日本発エビデンス|page:103

難治性の部分発作を有する日本人てんかん患者へのLEV追加の有用性は?

 田中脳神経外科クリニック(鹿児島)の田中 滋也氏らは、難治性部分発作てんかんの治療にレベチラセタム(LEV、商品名:イーケプラ)を追加した場合の有用性を検討することを目的に観察研究を行った。その結果、LEVの追加は安全性に大きな影響を及ぼすことなく、有意な効果が得られることを報告した。結果を踏まえて著者は「難治性部分発作を有する患者に対して、本治療レジメンは推奨できると考えられる」と結論している。Epileptic Disorders誌オンライン版2013年6月17日号の掲載報告。

新規骨粗鬆症治療薬カテプシンK阻害剤odanacatibの日本人患者における骨密度増加効果は?-二重盲検ランダム化比較試験-

 odanacatibは、骨再吸収を低下させ骨密度(BMD)を増加させる選択的かつ可逆的なカテプシンK阻害剤であり、2014年に承認申請が予定されている。 本試験は、骨粗鬆症日本人患者においてodanacatibの有効性と安全性を評価するために行われた多施設共同二重盲検ランダム化比較試験である。この結果、52週間にわたるodanacatib治療が、腰椎およびすべての股関節部位で用量依存的にBMDを増加し、骨粗鬆症日本人患者における忍容性が高いことが示された。国立国際医療研究センターの中村 利孝氏らによる報告(Osteoporosis International誌オンライン版2013年5月29日号掲載)。

植物油と糖代謝異常の関連~日本人での検討

 脂肪酸は、糖尿病の発症に関与することが示唆されている。しかし、n-3系多価不飽和脂肪酸の豊富な魚を大量に消費する日本人において、その関連性は不明である。国立国際医療センター臨床研究センターの黒谷佳代氏らは、18~69歳の日本人勤労者1,065人における横断的研究により、個々の食餌脂肪酸および食餌脂肪酸パターンと糖代謝異常との関連を検討した。その結果、植物由来の脂肪酸が日本人成人の糖尿病発症を防ぐ可能性が示唆された。PLoS One誌2013年5月31日版に掲載。

抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学

 うつ病に対し、実臨床でどの抗うつ薬を第一選択薬として処方すべきかを検討した報告はいくつか行われているが、その後の継続的な治療効果などに関する研究はほとんどない。京都大学の古川 壽亮氏らは、日本における抗うつ薬による治療実態について健康保険データベースを用い調査した。Journal of affective disorders誌オンライン版2013年5月27日号の報告。

抗精神病薬へのNSAIDs追加投与、ベネフィットはあるのか?

 米国・ザッカーヒルサイド病院精神医学研究部門のMasahiro Nitta氏らは、統合失調症における非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)追加投与の意義を検討するためメタ解析を実施した。その結果、NSAIDs追加によるベネフィットは明確に示されなかったことを報告した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2013年5月29日号の掲載報告。

統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究センター

 統合失調症患者に対し抗精神病薬は、単剤かつ適切な用量で使用されるべきである。国立精神・神経医療研究センターの藤田 純一氏らは、抗精神病薬を必要に応じて追加することで、過量投与や多剤併用リスクを増加させるかを検討した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2013年5月28日号の報告。

新知見!慢性期統合失調症患者では意志作用感が減退:慶応義塾大学

 意志作用感(sense of agency:SoA)とは、ある動作や思考などを他人ではなく自分の意志によって実行しているという感覚であり、統合失調症患者では、この意志作用感が障害されている。慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室神経心理学研究室の前田貴記氏らは、SoAを評価する統合フレームワークを用いて、陰性症状が残存している慢性統合失調症患者においてSoAが減退していることを初めて明らかにした。Psychiatry Research誌オンライン版2013年5月14日号の掲載報告。

てんかん患者の頭痛、その危険因子は?:山梨大学

 神経科医にとって頭痛とてんかん発作の関連は一般的であるが、いまだによくわかっていない。山梨大学の金村 英秋氏らは、前向き調査により小児てんかん患者における発作関連の頭痛についてそのタイプや発生頻度を評価し、危険因子の同定を試みた。その結果、部分てんかん患者や発作頻度の高い患者で頭痛の発生率が高いことが示された。Seizure誌オンライン版2013年5月20日号の報告。

日本語版・産後うつ病予測尺度「PDPI-R-J」を開発

 産後うつ病(PPD)は世界中でみられ、日本においては出産後1ヵ月間で約20%の母親が経験している。そこで、一次予防のために、妊娠中および出産後早期にリスクを特定するスクリーニング法が必要とされていた。東京大学の池田 真理氏らは、日本語版・産後うつ病予測尺度「Japanese version of the Postpartum Depression Predictors Inventory-Revised(PDPI-R-J)」を開発し、その予測妥当性を検証した。BMC Pregnancy and Childbirth誌オンライン版2013年5月14日号の掲載報告。

高齢の遅発統合失調症患者に対する漢方薬の効果は?

