ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:114

消化管がんの2次予防にビタミンD補充は有効か/JAMA

 消化管がんの2次予防において、ビタミンD補充はプラセボと比較して、5年無再発生存率を改善しないことが、東京慈恵会医科大学の浦島 充佳氏らが実施したAMATERASU試験で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年4月9日号に掲載された。消化管がんの2次予防では、ビタミンD補充の有用性を示唆する観察研究の報告があり、無作為化試験の実施が求められていた。  本研究は、消化管がんにおける術後ビタミンD3補充療法の有用性の評価を目的に、単施設(国際医療福祉大学病院)で行われた二重盲検プラセボ対照無作為化試験である(国際医療福祉大学病院と東京慈恵会医科大学の助成による)。

5α還元酵素阻害薬で糖尿病の発症リスク増大?/BMJ

 5α還元酵素阻害薬(デュタステリドまたはフィナステリド)の投与を受ける良性前立腺肥大症患者は、タムスロシンの投与を受ける患者と比較して2型糖尿病の新規発症リスクが上昇することが示された。デュタステリドとフィナステリドとの間で有意差はなかった。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのLi Wei氏らが、5α還元酵素阻害薬投与による2型糖尿病の新規発症を検証した住民ベースのコホート試験の結果で、「これらの薬剤を開始する男性で、とくに2型糖尿病のリスク因子を有する男性では、モニタリングが必要になるだろう」とまとめている。最近の短期投与試験で、デュタステリドがインスリン抵抗性や脂肪肝を引き起こすことが示され、デュタステリドを日常的に服用している男性は他の治療薬を用いている男性と比較し、2型糖尿病のリスクが増加する可能性が指摘されていた。BMJ誌2019年4月10日号掲載の報告。

HIVのPrEP法、性感染症の増加と関連/JAMA

 HIV曝露前予防投与(preexposure prophylaxis:PrEP)法を受けている同性愛/両性愛の男性において、細菌性の性感染症(sexually transmitted infections:STI)が一部で非常に多く認められ、PrEP法がSTI発生増加と関連することが明らかにされた。オーストラリア・Burnet InstituteのMichael W. Traeger氏らが、PrEP法開始後のSTI発生率の変化を検討する目的で実施した多施設共同非盲検介入試験「The Pre-exposure Prophylaxis Expanded(PrEPX)試験」の結果で、著者は「PrEP法を受けている同性愛/両性愛の男性に対する頻繁なSTI検査の重要性が浮き彫りとなった」とまとめている。

認知症症状がある元NFL選手、脳内タウ増加が判明/NEJM

 認知症・精神神経症の症状が認められる元ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)選手について、脳内のタウなどを可視化するPET検査を行ったところ、症状のない男性コントロール群と比較して、慢性外傷性脳症(CTE)部位のタウ蓄積量はより多く、アミロイドβ蓄積量は同程度であることが示されたという。米国・ボストン大学のRobert A. Stern氏らによる検討結果で、NEJM誌2019年4月10日号で発表された。結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、CTE部位のタウ蓄積量上昇が、個々の患者で、検出に役立つかどうかを調べる必要がある」と述べている。

がんゲノム解析と電カルの統合データが治療効果と関連/JAMA

 非小細胞肺がん(NSCLC)の患者を対象に、ルーチンの診療から得た電子健康記録(EHR)と網羅的ゲノム解析(CGP)をリンクしたデータが、治療選択などに有効であることが明らかにされた。遺伝子のドライバー変異と標的治療の有効性の関連や、遺伝子変異数(TMB)と抗PD-1/PD-L1療法反応性との関連などが確認されたという。米国企業Foundation MedicineのGaurav Singal氏らが、約2万9,000例のがん患者データベースの中から、NSCLC患者4,000例超について解析し明らかにしたもので、JAMA誌2019年4月9日号で発表した。

日本の食品リスク因子は高Na摂取:GBD 2017/Lancet

 2017年の世界の健康的な食品および栄養素の摂取状況は、ほとんどすべてが最適ではなかった(suboptimal)ことが、米国・ワシントン大学のAshkan Afshin氏らGBD 2017 Diet Collaboratorsの調査で明らかとなった。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年4月3日号に掲載された。非最適食(suboptimal diet)は、非感染性疾患(NCD)の重要かつ予防可能なリスク因子だが、そのNCD負担に及ぼす影響を系統的に評価した研究は、これまでなかったという。

