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- 2024/12/20
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直腸がん、局所切除術 vs.TME/Lancet
Stage T2T3で腫瘍サイズが4cm以下、術前化学放射線療法反応性だった下部直腸がん患者について、直腸間膜全切除術(TME:total mesorectal excision)に対する局所切除術の優越性は示されなかった。2年後の臨床的アウトカムは両群で同等だった。フランス・Haut-Leveque HospitalのEric Rullier氏らが145例を対象に行った、第III相の非盲検前向き無作為化比較試験「GRECCAR2」(Organ preservation for rectal cancer)の結果で、Lancet誌オンライン版2017年6月7日号に掲載された。
糖尿病妊婦の出産前搾乳、児のNICU入院リスク増大せず/Lancet
糖尿病または妊娠糖尿病を有する以外の出産に伴う合併症リスクが低い妊婦について、妊娠36週以降に母乳の搾乳を行っても、出生児の新生児集中治療室(NICU)入室リスクは増大しないことが示された。また、事前に搾乳し冷凍保存した母乳を活用することで、出生後24時間および入院期間中に母乳のみで授乳できた割合の増大も認められたという。オーストラリア・ラ・トローブ大学のDella A. Forster氏らが、635例を対象に行った無作為化比較試験で明らかにした。これまでの試験結果では、糖尿病の妊婦が出産前搾乳を行うことで、出生児のNICU入院リスクの増大が認められており、その安全性に疑問が持たれていた。Lancet誌2017年6月3日号掲載の報告。
カペシタビンによる術後補助化学療法でHER2陰性乳がんの予後を改善/NEJM
標準的な術前補助化学療法を受け、病理検査で浸潤がんの遺残が確認されたヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)陰性乳がん患者において、標準的な術後治療にカペシタビンによる術後補助化学療法を加えると、無病生存(DFS)と全生存(OS)が改善することが、国立病院機構 大阪医療センターの増田 慎三氏らが実施したCREATE-X試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年6月1日号に掲載された。HER2陰性原発乳がんの術前補助化学療法の病理学的完全奏効(pCR)率は13~22%で、non-pCR例の再発リスクは20~30%とされ、これら遺残病変がみられるHER2陰性例への術後補助化学療法は確立されていない。カペシタビンはフルオロウラシルの経口プロドラッグで、消化器がんの術後補助化学療法や転移性乳がん(主に2次治療)の治療薬として用いられている。
高齢者の術後せん妄予防にケタミン、悪影響の可能性/Lancet
高齢者の術後せん妄予防目的のケタミン投与は、効果がないばかりか、幻覚やナイトメア症状を増大する可能性が、米国・セントルイス・ワシントン大学のMichael S. Avidan氏らによる国際多施設共同二重盲検無作為化試験「PODCAST」の結果、示された。せん妄は頻度が高く重大な術後合併症である。一方で、術後疼痛を軽減するために周術期静脈内ケタミンの投与がしばしば行われており、同投与のせん妄予防効果を示唆するエビデンスが報告されていた。研究グループは、高齢者の術後せん妄予防に対するケタミンの有効性評価を主要目的に今回の試験を行った。Lancet誌オンライン版2017年5月30日号掲載の報告。
妊娠中の抗うつ薬服用と児のADHDの関連/BMJ
母親の抗うつ薬服用と子供の注意欠如・多動症(ADHD)との関連について、住民ベースのコホート研究による知見が示された。中国・香港大学のKenneth K C Man氏らによる報告で、子供のADHDリスクは、母親が抗うつ薬を妊娠中服用していた群と妊娠前まで服用していた群で同程度であった。一方で、抗うつ薬服用の有無にかかわらず、精神障害を有する母親の子供はADHDリスクが高かったという。著者は、既報では家族のリスク因子を補正しておらず過大評価されている可能性を指摘し、「抗うつ薬服用とADHDの因果関係を決して否定はしないが、あるとしても関連の強さは既報よりも小さいものと思われる」とまとめている。BMJ誌2017年5月31日号掲載の報告。
