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統合失調症患者のADHD有病率

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのI. Arican氏らは、統合失調症患者のコホートにおける、小児期および成人の注意欠如多動症(ADHD)症状の頻度について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年8月13日号の報告。  これまでのエビデンスを評価するため、システマティックレビューを実施した。ICD-10に基づき統合失調症と診断された126例を対象に、成人および小児期のADHD症状を調査するため、2つの自己報告アンケートを用いた。  統合失調症患者のADHD症状の頻度について主な調査結果は以下のとおり。

インスリンが血糖に関係なくがんリスクに関連か~JPHC研究

 わが国の大規模前向きコホート研究(JPHC研究)より、数種類のがんにおいて、インスリン高値が高血糖とは関係なく、糖尿病関連のがん発症に関連する可能性が示唆された。著者らは「血漿インスリン値の検査は、糖尿病を発症していない人においても、がんリスクを評価するうえで妥当なオプションである」としている。International Journal of Cancer誌オンライン版2018年9月5日号に掲載。

なぜ美容整形手術を受けるのか、初の前向き観察研究

 美容整形手術の人気が高まっているにもかかわらず、手術を受ける患者の動機付けとなっている社会文化的な要因やQOLに関わる因子はあまり解明されていない。米国・ノースウェスタン大学のAmanda Maisel氏らは、患者がなぜ侵襲の少ない美容整形手術を受けるのかを包括的に評価する、初となる検討を行った。その結果、一般的な理由は、外見を良くしたいという願望に加えて、感情的、心理的、そして実用的な動機であることが明らかになったという。著者は、「患者の年齢や求める手術における相対的差異については、さらなる調査が必要だろう」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年8月15日号掲載の報告。

治療抵抗性うつ病と自殺率

 治療抵抗性うつ病(TRD)患者の30%では、生涯にわたり1回以上の自殺企図が認められる。しかし、治療開始後のTRD患者における、自殺企図および自殺完遂の発生率、特定の治療による自殺企図の増減については、不明であった。オランダ・アムステルダム大学のIsidoor O. Bergfeld氏らは、TRD患者における自殺率について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2018年8月1日号の報告。

臨床研究法施行で何が変わったか~メリット・デメリット

 今年4月1日に「臨床研究法」が施行された。降圧薬に関する臨床研究でのデータ操作への疑念や、メーカーの関与といった問題の発覚から制定されたこの法律に、戸惑っている研究者も多いのではないだろうか。今回、今月末に日本で初めて開催されるICPM(International Conference on Pharmaceutical Medicine:国際製薬医学大会)2018の大会長である今村 恭子氏(東京大学大学院薬学系研究科ファーマコビジネス・イノベーション特任教授)とICPM組織委員会の広報担当である松山 琴音氏(日本医科大学研究統括センター副センター長/医療管理学特任教授)に、臨床研究法の要点、メリット・デメリット、研究を行う医師への影響などを伺った。なお、この法律については、ICPM2018と同時開催される第9回日本製薬医学会(JAPhMed)年次大会のセッションでも取り上げられる予定だ。

第2世代抗精神病薬と短期的死亡率に関するメタ解析

 重篤な精神疾患患者における寿命の短縮には、抗精神病薬の急速かつ生命に影響を及ぼす副作用が関与している可能性がある。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJohannes Schneider-Thoma氏らは、この仮説を検証するため、抗精神病薬のプラセボ対照試験における死亡発生のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。The Lancet Psychiatry誌2018年8月号の報告。

梅毒が昨年上回るペースで増加中、原因不明の発疹には疑いを

 梅毒の届け出数は、2014年頃から急激な増加傾向にあり、昨年は年間報告数が44年ぶりに5,000例を超えた。今年は昨年をさらに上回るペースで増加しており、国立感染症研究所の発表によると、梅毒の累積報告数は8月22日集計時点ですでに4,221例となっている1)。日本医師会は9月5日の定例記者会見で、梅毒の感染経路を含む発生動向について解説するとともに、感染拡大への注意を促した。  梅毒の年間報告数は長く1,000例以下で推移していたが、2011年頃から徐々に増加し、2014年頃からは男女ともに急激に増加している。2017年の梅毒の報告数を都道府県別にみると、東京都が1,777例と圧倒的に多く、次いで大阪府(840例)、愛知県(339例)、神奈川県(322例)と、都市部で多い。年齢別では、男性では20~40代、女性では20代の感染が目立っている2)。

