認知症の重症度を検出するスーパーマーケット課題 認知症スクリーニング検査the Rapid Dementia Screening Test日本語版(RDST-J)に含まれるスーパーマーケット課題は、スーパーマーケットで購入可能な物品の単語を迅速(1分間)に回答するテストである。このタスクは、クラスタサイズやスイッチを調べることができる。東京・駒木野病院の森山 泰氏らは、アルツハイマー病患者における認知症の重症度とスーパーマーケット課題のクラスタサイズや転換との関連を検討した。Psychogeriatrics誌オンライン版2016年6月30日号の報告。
日本人うつ病患者、抗うつ薬維持量に影響する因子:静岡県立大 うつ病の再発を防ぐためには、急性期の抑うつ症状を効果的に抑制する用量の抗うつ薬で、6ヵ月以上治療を継続するのが理想的である。しかし、治療反応を得たり維持するための抗うつ薬の用量は、個人間で異なる。静岡県立大学の井上 和幸氏らは、日本人うつ病患者を対象に維持期の抗うつ薬投与量における遺伝子多型を含む臨床的特徴の役割を調査した。Biological & pharmaceutical bulletin誌オンライン版2016年6月17日号の報告。
日本食は認知症予防によい:東北大 日本食は、認知症発症の予防効果を有すると推測されているが、この課題を検討した報告はまだない。東北大学の遠又 靖丈氏らは、前向きコホート研究により、日本人高齢者を対象に、食事パターンと認知症発症との関連を検討した。The journals of gerontology誌オンライン版2016年6月29日号の報告。
抗うつ薬治療患者に対するベンゾジアゼピン投与の安全性は:藤田保健衛生大 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、抗うつ薬治療うつ病患者におけるZ薬補助療法の有効性や忍容性に関する包括的なメタアナリシスを行った。European archives of psychiatry and clinical neuroscience誌オンライン版2016年6月18日号の報告。
日本人未成年者のぶどう膜炎の臨床的特徴 若年者のぶどう膜炎の多くは、両眼性であり、全身性疾患との関連はないことが、東京の3次医療施設における調査で示された。杏林大学の慶野 博氏らが、杏林アイセンターを受診した20歳未満のぶどう膜炎若年患者の臨床的特徴、全身疾患との関連、治療および視力予後を分析したもの。眼炎症のコントロールに全身療法を要した患者は5分の1のみで、視力予後はほとんどの患者で良好であった。
統合失調症のバイオマーカーとなりうる低メチル化率:愛媛大 ドパミン仮説に従って、ドパミンD2受容体(DRD2)の遺伝子についていくつかの研究が行われている。しかし、利用できるDRD2のトライトバイオマーカーはない。愛媛大学の吉野 祐太氏らは、白血球におけるDRD2上流領域におけるメチル化率について、統合失調症患者と対照健常者で異なっているかを検討した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年7月6日号の報告。
刺身や焼き魚は高尿酸血症になりやすい? わが国の成人において、生の魚や焼き魚の摂取量が高尿酸血症リスクの増加に関連するが、煮魚やフライでは関連がみられないことが、東北大学の永富 良一氏らのグループによる3年間の追跡調査において示された。Nutrition, metabolism, and cardiovascular diseases誌オンライン版2016年5月28日号に掲載。
東日本大震災、深刻な精神状態の現状:福島医大 東日本大震災、とくに福島第一原子力発電所の事故は、住民だけでなく救援労働者にも深刻な心理的影響を与えている。公務員はストレスの高い状況で長期的な救済に非常に有用な役割を担っているが、彼らの精神医学的な特徴については明らかになっていない。福島県立医科大学の前田 正治氏らは、診断インタビューを用い、被災地で働く公務員のうつ病やPTSDの有病率を調査し、彼らの精神状態に影響を及ぼす心理社会的要因を推測した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2016年6月9日号の報告。
高齢者の「噛む力」と死亡リスク 70歳時の最大咬合力は、日本人高齢男性における全死因死亡率と独立して関連することが、新潟大学の岩崎 正則氏らによる研究で明らかになった。この研究データは、口腔機能と高齢者の健康との関連についての追加エビデンスになりうる。Journal of oral rehabilitation誌オンライン版2016年4月15日号の報告。
自殺リスクの高い胃がん患者の特性は 胃がん患者の自殺リスクは米国一般住民の約4倍で、診断から3ヵ月以内が最も高いことがわかった。さらに「男性」「白色人種」「独身」「遠隔転移のある病期」が有意に自殺リスクの増加と関連していた。東海大学医学部付属八王子病院放射線治療科の菅原 章友氏らが報告した。Japanese journal of clinical oncology誌オンライン版2016年6月15日号に掲載。
