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なぜコーヒーでがんリスクが低下?

 習慣的なコーヒー摂取はいくつかのがんのリスク低下に関連付けられている。その機序として、コーヒー摂取により発がんの重要な経路である酸化的DNA損傷が減少する可能性がある。国立国際医療研究センター 客員研究員の堀 愛氏らは、コーヒー摂取と、体内の酸化的DNA損傷・修復のバイオマーカーである尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)濃度の関連を調査した。その結果、女性ではコーヒー摂取により体内貯蔵鉄が減少し、このことが体内の酸化的DNA損傷の減少に関連している可能性が示唆された。Nutrition and Cancer誌オンライン版2014年7月25日号に掲載。

高齢発症の統合失調症様症状、死亡リスク高

 60歳超の高齢で発症する統合失調症様症状(VLOSLP)患者は、とくに男性において、早期発症(60歳未満)患者と比べて死亡リスクが高いことが示された。また、この結果は、身体合併症および事故で説明しうることも明らかにされた。フィンランド・ヘルシンキ大学中央病院のTiina Talaslahti氏らが、65歳以上患者を10年超追跡した試験の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「これら患者の死亡率を低減するためには、精神科ケア・プライマリケア・専門的身体ケアの効果的なコラボレーションによる目標を定めた臨床的介入が重要である」と提言している。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2014年7月2日号の掲載報告。

精神疾患患者、救急受診の現状は

 米国では年間推定約9万件の、精神疾患治療薬に関連した薬物有害事象での救急部門受診(ADE ED)が発生していることが、米国疾病予防管理センター(CDC)のLee M. Hampton氏らによる分析調査の結果、明らかになった。処方薬の種類ごとのADE ED受診率なども分析され、著者は「ADEを減らす努力は、すべての年代の成人を対象に必要だが、有害事象での救急部門受診が多発している薬物を優先する必要がある」とまとめている。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年7月9日号の掲載報告。

妊娠中 抗うつ薬使用はリスク?

 妊娠中の抗うつ薬の使用が、出生児の先天性心疾患リスクにつながるか調査したところ、集団ベースでは妊娠初期3ヵ月間の抗うつ薬使用によるリスクの実質的な増加は示されなかった。米国ブリガム&ウィメンズ病院のKrista F Huybrechts氏らがコホート研究の結果、報告した。現在、妊娠中の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や他の抗うつ薬の使用が出生児の先天性心疾患のリスク増加と関連しているかどうかは不明であり、なかでもパロキセチン使用と右室流出路閉塞との関連、セルトラリン使用と心室中隔欠損症との関連性が懸念されていた。NEJM誌2014年6月19日号掲載の報告。

新薬創出国“日本”を取り戻す

 イリノテカンやブレオマイシンなど、日本は世界中で広く投与されている抗がん剤を多く創出してきた。現在、アメリカ、スイスに次ぐ第3位の新薬創出国であり、日本は新薬を創出できる数少ない国として広く認知されている。しかしながら、近年、臨床で多く用いられている分子標的治療薬をみると、日本で創出された薬剤はたった2つしかない。そのため、分子標的治療薬の輸入は輸出を上回り、貿易赤字は拡大傾向にある。新薬創出国“日本”は、一体どこに行ってしまったのだろうか。

高力価vs低力価、有効性の違いは

 統合失調症に対する治療の中心である抗精神病薬について、治療ガイドラインでは、有効性に差はないとしている。しかし、臨床的には低力価抗精神病薬は高力価抗精神病薬に比べて有効性が低いと認識されることが多く、また副作用の面でも異なるると言われていた。ドイツ・ミュンヘン工科大学のMagdolna Tardy氏らは、低力価と高力価の抗精神病薬について臨床的有効性の差を明らかにするため、無作為化比較試験のレビューを行った。その結果、臨床的有効性の優劣は明らかでなく、有害事象についてはハロペリドール群で運動障害が、低力価抗精神病薬群で起立性症状、鎮静および体重増加がより高頻度であったことを報告した。Cochrane Database Systematic Review誌オンライン版2014年7月9日号の掲載報告。

日本における大腸がんの新薬開発状況

 切除不能大腸がんに対する化学療法においては、既に発売されている薬剤のHead to Headの比較試験が実施されている一方で、新たな治療薬の開発治験も進んでいる。7月17~19日に開催された第12回日本臨床腫瘍学会学術集会では、「切除不能大腸がん治療戦略の展望」をテーマとしたインターナショナルセッションが企画され、そのなかで、日本における切除不能大腸がんに対する新規薬剤の開発状況について、吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院消化管内科)が講演した。その内容を紹介する。

乾癬を長く患っている人は骨密度に注意

 乾癬患者と骨密度の関連を調査した結果、骨減少症/骨粗鬆症の被験者では、乾癬の罹患期間が有意に長いことが、ローマ・ラ・サピエンツァ大学のSofia D'Epiro氏らによって報告された。本調査の結果を踏まえて筆者らは、「乾癬患者、とくに長期罹患者では、より早期から骨代謝の評価が必要である」とまとめた。The Journal of Dermatology誌オンライン版2014年7月3日掲載報告。

認知症にスタチンは有用か

 アルツハイマー病(AD)や血管性認知症(VaD)へのスタチン治療は、比較的未開拓の領域である。先行文献において、ADではβ-アミロイド(Aβ)が細胞外プラークとして沈着し、Aβ生成はコレステロールに依存することが確認されている。また、VaDの病因に高コレステロール血症が関与していることも知られている。そこで、英国・Belfast Health and Social Care TrustのBernadette McGuinness氏らは、認知症に対するスタチン治療の有益性について、システマティックレビューとメタ解析により検討を行った。Cochrane Database Systematic Review誌オンライン版2014年7月8日号の掲載報告。

肺がんに分子標的薬の同時併用? 臨床腫瘍学会2014

 非小細胞肺がんの化学療法未治療例に対し、EGFR-TKIと抗VEGF抗体の併用がPFSを延長する可能性が、第二相試験の結果から示された。2014年7月17日~19日まで福岡市で開催された第12回日本臨床腫瘍学会において、国立がん研究センター東病院 後藤功一氏が、再発非小細胞肺がんの一次治療におけるエルロチニブとベバシズマブの併用療法の試験結果を発表した。

うつ寛解のポイントは疲労感

 大うつ病性障害(MMD)患者に対する、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)治療のアウトカムに、疲労感はどのような影響を及ぼすのだろうか。この疑問を明らかにすべく、M. Ferguson氏らはSTAR*Dの二次解析により検討を行った。その結果、ベースライン時の疲労感が軽度であること、および治療中の疲労回復は、うつ症状の寛解、および良好な機能やQOLと関連していることが示された。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2014年7月4日号掲載の報告。