ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:198

IFNフリーレジメン、4つの遺伝子型のHCVとHIV重複感染に有効/Lancet

 C型肝炎ウイルス(HCV)とヒト免疫不全ウイルス(HIV)の重複感染患者の治療において、インターフェロン(IFN)フリーレジメンであるソホスブビル+リバビリン併用療法は、HCVの4つの遺伝子型のいずれに対しても高い有効性を発揮することが、フランス・パリ第7大学(ディドロ)のJean-Michel Molina氏らが行ったPHOTON-2試験で示された。欧州ではHIV感染例の25%にHCVの重複感染が認められ、遺伝子型2および3型HCVとHIVの重複感染例にはIFNフリーレジメンが承認されているが、1および4型HCV重複感染例の治療選択肢はIFNベースレジメンに限られる。PHOTON-1試験では、未治療の1~3型および既治療の2および3型HCVの重複感染例に対する本レジメンの有効性が確認されている。Lancet誌オンライン版2015年2月3日号掲載の報告。

超急性期脳卒中への硫酸Mgの有用性は?/NEJM

 脳卒中が疑われる患者に対し、病院到着前に神経保護療法として硫酸マグネシウムの投与を行っても、予後は改善されないことが、米国南カリフォルニア大学のJeffrey L Saver氏らが行ったFAST-MAG試験で示された。脳卒中急性期の再灌流療法の補完的治療戦略として、神経保護薬が有望視されている。硫酸マグネシウムは、脳卒中の前臨床モデルで神経保護作用が示され、ヒトでは発症早期の投与による有効性の徴候および許容可能な安全性プロファイルが確認されている。NEJM誌2015年2月5日号掲載の報告。

健康的な食事はCOPDリスクも減らす/BMJ

 先行研究で、食事の質を測る新たな代替健康食指数(Alternate Healthy Eating Index 2010:AHEI-2010)が、心血管疾患や糖尿病などの慢性疾患やがんのリスクに関連していることが報告されている。フランス・国立保健医学研究所(Inserm)のRaphaelle Varraso氏らは、米国人男女対象の前向きコホート研究を行い、同指数高値と慢性閉塞性肺疾患(COPD)リスク低下が関連することを明らかにした。AHEI-2010とは、全粒穀物、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、ナッツ、長鎖オメガ3脂肪酸の摂取量が高く、赤身/加工肉、精製粉、甘味料入飲料の摂取量が低い食事を反映した健康食指数である。これまでCOPDリスクへの食事スコアの寄与については不明であったが、今回の結果を踏まえて著者は、「COPD予防には、多面的な介入プログラムが重要であることが支持された」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年2月3日号掲載の報告。

前立腺がん診断、高リスクを検出しやすい生検法/JAMA

 前立腺がんの診断能について、標準的な6分割法の超音波ガイド下生検と比較して、標的MR/超音波融合ガイド下生検は、高リスクの前立腺がんの検出を増大し、低リスクの検出を減少することが明らかにされた。米国立がん研究所(NCI)のM. Minhaj Siddiqui氏らが、前立腺がん疑いの男性1,003例を対象に行った前向きコホート研究の結果、報告した。今回の結果を踏まえて著者は、さらなる検討を行い、標的生検の臨床的適用を明らかにする必要があると述べている。JAMA誌2015年1月27日号掲載の報告より。

早産児介入試験、慢性肺疾患の報告は3割のみ/BMJ

 選択的なアウトカムの報告は、臨床試験およびシステマティックレビューの結果の妥当性に対する重大な脅威とされる。これまでに試験プロトコルと発表論文を比較した実証研究から、多くのアウトカムが選択的に報告されていることが示唆されている。そこで米国・スタンフォード大学のJohn P A Ioannidis氏らは、早産児介入のシステマティックレビュー論文および組み込まれた無作為化試験において、同集団で最も重大な臨床アウトカムの慢性肺疾患に関する情報が、どのように散見されるかを検討した。その結果、レビュー論文で慢性肺疾患について報告していたのは半数弱(45%)であり、同データを報告していた試験は31%のみであったことを明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年1月26日号掲載の報告より。

治療抵抗性高血圧に動静脈吻合術が有効/Lancet

 降圧薬治療ではコントロール不良な高血圧患者に対し、動静脈吻合術を行うことで、血圧および高血圧性合併症が有意に減少したことが報告された。診察室測定の収縮期血圧値は6ヵ月後に約27mmHg低下したという。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のMelvin D Lobo氏らによる、非盲検多施設前向きの無作為化比較試験ROX CONTROL HTNの結果、示された。結果を踏まえて著者は、「このアプローチは、コントロール不良の高血圧患者に有益な補助的療法となるかもしれない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年1月22日号掲載の報告より。

