ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:51

6~17歳におけるAZ製ワクチンの安全性と免疫原性/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンChAdOx1 nCoV-19(AZD1222、アストラゼネカ製)は、6~17歳の小児において忍容性と免疫原性が高く、成人を対象とした第III相試験で示された高い有効性と関連する抗体濃度と同程度の抗体を誘導することができ、安全性に関する懸念は認められなかった。英国・チャーチル病院のGrace Li氏らが、英国の4施設で実施した第II相単盲検無作為化比較試験「COV006試験」の結果を報告した。COVID-19ワクチンについては、小児および若年者への接種を推奨している国もあるが、18歳未満におけるCOVID-19ワクチンの免疫反応に関するデータは成人と比較して十分ではなかった。Lancet誌オンライン版2022年6月11日号掲載の報告。  研究グループは、慢性呼吸器疾患および検査で確認されたCOVID-19の既往がなく、莢膜B群髄膜炎菌ワクチン(対照)未接種の6~17歳の健康小児を、AZD1222(ウイルス粒子量5×1010)を28日間隔、対照ワクチンを28日間隔、AZD1222を84日間隔、対照ワクチンを84日間隔でそれぞれ2回接種する群に、4対1対4対1の割合で無作為に割り付け筋肉内投与した。

乳がん検出の違い、3Dマンモvs.デジタルマンモ/JAMA

 乳がんスクリーニングにおける、デジタル乳房トモシンセシス(DBT)とマンモグラフィの検出の違いを比較した結果、浸潤性中間期乳がんリスクについては有意差が認められなかったが、「きわめて高濃度乳房で乳がんリスクが高い」女性(試験集団の3.6%)の進行乳がんリスク低下については有意な関連が示された。一方で、試験集団の96.4%の女性(非高濃度乳房、不均一な高濃度乳房、またはきわめて高濃度乳房だがリスクが高くない)で、有意差は観察されなかった。米国・カリフォルニア大学のKarla Kerlikowske氏らが、コホート研究の結果を報告した。DBTは女性の高濃度乳房のがん検出を改善することを期待して開発されたものだが、浸潤性中間期乳がんおよび進行乳がん、乳がん死亡と関連する中間アウトカムについて、高濃度乳房および乳がんリスク別に評価する研究が必要とされていた。JAMA誌2022年6月14日号掲載の報告。

mRNAワクチン後の心筋炎/心膜炎リスク、何回目が高いか/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン接種後に、稀ではあるが心筋炎または心膜炎のリスク増加が認められ、とくに18~25歳の男性で2回目接種後に最も高いことが、米国食品医薬品局(FDA)のHui-Lee Wong氏らによる後ろ向きコホート研究で示された。米国の医療保険請求データベースを用い、mRNA-1273(モデルナ製)とBNT162b2(ファイザー製)の接種後における心筋炎または心膜炎のリスクを定量的に直接比較した。これまで、いくつかの受動的サーベイランスシステムにより、とくに若年男性において、COVID-19 mRNAワクチン接種後の心筋炎または心膜炎のリスク増加が報告されていた。著者は、「今回の結果は、mRNA-1273とBNT162b2との間に統計学的に有意なリスク差があることを示していないが、差が存在する可能性は除外されるべきではない。また、ベネフィット-リスクプロファイルに従い、いずれかのmRNAワクチンの接種は引き続き支持される」とまとめている。Lancet誌2022年6月11日号掲載の報告。

オミクロン株症候性感染の予防、既感染+3回接種が高い効果/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(BNT162b2[ファイザー製]、mRNA-1273[モデルナ製])接種やオミクロン変異株(B.1.1.529)以外への既感染、およびその両者(ハイブリッド免疫)を有する場合、オミクロン変異株亜種のBA.1/BA.2感染による重症化の予防効果について、識別可能な違いはないことが示された。症候性感染に対する予防効果は、既感染+最近のブースター接種からなるハイブリッド免疫が最も強力だったという。Weill Cornell Medicine-QatarのHeba N. Altarawneh氏らが、カタール国内で行った診断陰性ケースコントロール試験の結果で、NEJM誌オンライン版2022年6月15日号で発表された。  研究グループは、2021年12月23日~2022年2月21日にカタール国内でマッチド診断陰性ケースコントロール試験を行い、COVID-19ワクチン(BNT162b2またはmRNA-1273)接種や、オミクロン変異株以前の変異株への感染による自然免疫、およびハイブリッド免疫(既感染+ワクチン接種)による、症候性オミクロン変異株感染および重症・重篤・致死的COVID-19に対する有効性を検証した。

