日本発エビデンス|page:105

日本におけるロコモの有病率と危険因子が明らかに!ロコチェックの有用性も

 日本において、ロコモティブシンドローム※(LS)の有病率は男性よりも女性の方が高いことが、弘前大学大学院 佐々木 英嗣氏らにより報告された。また、著者らは、LSの強力な危険因子は画像上の変形性膝関節症(膝OA)であること、LS患者は骨格筋量の減少、バランスと柔軟性が低下していること、ロコチェックは初期段階の関節障害を見つけることができ、LSの予防介入に有用であることも明らかにした。Journal of orthopaedic science誌オンライン版2012年11月1日付の報告。

呼称変更から10年、統合失調症患者へのスティグマを減らすためには:日本医科大学

 統合失調症患者とその家族は、スティグマに非常に苦しんできた。名称変更など偏見やスティグマを根絶するためのさまざまな努力にもかかわらず、いまだ医療従事者においてすら偏見にとらわれている者がいる。日本医科大学精神神経科の大森 中氏らは、臨床研修医の統合失調症患者に対する潜在的な態度と患者と接する上での影響、精神科での臨床トレーニング前後の態度と接し方の変化について評価した。BioMed Central Psychiatry誌オンライン版2012年11月22日号の掲載報告。

コーヒー摂取量が多い人はアディポネクチンも多い―日本人労働者を対象とした研究―

 コーヒーの摂取量はアディポネクチンと正の相関、レプチンと負の相関を示すことが、名古屋大学大学院 山下健太郎氏らの研究で明らかになった。また、アディポサイトカインは、コーヒー摂取量と脂質および高感度C反応性タンパク(hs-CRP)との関連に影響をもたらすが、コーヒー摂取量と肝機能マーカーとの関連には影響しないことが報告された。Nutrition & diabetes誌2012年4月2日付の報告。

認知症ケアでプライマリケア・リエゾンに求められる3つのポイント

 英国・ウスター大学のKay de Vries氏らは、認知症ケアでプライマリ・ケア・リエゾン(primary care liaison)に求められるコンピテンシーについて文献等レビューと協議などを行い、主として「カウンセリング」「スクリーニング」「健康教育・促進」の3領域が同定されたと報告した。Primary Health Care Research & Development誌オンライン版2010年11月6日号の掲載報告。

統合失調症患者における「多飲」その影響は?:奈良県立医大

 統合失調症において多飲傾向を認める患者は多い。多飲による過度な水分摂取は、低ナトリウム状態を誘発したり、水中毒につながることもある。奈良県立医科大学 永嶌 朋久氏らは、統合失調症患者の多飲と神経心理学的障害や脳の構造的変化との相関を検討した。BMC Psychiatry誌オンライン版2012年11月26日号の報告。

軽度でも注意!糖尿病性網膜症はCHD発症リスクと関連

 2型糖尿病患者の糖尿病性網膜症はたとえ軽度(点状出血など)であっても、冠動脈疾患(CHD)や脳卒中のリスクと関連することが、山形大学 川崎 良氏らの研究で明らかになった。著者らによると、2型糖尿病患者における糖尿病性網膜症は、従来の心血管リスク因子とは独立したCHDおよび脳卒中リスク因子であるという。Ophthalmology誌オンライン版2012年11月19日付の報告。

抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大

 抗精神病薬は、自律神経失調症を引き起こす要因と考えられており、統合失調症患者の潜在的な致死的不整脈を予測すると報告されている。しかしながら、抗精神病薬や他の向精神薬の用量依存的な効果が自律神経系(ANS)の活動に及ぼす影響に関しては、依然として不明なままである。横浜市立大学 岩本 洋子氏らは、統合失調症患者における抗精神病薬と他の臨床的因子の用量依存効果がANSの活性に及ぼす影響について検討した。BMC psychiatry誌オンライン版2012年11月14日号の報告。

蛋白尿も予防!やっぱり健康的な生活習慣は重要

 非喫煙、BMI 25kg/m2未満、適量以下の飲酒、定期的な運動、より良い食事パターン、といった健康的な生活習慣を送る人は、蛋白尿発現リスクが低いことが、新潟大学大学院 若杉三奈子氏らによる住民ベースのコホート研究の結果、明らかになった。著者らは、慢性腎臓病(CKD)予防には健康的な生活習慣が重要であると強調した。Hypertension Research誌オンライン版2012年11月22日付の報告。

認知症の原因疾患のひとつ「シェーグレン症候群」その関連は?

