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2024/06/27
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ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:313

プラセボ処方は日常的:米国の内科医、リウマチ医対象調査

アメリカの臨床現場ではプラセボ処方は日常的に行われており、処方する医師は倫理的に特に問題はないと考えている実態が、NIHのJon C Tilburt氏らによって報告された。内科医およびリウマチ医各600人ずつ計1,200人を対象に、プラセボ処方の状況と、処方する医師の意識、態度について、メールアンケートで行われた調査の結果による。BMJ誌2008年11月8日号(オンライン版2008年10月23日号)より。

緑豊かな地域の住民は健康格差が小さい?

最も緑が豊富な環境に居住する住民は、所得の差に基づく健康上の格差が最も小さいことが、イギリス・Glasgow大学公衆衛生・健康政策学のRichard Mitchell氏らの検討で判明した。緑豊かな自然環境に触れることは、健康および健康関連行動に独立の効果を及ぼすことが示されている。そこで、同氏らは「緑に触れる機会の多い環境は、社会経済的な地位の低さに起因する罹病の過程に影響を及ぼし、それゆえ所得差による健康上の不平等はその居住地域の緑が豊かであるほど目立たなくなるのではないか」との仮説のもとに調査を行った。Lancet誌2008年11月8日号掲載の報告。

社会政策の寛容性が、幼児死亡率、高齢者超過死亡率を改善

 保健医療においては、社会政策をいかに制度設計するかとともに、どの程度の寛容性をもたせるかが重要なことが、北欧で実施されたNEWS(Nordic experience of welfare states and public health)プロジェクトの解析結果により明らかとなった。保健医療に関する重要な社会的決定要因の多くは社会政策の中心をなすものでもある。高所得国はいずれも社会保障プログラムを持つが、その制度設計や寛容性には国によって明確な違いが見られ、これらの差は特に子どもや高齢者の貧困率の各国間のばらつきにおいて明らかだという。スウェーデン・Stockholm 大学/カロリンスカ研究所医療公平化研究センターのOlle Lundberg氏が、Lancet誌2008年11月8日号で報告した。

乳幼児期のタバコの副流煙は喘息の早期発症を増大

大規模な家族ベースの遺伝子解析データをもとに、遺伝子変異と喘息との関連、さらにタバコの副流煙曝露との関連について検証していた、フランス国立医学衛生研究所Emmanuelle Bouzigon氏らのグループは、変異遺伝子の喘息発症リスクは早期発症に限定されること、またその場合、乳幼児期の喫煙曝露がリスクを増大することを明らかにした。NEJM誌2008年11月6日号(オンライン版2008年10月15日号)より。

心筋梗塞発症後の冠動脈疾患による突然死、過去30年で大幅に減少

心筋梗塞発症後の、冠動脈疾患による突然死は、過去30年間で大幅に減少しているようだ。米Veterans Affairs Medical Center(ミネソタ州ミネアポリス)のA. Selcuk Adabag氏らが、約3,000人の心筋梗塞を発症した患者を調べ、明らかにしたもので、JAMA誌2008年11月5日号で発表された。また、同突然死のリスクは、心筋梗塞発症後30日間に最も大きく、さらに心不全が突然死のリスクを増加することもわかった。

電子カルテ共有システム、次なる段階への教え:英国

1998年にブレア首相が表明したビジョンを受けて、英国ではNHS(National Health Service)スタッフから患者までが共有可能な、国家規模の電子カルテ共有システムの構築が進んでいる。このシステムのポイントの1つに、SCR(summary care record)と呼ばれる開業医からの診療記録の抽出・電子化サマリーのデータベース化がある。SCRは患者の同意を得てアップロードされることになっており、2007年春から本格的にその作業が開始された。ロンドン大学Trisha Greenhalgh氏らは、このシステム稼働導入期(2007年5月~2008年4月)の実態を調査することで、今後のシステム展開への教えを見いだす事例評価研究を行った。BMJ誌2008年11月1日号(オンライン版2008年10月23日号)より。