手術中の麻酔ケア引き継ぎ、術後アウトカムに影響なし/JAMA

 18歳以上の成人患者に対する2時間以上の手術中に、複数医師間で術中麻酔ケアの引き継ぎを行っても、術後30日間の死亡や再入院、重度合併症の発生といった術後アウトカムには影響しないことが示された。ドイツ・ミュンスター大学病院のMelanie Meersch氏らが、1,817例を対象に行った並行群間比較無作為化試験の結果で、JAMA誌オンライン版2022年6月4日号で発表した。これまで大規模な観察試験において、術中麻酔ケアの引き継ぎは高い死亡率など有害アウトカムと関連することが報告されていた。  研究グループは2019年6月~2021年6月にかけて、ドイツ12ヵ所の医療センターで試験(患者登録)を開始し、術中麻酔ケアの引き継ぎと術後アウトカムの関連を検証した(最終フォローアップは2021年7月31日)。適格被験者は、米国麻酔科学会身体状態分類(ASA-PS)3~4で、2時間以上の主要入院手術が予定されていた18歳以上の1,817例だった。

新規抗体薬teclistamab、再発・難治性多発性骨髄腫に有効/NEJM

 新規の抗体製剤teclistamabは、3クラスの薬剤(免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体)の投与歴がある再発・難治性多発性骨髄腫の治療において、深く持続的な奏効を高率にもたらし、安全性も良好であることが、フランス・University Hospital Hotel-DieuのPhilippe Moreau氏らが実施した「MajesTEC-1試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年6月5日号に掲載された。teclistamabは、T細胞表面に発現しているCD3と、骨髄腫細胞表面に発現しているB細胞成熟抗原(BCMA)の双方を標的とし、T細胞の活性化とそれに続くBCMA発現骨髄腫細胞の溶解を誘導するT細胞再指向型二重特異性抗体で、本試験の用量設定第I相試験で有望な有効性が確認されていた。

大腸内視鏡、医師の腺腫検出率と検査後がんリスクが相関/JAMA

 大腸内視鏡検査は、大腸腺腫検出率(ADR)が高い医師が行うと、検出率の値の広い範囲にわたって、大腸内視鏡検査後の大腸がん(PCCRC)のリスクが有意に低く、PCCRCによる死亡も少ないことが、米国・Kaiser Permanente Bernard J. Tyson School of MedicineのJoanne E. Schottinger氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2022年6月7日号で報告された。  研究グループは、医師の大腸内視鏡によるADRと、PCCRCおよびPCCRCによる死亡との関連を評価する目的で、米国の3つの大規模ヘルスケアシステム(カイザーパーマネンテ北カリフォルニア[KPNC]、カイザーパーマネンテ南カリフォルニア[KPSC]、カイザーパーマネンテワシントン[KPWA])の統合データを用いて後ろ向きコホート研究を行った(米国国立がん研究所[NCI]のPopulation-based Research to Optimize the Screening Process[PROSPR]IIの助成を受けた)。

高齢未治療MCL、標準化学免疫療法へのイブルチニブ上乗せでPFS延長(SHINE)/NEJM

 未治療のマントル細胞リンパ腫(MCL)高齢患者において、標準化学免疫療法(ベンダムスチン+リツキシマブ:BR療法)へのブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブの上乗せは、プラセボとの比較において、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMichael L. Wang氏らによる国際無作為化二重盲検第III相試験「SHINE試験」の結果、示された。これまでに未治療/再発/難治性MCLの患者17例を対象とした第Ib相試験で、BR療法へのイブルチニブ上乗せは、患者の76%が完全奏効(CR)を有し、安全かつ有効であることが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年6月3日号掲載の報告。

