日本発エビデンス|page:107

日本人対象のテリパラチド週1回皮下注射の有用性(TOWER試験)

テリパラチドは骨折の危険性の高い骨粗鬆症患者に対し使用することで、骨形成と骨量増加を促す薬剤である。産業医科大学などの研究グループにより、テリパラチド56.5μg、週1回皮下注射によって骨折リスクが低下することが報告された。The Journal of clinical endocrinology and metabolism誌オンライン版2012年6月20日報告。

医師が抱く、「インスリン使用」への抵抗感  ~DAWN JAPAN Study~

インスリン療法は2型糖尿病において良好な血糖コントロールを実現する手段だが、一般的にインスリンの導入開始時期は遅れがちであると言われる。今回、天理よろづ相談所病院の石井氏らの研究で、「医師が抱くインスリン治療に対する心理的障壁」についての検討結果が明らかになった。2012年6月14日、PLoS One誌で公開された報告。

高齢の進行非小細胞肺がんに単剤療法と併用療法はどちらが有用か?:無作為化第II相試験

高齢者に対する化学療法において併用療法の有用性が議論されている。今回、高齢の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、隔週ゲムシタビン(商品名:ジェムザールなど)+低用量カルボプラチン(商品名:パラプラチンなど)併用療法が、有効性、安全性、忍容性において容認されるという結果が、無作為化第II相試験で得られた。2012年6月15日付Lung Cancer誌オンライン版に掲載された。著者の浜松医科大学の草ヶ谷氏らは、今回の結果を確認するために多数の患者でのさらなる検討が必要としている。

うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット

抗うつ薬ミルタザピンはアドレナリンα2自己受容体とα2ヘテロ受容体に対し阻害作用を示し、ノルアドレナリン(NA)とセロトニン(5-HT)のモノアミントランスポーターを阻害することなく、NAおよび5-HTの神経伝達を増強する薬剤である。明治製菓薬品総合研究所の山内氏らはミルタザピンとSNRIの併用によるモノアミンの細胞外レベルへの影響を調査した。Neuropharmacology誌2012年6月号掲載。

抗血小板薬の投与期間と超遅発型ステント血栓症の発症:J-Cypher

現在、薬剤溶出ステント(DES)留置後のデュアル抗血小板療法(DAPT)が超遅発型ステント血栓症(VLST)を減少させるというエビデンスは明らかに欠如している。しかし、臨床現場ではVLST発症を懸念し、DES留置後1年以上にわたりDAPT療法が広く行われている。この点に関して、京都大学の木村氏らは、J-Cypherステントレジストリの解析結果を発表した。その発表によると、シロリムス溶出ステント(SES)留置後1年を超えたチエノピリジンの長期使用は、VLSTリスクや、死亡、心筋梗塞または脳卒中を含む重篤な心血管イベントリスクの減少と有意な関連性を認めなかった。Cardiovasc Interv Ther誌オンライン版6月14日号掲載。

レミフェンタニルの使用は脳腫瘍切除または直腸がんの術後早期アウトカムに影響するか?

 レミフェンタニル(商品名:アルチバ)は脳神経外科麻酔にとって重要な特徴があるが、術後回復と死亡率に及ぼす影響に関するデータが不足している。そこで、東京大学の内田氏らは、2007年のDPCデータを用いて、術後の院内死亡率や入院期間に対するレミフェンタニルの効果を検討した結果を、Journal of anesthesia誌オンライン版に5月4日に報告した。

「症状出現」からの時間 と 「来院」からの時間。 臨床転帰に与える影響は?: CREDO-Kyoto

直接的経皮的冠動脈インターベンション(Primary PCI)は、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の治療において中心的な役割を果たし、「症状出現」や「来院」からバルーン拡張までを短時間で行うことが米国や欧州のガイドラインで推奨されている。しかし、これまで、「来院」からの時間の短縮化に関しては、否定的な結果も報告されてきた。

高齢者の非小細胞肺がんに化学放射線療法は有益 日本臨床腫瘍研究グループ無作為化第III相試験の結果(JCOG0301)

化学放射線療法が、高齢者の局所進行非小細胞肺がんの全生存期間を改善するかは知られていない。Atagi氏らは、胸部放射線照射+低用量連日カルボプラチン併用療法が、放射線単独療法に比べ、高齢者の非小細胞肺がん患者の生存期間を延長するか評価している。結果の概要は昨年11月開催の第52回日本肺癌学会総会で発表されたが、その詳細がThe Lancet Oncology 2012年5月21日オンライン版に掲載された。

