日本発エビデンス|page:102

遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学

 慶應義塾大学の吉田 和生氏らは、統合失調症患者にみられる抗精神病薬使用後の遅発性ジスキネジア(TD)と、ドパミンD2受容体占有状況との関連について検討を行った。その結果、不随意運動を認めた例では、認めなかった例に比べて、ドパミンD2受容体占有レベルのトラフ値が有意に高く、強力なドパミンD2受容体阻害がTDのリスクを増大させる可能性が示唆されたという。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年2月1日号の掲載報告。

膵NETが1.2倍、消化管NETが1.8倍に~神経内分泌腫瘍の全国疫学調査

 神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)はまれな腫瘍であるが、患者数は増加している。しかしながら、わが国では2005年からNETの疫学的研究はなされておらず、有病率は不明である。今回、膵および消化管NETの2005年の疫学データを報告している九州大学の伊藤鉄英氏らが、2010年における受療者の全国調査を実施し、疫学的変化を報告した。Journal of gastroenterology誌オンライン版2014年2月6日号に掲載。

超高齢者における大腸がん手術は有用か:国内での検討

 超高齢(85歳以上)の大腸がん患者における手術の短期および中期の成績は明確ではない。北里大学外科の中村 隆俊氏らは、超高齢者における腹腔鏡手術の実行可能性を評価するために、腹腔鏡手術と開腹手術における術後の短期および中期の成績を比較した。その結果、超高齢の大腸がん患者に対する手術の安全性と治療有用性が認められ、良好な短期および中期成績を得られた。また、腹腔鏡手術は開腹手術よりも術中出血量が少なく、術後在院期間が短かったことから、侵襲性が低く、超高齢の大腸がん患者に適していることが示唆された。Surgical laparoscopy, endoscopy & percutaneous techniques誌2014年2月号に掲載。

統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学

 順天堂大学の勝田 成昌氏らは、急性期統合失調症患者における末梢血のカルボニルストレスマーカー測定の意義について、横断および縦断的研究にて検討した。これまで、慢性統合失調症患者について横断研究による同検討は行われており、末梢カルボニルストレスマーカーの変化、すなわち血清ペントシジンが高値であることはカルボニルストレスが蓄積されていることを示し、またピリドキサール(ビタミンB6)が低値であることはカルボニル化合物活性の緩和を示すことが知られていた。しかし、そうした変化について縦断的な検討はされていなかった。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2014年1月21日号の掲載報告。

早期胃がんに対するデルタ吻合での完全腹腔鏡下幽門保存胃切除術の成績

 早期胃がんに対する小開腹創からの手縫い吻合による腹腔鏡補助下幽門保存胃切除術(LAPPG)については、実行可能性、安全性、術後のQOL向上がすでに確立されている。今回、がん研有明病院消化器外科の熊谷 厚志氏らは、体内デルタ吻合手技を用いた完全腹腔鏡下幽門保存胃切除術(TLPPG)を受けた胃中部の早期胃がん患者60例の短期手術成績を検討した。その結果、手縫い噴門幽門吻合によるLAPPGより手術時間が長い傾向はあったものの、体内デルタ吻合によるTLPPGは安全な術式であると報告した。Gastric Cancer誌オンライン版2014年1月31日号に掲載。

統合失調症患者は処理速度が著しく低下、日本人でも明らかに:大阪大学

 統合失調症患者は文化的要因が影響する神経心理学的検査において、統合失調症でない患者と比較してパフォーマンスが劣ることが報告されている。大阪大学の藤野 陽生氏らは、ウェクスラー成人知能検査(WAIS-III)日本語版を用いて、統合失調症患者のパフォーマンスを検討した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2013年1月22日号の報告。

日本人女性における大豆摂取と乳がんリスク:系統的レビュー

 日本人女性における大豆摂取と乳がんリスクの関連について、「がん予防法の開発と評価」研究班が疫学的研究をレビューし、その結果をJapanese journal of clinical oncology誌オンライン版2014年1月22日号に報告した。本論文は、健康に関連した生活スタイルとがんとの関連について、既存のエビデンスを評価したレポートの1つである。今回の結果から、著者の岐阜大学教授 永田千里氏らは「日本人女性においては大豆摂取が乳がんリスクをおそらく減少させるだろう」と結論した。