ミスマッチ修復機能欠損の局所進行直腸がん、PD-1阻害薬単独で治癒?/NEJM

 ミスマッチ修復機能欠損を有する局所進行直腸がんは、PD-1阻害薬のみの治療で治癒する可能性が高いことが、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのAndrea Cercek氏らが行った、前向き第II相試験の結果、示された。局所進行直腸がんは、術前化学療法と放射線療法、その後の手術療法が標準治療となっているが、ミスマッチ修復機能欠損を有する局所進行直腸がんでは、標準的な化学療法では十分な奏効を得られないことが示されていた。一方で、転移を有する患者および治療抵抗性の患者における免疫チェックポイント阻害薬のみの客観的奏効率は33~55%と、第一選択薬として非常に有効であることが報告されており、研究グループはこれらの知見に基づき、PD-1阻害薬の単剤投与が、ミスマッチ修復機能欠損の局所進行直腸がんに有益であるとの仮説を立て、dostarlimabによる術前化学療法の奏効率を調べる試験を行った。NEJM誌オンライン版2022年6月5日号掲載の報告。

HER2低発現進行乳がん、T-DXdでPFSとOSが延長(DESTINY-Breast04)/NEJM

 HER2低発現の再発・転移のある乳がん患者において、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は医師選択の化学療法と比較し、無増悪生存(PFS)期間および全生存(OS)期間を有意に延長させることが、第III相臨床試験「DESTINY-Breast04試験」で示された。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのShanu Modi氏らが報告した。HER2の増幅や過剰発現を伴わない乳がんの中には、治療の標的となる低レベルのHER2を発現しているものが多く存在するが、現在用いられているHER2療法はこれら「HER2低発現」のがん患者には効果がなかった。NEJM誌オンライン版2022年6月5日号掲載の報告。  研究グループは、2018年12月27日~2021年12月31日の期間に、1~2ラインの化学療法歴があるHER2低発現(IHCスコア1+、またはIHCスコア2+かつISH-)の再発・転移のある乳がん患者を、T-DXd群または化学療法群(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ナブパクリタキセルのいずれかを医師が選択)に、2対1の割合で無作為に割り付けた。  主要評価項目は、盲検化独立中央評価委員会(BICR)判定によるホルモン受容体(HR)陽性患者におけるPFS、主要な副次評価項目は全例におけるPFS、HR陽性患者および全例におけるOSであった。

StageII大腸がん、ctDNAに基づく術後化学療法の選択は有用(DYNAMIC)/NEJM

 StageII大腸がんの治療において、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を用いた治療方針の決定により無再発生存期間(RFS)を損なうことなく術後化学療法の使用を減少できることが、オーストラリア・Walter and Eliza Hall Institute of Medical ResearchのJeanne Tie氏らが行った多施設共同無作為化第II相試験「Circulating Tumour DNA Analysis Informing Adjuvant Chemotherapy in Stage II Colon Cancer trial:DYNAMIC試験」の結果、示された。StageII大腸がんにおける術後化学療法の役割については議論が続いている。術後にctDNAが存在する場合はRFSが非常に短いことを、存在しない場合は再発リスクが低いことを予測するが、ctDNA陽性者に対する術後化学療法の有用性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2022年6月4日号掲載の報告。  研究グループは2015年8月10日~2019年8月2日の期間に、オーストラリアの23施設において、StageII(T3またはT4、N0、M0)の結腸または直腸腺がんでR0切除が得られ、術後化学療法を実施可能なECOG PS 0~2の患者455例を、ctDNAの結果に基づき治療を行うctDNA群または標準治療群に、2対1の割合で無作為に割り付けた(それぞれ302例、153例)。  ctDNA群では、術後4週および7週時のいずれかでctDNAが陽性であった場合に、フルオロ

