医療一般|page:254

オシメルチニブの肺がんアジュバント、化学療法歴の有無にかかわらずDFS延長/アストラゼネカ

 アストラゼネカ社は、2021年2月8日、第III相ADAURA試験の探索的解析の良好な結果から、オシメルチニブ、(商品名:タグリッソ)が、EGFR遺伝子変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、術後補助化学療法歴の有無、また疾患のステージにかかわらず、無病生存期間(DFS)を延長することが示されたと発表した。これは、昨年発表された術後補助療法におけるオシメルチニブの主要評価項目であるDFSの顕著な延長という結果をさらに支持するものとしている。同試験の結果は、国際肺癌学会(IASLC)が主催する2020年世界肺癌学会(WCLC)(2021年1月開催)で発表された。

新型コロナワクチンで再注目、必須抗菌薬の国内生産体制をどう維持するか

 2019年、抗菌薬のセファゾリンが原薬の異物混入等の理由から一時製造中止となり、供給不足が医療現場に大きな混乱をもたらした。これにより、原薬供給が海外の特定国とメーカーに集中している現状では、いったん不測の事態が生じれば医療現場に必須の薬剤が供給不能になる、という問題点が明らかになった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)においても、流行初期のマスク不足やワクチン確保の局面において、医薬品の国内生産の重要性が改めて注目されている。  厚生労働省はセファゾリン供給不足の事態を受け、「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」を立ち上げ、1)供給不安の予防、2)供給不安への早期対応、3)実際に供給不安に陥ったときの対応という側面から、対応策を検討してきた。

医師の8割が新型コロナワクチンを希望、その本音は?/医師1,000人に聞きました

 新型コロナウイルスのワクチン接種が世界中で始まり、接種者は1億人を突破した。2月下旬より医療者を対象に接種が始まる日本でも、さまざまな新型コロナワクチンに関する情報が次々と飛び込んできており、そんななかで医師のワクチンに対する心境に変化はあるのだろうかー。  今回、医師の接種希望に関する心境の変化やその理由を探るため、昨年10月に会員医師へ行った新型コロナワクチン接種に関するアンケートの回答者1,027人に対し、2回目のアンケートを実施した[1月27日(木)~2月3日(水)]。980人から回答を得た結果より、医師のワクチン接種希望者は1回目のアンケートでは61.2%だったのが、2回目では82%に増加したことが明らかになった。

男性乳がんにおける内分泌療法の第II相無作為化試験/JAMA Oncol

 ホルモン受容体(HR)陽性の男性乳がん患者において、標準的内分泌療法によるエストラジオール値の変化は不明である。今回、ドイツ・Kliniken Essen-MitteのMattea Reinisch氏らが第II相無作為化試験で調べたところ、アロマターゼ阻害薬(AI)またはタモキシフェンにゴナドトロピン放出ホルモンアナログ(GnRHa)を併用した群では、エストラジオール値が持続的に低下することが示された。JAMA Oncology誌オンライン版2021年2月4日号に掲載。

双極性障害とうつ病を鑑別するための感情調節神経回路の調査

 双極性障害(BD)患者の最大40%は、最初にうつ病と診断されており、情緒不安定は両疾患で共通して認められる。しかし、認知的再評価による感情調節の違いが、BDとうつ病を鑑別するのに役立つかは、よくわかっていない。オーストラリア・シドニー大学のSabina Rai氏らは、寛解期BD患者とうつ病患者の感情調節について、調査を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年12月25日号の報告。  年齢、性別、うつ病重症度をマッチさせた寛解期BD患者38例、寛解期うつ病患者33例、健康対照者37例を対象に、fMRIスキャン中の感情調節認知再評価タスクを調査した。対象者には、画像の再評価(Think条件)、ネガティブな画像を受動的に見る(Watch条件)、ニュートラルな画像を受動的に見る(Neutral条件)のいずれかを行い、その影響を評価した。感情調節に特有の神経回路における再評価(Think条件vs.Watch条件)および反応性評価(Watch条件vs.Neutral条件)についてグループ間での違いを調査するため、放射化分析、結合性解析を用いた。

