ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:225

ホルモン補充療法、慢性疾患予防として支持されず/JAMA

 閉経後女性に対するホルモン療法は、症状の管理に有効な場合があるものの、慢性疾患の予防法としては適切でないことが、Women’s Health Initiative(WHI)試験の長期的追跡の結果から明らかとなった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJoAnn E Manson氏らが、JAMA誌2013年10月3日号で報告した。米国では、当初、ホルモン療法は主に血管運動症状の治療法として用いられていたが、次第に冠動脈心疾患(CHD)や認知機能障害など加齢に伴う多くの慢性疾患の予防法とみなされるようになったという。現在も日常臨床で施行されているが、慢性疾患の予防におけるリスクやベネフィットに関する疑問は解消されずに残されたままだった。

LDL-Cを40%低下させた新しいタイプの薬、RNA干渉薬/Lancet

 低分子RNA干渉薬ALN-PCSによる前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9(PCSK9)の合成阻害は、LDLコレステロール(LDL-C)を低下させる安全な作用メカニズムである可能性が、米国・Alnylam Pharmaceuticals社のKevin Fitzgerald氏らの検討で示された。研究の詳細はLancet誌オンライン版2013年10月3日号に掲載された。2006年、セリンプロテアーゼであるPCSK9の機能喪失型遺伝子変異によってLDL-Cが低下し、冠動脈心疾患のリスクが著明に低減することが確認された。それ以降、PCSK9を標的とする新たな脂質低下療法の開発が活発に進められ、これまでに抗PCSK9抗体のLDL-C低下効果が確認されているが、RNA干渉に基づくPCSK9合成阻害に関する報告はないという。

重度ICU患者、せん妄期間と認知機能障害リスクは有意に関連/NEJM

 ICUの重症患者のうち7割以上が、入院中にせん妄を発症するリスクがあり、せん妄期間が長いほど長期の認知機能障害発症リスクが高いことが明らかになった。米国・ヴァンダービルト大学のPratik P. Pandharipande氏らが、800例超のICU重症患者を対象に行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2013年10月3日号で発表した。重症疾患から回復した人は、認知機能障害を発症することが多いものの、その特徴についてはあまり調査がされていなかったという。

救急部門での急性頭痛、クモ膜下出血除外の新ルール/JAMA

 神経障害のない急性頭痛症状の患者のクモ膜下出血の除外に、オタワSAH基準の感度がきわめて高いことが示された。カナダ・オタワ病院のJeffrey J. Perry氏らが行った、多施設共同コホート試験の結果で、JAMA誌2013年9月25日号で発表した。本検討は、先行研究で、クモ膜下出血の精査を必要とする患者を特定することについて示された3つの臨床決定ルール(それぞれ4つの指数が示されており1つ以上該当する場合は該当すると判定)が、急性頭痛患者でも効果があるのか、精度、信頼性、臨床許容性、ルール改良の可能性を検討することが目的であった。

アルコール依存症に介入療法は有効か?/JAMA

 アルコールおよび薬物依存症患者に対し、医療・福祉サービスを調整・包括して提供する慢性疾患ケア管理(chronic care management:CCM)の有効性について検討した結果、通常プライマリ・ケアによるサービス提供と比べて、12ヵ月時点の離脱率に有意差はみられなかったことが報告された。米国・ボストン医療センターのRichard Saitz氏らが、無作為化試験「AHEAD」を行い報告した。依存症患者は、健康問題を抱え高度な医療を受けていたり、併存症を有している頻度が高いが、多くの場合、質の低い治療を受けているとされる。CCMは、同患者への治療およびアウトカムを改善するアプローチとして提唱された。JAMA誌2013年9月18日号掲載の報告より。

抗血小板薬、喫煙者で効果大/BMJ

 抗血小板薬服用患者において、喫煙者と非喫煙者では、心血管イベントの予防効果が異なることが、システマティックレビューとメタ解析による間接比較の結果、明らかにされた。米国・ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバードメディカルスクールのJoshua J Gagne氏らが報告した。本検討は、急性冠症候群患者へのクロピドグレル(商品名:ブラピックス)+アスピリン治療が、主要複合アウトカム(心血管死・心筋梗塞・脳卒中)のリスクを15%抑制したという無作為化試験の報告に端を発する。同報告のサブグループ解析から、リスク抑制の効果は喫煙者に限られるのではないかという疑問が持ち上がり話題となっていた。BMJ誌オンライン版2013年9月17日号掲載の報告より。