閉経後体重の増減で骨折リスク部位異なる/BMJ

 閉経後の体重増加や減少は、骨折リスクを増大するようだ。また、体重増加と減少では骨折リスクの増加する部位が異なるという。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のCarolyn J. Crandall氏らが、女性の健康イニシアチブ観察・臨床試験(Women’s Health Initiative Observational Study and Clinical Trials)に参加した12万例超のデータを事後解析した結果、報告した。BMJ誌オンライン版2015年1月27日号掲載の報告より。

妊婦の禁煙支援に報奨が有効/BMJ

 妊婦の禁煙支援として、通常ケアに加え金銭的な報奨の付与が有効であることが、英国・グラスゴー大学のDavid Tappin氏らが行ったCPIT試験で示された。米国では妊婦の禁煙支援に金銭的な報奨を導入した小規模な臨床試験がいくつか行われており、英国立医療技術評価機構(NICE)はその費用対効果を検証する研究の実施を呼びかけている。英国の世論調査のデータを使用した離散選択実験(discrete choice experiment)では、報奨は月額20~80ポンドであれば許容されることが示唆されていた。BMJ誌オンライン版2015年1月27日号掲載の報告。

腎除神経術は有効か?/Lancet

 これまでの検討で、治療抵抗性高血圧患者に対する腎除神経術の降圧効果は相反する結果が報告されている。フランス・パリ第5大学のMichel Azizi氏らは多施設共同前向き非盲検無作為化対照試験DENERHTNを行い、同患者へは段階的降圧薬治療(SSAHT)単独よりも、腎除神経術を併用したほうが、降圧効果が有意に大きいとの結果が得られたこと(6ヵ月時点の評価)を報告した。しかし著者は、いまだ腎除神経術の有効性、安全性評価の確立や、同手術による降圧の予測因子を明確にする必要があることを指摘し、「腎除神経術による降圧効果が長期に持続することが判明すれば、今回示された降圧効果が心血管罹患率の低減に寄与する可能性はある」と考察している。Lancet誌オンライン版2015年1月25日号掲載の報告より。

重症患者の連日クロルヘキシジン清拭は無効?/JAMA

 連日のクロルヘキシジン(商品名:ヒビテンほか)清拭は、重症患者の医療関連感染(health care-associated infection)を予防しないことが、米国・ヴァンダービルト大学のMichael J Noto氏らの検討で確認された。入院中の院内感染(医療関連感染)は、入院期間の延長や死亡率の上昇、医療費の増大をもたらす。入院患者の皮膚は病原菌の貯蔵庫であり、医療関連感染の機序には皮膚微生物叢の浸潤が関連すると考えられている。クロルヘキシジンは広域スペクトルの局所抗菌薬であり、清拭に使用すると皮膚の細菌量が減少し、感染が抑制される可能性が示唆されている。AMA誌2015年1月27日号掲載の報告。

睡眠指導でADHDの症状が改善/BMJ

 注意欠如・多動症(ADHD)の小児に対する簡易な睡眠衛生指導と行動療法的治療により、ADHDの症状が改善され、QOLや日常機能にも良好な効果がもたらされることが、オーストラリア・メルボルン大学のHarriet Hiscock氏らの検討で示された。ADHDの子供には睡眠行動障害がみられることが多く、その家族への影響が指摘されている。ADHD患児の睡眠への介入が、ADHDの症状や家族に及ぼす影響を無作為化試験で評価した研究はこれまでなかったという。BMJ誌オンライン版2015年1月20日号掲載の報告。

グリベンクラミド、妊娠糖尿病には注意/BMJ

 妊娠糖尿病の短期的治療について、グリベンクラミド(商品名:オイグルコン、ダオニールほか)はインスリンおよびメトホルミン両剤よりも明らかに劣性であり、一方、メトホルミン(+必要に応じてインスリン)がインスリンよりもわずかだが良好であることが示された。スペイン・Mutua de Terrassa大学病院のMontserrat Balsells氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「グリベンクラミドは、メトホルミンやインスリンが使用できるのなら妊娠糖尿病治療には用いるべきでない」と提言している。BMJ誌オンライン版2015年1月21日号掲載の報告より。

小児救急での鎮静プロトコルは有効か/JAMA

 急性呼吸不全で人工呼吸器を装着した小児に対し看護師による目標指向型の鎮静プロトコルを行っても、通常ケアと比較して呼吸器装着期間は短縮しなかったことが示された。検討は米国・ペンシルベニア大学のMartha A. Q. Curley氏らが、31ヵ所の小児ICU(PICU)で2,449例を対象に行った集団無作為化試験の結果、報告した。探索的副次アウトカムの評価からは、挿管中の覚醒患者の割合は介入群で有意に高率であった一方、疼痛や興奮のエピソードも介入群で有意に高率であるなど、説明が困難な介入との関連が示されたという。これまでに、鎮静プロトコルは成人の救急疾患ではアウトカムを改善するが、小児への有効性については不明であった。JAMA誌2015年1月27日号掲載の報告より。