日本人高齢者の認知症リスクと中年期以降の長期的な体重変化~大崎コホート2006

 高齢になるにつれ、体重減少や認知機能障害の頻度が高まるが、日本人高齢者の認知症発症リスクに体重変化が関連しているかは不明である。東北大学の陸 兪凱氏らは、中年期以降の長期的な体重変化と認知症発症リスクとの関連を調査するため、日本人高齢者のコミュニティーベースコホート研究を実施した。Journal of Epidemiology誌オンライン版2020年12月26日号の報告。  2006年に65歳以上の障害のない日本人高齢者を対象としたコホート研究を実施した。対象者は、1994年と2006年に自己報告式質問票を用いて体重データを収集し、体重変化に基づき次のように分類した。安定体重(-1.4~+1.4kg)、体重増加(≧+1.5kg)、体重減少1(-2.4~-1.5kg)、体重減少2(-3.4~-2.5kg)、体重減少3(-4.4~-3.5kg)、体重減少4(-5.4~-4.5kg)、体重減少5(≦-5.5kg)。認知症発症は、公的な介護保険データベースより収集した。対象者のフォローアップ期間は、2007年4月~2012年11月の5.7年間であった。認知症発症に関連する多変量調整ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の推定には、Cox比例ハザードモデルを用いた。

副反応は大丈夫?新型コロナワクチンの疑問に答えるLINEボット

 国内でも新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が月内にもはじまる見込みだが、新しいワクチンであることから副反応等を理由に、接種をためらう人も多い。  こうした状況を憂慮した医師を中心に、ワクチンに関するよくある質問に答えるLINEのチャットボットを利用した情報提供がはじまった。  この「コロワくんの相談室」はLINEに友達追加することで、無料で利用できる。 ・ワクチンの接種方法 ・ワクチンの効果 ・ワクチンの仕組み ・ワクチンの副反応  という画面のメニューから、自分の知りたい内容を選んでいくと、ボットが事前に用意された回答を提示する。回答の下には関連する厚生労働省サイトや、回答の根拠となる論文誌へのリンクもつけられており、医療従事者が患者に説明する際にも利便性が高そうだ。

日本における緊急事態宣言下のマタニティハラスメントとうつ病との関連

 妊娠への差別として知られるマタニティハラスメントは、先進国において広まったままである。しかし、マタニティハラスメントによるメンタルヘルスへの影響を調査した研究は、十分とはいえない。北里大学の可知 悠子氏らは、日本における妊娠中のマタニティハラスメントとうつ病との関連を調査した。Journal of Occupational Health誌2021年1月号の報告。  日本において一部地域の緊急事態宣言が続く2020年5月22日~31日に妊婦(妊娠確認時に就業していた女性)359人を対象に横断的インターネット調査を実施した。マタニティハラスメントは、国のガイドラインで禁止されている16事項のいずれかを受けた場合と定義した。うつ病の定義は、エジンバラ産後うつ病自己評価票日本語版(EPDS)スコア9以上とした。分析には、ロジスティック回帰分析を用いた。

造血器腫瘍遺伝子パネル検査を開発/大塚製薬・イルミナ

 大塚製薬と次世代シークエンサーの世界トップ企業であるIllumina,Inc.(以下、イルミナ社)は、造血器腫瘍を対象とするがん遺伝子パネル検査を体外診断用検査キットとして開発および商業化する契約を締結したと発表。  今回の契約締結により、大塚製薬は、同社が国内主要施設と共同研究を進めている日本で初めての造血器腫瘍を対象としたがん遺伝子パネル検査を、イルミナ社の医療機NextSeq 550Dxシステムで使用できる体外診断用検査キットとして開発する。

双極性障害に合併した強迫症状に対するアリピプラゾール増強療法

 双極性障害の薬物治療における第1選択薬の1つであるアリピプラゾールは、セロトニン再取り込み阻害薬耐性の強迫症(OCD)患者の臨床症状に対する有効性が示唆されている。そのため、OCDを合併した双極性障害患者では、気分安定薬にアリピプラゾールを併用にすることにより、より良い治療結果をもたらす可能性がある。イタリア・トリノ大学のGabriele Di Salvo氏らは、OCDを合併した寛解期双極性障害患者の強迫症状を治療するために、リチウムまたはバルプロ酸にアリピプラゾールを併用した際の有効性および安全性を検討した。Medicina誌2020年12月24日号の報告。