脳卒中介護者へのプログラムを入院中から導入してみると…/Lancet

 先行研究において、脳卒中後“退院”患者の身体的改善や、家族介護者の身体的負担の軽減ならびに不安やうつ病の減少効果が報告された、介護者への訓練プログラム(London Stroke Carers Training Course:LSCTC)について、同プログラムを入院中から行うこと(構造化訓練プログラム:TRACS)の費用対効果を検討した結果、通常ケアと変わらなかったことが明らかにされた。英国・ブラッドフォード教育病院NHS財団トラスト&リード大学のAnne Forster氏らが、クラスター無作為化比較試験および費用対効果分析の結果、報告したもので、「脳卒中直後は、構造化介護者訓練を提供する好機ではない可能性が示された」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年9月18日号掲載の報告より。

糖尿病患者へのプラクティスナースの電話指導は有効か?/BMJ

 2型糖尿病患者の血糖コントロールについて、通常プラリマリ・ケアとプラクティスナース(いわゆる“特定看護師”)による電話指導介入も行った場合とを比較した結果、アウトカムに有意な差はなかったことが、オーストラリア・メルボルン大学のIrene D Blackberry氏らにより行われたクラスター無作為化試験「PEACH」の結果、示された。訓練を受けた看護師による電話指導は、2型糖尿病の血糖や血圧、脂質を改善することが示されているが、実際の一般診療(GP)でのプラクティスナースによる効果については、これまで検討されていなかった。結果を踏まえて著者は「処方権のない看護師にゼネラリストの役割継続に加えて目標達成指導の役割を課しても、成果は得られないことが判明した」と結論している。BMJ誌オンライン版2013年9月18日号掲載の報告より。

がん検査、不利益に関する情報は十分でない/BMJ

 がんのスクリーニングに関する臨床試験では、当該検査法の不利益について定量的な分析はほとんど行われておらず、十分な情報に基づく意思決定に支障が生じている実態が、デンマーク・コペンハーゲン大学のBruno Heleno氏らの検討で明らかとなった。健常人を対象とするため、がんのスクリーニングでは不利益に関する詳細な検討が求められる。しかし、臨床試験が不利益について定量的な評価をルーチンに行っているかは知られていなかった。BMJ誌オンライン版2013年9月16日号掲載の報告。

低血糖を減少できる自動停止機能付きのインスリンポンプ/JAMA

 無自覚性低血糖がみられる1型糖尿病患者の低血糖イベントの管理において、自動停止機能付きインスリンポンプは標準的なインスリンポンプに比べ高い有効性を発揮することが、オーストラリア・プリンスマーガレット小児病院のTrang T Ly氏らの検討で示された。1型糖尿病の治療では低血糖が重大な問題となる。自動停止機能付きインスリンポンプは、すでにその安全性や血糖値が低血糖域にある時間を短縮することが確認されているが、実際に外来患者において重大な低血糖イベントの発生を低減するかは知られていなかった。JAMA誌2013年9月25日号掲載の報告より。

放射線治療による胃腸症状の改善法/Lancet

 骨盤放射線治療後に慢性的な胃腸症状を有する患者に対し、専門医や看護師がアルゴリズムに基づく治療を行うことで、6ヵ月後の症状がより大幅に改善することが明らかにされた。王立マーズデンNHS財団トラストH. Jervoise N. Andreyev氏らが、200例超について行った無作為化比較試験の結果、報告した。過去30年でがん生存者は3倍に増大したが、生存者の20~25%がQOLにおいて、がん治療の身体的悪影響を被っているという。慢性的な胃腸症状は骨盤放射線治療後の患者で頻度が高く、日常生活にも重大な影響を及ぼしている。Lancet誌オンライン版2013年9月23日号掲載の報告より。

4年に1回は多すぎる、高齢者の骨密度測定/JAMA

 骨粗鬆症未治療の平均75歳高齢者の男女において、骨密度測定による将来的な骨折リスク(股関節または重大骨粗鬆症性骨折)の予測能は、4年間隔での2回測定では意味ある改善は得られないことが判明した。米国・Hebrew SeniorLifeのSarah D. Berry氏らが、フラミンガム骨粗鬆症研究の被験者およそ800例について行ったコホート試験の結果、明らかにした。高齢者に対する、骨粗鬆症スクリーニングとして骨密度測定は推奨されているものの、反復測定の有効性については不明だった。JAMA誌2013年9月25日号掲載の報告より。

経口CMX001、造血細胞移植患者のCMV感染症予防効果は/NEJM

 サイトメガロウイルス(CMV)感染症の予防的治療薬として有望視されている経口CMX001について、米国・ダナファーバーがん研究所のFrancisco M. Marty氏らが造血細胞移植レシピエントを対象に、用量効果と安全性を評価する無作為化試験を行った。その結果、100mg週2回量が有意にイベント発生率を低下させることが示された。CMX001は当初、天然痘薬として開発されたが、in vitroでCMVやその他の二本鎖DNAウイルスに対して強い抗ウイルス活性があることが示され、また動物モデルにおけるCMV感染症治療薬としての効果はシドフォビル(国内未承認)の約400倍であることが示されていたという。NEJM誌2013年9月26日号掲載の報告より。

