることがある。韓国・ソウル大学のYu Kyung Jun氏らは、FIT陽性結果と認知症発症との関連を調査した。その結果、FIT陽性は、とくに65歳未満の人で認知症リスクの増加と関連が認められた。著者らは、FIT陽性者で悪性腫瘍が認められない場合、臨床医は認知症の可能性を考慮すべきであるとまとめている。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2023年1月12日号の報告。

乾癬の発症にPCSK9が関与か

 脂質異常症の治療薬として用いられているPCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)阻害薬について、乾癬予防に使用できる可能性が指摘された。英国・マンチェスター大学のSizheng Steven Zhao氏らによる1万2,116例の乾癬患者を対象としたメンデルランダム化解析において、乾癬の発症へのPCSK9の関与が示唆された。脂質経路は乾癬の発症に関与しており、スタチンなどの一部の脂質低下薬は疾患修飾の特性を有すると考えられている。しかし大規模集団での研究はほとんど実施されておらず、従来の観察研究の結果に基づく因果関係の解釈は、交絡因子の存在により限界があった。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年1月25日号掲載の報告。

ADHDスクリーニング、親と教師の精度に関する調査

 注意欠如多動症(ADHD)のスクリーニング精度について、小学生の親または学校教師による違いを明らかにするため、中国・The First Hospital of Jilin UniversityのHong-Hua Li氏らは検討を行った。また、ADHDに対する親の認識や情報源に影響を及ぼす因子、ADHD陽性スクリーニング率へのそれらの影響についても併せて調査した。その結果、小学生の親と教師ではADHD症状の認識が異なっており、ADHDスクリーニング陽性率は親よりも教師において有意に高いことが明らかとなった。親のADHDの認識に影響を及ぼす因子として、親の性別・教育レベル、子供の性別・年齢・学年、ADHDに関する情報源が挙げられた。結果を踏まえ著者らは、父親、教育レベルの低い両親、小学2年生・3年生の両親においては、ADHD症状の早期認識を向上させるために、ADHDに関するより多くの知識の習得が必要であるとしている。Frontiers in Psychology誌2022年12月23日号の報告。

ペムブロリズマブ+化学療法による胆道がん1次治療、生存期間を延長(KEYNOTE-966)/Merck

 2023年1月25日、Merck社は、第III相KEYNOTE-966試験の最終解析結果を公表した。この試験では、進行または切除不能な胆道がん(BTC)の1次治療において、ペムブロリズマブと標準化学療法(ゲムシタビンおよびシスプラチン)の併用は、全生存期間(OS)を統計学的に有意に延長し、臨床的に意義のある改善を示した。また、同試験におけるペムブロリズマブの安全性プロファイルは、これまでの試験の結果と一貫していた。  この結果については、今後さまざまな腫瘍関連学会で発表するとともに、各国の規制当局へ承認申請する予定。

がんと共に生きる人々を支えるために、医師ができること/武田

 がん治療の進歩は目覚ましく、新たな治療法が続々と登場している。しかし、がん患者の精神・心理的苦痛に対する支援はどうだろうか。がん患者が抱える課題と、それに対する取り組みについての理解を深めることを目的に、武田薬品工業は「がんになっても“誰一人取り残されない社会”を作るために」をテーマとして、2023年1月27日にメディアセミナーを開催した。  セミナーの前半では、大西 秀樹氏(埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 診療部長・教授)が「がん患者さん・ご家族の心理社会的支援の必要性」をテーマに、心理支援の重要性を語った。後半では、坂本 はと恵氏(国立がん研究センター東病院 サポーティブケアセンター 副サポーティブケアセンター長)が「がん相談支援センターの役割と現状」をテーマに、がん相談支援センターの具体的な業務内容を紹介し、医療者・患者への周知の重要性を述べた。セミナーの座長は、悪性リンパ腫の罹患経験を有する天野 慎介氏(一般社団法人全国がん患者団体連合会 理事長)が務めた。