KRAS G12C変異陽性NSCLCへのadagrasib、臨床的有効性示す/NEJM

 プラチナベースの化学療法と抗PD-1/抗PD-L1抗体による治療を受けたKRAS G12C変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対して、経口adagrasibは、臨床的有効性を示し新たな安全性シグナルは認められなかった。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPasi A. Janne氏らによる、進行固形がん患者を対象に行われている「KRYSTAL-1第I-II相試験」の一部である第II相コホート116例を対象とした検討の結果で、NEJM誌オンライン版2022年6月3日号で発表された。「KRYSTAL-1試験」の第I相-1b試験でKRAS G12C阻害薬adagrasibの臨床的活性および忍容可能な有害事象プロファイルは確認されていた。

10~18歳2型DMにデュラグルチド週1回投与は有効か/NEJM

 10~18歳の2型糖尿病において、GLP-1受容体作動薬デュラグルチドの週1回投与(0.75mgまたは1.5mg)は、メトホルミン服用や基礎インスリンの使用を問わず、26週にわたる血糖コントロールの改善においてプラセボよりも優れることが、米国・ピッツバーグ大学のSilva A. Arslanian氏らによる検討で示された。BMIへの影響は認められなかった。NEJM誌オンライン版2022年6月4日号掲載の報告。  研究グループは、10歳以上18歳未満の2型糖尿病で、BMIが85パーセンタイル超、生活習慣の改善のみ、もしくはメトホルミン治療(基礎インスリン併用または非併用)を受ける154例を対象に、26週にわたる二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。

ウパダシチニブ、中等~重症の潰瘍性大腸炎に高い有効性/Lancet

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎(UC)の治療において、経口選択的ヤヌスキナーゼ1(JAK1)阻害薬ウパダシチニブはプラセボと比較して、導入療法および維持療法として高い有効性と優れた安全性を有し、有望な治療選択肢となる可能性があることが、イタリア・University Vita-Salute San RaffaeleのSilvio Danese氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年6月4日号で報告された。  本研究は、2つの導入療法試験(U-ACHIEVE substudy 2[UC1]、U-ACCOMPLISH[UC2])と、1つの維持療法試験(U-ACHIEVE substudy 3[UC3])から成る二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、UC1に39ヵ国199施設が、UC2に40ヵ国204施設が参加し、これらの試験で臨床的改善(Adapted Mayoスコアに基づく)が達成された患者を対象とするUC3には35ヵ国195施設が参加した(AbbVieの助成を受けた)。

子宮頸がん検診の間隔、HPV陰性なら延長可能か/BMJ

 子宮頸がん検診の間隔は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の1次検査を受けることで、検査の方法を問わず延長が可能で、25~49歳の女性では検査陰性から5年まで延長でき、50~59歳の女性は5年以上に延長の可能性もあるが、個別受診再勧奨による再検査で陽転した女性では従来どおり3年の間隔を保持する必要があることが、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのMatejka Rebolj氏らHPV pilotの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年5月31日号に掲載された。  研究グループは、子宮頸がんの1次スクリーニングが陰性の女性における、Grade3以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN3+)および子宮頸がんのリスクに関して、年齢別、検査法別のエビデンスの更新を目的に観察研究を行った(英国公衆衛生庁[イングランド]などの助成を受けた)。

肥満者への行動的体重管理介入で体重とウエスト減/BMJ

 プライマリケアにおける成人肥満者への行動的体重管理介入は、減量に有効で、ウエスト周囲長にも有意な減少効果が認められ、一般人への導入の可能性もあることが、英国・ラフバラー大学のClaire D. Madigan氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年5月30日号で報告された。  研究グループは、プライマリケアにおける成人肥満者への行動的体重管理介入(減量を目的とする行動的介入)の有効性の評価を目的に、無作為化対照比較試験の系統的レビューとメタ解析を行った(英国国立健康研究所[NIHR]レスター生物医学研究センターの助成を受けた)。

リサンキズマブ、クローン病の寛解維持療法に有効/Lancet

 インターロイキン(IL)-23のp19サブユニットを標的とするヒト化モノクローナル抗体リサンキズマブの静脈内投与による寛解導入療法で臨床的奏効が得られた中等症~重症の活動期クローン病患者の寛解維持療法において、リサンキズマブ皮下投与はプラセボ(休薬)と比較して、52週の時点での臨床的寛解率および内視鏡的改善率が高く、忍容性も良好で、有害事象の頻度には差がないことが、ベルギー・ルーヴェン大学病院のMarc Ferrante氏らが実施した「FORTIFY substudy 1(SS1)試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年5月28日号に掲載された。