1型糖尿病児の血糖コントロール、持続皮下vs.頻回注射/BMJ

 英国の1型糖尿病の小児では、1年時の血糖コントロールに関して、持続皮下インスリン注入療法(CSII)には頻回注射法(MDI)を凌駕する臨床的有益性はないことが、同国Alder Hey Children’s NHS Foundation TrustのJoanne C. Blair氏らが行ったSCIPI試験で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年4月3日号に掲載された。CSIIは費用対効果が優れるとするメタ解析や経済評価の報告があるが、いずれも小規模な無作為化対照比較試験や観察研究のデータに基づくものであった。

症候性AFへのアブレーションの効果、CABANA試験で明らかに/JAMA

 症候性心房細動(AF)患者では、カテーテルアブレーションは薬物療法と比較して、1年後のQOLに関し臨床的に意義のある改善をもたらすことが、米国・デューク大学のDaniel B. Mark氏らが行った「CABANA試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年4月2日号に掲載された。カテーテルアブレーションは、AF患者の洞調律復帰において、薬物療法よりも有効性が高いとされるが、長期的なQOLの増分がどの程度かは、これまで不明であった。

認知症患者へのアミロイドPETが患者管理に影響/JAMA

 病因が不確定な軽度認知障害(MCI)および認知症の患者に対し、アミロイドPETを行ったところ、約6割の患者で施行前とは異なる患者管理に変更されたとの研究結果が、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のGil D. Rabinovici氏らが実施したIDEAS試験で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年4月2日号に掲載された。アミロイドPETは、アルツハイマー病の主要な神経病理学的特徴である脳アミロイド斑を検出する。アミロイドPETを臨床評価に追加すると、診断精度が向上するとされるが、アミロイドβの蓄積は他の神経変性疾患や認知機能が正常な高齢者にもみられるという。

小児の潰瘍性大腸炎、ステロイドフリー寛解予測因子とは/Lancet

 新たに潰瘍性大腸炎(UC)と診断された小児患者において、52週時のステロイドフリー(メサラジン単独療法)寛解の予測に、初期の臨床的活動性および4週までの治療反応が有用であることが、米国・コネチカット小児医療センターのJeffrey S. Hyams氏らによる検討の結果、明らかにされた。新たに診断された小児UCについては、エビデンスベースのアウトカムデータの不足が、作成された治療計画に不確実性をもたらしている、として問題視されていた。

脳卒中リスクを有するAF患者へのアブレーションの有用性/JAMA

 心房細動(AF)患者におけるカテーテルアブレーション戦略は、薬物療法と比較して主要評価項目(死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止の複合エンドポイント)に有意差は認められなかった。米国・メイヨー・クリニックのDouglas L. Packer氏らが、10ヵ国126施設で実施した医師主導型の多施設共同非盲検無作為化試験「The Catheter Ablation vs Antiarrhythmic Drug Therapy for Atrial Fibrillation trial:CABANA試験」の結果を報告した。

バイオシミラーCT-P13は活動期クローン病に有効か/Lancet

 活動期クローン病患者に対し、インフリキシマブのバイオシミラーCT-P13投与はインフリキシマブ投与に対し、非劣性であることが示された。韓国・蔚山大学校のByong Duk Ye氏らが220例を対象に行った、第III相多施設共同無作為化二重盲検試験の結果で、著者は「バイオシミラーCT-P13は、活動期クローン病の新たな治療選択肢になりうるだろう」とまとめている。インフリキシマブ・バイオシミラーCT-P13は、強直性脊椎炎と関節リウマチにおいてインフリキシマブとの臨床比較が行われた後に、クローン病での使用が承認された。しかし、そのような形での承認に対して懸念があり、直接比較するため本試験が行われた。Lancet誌2019年3月28日号掲載の報告。

LVAD使用の重症心不全に同種異系MPCは有益か/JAMA

 重症心不全で補助人工心臓(LVAD)植え込み術を受けた患者に対し、同種異系間葉系前駆細胞(MPC)の心筋内注入は、シャム注入と比較して6ヵ月時点でLVADからの一時的離脱成功率を改善しないことが、カナダ・トロント総合病院のTerrence M. Yau氏らが約160例を対象に行った第II相無作為化試験の結果、示された。LVADは心機能を改善するが、外植片が十分に回復する患者はほとんどいない。

ACC/AHAガイドライン、ESCガイドラインのエビデンスレベルは?/JAMA

 主要な心臓血管関連学会のガイドラインでは、複数の無作為化臨床試験(RCT)または単一の大規模RCTのエビデンスによって支持される推奨の割合はきわめて低く、このパターンは、2008~18年の改訂でも意義のある改善はなされていないことが、米国・デューク大学のAlexander C. Fanaroff氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、JAMA誌2019年3月19日号に掲載された。臨床決定は、臨床転帰を評価した複数のRCTによるエビデンスに基づくのが理想だが、歴史的には、この種のエビデンスに完全に基づく臨床ガイドラインの推奨はほとんどないという。

