ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:191

小児へのデング熱ワクチン、効果あるも年齢差/NEJM

 2~16歳児を接種対象とした長期サーベイランス中のデング熱ワクチン(遺伝子組み換え型生減弱4価タイプ:CYD-TDV)について、3年時点の中間解析結果が発表された。同期間中の全被験者リスクは、ワクチン接種群が対照群よりも低下したが、9歳未満児で原因不明の入院リスクの上昇がみられたという。インドネシア大学のSri Rezeki Hadinegoro氏らCYD-TDVデング熱ワクチンワーキンググループが、アジア太平洋およびラテンアメリカでそれぞれ行われている3件の無作為化試験の結果を統合分析して報告した。NEJM誌オンライン版2015年7月27日号掲載の報告。

アロマターゼ阻害薬術後療法での乳がん死抑制効果~TAMとの比較/Lancet

 閉経後早期乳がんの術後ホルモン療法において、アロマターゼ阻害薬(アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール)はタモキシフェン(TAM)に比べ、再発や乳がん死の抑制効果が高いことが、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)の検討で明らかとなった。閉経後早期乳がんの治療では、アロマターゼ阻害薬の5年投与またはTAM 2~3年投与後のアロマターゼ阻害薬2~3年投与は、TAM 5年投与よりも再発率が低いことが示されているが、乳がん死への影響などはいまだに不明だという。Lancet誌2015年7月23日掲載の報告。

早期乳がんの術後ビスホスホネート、ベネフィットは閉経女性のみ?/Lancet

 早期乳がんに対するビスホスホネート製剤による術後補助療法は、骨再発を抑制し、生存期間の改善をもたらすが、明確なベネフィットは治療開始時に閉経に至っている女性に限られることが、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)の検討で示された。術後ビスホスホネート療法は、早期乳がん女性の無骨転移生存、無病生存、全生存を改善するとの報告がある一方で、全体では有意な効果はないものの、閉経後または高齢女性でベネフィットを認めたとの報告がある。これは、ビスホスホネート製剤は性ホルモンが低下した女性(閉経または卵巣抑制療法)にのみベネフィットをもたらすとの仮説を導く。Lancet誌オンライン版2015年7月23日号掲載の報告より。

ポンプ本体全内面を生体材料で構成した全置換型人工心臓、初の臨床例を報告/Lancet

ジャーナル四天王2  新たに開発された生体弁を用いた全置換型人工心臓CARMAT TAH(C-TAH)の、最初の臨床使用例2例の報告が、フランス・パリ大学のAlain Carpentier氏らにより発表された。2例とも最終的には死亡となったが、うち1例は150日目に退院することができたという。著者は「今回の経験知は、生体材料を用いた全置換型人工心臓の開発に重要な貢献をもたらすことができた」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年7月28日号掲載の報告。

20年以内に胃がん発症の可能性がある人は?/BMJ

 悪性徴候がなく胃内視鏡検査により生検を受けた人において、20年以内に胃がんを発症するのは、正常粘膜の人では約256人に1人、胃炎は85人に1人、萎縮性胃炎50人に1人、腸上皮化生39人に1人、異形成19人に1人であることが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のHuan Song氏らによる検討の結果、示された。同国低リスク集団40万人超を対象とした観察コホート研究の結果、明らかにしたもの。著者は、「さらに費用対効果の検討を行い、長期的な胃の前がん病変の内視鏡サーベイランスの施策に、これらの数字を生かしていく必要がある」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年7月27日号掲載の報告より。

H7N9インフルワクチン、最も力価が高まる製剤は?/JAMA

 不活化単価H7N9インフルエンザワクチンについて、AS03およびMF59アジュバント製剤の2回接種が免疫応答を高めること、最も高力価を示したのはAS03アジュバント製剤であったことが、米国・Group Health Research InstituteのLisa A. Jackson氏らによる第II相二重盲検無作為化試験の結果、報告された。JAMA誌2015年7月21日号掲載の報告より。

心肺蘇生への市民介入で後遺症のない生存が増大/JAMA

 日本において2005~2012年に、居合わせた市民(バイスタンダー)による胸骨圧迫およびAEDを用いた除細動の実施率は上昇し、神経学的後遺症のない生存の増大と関連していることが、帝京大学救急医学講座の中原慎二氏らによる全国データの調査分析の結果、明らかにされた。日本の院外心停止(OHCA)後の神経学的後遺症のない生存については、増大が報告されていたが、入院前処置との関連(バイスタンダー介入と生存における増大など)についてはこれまで十分な検討はされていなかった。JAMA誌2015年7月21日号掲載の報告。

