医療一般|page:165

RAS野生型大腸がんの1次治療、オンするのはパニツズマブかベバシズマブか(PARADIGM試験)/ASCO2022

 RAS野生型の進行・再発大腸がん(mCRC)1次治療において、パニツズマブ+mFOLFOX6とベバシズマブ+mFOLFOX6を比較したPARADIGM試験の最終解析結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)のPlenary Sessionで、国立がん研究センター東病院の吉野孝之氏から報告された。  PARADIGM試験は、日本国内の197施設で実施されたオープンラベルの第III相無作為化試験である。 ・対象:転移のある未治療のRAS野生型大腸がん(mCRC)患者(823例) ・試験群:パニツズマブ+mFOLFOX6(Pani群:411例) ・対照群:ベバシズマブ+mFOLFOX6(Beva群:412例) ・評価項目: [主要評価項目1] 左側原発例(左側集団)における全生存期間(OS) [主要評価項目2] 右側原発例を含む全体集団におけるOS

デルタクロン株、ワクチンや感染による免疫から逃避する?/NEJM

 新型コロナウイルスオミクロン株BA.3とデルタクロン株が、ワクチン接種や感染による誘導免疫から逃避するかどうかは不明である。今回、米国・オハイオ州立大学のJohn P. Evans氏らが、3種類の血清サンプルでこれらの株に対する中和抗体価を調べた結果、BA.3株は免疫逃避変異株ではないが、デルタクロン株はBA.1株やBA.2株における強力な耐性を保持していることが示唆された。NEJM誌オンライン版2022年5月18日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

進行乳がん治療のパラダイムシフト、HER2低発現患者でT-DXdがPFSを大きく改善(DESTINY-Breast04)/ASCO2022

 HER2低発現で既治療の進行乳がん患者に対し、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が治験医師選択の化学療法と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。従来HER2陰性に分類されてきた転移を有する乳がん(mBC)患者の約55%がHER2低発現に該当すると報告されている。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのShanu Modi氏が第III相DESTINY-Breast04試験の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。なおDESTINY-Breast04試験の結果は6月5日、New England Journal of Medicine誌に掲載された。 ・対象:HER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)、1~2ラインの化学療法歴のある切除不能および/または転移を有する乳がん患者(ホルモン受容体陽性[HR+]の場合は内分泌療法抵抗性) 557例  以下の2群に2対1の割合で無作為に割り付け ・試験群(T-DXd群):T-DXdを3週間間隔で5.4mg/kg投与 373例 ・対照群(TPC群):治験医師選択の化学療法(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ナブパクリタキセルのいずれか) 184例 ・層別化因子:HER2発現状態(IHC 1+ vs.IHC 2+/ISH-)、化学療法歴、ホルモン受容体の状態、CDK4/6阻害薬による治療歴 ・評価項目: [主要評価項目]HR+患者における盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS) [主要副次評価項目]全例におけるBICRによるPFS、HR+患者および全例における全生存期間(OS) [その他の評価項目]客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性、HR-患者の探索的解析

若年性双極性障害およびうつ病患者における自殺行動~メタ解析

 うつ病または双極性障害の小児および青年における自殺行動の割合や死亡率を評価するため、イタリア・IRCCS Bambino Gesu Pediatric HospitalのGiulia Serra氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、気分障害と診断された若者の死亡率(自殺企図当たりの死亡者数)は、一般的な若者よりも高いものの、成人よりは低いことを報告した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年5月16日号の報告。  18歳以下の自殺行動に関する報告をシステマティックにレビューし、プールされたデータから自殺行動リスクや1年発生率を評価するため、ランダム効果メタ解析および多変量線形回帰モデルを用いた。

ビレーズトリとビベスピの120吸入製剤を発売/AZ

 アストラゼネカは、2022年6月6日、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療配合剤「ビレーズトリエアロスフィア120吸入」(一般名:ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)と「ビベスピエアロスフィア120吸入」(一般名:グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)の販売を同日より開始したと発表。  両製品における120吸入製剤のニーズは高く、それに応える形で追加発売となった。これにより、1つの吸入器で1ヵ月分の投薬が可能となる。