ミノサイクリンは多発性硬化症進展リスクを抑制するか/NEJM
初回の局所性脱髄イベント(clinically isolated syndrome:CIS)の発症後は、多発性硬化症への進展リスクが増大する。カナダ・カルガリー大学/フットヒルズ医療センターのLuanne M. Metz氏らは、CIS発症時にミノサイクリン投与を開始すると、6ヵ月時にはこの進展リスクが抑制されたが、24ヵ月時には効果は消失したとの研究結果を、NEJM誌2017年6月1日号で報告した。テトラサイクリン系抗菌薬ミノサイクリンは免疫調節特性を持ち、予備的なデータでは多発性硬化症への活性が示され、2つの小規模な臨床試験で有望な成果が提示されている。副作用として発疹、頭痛、めまい、光線過敏症がみられるものの、安全性プロファイルは良好とされ、まれだが重篤な合併症として偽脳腫瘍や過敏症症候群があり、長期の使用により色素沈着が生じる可能性があるという。
CVDリスクを予測する最新QRISK3モデルを検証/BMJ
心血管疾患(CVD)の10年リスクを予測するQRISK2に新規リスク因子を加えた新しいQRISK3リスク予測モデルが開発され、英国・ノッティンガム大学のJulia Hippisley-Cox氏らが検証結果を発表した。追加された臨床変数は、慢性腎臓病(CKD)、収縮期血圧(SBP)の変動性、片頭痛、ステロイド薬、全身性エリテマトーデス(SLE)、非定型抗精神病薬、重度の精神疾患および勃起障害で、これらを組み入れたQRISK3は、医師が心疾患や脳卒中のリスクを特定するのに役立つ可能性が示されたという。現在、英国のプライマリケアではQRISK2が広く活用されているが、QRISK2では完全には捉えられないリスク因子もあり、CVDリスクの過小評価につながる可能性が指摘されていた。BMJ誌2017年5月23日号掲載の報告。
先天異常の原因、5人中4人は「未知」/BMJ
米国・ユタ大学のMarcia L. Feldkamp氏らが実施したコホート研究の結果、主要な先天異常の5人に4人はその原因が不明であることが明らかとなった。著者は、「一次予防や治療の根拠となる基礎研究ならびにトランスレーショナル研究を早急に行う必要がある」と述べている。これまでは、病院ベースで既知の原因の有無別に先天異常の割合を評価した研究が2件あるだけだった。BMJ誌2017年5月30日号掲載の報告。
10代の自傷・薬物・飲酒による緊急入院、自殺リスクが大幅増/Lancet
自傷行為や薬物乱用、アルコール摂取関連といった理由で緊急入院した10~19歳の青少年は、事故で緊急入院した青少年に比べ、退院後10年間の自殺リスクが3.2~4.5倍高いことが示された。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAnnie Herbert氏らが、緊急入院をした青少年約100万人について後ろ向きコホート研究を行い明らかにした。Lancet誌オンライン版2017年5月25日号掲載の報告。
DAAレジメン無効のHCVに3剤合剤が効果/NEJM
C型肝炎ウイルス(HCV)慢性感染患者で、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)を含むレジメンで治療を行っても持続的ウイルス学的著効(SVR)が得られない患者に対し、ヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬ソホスブビル+NS5A阻害薬velpatasvir+プロテアーゼ阻害薬voxilaprevirの配合剤を12週間投与することで、9割超のSVRが達成できることが示された。フランス・セントジョセフ病院のMarc Bourliere氏らが、2件の第III相無作為化比較試験を行って明らかにしたもので、NEJM誌2017年6月1日号で発表した。現状では、DAAを含む治療でSVRが達成できない場合には、次の治療選択肢は限られているという。
新たなアンチセンス薬、動脈硬化進展を抑制/NEJM