腹部手術時の癒着防止剤、有益なのは?/Lancet

 腹部手術における癒着防止剤として、酸化再生セルロースとヒアルロン酸カルボキシメチルセルロースは安全に癒着発生を減少することが示された。オランダ・ナイメーヘン・ラットバウト大学医療センターのRichard P G ten Broek氏らがシステマティックレビューの結果、報告した。癒着は腹部手術における最も頻度が高い長期合併症の原因で、小腸閉塞、再手術、女性の不妊や慢性疼痛を引き起こす可能性がある。癒着形成防止剤は、その重症度を軽減することが示されているにもかかわらず、まれにしか用いられていない。その要因として癒着に対する過小評価があるようだが、研究グループは、臨床使用が承認されている4つの癒着防止剤の有益性と有害性について検証した。Lancet誌オンライン版2013年9月27日号掲載の報告より。

ゲノム解析で判明、C. difficile感染の伝播経路は複数存在/NEJM

 主として医療施設内で伝播すると考えられていたクロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)感染について、ゲノム解析(配列決定)の結果、多様な遺伝子が特定され、感染源はさまざまであることが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のDavid W. Eyre氏らが、3年間のオックスフォードシャーでの発生症例を解析した結果、45%は、既往症例とは遺伝的に異なることが判明したという。NEJM誌2013年9月26日号掲載の報告より。

変形性膝関節症には運動介入がやはり有益/BMJ

 下肢変形性関節症を有する患者への運動介入の有益性について、システマティックレビューとネットワークメタ解析の結果、2002年以降のデータで、そのエビデンスが十分に蓄積されていることが示された。英国・キール大学のOlalekan A Uthman氏らによる報告で、「さらなる試験を行っても結果は覆りそうもないようだ」と述べるとともに、「筋力、柔軟性、有酸素能を高める複合的アプローチのエクササイズは、下肢変形性関節症の治療に最も効果があるようだ。なおエビデンスは変形性膝関節症患者の試験によるものが大部分を占めていた」とまとめている。BMJ誌オンライン版2013年9月20日号掲載の報告より。

女性の腹圧性尿失禁、初回療法は手術が優れる/NEJM

 女性の腹圧性尿失禁に対する初回療法として、中部尿道スリング手術を行ったほうが理学療法(骨盤底筋訓練など)を行うよりも、1年時点の主観的改善率、および主観的・客観的治癒率が高いことが、多施設共同無作為化試験の結果、明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJulien Labrie氏らが報告した。腹圧性尿失禁に対しては、理学療法を第一選択治療とすることとされており、理学療法が失敗した場合に手術療法を行うことが推奨されている。一方で、初回療法としてこれら2つのオプションを比較した無作為化試験によるデータは不足していた。NEJM誌2013年9月19日号掲載の報告より。

ストレス潰瘍予防目的のPPI、術後肺炎リスクを増大/BMJ

 冠動脈バイパス術(CABG)を受ける患者に対してストレス潰瘍の予防目的でしばしば投与される胃酸分泌抑制薬について、プロトンポンプ阻害薬(PPI)のほうがH2ブロッカーよりも、術後肺炎リスクが1.19倍とやや高いことが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のBrian T Bateman氏らが、全米約500病院からの患者データが集積されているPremier Research Databaseを用いた後ろ向きコホート研究の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2013年9月19日号掲載の報告より。

医師個人への特別報酬が降圧治療の質を改善させた/JAMA

 高血圧治療について、特別報酬を医師個人、診療所あるいは両者の、いずれにつけると質的改善の効果があるのかを検討した結果、医師個人へつけることのみ、良好な血圧コントロール達成もしくは努力への有意な増大がみられたことが示された。また特別報酬をいずれにつけても、つけなかった対照群と比較して、ガイドラインで推奨されている薬物療法の使用が有意に増大することはなく、低血圧症の発症も増大しなかったという。米国・マイケル E. デバキー退役軍人(VA)医療センターのLaura A. Petersen氏らが無作為化試験を行った結果、報告した。JAMA誌2013年9月11日号掲載の報告より。

大腸内視鏡検査はがん発生と死亡率をどのくらい低下させるか/NEJM

 下部消化管内視鏡(大腸内視鏡、S状結腸鏡)検査と、遠位・近位別の大腸がん発生との関連および死亡率との関連を検討した結果が、米国・ダナファーバーがん研究所のReiko Nishihara氏らにより報告された。大腸内視鏡検査およびS状結腸鏡検査が、大腸がん発生の予防に寄与することは知られるが、その効果の大きさや、実施頻度との関連について、とくに近位大腸がんに関しては明らかでなかった。NEJM誌2013年9月19日号掲載の報告より。