急性膵炎の抗菌薬処方はもう古い!?最新治療とは―診療ガイドライン2021発刊

 専門医でも抗菌薬や蛋白分解酵素阻害薬の投与が慣例となっている急性膵炎の治療。ところが、昨年12月に発刊された『急性膵炎診療ガイドライン2021年版(第5版)』で、遂に治療法へのメスが入ったのである。診断よりも治療法に重きを置いて今回の改訂がなされた理由について、急性膵炎診療ガイドライン改訂出版責任者の高田 忠敬氏(帝京大学附属病院)にインタビューした。  今回6年ぶりに発刊された急性膵炎診療ガイドライン第5版では、「予防的抗菌薬の投与がほぼ全例で行われている」「発症48時間以内の早期の経腸栄養が開始されていない」点を専門医に向けて問題提起している。急性膵炎の治療において栄養摂取は時間勝負であり予後改善の分岐点ともなることから、いかに早期に食事を開始するか、その方法や意義などが盛り込まれた。

ヘルスケアベンチャー大賞への参加者募集【ご案内】

 日本抗加齢協会と日本抗加齢医学会は、今秋もヘルスケアベンチャー大賞を開催する。4回目を迎える同大賞は『アンチエイジングからイノベーションを!』をテーマに掲げ、アンチエイジングに資するヘルスケア分野のビジネスプランやアイデアを募集する。  新たなスタートアップを立ち上げることは並大抵のことではないが、近年、医師による起業や新規事業の立ち上げが増加しており、本大賞はそのような医師らの積極的な活動を応援するために2019年より始まった。起業準備中の個人や企業との連携を求める個人なども応募が可能で、1次書類審査にてファイナリスト8名(社)を選出し、10月の最終審査で受賞者が決定する。大賞・学会賞受賞者は賞金授与だけではなく、翌年6月に開催予定の第23回日本抗加齢医学会総会での発表機会や企業展示支援も与えられる。

抗体薬物複合体SG、複数治療歴のあるHR+転移乳がんでもPFS改善(TROPiCS-02)/ASCO2022

 内分泌療法、CDK4/6阻害薬、化学療法による複数の治療歴があるHR+/HER2-転移乳がん患者に対して、抗TROP2抗体薬物複合体sacituzumab govitecan(SG)が、医師選択治療(TPC)に比べ有意に無増悪生存期間(PFS)を改善したことが、第III相TROPiCS-02試験で示された。米国・UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。  欧米では、SGは2種類以上の前治療歴を有する転移のあるトリプルネガティブ乳がんに対して承認されている。HR+/HER2-転移乳がんに対しては、第I/II相IMMU-132-01試験において、客観的奏効率(ORR)31.5%、PFS中央値5.5ヵ月、全生存期間(OS)中央値12ヵ月、管理可能な安全性プロファイルが確認されている。今回、HR+/HER2-転移乳がんに対する第III相TROPiCS-02試験の結果が報告された。

若年性認知症の診断5年前からみられる症状

 若年性認知症には多くの根本的な病因があり、初期症状の不均一性が大きいといわれている。そのため、一般開業医が若年性認知症を発見することは困難である。オランダ・マーストリヒト大学のStevie Hendriks氏らは、若年性認知症の診断前段階でみられる一般的な初期症状の特定を試みた。その結果、若年性認知症患者では診断5年前より異なる症状が認められるが、各症状は他疾患においても認められるため、一般開業医が若年性認知症を鑑別診断することは容易ではないとしながらも、症状カテゴリーの組み合わせにより、若年性認知症を検知できる可能性が示唆されたことを報告した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2022年5月13日号の報告。

モデルナアームが発現しやすい人は?/自衛隊中央病院

 モデルナ社の新型コロナワクチン(mRNA-1273ワクチン、商品名:スパイクバックス筋注)接種により一時期話題となった「モデルナアーム」。このモデルナアームの原因が遅発性大型局所反応(DLLR:delayed large local reaction)と言われるも詳細は不明であった。しかし、今回、自衛隊中央病院皮膚科の東野 俊英氏らはDLLRがIV型アレルギーを原因として生じるアレルギー性接触皮膚炎に類似している可能性があること、女性は男性より5.3倍も発症しやすいことなどを突き止めた。このようにモデルナアームの原因や発症しやすい対象者が特定できれば、今後、この副反応を回避する対応ができそうだ。本研究はJAMA Dermatology誌オンライン版2022年6月1日号に掲載されたほか、自衛隊中央病院のホームページでも報告している。