 統合失調症の発症年齢には個人差があるが、遅発性および超遅発性の統合失調症に関する研究は不十分であり、治療のさまざまな問題点は未解決のままである。島根大学の宮岡 剛氏らは、認知機能障害のない超遅発性統合失調症様精神障害の高齢患者に対する抑肝散(TJ-54)単独療法の有効性と安全性を評価した。Phytomedicine : international journal of phytotherapy and phytopharmacology誌2013年5月15日号の報告。

ビタミンDの摂取がパーキンソン病の症状を安定化させる-本邦での報告-

 ビタミンD受容体遺伝子多型のうちFokⅠT/T型またはFokⅠC/T型を持つ患者が、ビタミンD3を摂取することで、高カルシウム血症を引き起こすことなく、短期的にパーキンソン病の症状を安定化させる可能性が、東京慈恵会医科大学の鈴木正彦氏らによって示唆された。しかしながら同氏は、この効果がパーキンソン病に限らない可能性も示唆している。The American journal of clinical nutrition誌2013年5月号(オンライン版2013年5月13日号)掲載の報告。

抗てんかん薬によりADHD児の行動が改善:山梨大学

 抗てんかん薬治療による脳波(EEG)改善と、注意欠陥多動性障害(ADHD)児における行動改善が高い関連を示す可能性が、山梨大学小児科助教の金村 英秋氏らによる検討の結果、報告された。ADHD児46例を対象とした検討で、34.8%にEEGの突発性異常(PA)が認められたが、そのうち62.5%がバルプロ酸ナトリウム治療後にEEGの改善を示し、前頭部PAの頻度とADHD評価スケール改善との間に高い関連性があったという。Epilepsy & Behavior誌オンライン版2013年4月17日号の掲載報告。

血糖降下に影響が大きいのは?高用量BG薬 vs SU薬―DPP-4阻害薬との3剤併用療法

 シタグリプチン、高用量メトホルミン、グリメピリドの3剤併用療法のうち、血糖降下作用に大きな影響を及ぼすのはスルホニル尿素薬(SU薬)グリメピリドであるということが、あらいクリニック・新井桂子氏らにより明らかになった。著者は「このレジメンは、シタグリプチンと高用量メトホルミンの2剤併用療法では血糖コントロールが十分でない患者に有用だろう」としている。Diabetes Technology Therapy誌2013年4月15日号(オンライン版2013年3月12日号)の報告。

統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学

 これまで、統合失調症患者に対するフルボキサミン(本疾患には未承認)併用療法に関する発表がいくつか行われている。藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、抗精神病薬で治療中の統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法のメタ解析結果の更新を行った。European archives of psychiatry and clinical neuroscience誌オンライン版2013年4月21日号の報告。

入院期間の長い認知症患者の特徴は?:大阪大学

 認知症患者の長期入院では、しばしば重篤な周辺症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia、以下BPSD)の治療が必要となる。また、重篤なBPSD患者は、長期間の入院を必要とする。大阪大学の杉山 博通氏らは、認知症病棟のよりよいリソース管理のため長期入院に関連する因子の同定を試みた。International psychogeriatrics誌オンライン版2013年4月23日号の報告。

キーンベック病の長期予後、血管柄付き骨移植術は良好

 血管柄付き骨移植術(VBG)は、進行期のキーンベック病に対する治療法の一つであるが、この治療法の長期予後に関する報告はほとんどなかった。日本・京都府立医科大学講師の藤原浩芳氏らは、VBGを施行したキーンベック病患者を10年以上追跡し、長期予後は良好であることを報告した。The Journal of Hand Surgery誌2013年5月号(オンライン版2013年4月2日号)の掲載報告。

やっぱり説明は大切!医師の分かりやすい説明は糖尿病治療に対する患者理解度と相関する-本邦での報告-

 良好な医師-患者間コミュニケーションは糖尿病治療における患者理解度と※1自己効力感を高めることが、帝京大学の井上真智子氏らの断面調査研究によって示された。また筆者は、患者のもつ伝達的・批判的※2ヘルスリテラシーも同様に、糖尿病治療における患者理解度と自己効力感に相関することを示した。BMC family practice誌オンライン版2013年3月23日号掲載の報告。

患者自身が申告するアドヒアランスと血糖コントロールの関係-インスリン治療における検討-

 2型糖尿病患者のインスリン療法において、患者自身が申告するアドヒアランスと血糖コントロールとの関係が検討された。この結果、患者の自己申告であっても、アドヒアランスが高ければ良好な血糖コントロールを示すという相関関係が明らかになった。ただし、65歳以上の高齢者ではこの相関はみられなかった。本研究から、若年層の患者では自己申告によるアドヒアランスの報告も適切なインスリン投与量を判断するうえでは有用となる可能性が示唆された。

新規グルコキナーゼ活性剤の有効性-本邦での報告

 新規の2型糖尿病治療薬として開発段階にあるグルコキナーゼ活性剤 「AZD1656」 の血糖降下作用に関するデータが発表された。本研究は日本国内で行われた無作為化二重盲検、プラセボ対照比較試験。東京駅センタービルクリニックの清末 有宏氏らにより、Diabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2013年3月22日号で報告された。