急性脳卒中への予防的抗菌薬は有用か/Lancet

 急性脳卒中の患者に対し、通常の脳卒中治療に加え第3世代セフトリアキソン(商品名:ロセフィンほか)の予防的投与を行っても、機能的アウトカムの改善にはつながらなかったことが報告された。オランダ・アムステルダム大学のWilleke F. Westendorp氏らが、同患者2,550例について行った多施設共同非盲検無作為化比較試験PASS(Preventive Antibiotics in Stroke Study)の結果、示された。著者は「今回の結果は、成人急性脳卒中患者に対する予防的抗菌薬投与を支持しないものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年1月19日号掲載の報告より。

高感度心筋トロポニンI検査、閾値は男女別に設定を/BMJ

 高感度心筋トロポニンI検査で男女別の診断閾値を設定することで、女性の心筋梗塞診断率が倍増し、心筋梗塞再発や死亡リスクの高いグループを特定できることが判明した。英国・エディンバラ大学のAnoop S. V. Shah氏らが、急性冠症候群疑いの患者1,126例について行った前向きコホート試験の結果、報告した。これまでの研究から、男女同一の診断閾値の採用が、女性の心筋梗塞の過少診断につながり、治療やアウトカムの性差を引き起こす可能性が指摘されていた。BMJ誌オンライン版2015年1月21日号掲載の報告より。

ERでの急性心筋梗塞の診断、TnT検査のカットオフ値は/BMJ

 高感度トロポニンT(TnT)アッセイ単回ベースライン時実施時のカットオフ値について、3~5ng/Lといった低値を用いてもルールアウトは可能であることが示された。英国・エクセター大学のZhivko Zhelev氏らが、システマティックレビューとメタ解析を行った結果、報告した。ただし同値での診断について著者は、「あくまで総合的なトリアージ戦略の一部とすべきもので、発症後3時間未満の患者には適しているとは思われない」と指摘している。本検討は、緊急救命室(ER)での急性心筋梗塞の診断について、TnT単回ベースライン実施のサマリー推定精度を明らかにすることを目的に行われた。BMJ誌オンライン版2015年1月15日掲載の報告より。

ポリマーや材質の異なる第3世代ステント、有用性を比較/Lancet

 耐久性ポリマー・ゾタロリムス溶出ステントは、生分解性ポリマー・バイオリムス溶出ステントに対し非劣性であることが、デンマーク・オールボー大学のBent Raungaard氏らによる無作為化試験「SORT OUT VI」の結果、示された。新世代の薬剤溶出ステントは、とくに複雑疾患や病変を有する患者における冠動脈イベントリスクを低減するが、ステント材質の違い、ポリマーおよび抗増殖性の薬剤であることがアウトカムに影響を及ぼすかについては明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン2015年1月15日号掲載の報告より。

市中肺炎入院患者、ステロイド追加で早期回復/Lancet

 入院を要する市中肺炎患者の治療において、プレドニゾンの7日間投与による補助療法を行うと、臨床的安定の達成までの期間が有意に短縮することが、スイス・バーゼル大学病院のClaudine Angela Blum氏らの検討で示された。市中肺炎では、血中への炎症性サイトカインの過剰放出により肺機能障害が引き起こされるが、ステロイドは全身性の炎症過程を抑制し、さらに肺炎球菌性肺炎に対する効果も確認されている。一方、ステロイド補助療法のベネフィットに関する議論は1950年代から続いているが、最近の臨床試験の結果は相反するものだという。Lancet誌オンライン版2015年1月18日号掲載の報告。

肺炎入院歴は心血管疾患のリスク因子/JAMA

 肺炎による入院歴がある集団では、これがない集団に比べ心血管疾患(CVD)の発症率が、短期的および長期的にも高いことが、カナダ・オタワ大学のVicente F. Corrales-Medina氏らの検討で示された。65歳以上では、30日発症率が約4倍に達し、その後10年まで有意なリスクの増大がみられ、65歳未満でも2年目まで有意なリスク上昇が確認された。CVDの至適な予防戦略を確立するには、リスク因子の特性化が重要であり、感染症はCVDの短期的、長期的なリスク因子である可能性が指摘されている。JAMA誌2015年1月20日号掲載の報告。

学校での自殺予防介入は有効/Lancet

 学校ベースの自殺防止プログラムにより、生徒の自殺企図や重大な自殺念慮を減らすことができたことを、スウェーデン・カロリンスカ研究所のDanuta Wasserman氏らが、多施設共同集団無作為化対照試験SEYLEの結果、報告した。若者の自殺は深刻な公衆衛生問題となっており、根拠に基づく予防プログラムへの期待が高まっている。今回の結果について著者は、「学校でのユニバーサルな自殺予防介入が有益であることが実証された」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年1月8日号掲載の報告より。