腹部大動脈瘤での生存率、血管内治療 vs.開腹術/NEJM

 腹部大動脈瘤への血管内治療は、開腹術に比べ、周術期死亡率は低いものの、長期生存率は同等であることが長期追跡試験で判明した。また血管内治療後の動脈瘤破裂率は、開腹術より高かった。さらに血管内治療後2年間の再介入率は、ここ8年で減少傾向にあるなど、同治療アウトカムの改善が認められたという。米国・ベスイスラエルディーコネス医療センターのMarc L. Schermerhorn氏らが、腹部大動脈瘤で血管内修復治療または開腹術を受けたメディケア受給者、約4万例のマッチング・ペアについて調べ明らかにした。NEJM誌2015年7月23日号掲載の報告より。

ピオグリタゾンのがんリスクを検討~20万人のコホート試験/JAMA

 ピオグリタゾン(商品名:アクトスほか)の使用は、膀胱がんリスク増大と有意な関連は認められなかったが、がんリスクを除外することはできないことを、米国・ペンシルベニア大学のJames D. Lewis氏らが、約20万人について行ったコホート試験の結果、報告した。前立腺がんおよび膵臓がんリスク増大との関連が示され、著者は「さらなる検討を行い、それらの関連性に因果関係があるのか、偶然によるものか、残余交絡や逆相関についても調べる必要がある」とまとめている。JAMA誌2015年7月21日号掲載の報告。

乳がん術後のリンパ節領域照射追加、全生存率を改善せず/NEJM

 リンパ節転移陽性または高リスクのリンパ節転移陰性の乳がん術後に行う放射線治療において、全乳房照射にリンパ節領域照射を追加しても、全生存の改善は認められなかったことが明らかにされた。乳がん再発率は低下した。カナダ・ジューラビンスキーがんセンターのTimothy J Whelan氏らが、無作為化試験の結果、報告した。乳房温存手術を受けた乳がん女性患者の多くが、全乳房照射を受けているが、研究グループは、追加してリンパ節領域照射を行うことで転帰が改善するのか調べた。NEJM誌2015年7月23日号掲載の報告。

乳がん術後放射線、リンパ節領域照射の追加は有用か/NEJM

 早期乳がんの術後に行う放射線治療において、全乳房照射または胸壁照射に、リンパ節領域照射(胸骨傍・内側鎖骨上リンパ節照射)を追加しても、全生存への効果は僅差にみられる程度であることが示された。オランダ・ラドバウド大学医療センターのPhilip M Poortmans氏らが、無作為化試験の結果、報告した。これまで、リンパ節領域照射を追加した場合の生存への効果については不明であった。なお、無病生存率と遠隔無病生存率は改善し、乳がん死亡率は有意な低下がみられたという。NEJM誌2015年7月23日号掲載の報告。

第2世代アンチセンス薬、リポ蛋白(a)を選択的に抑制/Lancet

 第2世代のアンチセンス薬ISIS-APO(a)Rxは、血漿リポ蛋白(a)(Lp(a))濃度を選択的かつ用量依存性に減少させ、安全性や忍容性も良好であることが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のSotirios Tsimikas氏らの検討で示された。Lp(a)はアポリポ蛋白(a)(apo(a))がアポリポ蛋白B-100(apoB)と共有結合した分子で、心血管疾患や石灰化大動脈弁狭窄の独立のリスク因子とされる。apo(a)は肝細胞によって合成され、新たに合成されたapoBと共有結合してLp(a)を形成する。ISIS-APO(a)Rxは、肝におけるapo(a)の合成を減少させ、その結果として血漿Lp(a)濃度が低下するようデザインされている。Lancet誌オンライン版2015年7月22日号掲載の報告より。

砂糖入り飲料、肥満に関係なく糖尿病リスク増加/BMJ

 砂糖入りの飲料を習慣的に飲用すると、肥満の有無とは無関係に2型糖尿病のリスクが上昇することが、英国・ケンブリッジ大学の今村 文昭氏らの調査で明らかとなった。砂糖入り飲料は肥満や2型糖尿病を増加させる可能性があり、人工甘味料入り飲料や果物ジュースによる代替が検討されているが、これらの飲料と2型糖尿病との関連は確立されていない。また、砂糖入り飲料の摂取に起因する2型糖尿病の発症状況も不明だという。BMJ誌オンライン版2015年7月21日号掲載の報告。

