ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:352

エプロディセートはAAアミロイドーシスでの腎機能低下を遅らせる効果がある

腎組織におけるアミロイド沈着は腎機能障害を進行させ、慢性炎症性疾患に続くアミロイドA(AA)アミロイドーシスを合併する。エプロディセートは、アミロイド形成蛋白とグリコサミノグリカンとの相互作用に干渉し、アミロイド原線維の重合と組織への沈着を阻害するようデザインされた新しい化合物。その有効性と安全性を検証した結果、腎機能低下の遅延効果が認められたとする報告が、NEJM誌6月7日号で発表された。

ロシグリタゾンの心血管リスク増加について「断定はできない」

最近のメタ解析の結果に懸念が示されている2型糖尿病治療薬のロシグリタゾンの心血管系へのリスクについて、RECORD研究グループが中間解析を発表した。心不全に対する有意なリスク増加が認められたものの、今回の解析結果からは、心筋梗塞のリスク増加に関係していると言い切れるだけの十分なデータが得られなかったと報告している。本論文の詳細はNEJMオンライン版6月5日号に掲載された。

急性心筋梗塞治療にP4Pの効果なし

医療の質を向上させるツールとして促進された「治療成績に応じた医療費の支払い(Pay for Performance:P4P)」だが、急性心筋梗塞の治療プロセスとアウトカムの質向上に、P4Pの影響は見られなかったとの報告が、米国デューク大学Center for Clinical and Genetic EconomicsのSeth W. Glickmanらの研究グループによって報告された。本論文の詳細は、JAMA誌6月6日号に掲載されている。

葉酸サプリは結腸直腸腺腫予防の効果なく、むしろリスク増大について調査が必要

結腸直腸腺腫予防のための葉酸サプリ摂取の有効性と安全性を評価するため実施した無作為化臨床試験の結果が、JAMA誌6月6日号で発表された。葉酸サプリメントが大腸における抗腫瘍性効果を発揮する可能性が各種実験や疫学的調査によって示唆されているが、米国ダートマス・ヒチコック医療センターのBernard F. Cole氏らのポリープ予防研究グループは、1mg/日の葉酸を摂取しても結腸直腸腺腫のリスクは減少せず、反対にリスク増大の可能性についてのさらなる調査が必要だと報告した。

予防教育とサーベイランスが重篤なスポーツ外傷を防止する

スポーツ外傷防止には、予防教育とサーベイランスシステムが有益かつ必要であるとの報告を、オーストラリアラグビー協会のKenneth L Quarrie氏らが行った。同協会が2001年より導入した「RugbySmartプログラム」以後、プレー中のスクラムに起因する脊髄損傷が大幅に減少しているとのデータを踏まえての報告。本論文の詳細は、BMJ誌6月2日号に掲載された。

テロや紛争起因のPTSDに認知療法は効果的

テロや紛争に起因するPTSD症状に悩まされる人々に対し、認知療法が有効であるとの報告が、英国ウルスター大学Michael Duffy氏らの研究グループによって寄せられた。宗教対立から長年にわたり無差別テロなどが日常化してきた北アイルランドで行われた無作為化臨床試験で、認知療法を行った患者群に大幅な改善が見られた結果を受けての報告。本論文の詳細は、BMJ誌6月2日号に掲載された。

葉酸サプリは脳卒中初発を抑制する

脳心血管系リスクとして近年注目されているホモシステインだが、「葉酸サプリメント」を「長期」に摂取し、「血中ホモシステイン濃度」が低下すれば、脳卒中初発のリスクが有意に減少する可能性がある──。このような示唆を含むメタ解析が、Lancet6月2日号に掲載された。米国Northwestern University Feinberg School of MedicineのXiaobin Wang氏らによる報告である。

生体吸収ステントの短期的有用性は示されたが、再狭窄予防作用は疑問

留置後、一定の時間が経過すると消失する「生体吸収ステント」を63例に用いた追跡研究PROGRESS-AMIが、Lancet6月2日号に掲載された。薬物溶出ステントの遠隔期ステント内血栓が問題となって以来期待されている生体吸収ステントだが、リコイル抑制ならびに生体内からの消失には成功したものの、POBA(ステントを留置せずバルーン拡張のみ)と同等の高い再狭窄率には、早くも疑問の声が上がっている。ドイツWest-German Heart Center EssenのRaimund Erbel氏らによる報告を紹介する。