チカグレロルの中和薬、第I相試験で有効性確認/NEJM

 チカグレロルの特異的中和薬であるPB2452について、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のDeepak L. Bhatt氏らは、健常ボランティアにおいて、チカグレロルの抗血小板作用を迅速かつ持続的に中和し、毒性は軽度であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月17日号に掲載された。チカグレロルは経口P2Y12阻害薬で、急性冠症候群の患者や心筋梗塞の既往のある患者において、虚血性イベントのリスクを抑制するために、アスピリンとの併用で使用される。

β遮断薬長期投与、肝硬変の代償不全を予防/Lancet

 代償性肝硬変および臨床的に重要な門脈圧亢進症(CSPH)の患者では、β遮断薬の長期投与により代償不全(腹水、胃腸出血、脳症)のない生存が改善されることが、スペイン・バルセロナ自治大学のCandid Villanueva氏らが実施したPREDESCI試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年3月22日号に掲載された。肝硬変における臨床的な代償不全は予後不良とされる。CSPHは、肝静脈圧較差(HVPG)≧10mmHgで定義され、代償不全の最も強力な予測因子だという。

院外心停止後蘇生のNSTEMIに、即時冠動脈造影は有効か/NEJM

 院外心停止後に蘇生に成功した非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)患者では、即時的に冠動脈造影を行い、必要に応じて経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行するアプローチは、神経学的回復後に遅延的にこれを施行する戦略と比較して、90日生存率の改善は得られないことが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのJorrit S. Lemkes氏らが実施したCOACT試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月18日号に掲載された。

アフリカの黒人高血圧に有益な降圧薬2剤併用は/NEJM

 サハラ以南のアフリカに住む黒人高血圧患者において、アムロジピン+ヒドロクロロチアジドまたはペリンドプリルの併用療法は、ペリンドプリル+ヒドロクロロチアジド併用療法より6ヵ月時の降圧効果が大きく、有効であることが示されたという。ナイジェリア・アブジャ大学のDike B. Ojji氏らが、サハラ以南のアフリカ6ヵ国で実施した無作為化単盲検3群比較試験「Comparison of Three Combination Therapies in Lowering Blood Pressure in Black Africans:CREOLE試験」の結果を報告した。

転移乳がん、アナストロゾール単剤vs.フルべストラント併用/NEJM

 米国・カリフォルニア大学アーバイン医療センターのRita S. Mehta氏らは、閉経後ホルモン受容体陽性転移乳がんに対する、アロマターゼ阻害薬アナストロゾールと選択的エストロゲン受容体調節薬フルベストラントの併用療法の有効性および安全性を検証した、多施設共同無作為化非盲検試験「S0226試験」の全生存期間(OS)に関する最終解析結果を報告した。アナストロゾール+フルベストラント併用投与群はアナストロゾール単独投与群と比較して、OS延長の有意な効果が長期にわたり維持されていたことが示されたという。一方で、アナストロゾール単独投与群の患者の約半数は増悪後にフルベストラントの投与(クロスオーバー)が行われた。本試験について研究グループは2012年に、閉経後ホルモン受容体陽性転移乳がんに対する1次治療としてのアナストロゾール+フルベストラント併用療法は、アナストロゾール単独投与群と比較し、無増悪生存期間を有意に延長し、OSも有意ではあるもののわずかに延長することを報告していた。NEJM誌2019年3月28日号掲載の報告。

コントロール不良2型DM、セマグルチドvs.シタグリプチン/JAMA

 メトホルミン(単剤またはSU薬併用)でコントロール不良の成人2型糖尿病患者に対し、セマグルチド7mg/日、14mg/日の投与は、シタグリプチン投与に比べ、26週の試験期間中の糖化ヘモグロビン(HbA1c)値を、より大きく有意に抑制したことが示された。セマグルチド3mg/日では有意なベネフィットは示されなかったという。米国・Dallas Diabetes Research Center at Medical CityのJulio Rosenstock氏らが、約1,900例を対象に行った第IIIa相ダブルダミー無作為化並行群間比較試験「PIONEER 3試験」の結果で、GLP-1受容体作動薬セマグルチドについて、他のクラスの血糖降下薬と直接比較した初となる第III相試験だという。