ビタミンEには心血管イベントの予防効果はない

 アスピリン、抗酸化サプリメントを、単独もしくは組み合わせて服用しても、心血管イベントの減少には結びつかないことが報告された。スコットランドの16病院・188開業医グループが参加して行われたPOPADAD試験(prevention of progression of arterial disease and diabetes trial)からの報告。BMJ誌2008年11月1日号(オンライン版2008年10月16日号)にて掲載された。

WHO予算配分は感染症に偏りすぎ:バマコ2008会議に向けて

WHOの予算配分は感染症に極端に偏っており、世界的な疾病負担にも不均衡が見られるため、その是正に向けた検討が必要であることが、WHOの一般公開データの解析で明らかとなった。2008年11月、各国の保健相、支援機関、慈善活動家、国際機関らがマリ共和国の首都バマコに参集し、以前の協議で設定されたWHOの通常予算あるいは特別予算の医療優先事項の再評価を行うという。そこで、イギリス・Oxford大学社会学科のDavid Stuckler氏らは、WHOの予算枠内で以前の決定事項の優先順位をどのように改善できるかを検討した。Lancet誌2008年11月1日号掲載の報告。

マラリアの疾病負担が大幅に軽減、西アフリカ・ガンビアの場合

西アフリカのガンビアでは、近年の国際的な取り組みによりマラリアの疾病負担が大幅に軽減されていることが、同国医療研究評議会研究所のSerign J Ceesay氏らが行った調査で確認された。マラリアはアフリカにおける主要疾患であり最大の死因でもある。同国では、マラリア管理の国際的な取り組みや財政支援が強化され、2003年以降、妊婦や5歳以下の子どもに対する介入が増加しているという。Lancet誌2008年11月1日号掲載の報告。

出生体重1,000g未満児への光線療法は慎重に

超低出生体重児(1,000g未満)が来しやすい高ビリルビン血症を予防するため、積極的光線療法を行っても従来型光線療法と効果は変わらず、501~750g出生体重児では死亡率が増大し、むしろベネフィットを相殺してしまうことが報告された。光線療法の有害性について検証していたテキサス大学メディカルスクールBrenda H. Morris氏らによる。NEJM誌2008年10月30日号にて掲載された。

出生体重1,500g未満児への早期インスリン治療介入は無益

極低出生体重児(1,500g未満)への早期インスリン治療介入は、高血糖症を減らすが低血糖症を増大する可能性が高く「臨床ベネフィットはない」とする報告が、ケンブリッジ大学のKathryn Beardsall氏らによって寄せられた。パイロットスタディ「ヨーロッパ新生児インスリン補完療法(Neonatal Insulin Replacement Therapy in Europe:NIRTURE)」の結果より。極低出生体重児の高血糖症の発病率は高度(20~86%)で、罹患率、死亡率ともに高い。またそれゆえ、早期のインスリン治療介入による臨床ベネフィットが期待されてもいた。NEJM誌2008年10月30日号にて掲載。

親に医療保険がありながら子どもが無保険の割合は3%:米国

米国で、少なくとも片方の親が医療保険に加入している場合でも、その子ども(19歳未満)の約3.3%(95%信頼区間:3.0~3.6)が無保険であることがわかった。これは、米国Oregon Health and Science大学のJennifer E. DeVoe氏らが、2002~2005年の全米の医療費に関するデータベース、Medical Expenditure Panel Survey(MEPS)の約4万人について、横断研究を行い明らかにしたもの。これまでの研究で、親が無保険の場合に、子どもが無保険になる割合が極めて高いことは知られているが、親に保険がある場合に子どもが無保険である割合についての研究は珍しい。JAMA誌2008年10月22日号より。