マウスAngptl3遺伝子を標的とするアンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASO)は、マウスのアテローム性動脈硬化の進展を抑制し、アテローム生成性リポ蛋白を低下させることが、米国・Ionis Pharmaceuticals社のMark J. Graham氏らの検討で示された。ASOの第I相試験では、ヒトANGPTL3遺伝子を標的とする戦略の有用性を示唆する知見が得られた。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年5月24日号に掲載された。疫学研究やゲノムワイド関連分析により、アンジオポエチン様3をコードするANGPTL3遺伝子の機能喪失型変異は、血漿リポ蛋白の低下と関連することが示されている。開発中のIONIS-ANGPTL3-LRxは、肝のANGPTL3 mRNAを標的とする第2世代リガンド結合アンチセンス薬(GalNAc結合ASO薬)である。
蜂窩織炎、ST合剤追加は必要か/JAMA
単純性蜂窩織炎の抗菌薬治療では、セファレキシンにスルファメトキサゾール・トリメトプリム配合薬(ST合剤)を併用しても、臨床的治癒率は改善しないことが、米国・オリーブ・ビューUCLA医療センターのGregory J. Moran氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年5月23日号に掲載された。米国では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の出現に伴い、皮膚感染症による救急診療部への受診が増加しているという。排膿がみられない蜂窩織炎は、β溶血性レンサ球菌が主な病原菌と推定されるが、in vitroでMRSA活性を有する抗菌薬レジメンが、MRSA活性のない治療に比べ転帰の改善をもたらすかは不明とされる。
冠動脈CTAによる検死で病理解剖の回避可能か/Lancet
成人の突然の自然死の死因究明では、冠動脈CTアンギオグラフィ(CTA)による検死(PMCTA)が、侵襲的な病理解剖(invasive autopsy)の回避をもたらす可能性があることが、英国・レスター大学のGuy N. Rutty氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年5月24日号に掲載された。病理解剖は、死因究明のゴールドスタンダードとして確立されているが、文化的、宗教的、経済的な問題などがあり、侵襲性の高い要素を死後CT(PMCT)で代替することで、これらの状況が改善される可能性があるという。一方、PMCTは成人の突然死の主要原因である冠動脈疾患の診断精度が低いという課題があり、解決策として冠動脈または全身のPMCTAの併用への取り組みが続けられてきた。
肺塞栓症診断の新アルゴリズム、CTPA施行数を低減/Lancet
YEARSと呼ばれる新たな肺塞栓症疑い例の診断アルゴリズムは、肺塞栓症を安全に除外し、年齢を問わず、さまざまなサブグループに一貫してCT肺アンギオグラフィ(CTPA)の施行数を減少させることが、オランダ・ライデン大学医療センターのTom van der Hulle氏らが行ったYEARS試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年5月23日号に掲載された。妥当性が確認されている肺塞栓症疑い例の診断アルゴリズムは、正確に使用されないことが多く、便益は一部の患者に限られるため、CTPAの濫用を招いているという。YEARSの、発症時の鑑別的なDダイマーのカットオフ値が組み込まれた臨床的意思決定基準は、迅速性や実地臨床への適合性を有し、あらゆる年齢でCTPA施行数を減少させるために開発された。
下気道感染症の抗菌薬処方戦略/BMJ
合併症のない下気道感染症の若年および成人患者において、抗菌薬を即時処方してもその後の入院または死亡は減少しない。もともと、このような入院や死亡はまれである。英国・サウサンプトン大学のPaul Little氏らが、異なる抗菌薬処方戦略による有害転帰への影響を評価する前向きコホート研究(Cough Complication Cohort:3C)の結果を報告した。英国のGeneral Practice Research Database(GPRD)を用いた2つの試験では、抗菌薬の処方により肺炎リスクが減少する可能性が示唆されている。しかし、どちらの試験も、入院や死亡といった有害転帰への影響は記録されておらず、交絡因子も調整されていなかった。著者は、「医師が抗菌薬の処方を検討しているなら、病状悪化による再診の減少が認められた延期処方のほうが望ましい」と結論づけている。BMJ誌2017年5月22日号掲載の報告。
