ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ―「すべての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」(厚生労働省)―を2030年までに達成するには、健康を促進または改善するさまざまな職業の保健医療人材(Human Resources for Health:HRH)が重要であるが、HRHの不平等は過去30年間で世界的に減少しているものの依然として残っており、全死亡率およびほとんどの死因別死亡率は、医療従事者とくにHIV/AIDS・性感染症、母体・新生児疾患、糖尿病、腎臓病といった、優先疾患におけるいくつかの特定のHRHが限られている国・地域で相対的に高いことが、中国・北京大学のWenxin Yan氏らの調査で示された。著者は、「本結果は、2030年までにユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成するために、公平性を重視した医療人材政策の策定、医療財政の拡大、不十分なHRHに関連した死亡を減少するための標的型対策の実施に向けた政治的取り組み強化の重要性を浮き彫りにしている」とまとめている。BMJ誌2023年5月10日号掲載の報告。