新型コロナ、米0~19歳の感染症による死因1位

 新型コロナウイルス感染症による死亡は、昨年7月までの1年間において米国の0~19歳の全死因の8位、感染症または呼吸器疾患による死亡では1位だったことがわかった。英国オックスフォード大学のSeth Flaxman氏らによる本研究の結果は、JAMA Network Open誌2023年1月30日号に掲載された。  研究者らは、米国疾病対策予防センター(CDC)のWide-Ranging Online Data for Epidemiologic Research(WONDER)データベースを使い、2020年4月1日~2022年8月31日まで、12ヵ月の期間ごとにCOVID-19の死亡率を算出。

認知症の初期症状によってその後の進行速度が異なる

 記憶力の低下は認知症で見られる最も一般的な症状だが、認知症の初期にそれが現れた人は、ほかの症状が初期に現れた人よりも、その後の進行が緩やかであるとする研究結果が報告された。米クリーブランド・クリニック脳の健康センターのJagan Pillai氏らの研究によるもので、詳細は「Alzheimer's & Dementia」に12月20日掲載された。  Pillai氏は、「文章を書いたり、計画を立てたり、問題を解決したり、空間や距離を把握したりする能力の低下が認知症の初期に現れた人に比べて、記憶力の低下が最初の症状だった人は、認知機能の低下速度がわずかに遅い。今後の研究により、初期症状によってその後の経過を予測できることが証明されたなら、患者やその家族が将来への備えを考える際に有用な情報となるだろう」と述べている。

代謝的に健康でもFIB-4 index高値の男性はCKDリスクが高い

 代謝的に健康で慢性腎臓病(CKD)のリスクは低いと考えられる男性でも、肝臓線維化マーカーである「FIB-4 index」が高い場合はCKDリスクが高いことを示唆するデータが報告された。産業医科大学病院腎センターの久間昭寛氏らが行った縦断的研究の結果であり、詳細は「Scientific Reports」に10月5日掲載された。  メタボリックシンドロームの肝臓における表現型とされる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝硬変や肝がんのリスクであるのと同時に、心血管代謝疾患リスクとも関連のあることが知られている。さらに、NAFLDがアルブミン尿のリスク因子であるとする報告もある。ただし、NAFLDがCKDの独立したリスク因子であるか否かは十分検討されていない。これを背景として久間氏らは、NAFLDなどによる肝線維化の簡便な指標であるFIB-4 indexとCKDリスクとの関連を検討した。

昼寝とうつ病リスク~メタ解析

 いまだ議論の余地が残る昼寝とうつ病リスクとの関連について、中国・江西科技師範大学のLiqing Li氏らはメタ解析を実施し、これらの関連性を明らかにしようと試みた。その結果、昼寝はうつ病の予測因子であることが示唆された。Frontiers in Psychology誌2022年12月15日号の報告。  2022年2月までに公表された研究を、PubMed、Embase、Web of Science、China National Knowledge Infrastructure databasesより検索し、解析に含めた研究のリファレンスリストの情報も併せて収集した。ランダム効果モデルを用いて、複合エフェクトサイズを推定した。

オミクロン株XBB.1.5、感染力・免疫逃避能ともに増強/東大

 米国疾病予防管理センター(CDC)が発表したデータによると、米国では2022年12月より新型コロナウイルスのオミクロン株XBB.1.5の感染が急激に増加し、2023年2月4日時点で全体の66.4%を占めている。XBB.1から派生したXBB.1.5は、日本でも感染例が確認されており、今後の感染拡大が懸念されている。東京大学医科学研究所の佐藤 佳氏らの研究グループは、オミクロン株XBB.1.5のウイルス学的特徴を、流行動態、感染性、免疫抵抗性などの観点から解析し、XBB.1.5はXBB.1と比べて、実効再生産数(Re)が1.2倍高いことや感染力が高まっていること、さらに血清中の中和抗体に対してBA.2やBA.5よりもきわめて高い免疫逃避能を持つことを明らかにした。本結果は、Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年1月31日号のCORRESPONDENCEに掲載された。