片頭痛に対する生物学的製剤のレビュー

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とするモノクローナル抗体は、片頭痛の予防に効果があるといわれている。CGRPモノクローナル抗体であるeptinezumab、 erenumab、fremanezumab、ガルカネズマブは、臨床試験において有効性と良好な安全性および忍容性プロファイルを示している。erenumabは、完全ヒトモノクローナル抗体であるが、他の薬剤はヒト化モノクローナル抗体であり、これらの薬剤は免疫反応を引き起こす可能性がある。米国・テバファーマスーティカルのJoshua M. Cohen氏らは、CGRPモノクローナル抗体と免疫原性との関係、それらの潜在的な臨床的意義についてレビューを行った。The Journal of Headache and Pain誌2021年1月7日号の報告。

KRASG12C変異陽性肺がんにおけるsotorasib、迅速かつ持続的な効果示す/アムジェン

 アムジェンは、2021年1月29日、126例のKRASG12C変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)の患者を対象に治験薬sotorasibを評価した臨床試験であるCodeBreaK100の第II相コホートから得られた結果を発表した。この結果は、国際肺癌学会(IASLC)2020 世界肺癌会議(WCLC)のPresidential Symposiumで発表され、中央値で1年超の追跡評価期間を有する、NSCLCを対象として完遂した主要な第II相試験の初めての結果である。  Sotorasibの奏効率(ORR)および病勢コントロール率(DCR)は、それぞれ37.1%と80.6%であり、奏効期間の中央値は10ヵ月であった(データカットオフ2020年12月1日、追跡期間中央値12.2ヵ月)。

新型コロナ軽症例に出現、味覚障害以外の口腔病変とは?

 ブラジル・ブラジリア大学のDos Santos氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の口腔徴候と症状の有病率に関するエビデンスの系統的レビューを行い、味覚障害以外の口腔病変について明らかにした。Journal of Dental Research誌2021年2月号掲載の報告。  本レビューはPRISMAチェックリストに基づき、文献は6つのデータベースと灰色文献から検索されたCOVID-19患者の口腔症状と徴候に言及する研究が含まれた。バイアスのリスクはJBI(Joanna Briggs Institute)の評価ツールを用いて評価した。このレビューには33件の横断的研究と7件の症例報告の計40件の研究が含まれていた。  主な結果は以下のとおり。

世界初の経口GLP-1受容体作動薬発売/ノボ ノルディスクファーマ・MSD

 ノルディスクファーマとMSDは、2型糖尿病を効能・効果とする1日1回服用の世界初にして唯一の経口投与可能なGLP-1受容体作動薬であるセマグルチド(商品名:リベルサス錠)を、2月5日に発売した。  今回発売された経口のセマグルチドは、2型糖尿病患者の食事および運動療法で効果不十分な場合の血糖コントロールの改善を適応とする糖尿病治療薬として承認されている。 承認にあたっては、9,543人の成人2型糖尿病患者が参加したグローバル臨床開発プログラム(PIONEER)に基づきなされた。このPIONEERの10試験のうち、2つの第IIIa相臨床試験では、日本人2型糖尿病患者を対象に行われた。

高血圧DNAワクチンの第I/IIa相試験で抗体産生確認/アンジェス

 アンジェスが開発している高血圧DNAワクチンの第I/IIa相臨床試験(オーストラリアで実施中)において、投与後の経過観察期間を経た初期の試験結果から、重篤な有害事象はなく安全性に問題がないこと、また、アンジオテンシンIIに対する抗体産生を認められたことを、2月4日、アンジェスが発表した。今後、安全性、免疫原性および有効性を評価する試験を継続的に行っていく予定。  高血圧DNAワクチンは、アンジオテンシンIIに対する抗体を体内で作り出し、その働きを抑えることで高血圧を治療するために開発が進められている。