 認知症の原因疾患のひとつであるシェーグレン症候群(SS)は、外分泌腺が関与する自己免疫疾患で、目が乾く、口が乾燥するなどといった症状が認められる。高齢者の1.9~3.0%が発症すると言われており、20%の患者で認知症などの中枢神経系疾患を合併する。星ヶ丘厚生年金病院 吉川 健治氏らは、メモリークリニックを受診している患者におけるSSの有病率と影響を明らかにしようと試みた。Journal of the neurological sciences誌オンライン版2012年11月15日号の報告。

日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに

 日本人女性の統合失調症発症に、ITGA8遺伝子ミスセンス突然変異が関与している可能性があることが明らかにされた。神戸大学大学院のIrwan Supriyanto氏らが、京都の遺伝子データベース「KEGG」で報告された情報と統合失調症患者との関連を調べ報告した。Progress in Neuro-Psychopharmacology and Biological Psychiatry誌オンライン版2012年11月12日号の掲載報告。

睡眠時間が短いと脂質異常症のリスクも高まる―日本の男性労働者を対象とした研究―

 日本の都市部で働く男性の短い睡眠時間がコレステロール値の上昇と関連することが、京都大学 外山善朗氏らによる地域ベースの研究で明らかになった。著者は睡眠時無呼吸、睡眠時間、脂質プロファイルの関連性について検討し、呼吸障害指数(RDI)がトリグリセリド値(TG)と正の相関があることを示したうえで、「睡眠時無呼吸や睡眠時間を改善することが、脂質プロファイルや心血管系への影響を改善する可能性がある」と結論づけた。Chest誌オンライン版2012年10月15日号掲載の報告。

日本人でも喫煙により寿命が○年縮まる

これまでに、日本では「喫煙関連ハザードの低さ」が報告されたことがある。しかし、今回、日本人も他国と同様、若いうちから喫煙を始めて、継続している人は寿命が10年程度縮まることが明らかになった。また本研究では、35歳より前に禁煙することで、多くのリスク上昇を回避できることも報告された。放射線影響研究所 坂田 律氏らが前向きコホート研究の結果、BMJ 誌2012年10月25日付で報告した。

統合失調症のドパミンD2/3レセプター占有率治療域、高齢患者は若年患者よりも低値

若年統合失調症患者ではPET(陽電子断層撮影法)を用いた研究により、線条体ドパミンD2/3レセプター占有率を指標とした治療域は65~80%が適切であることが確認されている。慶應義塾大学の内田裕之氏らは、これまで検討されていなかった高齢統合失調症患者における同治療域の検討を行った。The American journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2012年10月31日号の掲載報告。

レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー:聖隷浜松病院

 本邦で2010年9月に承認された新規抗てんかん薬レベチラセタムについて、聖隷浜松病院の山添氏らが臨床での有効性と安全性を評価した結果、「部分てんかんに対して忍容性が良好であり、補助的療法として有効であった」ことを報告した。Brain Nerve 誌オンライン版2012年10月号の報告。  レベチラセタム(LEV)の日本発売以降の約1年間(2010年10月~2011年8月)の聖隷浜松病院のデータベースを用いて、有効性と安全性について後ろ向きに検討した。16歳以上の患者132例のデータのうち、部分てんかん112例、全般てんかん19例についてレビューを行った。

CKD患者の血圧管理:ARBで降圧不十分な場合、増量か?併用か?

 CKD患者の血圧管理においてARB単剤で降圧目標130/80mmHg未満に到達することは難しい。今回、熊本大学の光山氏らは、日本人対象の無作為化比較試験のサブ解析の結果、ARB単剤で降圧不十分時にARBを増量するより、Ca拮抗薬を併用したほうが心血管系イベントや死亡といったリスクを回避しやすいことを示唆した(Kidney International誌オンライン版10月10日号掲載報告)。