広汎性発達障害に日本で使用されている薬剤は:東北大学 日本において、広汎性発達障害(PDD)に適応を有する薬剤は、ピモジドだけである。いくつかの抗精神病薬は、日本でも適応外で使用されているが、これら薬剤の処方および使用に関する詳細は不明な点が多い。東北大学の佐藤 倫広氏らは、日本のPDD児における薬物治療の実態を明らかにするため調査を行った。World journal of pediatrics誌オンライン版2016年6月10日号の報告。
日本人の膵がん術後補助化学療法、S-1 vs.GEM/Lancet 日本人膵がん患者の切除後の補助化学療法は、S-1が標準治療となりうることが示された静岡県立静岡がんセンターの上坂克彦氏らによる「JASPAC-01」の結果が、Lancet誌オンライン版2016年6月2日号に掲載された。本検討においてゲムシタビンに比べS-1補助化学療法により死亡リスクが約4割低下することなどが示された。膵がん術後の補助化学療法はゲムシタビンが標準治療とされているが、今回の試験では、死亡リスクについてS-1のゲムシタビンに対する非劣性のみならず優越性も示された。
視覚・聴覚とも障害があると認知障害になりやすい? 認知障害は視覚・聴覚の両方の障害のある人で最も多くみられ、この二重の感覚障害と認知障害のある人では死亡率が高いことが、人間環境大学(愛知県)の三徳 和子氏らの集団ベースのコホート研究で示された。BMC geriatrics誌2016年5月27日号に掲載。
ビタミンDで抗精神病薬誘発性高血糖が低減か:京都大学 非定型抗精神病薬は、高血糖リスク増加と関連しているため、臨床使用が制限される。京都大学の長島 卓也氏らは、抗精神病薬誘発性高血糖の根本的な分子メカニズムについて検討を行った。Scientific reports誌2016年5月20日号の報告。
喘息様症状、COPD増悪に影響せず 喘息様症状を有するCOPD患者は、適切な治療の下では良好な臨床経過をたどることが、北海道大学医学部の鈴木 雅氏により報告された。American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌オンライン版2016年5月25日号掲載の報告。 COPD患者の中には、喘息の臨床的診断こそつかないものの、喘息様症状を有する患者が存在する。しかし、こうした喘息様症状とCOPDが重複する病態の臨床的意義は明確ではない。本研究では、北海道COPDコホート研究による10年間の追跡結果を用いて、適切な治療を行った場合に喘息様症状がCOPD患者の臨床経過にどのような影響をもたらすのかを評価した。
「バースデー・ブルー」で自殺が1.5倍に:大阪大学 誕生日に自殺が増える「バースデー・ブルー」の仮説が日本人にも当てはまることを裏付ける統計結果が発表された。大阪大学の松林 哲也氏と米国・シラキュース大学の上田 路子氏は、1974~2014年に自殺や事故(交通事故、転落事故、溺死、窒息死など)により死亡した日本人207万3,656人の死亡記録をポアソン回帰分析を用いて検討した。その結果、自殺や事故による死亡者数が他の日と比べて誕生日に多いことが明らかになった。Social Science & Medicine誌オンライン版2016年4月29日号掲載の報告。
父母両方の喫煙で出生時の低身長リスクが増大 両親の喫煙が出生アウトカムに及ぼす影響を調査した結果、母親の喫煙は出生時の体重および身長と有意に関連し、両親とも喫煙していた場合、低身長のリスクが増加することが、岡山県立大学の井上 幸子氏らの研究で明らかになった。Journal of public health誌オンライン版2016年5月24日号に掲載。
統合失調症、双極性障害患者のレジリエンスに影響する因子:慶應義塾大学 レジリエンスの概念は、統合失調症や双極性障害の不均一なアウトカムを理解するうえで妥当である。しかし、これら患者集団におけるレジリエンスの臨床的、生物学的相関は、ほとんど研究されていない。慶應義塾大学の水野 裕也氏らは、総合的な評価を用いて、これらの患者における主観的レジリエンスの主要な相関関係を特定し、レジリエンスレベルと末梢血中のバイオマーカーとの関連について横断研究を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2016年5月13日号の報告。
心房細動患者の肥満パラドックス、日本人で検証 日本人の非弁膜症性心房細動患者において、低体重者は正常体重者に比べて全死因死亡および心血管死亡リスクが高く、過体重や肥満は死亡率増加に関連しないことが、J-RHYTHMレジストリデータの事後解析にて示唆された。The American journal of cardiology誌オンライン版2016年5月5日号に掲載。
黄斑下血腫、ラニビズマブ硝子体内注射は有用 黄斑下血腫に対し、組み換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)ラニビズマブおよびガス硝子体内注射は血腫の移動と病変改善に有用であることを、日本大学 医学部視覚科学系眼科学分野の北川 順久氏らが前向き研究により示した。著者は、「視力の改善・維持には、治療後の再発を早期に発見し、必要に応じて血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬硝子体注射を行うことが大切」とまとめている。Ophthalmology誌2016年6月号(オンライン版2016年3月2日号)の掲載の報告。