1日1回投与の新規喘息治療薬、国内長期投与における安全性・有効性を確認

 成人気管支喘息患者を対象とした52週間長期投与試験の結果、1日1回投与タイプの新規吸入薬フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール配合剤(FF/VI、商品名:レルベア)およびFF(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)単剤は、いずれも忍容性が良好であり、朝・夜のピークフロー値(PEF)および喘息症状の改善・維持が認められた。近畿大学医学部奈良病院 呼吸器・アレルギー内科教授の村木 正人氏らが、日本人の患者243例について行った多施設共同・非対照・非盲検試験の結果を報告した。アレルギー・免疫誌2013年10月号掲載の報告より。

変性椎間板の有病率、50歳以上で90%超:Wakayama Spine Study

 これまで、一般地域住民を対象に全脊柱レベルでMRIを撮像し変性椎間板の分布や有病率などについて調べた報告はなかった。和歌山県立医科大学の寺口 真年氏、同講師・橋爪 洋氏、同主任教授・吉田 宗人氏らは、初めてこの課題に取り組み、その結果、変性椎間板の有病率は非常に高く、頚椎、胸椎および腰椎の各部位で椎間板変性はそれぞれC5/6、T6/7およびL4/5に最も多く分布していることを明らかにした。

根絶戦略の成果は?日本のH.pylori除菌率10年推移

 ファーストラインとして施行されたアモキシシリンとクラリスロマイシンの併用療法によるヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)の年間累積除菌率は65.3%で、徐々にではあるが、10年にわたり除菌率は有意に低下したことが、順天堂大学の佐々木 仁氏らによる研究で明らかになった。また、セカンドラインとして施行されたアモキシシリンとメトロニダゾールの併用療法の年間累積H.pylori除菌率は84.0%で、年ごとの除菌率に変化は認めなかった。著者は、「ファーストラインの除菌率は徐々に低下したものの、“日本の根絶戦略”は十分H.pylori除菌に貢献した」と結論づけた。Digestion誌オンライン版2013年12月12日号の報告。

夜間血圧は慢性腎臓病の発症に関連~大迫研究

 自由行動下血圧は標的臓器障害との関連が報告されているが、慢性腎臓病(CKD)発症の予測に意味を持つかどうかは確認されていない。仙台社会保険病院の菅野 厚博氏らは、大迫研究(Ohasama Study)において、一般の日本人843人のベースライン時の自由行動下血圧とCKDの発症率との関連を検討した。その結果、夜間血圧がCKD発症の予測因子として日中の血圧より優れており、CKDへの進行リスクの評価には自由行動下血圧測定が有用と考えられることを報告した。Journal of hypertension誌2013年12月号に掲載。

認知症患者のニーズを引き出すアプリ:神奈川県立保健福祉大学

 認知症患者は進行に伴い、意思疎通が難しくなる。このような問題を解決するため、神奈川県立保健福祉大学の友利 幸之介氏らは、作業療法に当たっての作業選択意思決定支援ソフト「ADOC(Aid for Decision-making in Occupation Choice;エードック)」の活用基準を確定するため検討を行った。検討の結果、ADOCは中等度認知症患者における大切な作業を把握するのに役立つ可能性があることが示された。Disability and Rehabilitation : Assistive Technology誌オンライン版2013年12月24日号の掲載報告。

院外心停止患者に対する病院到着前アドレナリン投与、長期予後を改善/BMJ

 院外心停止に対する救急隊員による救命処置時のアドレナリン(エピネフリン)投与により、患者の長期的な予後が改善することが、聖マリアンナ医科大学の中原慎二氏ら日本の研究グループによって明らかにされた。院外心停止患者に対する救命処置や心肺蘇生術、自動体外式除細動器の早期施行は明確な生存ベネフィットをもたらすが、病院到着前アドレナリン投与は自己心拍の再開の改善は示されているものの、長期的な予後改善効果は確立されていない。また、その有害作用を示す観察試験がある一方で、最近の無作為化試験ではわずかながら良好な効果(有意差はなし)が報告されているという。BMJ誌オンライン版2013年12月10日号掲載の報告。

C型肝炎に対するIFN療法著効後に肝細胞がんを発症する患者の特徴とは

 インターフェロン(IFN)療法によりSVR(持続性ウイルス学的著効)を達成したC型慢性肝炎患者において、血清アルブミン低値およびαフェトプロテイン(AFP)高値は、5年以内の肝細胞がん(HCC)発症の独立因子であることが、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院の佐藤 明氏らによる研究で明らかになった。著者らは「IFN療法後のHCC発症を早期に予防するために、これらの値について慎重な評価が必要である」としたうえで、「IFN治療後 10年以内のHCC発症は珍しいことではなく、リスク因子はいまだ不確定であるため、SVR達成後も長期的なフォローアップとHCCの検査を行うべきである」と述べている。Internal medicine誌2013年52巻24号の報告。