PCI前運動負荷試験、実施率は44.5%に留まる

安定した冠動脈性心疾患患者に対して、待機的な経皮的冠動脈形成術(PCI)を実施する前の、心筋虚血の検出を目的とした運動負荷試験の実施率は、44.5%に留まることが明らかになった。PCI前に同試験を実施することで、より良いアウトカムにつながることはこれまでの研究でも明らかになっており、米国の診療ガイドラインでも推奨している。これは、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校のGrace A. Lin氏らが、2万3,887人のメディケア(高齢者向け公的医療保険)加入者について調べたもの。JAMA誌2008年10月15日号にて掲載。

子宮頸癌スクリーニング、6年ごとのHPV検査が有用

6年ごとにヒトパピローマウイルス(HPV)検査を行う子宮頸癌スクリーニング戦略は安全かつ有効であることが、ヨーロッパで実施されたコホート研究の共同解析で明らかとなった。HPV検査は、従来の細胞診よりもgrade 3の子宮頸部上皮内腫瘍および子宮頸癌(CIN3+)の検出感度が優れる。両検査併用との比較は費用効果に基づいて行われる。費用効果は検査陰性による保護効果がどれくらいの期間持続するかで評価され、それによって至適なスクリーニング間隔が決まるという。スウェーデンLund大学病院医療微生物学のJoakim Dillner氏が、BMJ誌2008年10月25日号(オンライン版2008年10月13日号)で報告した。

尊厳死を選択した末期患者の中には、うつが原因の例も

医師による死亡支援を求める末期患者におけるうつの有病率は高くはないが、現行のオレゴン州の尊厳死法下ではうつの影響で致死的薬剤の処方を選択した患者を保護できない可能性があることが、同州で実施された横断的調査で明らかとなった。1997年、同州では医師による死亡支援が合法化された。しかし、末期患者が死亡支援を求める決断をする背景には、治療可能な精神疾患の影響も考えられるため議論が続いているという。アメリカPortland在郷軍人局医療センターのLinda Ganzini氏が、BMJ誌2008年10月25日号(オンライン版2008年10月8日号)で報告した。

経口フマル酸、再発寛解型多発性硬化症に対する有用性を確認

経口フマル酸(BG00012)は再発寛解型多発性硬化症に対し優れた新規病変抑制効果と良好な安全性プロフィールを示すことが、ヨーロッパを中心に実施された多施共同試験で確認された。前臨床試験では、フマル酸ジメチルとその一次代謝産物であるフマル酸モノメチルはnuclear factor-E2関連因子2(Nrf2)の転写経路を活性化することが示されており、抗炎症作用に加え神経保護作用を併せ持つ可能性が示唆されている。スイスBasel大学病院のLudwig Kappos氏が、Lancet誌2008年10月25日号で報告した。

喫煙、固形燃料使用の抑制で、COPD、肺癌、結核の疾病負担が低下

喫煙および固形燃料の使用を抑制すれば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と肺癌の疾病負担が低下し、結核の効果的なコントロールが可能になることが、中国で行われた多リスク因子モデル研究で判明した。2002年の調査によれば、COPDは中国人の死因の第2位を占め、肺癌は第6位、結核は第8位であり、約200万人(全死亡の20.5%)がこれらの疾患で死亡している。一方、中国人男性の半数が喫煙者であり、一般家庭の70%以上が薪、作物残渣、石炭などの固形燃料を暖房や調理に用いているという。アメリカHarvard大学公衆衛生学部疫学科のHsien-Ho Lin氏が、Lancet誌2008年10月25日号(オンライン版2008年10月4日号)で報告した。

多発性硬化症へのalemtuzumabの有効性

リンパ球と単球上のCD52を標的とするヒト型モノクローナル抗体alemtuzumabは、B細胞性慢性リンパ性白血病の治療薬として海外で承認されている。同薬剤の早期多発性硬化症に対する治療効果について、インターフェロンβ-1aとの比較で検討していたイギリス・ケンブリッジ大学医学部のAlasdair J. Coles氏らは、「alemtuzumabは症状進行や再発を抑える上で有効だったが、深刻な自己免疫疾患との関連もみられた」と報告した。NEJM誌2008年10月23日号より。