COPD急性増悪、HOT+在宅NIVで予後改善/JAMA
慢性閉塞性肺疾患(COPD)急性増悪後に高炭酸ガス血症が持続する患者において、在宅酸素療法(HOT)に加え在宅非侵襲的換気療法(NIV)を併用することにより、12ヵ月以内の再入院または死亡までの期間が延長した。英国・セント・トーマス病院のPatrick B. Murphy氏らが、多施設共同無作為化非盲検並行群間比較第III相試験の結果を報告した。NIVを必要とするようなCOPD急性増悪後の転帰は悪く、再入院や死亡を予防するための治療はほとんどなかった。JAMA誌オンライン版2017年5月21日号掲載の報告。
潰瘍性大腸炎への抗MAdCAM-1抗体、有効量を確認/Lancet
従来療法に不耐容の中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者に対し、開発中の、粘膜アドレシン細胞接着分子1(MAdCAM-1)を標的とする完全ヒトモノクローナル抗体PF-00547659(抗MAdCAM-1抗体)を投与することで、プラセボと比べ寛解導入が有意に良好であったことが報告された。また、安全性、忍容性も確認された。ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のSeverine Vermeire氏らが、357例の患者を対象に行った第II相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果として、Lancet誌オンライン版2017年5月17日号で発表した。この結果を受けて同研究グループは現在、より大規模な第III相臨床試験を進行中である。
高齢者の肥満、有酸素運動+筋トレの併用が有効/NEJM
肥満高齢者に対し食事による減量プログラムと運動療法を行う際、有酸素運動と筋力トレーニングを併せて実施することで、有酸素運動または筋力トレーニングのみを実施する場合に比べ、半年後の身体機能はより大幅に向上することが示された。米国・ベイラー医科大学のDennis T. Villareal氏らが、160例の高齢者を対象に行った無作為化比較試験で明らかにしたもので、NEJM誌2017年5月18日号で発表した。肥満はフレイルの原因となるが、減量は加齢に伴う筋量および骨量の低下を加速させ、結果としてサルコペニアやオステオペニアを生じさせるのではと指摘されていた。
親が早期発症高血圧だと子の高血圧リスクも高い/BMJ
早発型の高血圧は、晩発型の高血圧に比べ心血管死のリスクが高く、子の高血圧の発症リスクも上昇することが、米国・国立心肺血液研究所(NHLBI)のTeemu J. Niiranen氏らフラミンガム心臓研究グループの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2017年5月12日号に掲載された。若年者および高齢者の高血圧は心血管疾患の重大なリスクであることが知られているが、高血圧を発症時期で早発型と晩発型に分けることの妥当性については十分なデータがないという。
イマチニブが重症喘息の気道過敏性を抑制?/NEJM
KIT阻害薬イマチニブは、重症喘息患者の気道過敏性を抑制し、マスト細胞数とトリプターゼ放出を減少させることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のKatherine N. Cahill氏らの検討で明らかとなった。これらの知見は、重症喘息の病態生物学的な基盤には、KIT依存性の過程とマスト細胞の寄与があることを示唆するという。研究の成果は、NEJM誌2017年5月18日号に掲載された。マスト細胞は、ステロイド治療を行っても重症喘息患者の気道に残存し、不良なQOLや不十分な喘息コントロールなどの疾患特性に関連する。幹細胞因子とその受容体KITは、組織での正常なマスト細胞の発育や生存に不可欠であり、イマチニブはKITのチロシンキナーゼ活性を阻害することで、慢性骨髄性白血病患者の骨髄中のマスト細胞数を著明に減少させ、血清トリプターゼ値を低下させることが知られている。