日本発エビデンス|page:81

日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの効果は

 自閉スペクトラム症を有する小児および青年(6~17歳)における易刺激性の治療に対するアリピプラゾールの有効性、安全性を評価するため、東京都立小児総合医療センターの市川 宏伸氏らは、8週間のプラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。Child psychiatry and human development誌オンライン版2016年12月21日号の報告。

統合失調症患者への抗精神病薬高用量投与、自律神経系への影響は:横浜市大

 統合失調症患者は、一般集団と比較し、異常な自律神経系(abnormal autonomic nervous system:ANS)の活性を有する。この理由の1つとして、抗精神病薬のムスカリン親和性があり、ムスカリン受容体遺伝子の一塩基多型が、ANS機能不全に影響を及ぼすといわれている。横浜市立大学のmasatoshi miyauchi氏らは、抗精神病薬が投与されている統合失調症患者のANS活性に対するコリン作動性ムスカリン性受容体(cholinergic muscarinic receptor:CHRM)遺伝子の一塩基多型の影響を検証した。Neuropsychobiology誌2016年12月7日号の報告。

第3世代TKIの登場と肺がん再生検の現状

 EGFR-TKIはEGFR活性変異陽性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の1次治療薬である。しかし、初期の効果にもかかわらず、1~2年で耐性が発現し病勢進行にいたる。その耐性の60%を占める新たな変異は790Mをも標的とする第3世代EGFR-TKIオシメルチニブが本邦でも登場した。この新たなTKIの適正な使用には再生検などによるT790Mの特定が必要である。本邦の再生検では、経気管支組織による採取が一般的だが、腫瘍病巣へ到達の困難さや、侵襲性などにより、その成功率は制限される。

アルツハイマーの認知機能低下、冠動脈疾患で加速

 冠動脈疾患(CHD)がアルツハイマー病(AD)における認知機能低下を加速させるかどうかを、ドイツ・ボン大学のMarkus Bleckwenn氏らがプライマリケアでの前向き縦断的コホート研究で検討したところ、CHDは晩期発症型の高齢認知症患者における認知機能低下に有意に影響を及ぼすことが認められた。心血管疾患の予防が認知症の進行に影響するかもしれない。The British journal of general practice誌オンライン版2016年12月19日号に掲載。

認知症患者のQOLは介護従事者による緩和ケアの理解で向上する可能性:都医学研

 認知症緩和ケア(palliative care)には、ファーストライン治療として心理社会的介入が含まれる。しかし、日本における認知症計画は、認知症緩和ケアによる推奨に反している。東京都医学総合研究所の中西 三春氏らは、日本のコミュニティケア環境における認知症患者のケアの質と認知症緩和ケアに対するprofessional caregiver(仕事として対価を得る介護提供者全般)の視点との関連性を検討した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2016年11月17日号の報告。

新規アルツハイマー型認知症治療剤の発売による処方動向の変化:京都大

 現在、国内においては4種類のアルツハイマー型認知症(AD)治療剤が使用可能であるが、2011年までは1剤しか存在しなかった。京都大学の門原 公子氏らは、2011年の新規AD治療剤発売前後における日本人外来患者の処方動向を明らかにするため検討を行った。Neurology and therapy誌オンライン版2016年11月28日号の報告。

納豆が心血管疾患死の低下に関連~高山スタディ

 大豆摂取と心血管疾患(CVD)リスクの関連はまだ不明である。また強力な線維素溶解酵素が含まれている納豆については、CVDとの関係を検討されていない。今回、岐阜大学の永田 知里氏らが、住民ベースのコホート研究(高山スタディ)において、納豆・大豆タンパク質・大豆イソフラボンの摂取量とCVD死亡率との関連を調べたところ、納豆の摂取がCVD死亡率の低減に寄与しうることが示唆された。The American journal of clinical nutrition誌オンライン版2016年12月7日号に掲載。