ウィルムス腫瘍の術後補助療法、DOXは省略可/Lancet

 ステージII~IIIで中等度リスクのウィルムス腫瘍の標準的術後化学療法に関して、ドキソルビシン(商品名:アドリアシンほか)をレジメンに含む必要はないことが実証された。英国・ロンドン大学小児保健研究所のKathy Pritchard-Jones氏らが小児患者583例を対象に行った、国際多施設共同の第III相非盲検非劣性無作為化対照試験「SIOP WT 2001」の結果、示された。ドキソルビシンは標準レジメンに含まれているが、研究グループは、「ドキソルビシンの心毒性作用の回避が、術後予後が良好であった患児の長期アウトカム改善のために重要である」として、ドキソルビシンがレジメンから省略可能か検討を行った。Lancet誌オンライン版2015年7月8日号掲載の報告より。

抗うつ薬とNSAIDs併用、頭蓋内出血リスク1.6倍/BMJ

 抗うつ薬と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の併用開始30日間において、頭蓋内出血リスクの増大が認められることを、韓国・医薬品安全・リスクマネジメント研究所(Institute of Drug Safety and Risk Management)のJu-Young Shin氏らが、2009~2013年の韓国健康保険データを後ろ向きに分析し報告した。NSAIDs非併用群と比較して1.6倍高かったという。BMJ誌オンライン版2015年7月14日号掲載の報告。

糖尿病性腎症に合併する高K血症、patiromerが有効/JAMA

 糖尿病性腎症で高カリウム血症の合併がありRAAS阻害薬を服用している患者に対し、patiromerを4.2~16.8g、1日2回投与することで、血中カリウム値は有意に低下し、52週にわたり維持されたことが報告された。米国・シカゴ大学のGeorge L. Bakris氏らが、306例の患者を対象に行った、patiromerの用量範囲探索、無作為化非盲検第II相試験「AMETHYST-DN」の結果、報告した。JAMA誌2015年7月14日号で発表した。

高齢者への1次予防ICD移植は有用か/BMJ

 心不全やその他急性の併存疾患で入院した高齢者に対し、1次予防として植込み型除細動器(ICD)移植を行っても、長期の全死因死亡や心臓突然死のリスク低減にはつながらないことが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院/ハーバード・メディカル・スクールのChih-Ying Chen氏らが、2万例超の高齢者について、後ろ向きコホート試験を行った結果、明らかにされた。BMJ誌オンライン版2015年7月14日号掲載の報告。

CVD予防のためのスタチン開始基準、費用対効果を検証/JAMA

 2013年11月、米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)は、脂質異常症におけるスタチン治療の新ガイドラインを発表した。米国・ハーバード公衆衛生大学院のAnkur Pandya氏らは、心血管疾患(CVD)の1次予防における本ガイドラインの費用対効果プロフィールの検証を行った。新ガイドラインでは、LDLコレステロールの目標値を設定せず、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の10年リスク(≧7.5%)をスタチン治療導入の指標としているが、リスク判定に使用されるPooled Cohort Equationsは過大評価を引き起こす可能性があるため、実臨床で閾値の幅を広げた場合などに、不要な治療による甚大なコスト増大やスタチン誘発性糖尿病のリスク上昇の懸念があるという。JAMA誌2015年7月14日号掲載の報告。

幅の狭い縫合法が瘢痕ヘルニア予防に有効/Lancet

 正中開腹手術時の切開部の縫合では、創縁から縫合針の刺入部までの幅を狭くしたsmall bite法による連続縫合が、従来の縫合幅の広いlarge bite法よりも、瘢痕ヘルニアの予防に有効であることが、オランダ・エラスムス大学医療センターのEva B Deerenberg氏らが実施したSTITCH試験で示された。正中開腹手術の合併症として、切開部の瘢痕ヘルニアが患者の10~23%にみられ、特定のリスクを有する場合は38%に上るとされる。モノフィラメント縫合糸による連続縫合が、結節縫合に比べ瘢痕ヘルニアの発症を抑制することがメタ解析で示されているが、縫合幅については、スウェーデンの単施設での無作為化試験が1件あるのみで、small bite法による連続縫合で瘢痕ヘルニアが少なかったと報告されている。Lancet誌オンライン版2015年7月15日号掲載の報告。

市中肺炎の入院例における年齢・病原体を調査/NEJM

 米国疾病管理予防センター(CDC)のSeema Jain氏氏らは、市中肺炎による入院について詳細な調査を行った。その結果、高齢者で入院率が高いこと、最新の検査法を駆使したが大半の患者で病原体を検出できなかったこと、一方で呼吸器系のウイルス感染が細菌感染よりも検出頻度が高かったことなどを報告した。米国では、市中肺炎が成人の感染症による入院および死亡の要因であることは知られていたが、詳細は不明であった。NEJM誌オンライン版2015年7月14日号掲載の報告。