糖尿病予備群および早期糖尿病の患者を対象としたORIGINの結果を発表

フランスのサノフィ社は11日(現地時間)、ORIGIN試験(Outcome Reduction with Initial Glargine Intervention)の結果を報告し、ランタス(一般名:インスリングラルギン〔遺伝子組換え〕)は標準的治療に比べ、心血管系イベントの発生に対して統計的に悪影響を及ぼさないことを発表した。また同試験の結果より、インスリングラルギンは糖尿病予備群から2型糖尿病への進行を遅らせること、また同薬の投与と癌のリスク上昇との間に関連を認めないことが明らかにされた。サノフィ・アベンティスが14日に報告した。また試験結果は、第72回米国糖尿病学会において発表され、New England Journal of Medicine (NEJM)のオンライン版にも掲載された。

ベアメタルステント留置後の超遅発性ステント血栓症の原因は? :小倉記念病院

これまでベアメタルステント(BMS)留置後にvery late stent thrombosis(VLST)が発生する病態生理学的なメカニズムは明らかになっていなかった。小倉記念病院の山地氏らは、明らかなステント血栓症を有するBMS留置102例の解析により、留置後3年超のVLSTの原因として、ステント内新アテローム性動脈硬化の破裂が、重要な役割を果たしている可能性があることをCirc Cardiovasc Interv誌2012年2月号にて報告した。

うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替

重症うつ病の治療において第2段階の治療戦略を比較した報告は少ない。第一選択薬として使用したSSRIで治療効果が不十分だった場合、増量するべきか、SNRIへの切り替えを行うべきか明らかになっておらず、それぞれの忍容性と有効性を評価する必要がある。Bose氏らはSSRIであるエスシタロプラム10㎎/日で効果不十分であった患者における次の治療選択として、エスシタロプラムの増量とSNRIであるデュロキセチンへ切り替えた場合について比較検討した。Clin Drug Investig誌2012年6月号掲載。

日本おける抗精神病薬の用量はアジア各国と比較し、まだ多い―REAP調査―

アジア各国の協力のもと、東アジアにおける向精神薬処方調査(REAP)が1999年より実施されている。今回、Xiang氏らはアジア各国における高齢の統合失調症入院患者における抗精神病薬の低用量(クロルプロマジン換算300mg/日以下)処方と人口統計学的および臨床的相関について検討し、報告を行った。Int Psychogeriatr誌2012年6月号(オンライン版2012年2月3日号)掲載。

安定COPD患者における運動中の交感神経活性に対するチオトロピウムの効果

チオトロピウムはオキシトロピウムに比べ、運動時の交感神経活性を抑制することが国立病院機構 刀根山病院の好村氏らによって報告された。好村氏らは「交感神経活性の抑制効果は呼吸機能、運動耐容能の改善や労作時の息切れを減少させる要因となると考えられ、呼吸数や心拍数の減少、動脈のアシドーシスの進展抑制とも関連していることが示唆された」と結論している。これまでチオトロピウムがCOPD患者の労作時の息切れを改善することや、うっ血性心不全のリスクを低下させることが知られていたが、運動時の交感神経活性に対する効果については知られていなかった。Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 誌2012年5月22日(オンライン版2012年5月2日)掲載の報告。

わが国の乾癬治療における生物学的製剤の費用対効果 3剤比較

わが国では、この数年のうちに、中等症から重症の乾癬に対して生物学的治療が導入されるようになった。NTT東日本関東病院の五十嵐氏らは、日本の医療環境におけるアダリムマブ、インフリキシマブ、ウステキヌマブによる治療の費用対効果を評価すべく、本試験を実施。「日本の乾癬治療の現場においても、ウステキヌマブはアダリムマブやインフリキシマブと比較して費用対効果のよい生物学的製剤である」と結論づけている。Journal of Dermatological Treatment誌オンライン版2012年5月28日掲載の報告。

関節リウマチ治療薬への新たな期待 【アバタセプト全例調査 中間解析結果】

2012年4月に開催された第56回日本リウマチ学会総会・学術集会(JCR2012)において、アバタセプト(商品名:オレンシア)の使用成績調査(全例調査)の中間解析結果が報告された。これを受けて2012年5月25日、ブリストル・マイヤーズ株式会社による記者発表会が開催され、産業医科大学第1内科学講座の田中良哉氏によって講演が行われた。

双極性障害患者に対するオランザピン単剤 or 併用の忍容性

リリー・リサーチ・ラボラトリーズの片桐氏らは日本人双極性障害患者に対しオランザピンを単剤または気分安定薬との併用にて18週間投与し、長期の安全性および有効性を検討した。その結果、「日本人でも欧米と同様、良好な結果が得られた」として、Curr Med Res Opin誌2012年5月号(オンライン版4月10日号)にて報告した。