アリピプラゾールの至適用量、1週目の血漿中濃度で予測可能:琉球大

 急性増悪期の統合失調症患者に対し、アリピプラゾールで良好な治療反応を得るための血清トラフ濃度は、アリピプラゾールおよびその活性代謝物であるデヒドロアリピプラゾールを合わせて225ng/mLであると言われている。琉球大学の永井 五洋氏らは、アリピプラゾールの至適用量を1週目の血漿中濃度から予測できるかどうかを調査した。Therapeutic drug monitoring誌オンライン版2016年11月16日号の報告。

日本人統合失調症、外来と入院でメタボ率が高いのは:新潟大

 統合失調症患者は、一般よりも平均余命が有意に短く、肥満やメタボリックシンドロームにつながる可能性のある不健全な生活習慣の問題にしばしば直面する。統合失調症患者におけるメタボリックシンドロームの構成要素である肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病の有病率を明確にする必要があるが、日本における大規模調査は不十分であったことから、新潟大学の須貝 拓朗氏らが調査を行った。PLOS ONE誌2016年11月17日号の報告。

PCI中のランジオロール早期投与、最適再灌流やアウトカムに好影響

 ST上昇急性心筋梗塞(STEMI)の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)中におけるランジオロールの早期静脈内投与は、非投与群と比較して、最適再灌流の達成率が有意に高く、急性心筋梗塞によりKillip分類のGrade3(重症心不全)や4(心原性ショック)へ進行した患者の割合も有意に低いことが、横浜市立大学の清國 雅義氏らによる研究で明らかになった。International Journal of Cardiology誌2016年10月15日号の報告。

脳内脂肪酸と精神症状との関連を検証:富山大

 n-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)レベルと精神障害との関連を調べた研究では、死後脳に関して、白質ではなく主に灰白質の分析に焦点が当てられてきた。富山大学の浜崎 景氏らは、統合失調症、双極性障害、うつ病患者の死後の脳組織において、PUFAレベルが白質の最大領域である脳梁に異常を示しているのかを調査した。European psychiatry誌オンライン版2016年11月4日号の報告。

毎食後の歯磨きで糖尿病と脂質異常症リスクが減少

 歯磨き頻度と生活習慣病の関連について調査したところ、毎食後の歯磨きが男性での糖尿病と女性での脂質異常症の発症を有意に抑制することがわかった。聖路加国際病院における5年間の後ろ向きコホート研究の結果を、虎の門病院の桑原 政成氏らが報告した。歯磨きは心血管疾患発症の危険因子を減少させるために有益と考えられる。Journal of cardiology誌オンライン版2016年11月15日号に掲載。

カルボニルストレス、統合失調症との関連を解析:都医学研

 東京都医学総合研究所の宮下 光弘氏らのこれまでの研究では、カルボニルストレスが統合失調症と密接に関連していることが示唆されていた。内因性分泌型終末糖化物質受容体(esRAGE)は、AGER遺伝子のスプライス変異であり、RAGEの可溶性形態の1つである。esRAGEは、終末糖化産物(AGE)閉じ込めることにより、カルボニルストレスの負担を軽減するための重要な物質であると考えられている。本研究では、AGERに焦点を当て、遺伝子関連解析を行った。Biochemical and biophysical research communications誌2016年10月21日号の報告。

コーヒー1日3杯以上で脳腫瘍リスク低下~JPHC研究

 わが国の多目的コホート研究(JPHC研究)で、コーヒーや緑茶を飲む頻度で脳腫瘍のリスクを比較したところ、コーヒーを1日3杯以上飲むグループでリスクの低下がみられ、日本人ではコーヒー摂取が神経膠腫(グリオーマ)を含む脳腫瘍のリスクを減らす可能性が示唆された。International Journal of Cancer誌2016年12月号に掲載。

統合失調症への補助療法、その影響は:昭和大

 統合失調症患者における非薬理学的介入(NPI)と末梢脳由来神経栄養因子(BDNF)との関係を調査した研究はいくつかある。昭和大学の真田 健史氏らは、統合失調症(統合失調感情障害を含む)患者を対象に末梢血清および血漿BDNFにおいてNPIの有効性を確認するため、システマティックレビュー、メタ解析を行った。International journal of molecular sciences誌2016年10月24日号の報告。