中等~重症のクローン病、リサンキズマブ導入療法が有効/Lancet

 中等症~重症の活動期クローン病患者において、IL-23 p19阻害薬リサンキズマブは導入療法として有効であり忍容性も良好であることが示された。オランダ・アムステルダム大学医療センターのGreet D'Haens氏らが、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ADVANCE試験」および「MOTIVATE試験」の結果を報告した。Lancet誌2022年5月28日号掲載の報告。  両試験の対象は16~80歳の中等症から重症の活動期クローン病患者で、ADVANCE試験では既存治療または生物学的製剤で効果不十分または不耐容の患者、MOTIVATE試験では生物学的製剤で効果不十分または不耐容の患者を適格とした。適格患者をリサンキズマブ600mg群、1,200mg群、またはプラセボ群(いずれも0、4および8週目に単回静脈内投与)に、ADVANCE試験では2対2対1の割合で、MOTIVATE試験では1対1対1の割合で無作為に割り付けた。

進行膵がん、TCR-T細胞療法が転移巣に著効した1例/NEJM

 米国・Earle A. Chiles Research InstituteのRom Leidner氏らが、KRAS G12Dを標的としたT細胞受容体(TCR)遺伝子治療により腫瘍縮小が得られた転移のある進行膵がん患者について報告した。膵管腺がんは現在の免疫療法に抵抗性を示し、依然として致死率が最も高いという。研究グループは以前、転移のある大腸がん患者の腫瘍浸潤リンパ球からKRAS G12Dを標的としたHLA-C★08:02拘束性TCRを同定し、自家KRAS G12D反応性腫瘍浸潤リンパ球を用いた治療により内臓転移の客観的縮小が観察されたことを報告し(N Engl J Med.2016;375:2255-2262.)、この腫瘍浸潤リンパ球由来のKRAS G12D反応性TCRが、HLA-C★08:02とKRAS G12Dを発現している腫瘍を有する患者の、TCR遺伝子治療として使用できる可能性が示唆されていた。NEJM誌2022年6月2日号掲載の報告。

骨髄異形成症候群へのメチル化阻害薬、がん遺伝子への影響は?/NEJM

 骨髄異形成症候群の患者へのメチル化阻害薬治療後に、がん遺伝子の脱メチル化とアップレギュレートが起こることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のYao-Chung Liu氏らによって確認された。2つのコホートの患者サンプルの分析と遺伝子座特異的脱メチル化技術「CRISPR-DNMT1-interacting RNA」(CRISPR-DiR)を組み合わせた検討で明らかになったという。メチル化阻害薬は現在、がん患者の治療に用いられているが、腫瘍遺伝子の再活性化およびアップレギュレートも可能かどうかは、十分に解明されていない。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる検討の必要性があることが判明した」と述べている。NEJM誌2022年5月26日号掲載の報告。  研究グループは、2つの骨髄異形成症候群の患者コホートについて、メチル化阻害薬治療前後の骨髄サンプルを採取し、骨髄異形成症候群やその他がんで重要な役割を果たしている既知のがん遺伝子SALL4へのメチル化阻害薬の影響を検証した。  第1コホートとして新たに骨髄異形成症候群の診断を受けた37例について、骨髄サンプルを採取。うち25例について、5-アザシチジンの4サイクル投与前後の骨髄サンプルを採取した。第2コホートでは、骨髄異形成症候群の診断を受けた43例について、メチル化阻害薬の5サイクル投与前後の骨髄サンプルを採取した。また、対照群として、健康なドナー10例からCD34-骨髄単核細胞を、また同5例からCD34+骨髄単核細胞を採取した。  SALL4発現の変化、治療反応性、臨床アウトカムについて、メチル化阻害薬治療との関連を調べた。SALL4発現が低いか検出限界以下の白血病細胞株を用いて、SALL4メチル化と発現との関連を調べた。