コロナ罹患後症状、中年者に多い/厚労省アドバイザリーボード

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは、6月1日に第86回の会議を開催し、その中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の遷延症状に関する研究2題が報告された。中等症以上の患者を対象とした研究では、退院後12ヵ月後でも13.6%の対象者に何らかの罹患後症状が存在していた。  また、もう一方の長期合併症の実態把握と病態生理解明の研究では、12ヵ月後でも疲労感、呼吸困難、筋力低下、集中力低下などの症状が続いていた。

小児の中等症~重症尋常性乾癬、イキセキズマブは長期で有効・安全

 世界中の小児・青少年の約1%が尋常性乾癬にさらされているというが、また1つ朗報がもたらされた。中等症~重症の尋常性乾癬を有する小児に対し、生物学的製剤イキセキズマブの投与について、108週の長期的な有効性と安全性が確認されたことを、米国・ノースウェスタン大学フェインバーグ校のAmy S Paller氏らが報告した。  患者報告に基づくアウトカム改善と客観的測定による完全な皮膚クリアランスが示され、得られた奏効率は試験期間中維持されていた。また安全性は、同一集団において以前に報告された所見と一致しており、イキセキズマブ治療の既知の安全性プロファイルと一致していたという。JAMA Dermatology誌2022年5月号掲載の報告。

統合失調症に対する抗精神病薬の治療継続の意義~メタ解析

 統合失調症治療では、主に抗精神病薬が用いられており、急性期症状の軽減に有効であるとされている。2012年に公表された現在のレビューのオリジナルバージョンでは、統合失調症または統合失調症様障害の患者に対する抗精神病薬の再発予防効果について、ランダム化試験のエビデンスに基づき検討が行われた。イタリア・ASST Spedali CiviliのAnna Ceraso氏らは、寛解とリカバリー率、社会的機能やQOLの変化に着目したいくつかの新たな調査結果に焦点を当て、レビューの更新を行った。その結果、統合失調症患者に対する抗精神病薬による維持療法は、再発および再入院を予防するだけでなく、患者のQOLや機能、持続的な寛解にもベネフィットをもたらすことが示唆された。著者らは、抗精神病薬によるこれらの肯定的な効果は、副作用を背景として比較検討する必要があると報告している。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2022年5月12日号の報告。

F1CDx 、非小細胞肺がんと悪性黒色腫の4薬剤のコンパニオン診断追加承認/中外

 中外製薬は2022年6月3日、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」について、チロシンキナーゼ阻害薬ダコミチニブ(製品名:ビジンプロ)およびブリグチニブ(製品名:アルンブリグ)の非小細胞肺がん、ならびにBRAF阻害薬エンコラフェニブ「(製品名:ビラフトビ)およびMEK阻害薬ビニメチニブ(製品名:メクトビ)の悪性黒色腫の適応に対するコンパニオン診断として、6月2日に厚生労働省より承認を取得した。

コロナワクチン3回接種者は感染しても他人にうつしにくい!?

 新型コロナウイルスのブレークスルー感染が新型コロナの蔓延に大きく寄与する可能性があるかどうかについてのデータは限られている。そこで、韓国・ウルサン大学のJiwon Jung氏らは新型コロナワクチンの3回接種を終えた完全接種者(ブレークスルー感染群)と1~2回接種の部分的接種/未接種者(非ブレークスルー感染群)の新型コロナの他人へ感染を広げる(2次感染)割合やウイルス排出動態に関するコホート研究を実施した。その結果、 初期のゲノムウイルス量はワクチン接種者とワクチン未接種者の間で類似していたが、完全接種者のブレークスルー感染群では、部分的接種者/ワクチン未接種者よりも生存可能なウイルスの排出期間が短く、2次感染率が低いことが示された。JAMA Network Open誌2022年5月2日号掲載の報告。