TRK阻害薬larotrectinib、NTRK遺伝子融合がん治療薬としてEUに申請/バイエル

 ドイツ・バイエル社は、2018年8月27日、欧州医薬品庁(EMA)にlarotrectinib(LOXO-101)の販売承認申請(MAA)を提出したと発表。  larotrectinibは、神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)遺伝子融合を有する、局所進行性または転移性の固形がん患者(成人および小児)の治療薬として開発されたトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬。NTRK遺伝子融合は、TRK融合タンパク質の産生が制御できなくなるゲノム変化であり、腫瘍増殖をもたらす。臨床試験では、larotrectinibの全奏効率(ORR)は、治験責任医師による評価では80%、中央判定では75%であった。

双極性うつ病に対するコエンザイムQ10の二重盲検臨床試験

 双極性障害(BPD)は、躁病、軽躁病、大うつ病性障害エピソードによって特徴付けられる慢性的かつ再発性の気分障害である。利用可能なエビデンスでは、BPDの病態生理においてミトコンドリア機能不全、酸化ストレス、炎症が、重要な役割を担っていることが示唆されている。それは、ミトコンドリアモジュレーターであるコエンザイムQ10(CoQ10)、抗酸化薬、抗炎症薬が、BPDの病態生理の経路を調節するために有用であることを意味している。イラン・Hamadan University of Medical SciencesのMaryam Mehrpooya氏らは、BPD患者のうつ症状に対し、補助的なCoQ10治療がプラセボと比較し、どの程度有用であるかについて調査を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2018年8月14日号の報告。

NLRにより異なる大腸がんセツキシマブ・化学療法レジメンの生存期間/Clin Colorectal Cancer

 好中球・リンパ球比(NLR)は炎症マーカーであると共に、その上昇は腫瘍浸潤リンパ球の減少など抗腫瘍免疫の低下と関連している。4万例以上のさまざまな固形がんのシステマティックレビューとメタ解析において、NLRはすべてのがん種や、病期で予後不良と関連していることが報告されている。大腸がん(CRC)においても、NRL高値はCRCの予後不良の予測因子であることが、メタ解析で示されている。  転移を有するCRC(mCRC)に対するベバシズマブ・化学療法併用レジメンについては、NLRと臨床結果との関係が後ろ向き研究で報告されている。しかし、mCRCにおけるNLRとセツキシマブ・化学療法併用レジメンとの関連を調べた臨床研究はほとんどない。聖マリアンナ医科大学の砂川優氏らは、セツキシマブ・化学療法併用レジメンの1次治療における、NLRと同レジメンの臨床結果の関連と共に、NLRに影響する免疫関連遺伝子を評価するバイオマーカー研究を実施した。

入浴中の熱中症が溺水を引き起こす?

 わが国では入浴に関連する突然の心停止がしばしば起こる。今回、慶應義塾大学/東京歯科大学市川総合病院の鈴木 昌氏らの前向き横断観察研究から、非致死的イベントを含む事故が頻繁に発生していること、また体温上昇を伴う、機能障害による意識障害と昏睡が、キーとなる症状であることがわかった。本研究の結果から、お湯に浸水中の熱中症が溺水を引き起こすことが示唆されるという。Internal Medicine誌オンライン版2018年8月24日号に掲載。

睡眠薬の長期使用に関する10年間のフォローアップ調査

 催眠鎮静薬の長期使用は、非常によく行われているが、ガイドラインでは推奨されていない。新規睡眠薬使用患者における長期使用への移行率は、十分に研究されているわけではなく、現時点では、有益だと考えられる推奨薬は不明である。イスラエル・テルアビブ大学のYochai Schonmann氏らは、新規睡眠薬使用患者における長期使用リスクを定量化し、睡眠薬の選択とその後の使用パターンとの関連性を検討した。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2018年8月8日号の報告。

宿日直や自己研鑽はどう扱う?~医師の働き方改革

 厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会(第9回)」が9月3日開かれ、今年度末のとりまとめに向け具体的な議論が開始された。医師の時間外労働の上限時間数の設定をはじめとした対応を議論していくにあたり、座長を務める岩村 正彦氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、(1)働き方改革の議論を契機とした、今後目指していく医療提供の姿(国民の医療のかかり方、タスク・シフティングの効率化等)、(2)医師の特殊性を含む医療の特性(応召義務の整理)、(3)医師の働き方に関する制度上の論点(時間外労働の上限時間数の設定、宿日直や自己研鑽の取り扱い等)の3つを軸とすることを提議。この日は事務局が示すデータを基に、宿日直と自己研鑽についての議論が開始された。

アトピー性皮膚炎が、うつ病、不安および自殺念慮と関連

 アトピー性皮膚炎(AD)は不安やうつ病と関連しているが、その重要性については知られていない。デンマーク・Herlev and Gentofte HospitalのAmalie Thorsti Moller Ronnstad氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析から、AD患者の治療の際は、医師がうつ病、不安および自殺念慮について考慮しなければならないことを示した。著者は、「ADの改善にはこれらのリスク軽減が明白であることから、これを優先すべきである」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌2018年9月号掲載の報告。