血液によるCOVID-19重症化リスクの判定補助キットが保険適用/シスメックス

 シスメックスは2月4日、SARS-CoV-2陽性患者における重症化リスク判定を補助する新規の体外診断用医薬品として、インターフェロン-λ3(IFN-λ3)キット「HISCLTM IFN-λ3試薬」が2月3日に保険適用を受けたことを発表した。同キットと全自動免疫測定装置を用いて血清中のIFN-λ3を測定することで、SARS-CoV-2陽性患者における重症化リスク判定を補助するための情報を提供する。  シスメックスは国立国際医療研究センターとの共同研究を通じ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化リスクの経過観察に有用なバイオマーカーとして、IFN-λ3を特定した。IFN-λ3は重症化の症状が認められる数日前に急激に血液中の濃度が上昇することが確認されており、重症化の予測や経過観察補助としての臨床有用性が報告されている1,2)。同製品は、2020年12月22日にSARS-CoV-2陽性患者における重症化リスク判定を補助する新規の体外診断用医薬品として、製造販売承認を取得している3)。

統合失調症患者に対する補助的ヨガトレーニング

 統合失調症患者の認知機能障害改善に対するヨガトレーニングの許容性および有効性に関連する要因を特定するため、インド・Dr. Ram Manohar Lohia HospitalのTriptish Bhatia氏らは、検討を行った。Acta Neuropsychiatrica誌オンライン版2020年12月9日号の報告。  インド人統合失調症患者の認知機能に対するヨガトレーニングの影響を検討した2つの臨床試験でのデータを分析した。分析に使用した臨床試験は、21日間のランダム化比較試験(286例、3、6ヵ月のフォローアップ)および21日間の非盲検試験(62例)であった。ヨガトレーニング後の認知機能(注意力、顔の記憶)改善とベースライン特性(年齢、性別、社会経済状況、教育状況、教育期間、症状重症度)との関連を調査するため、多変量解析を用いた。

新型コロナ、20歳未満は感染しにくいが感染させやすい

 新型コロナウイルスの家庭内感染の調査から、20歳未満の若年者は高齢者より感染しにくいが、いったん感染すると人にうつしやすいことが、中国・武漢疾病予防管理センターのFang Li氏らの後ろ向き研究で示唆された。また感染力は、症状発現前の感染者、症状発現後の感染者、無症状のままだった感染者の順で高かった。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2021年1月19日号に掲載。

恫喝や暴言も、医療者への風評被害の実態/日医

 日本医師会・城守 国斗常任理事が、3日の記者会見で「新型コロナウイルス感染症に関する風評被害の緊急調査」について、結果を公表した。これは、昨年11月に開催された都道府県医師会長会議で問題提起され、各地域の被害状況について全47都道府県医師会が調査したもの。  風評被害を受けた対象としては、総回答数698件のうち「医師以外の医療従事者」に対する被害が277件(40%)と最も多かった。次いで「医療機関」が268件(38%)、「医師または医療従事者の家族」が112件(16%)、「医師」が21件(3%)、「その他」が20件(3%)という内訳だった。「医師以外の医療従事者」に対する風評被害は、主に看護師に対するものが多かったという。

COVID-19に対する薬物治療の考え方 第7版を公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏[東邦大学医学部教授])は、2月1日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第7版」をまとめ、同会のホームページで公開した。  本指針は、COVID-19の流行から約1年が経過し、薬物治療に関する知見が集積しつつあり、これまでの知見に基づき国内での薬物治療に関する考え方を示すことを目的に作成されている。  現在わが国でCOVID-19に対して適応のある薬剤はレムデシビルである。デキサメタゾンは重症感染症に関しての適応がある。また、使用に際し指針では、「適応のある薬剤以外で、国内ですでに薬事承認されている薬剤をやむなく使用する場合には、各施設の薬剤適応外使用に関する指針に則り、必要な手続きを行う事とする。適応外使用にあたっては基本的にcompassionate useであることから、リスクと便益を熟慮して投与の判断を行う。