母親の育児ストレスと子供のADHDとの関連~日本の出生コホート研究

 注意欠如多動症(ADHD)は幼児期に発症し、その後、生涯にわたり影響を及ぼす疾患であるが、早期診断や介入により、臨床アウトカムの最適化を図ることができる。長期的または過度な育児ストレスは、ADHDなどの発達障害に先行してみられる乳児の行動の差異に影響している可能性があることから、幼少期の定期的評価には潜在的な価値があると考えられる。東京都医学総合研究所の遠藤 香織氏らは、母親の育児ストレスが子供のADHDリスクのマーカーとして利用可能かを明らかにするため、出産後1~36ヵ月間の母親の育児ストレスとその子供の青年期初期におけるADHDとの関連について、定期的に収集した自己報告を用いて調査を行った。その結果、出産後9~10ヵ月、18ヵ月、36ヵ月での育児ストレスと12歳時点での子供のADHD症状との関連が認められ、自己報告による育児ストレスのデータはADHDリスクの初期指標として有用である可能性が示唆された。このことから著者らは、ADHDの早期発見と介入を促進するためにも、幼少期の健康診断、育児ストレスの評価、家族のニーズに合わせた支援を行う必要があることを報告している。Frontiers in Psychiatry誌2022年4月28日号の報告。

新規作用機序の慢性骨髄性白血病治療薬セムブリックス錠新発売/ノバルティス ファーマ

 ノバルティス ファーマは2022年5月25日、前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病に対する治療薬、セムブリックス錠20mg、同40 mg(一般名:アシミニブ塩酸塩)を発売したことを発表した。  慢性骨髄性白血病(CML)は、分子標的薬であるチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の登場により、通院での治療が可能な慢性疾患になったとも言われている。しかし、TKI治療を受けている患者の約半数が、現在のTKI治療に抵抗性となる、または副作用により使用が継続出来なくなる不耐容などの理由により、治療変更を余儀なくされていた。  今回発売されたセムブリックスは、ABLミリストイルポケットを特異的に標的とするSTAMP阻害作用という、従来のTKIとは異なる作用機序を有している。2剤以上のTKI治療歴のあるCML患者の抵抗性に対処し、白血病細胞の過剰産生とも関連するBCR-ABL1遺伝子の変異を克服できる可能性があるともされている。

コロナ罹患後症状を大規模調査、成人の2割以上が発症/CDC

 米国疾病対策センター(CDC)が実施したコロナ罹患後症状(post-COVID、いわゆる後遺症)についての約200万人の大規模調査によると、急性肺塞栓症や呼吸器症状の発症リスクが2倍となり、18~64歳の5人に1人、65歳以上の4人に1人が、コロナ罹患後症状と考えられる症状を1つ以上発症しているという。研究結果は、CDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年5月27日号に掲載されている。

慢性腎臓病の啓発活動を共同展開/日本腎臓病協会・バイエル薬品

 2022年6月1日、日本腎臓病協会とバイエル薬品が、慢性腎臓病(CKD)の早期診断および治療介入の啓発活動を通じて、国民の健康寿命延伸に寄与することを目的に、腎臓病対策の普及啓発に関する包括連携協定を締結したことを公表した。  CKDは全世界的に増え続けており、現在、日本には成人の約8人に1人にあたる、約1,330万人のCKD患者がいるといわれている1)。さらに、CKDでは心臓病や脳卒中などの心血管疾患になりやすいことが明らかになっており、CKD治療による心血管疾患予防が大きな課題となっている。

「がんゲノム医療の現状と未来」国際WEBカンファレンス開催/日本乳がん情報ネットワーク

 日本乳がん情報ネットワーク(JCCNB)では2022年6月25日、「Cancer genome medicineの現状と将来展望」と題した国際WEBカンファレンスを開催する。米国臨床腫瘍学会(ASCO)CEOのClifford A. Hudis氏による基調講演のほか、NCCN(National Comprehensive Cancer Network)のWilliam Gradisher氏による「NCCN ガイドラインの最新情報」などのミニレクチャー、米国・欧州・アジア・オセアニアを繋いだライブでのパネルディスカッションが予定されている。 <JCCNB Conference 2022 開催概要> 主催:日本乳がん情報ネットワーク(JCCNB) テーマ:Cancer genome medicine の現状と将来展望 開催日:2022 年6月 25 日(土)17:00~21:30 会議形式:WEB配信(録画・ライブ) 参加費:10,000円